法律用語一覧114語|読み方・意味が日常と違う難解な用語まとめ

法律用語には、日常語とはまったく異なる読み方や意味を持つものが数多くあります。「遺言」は「ゆいごん」ではなく「いごん」、「競売」は「きょうばい」ではなく「けいばい」が法律上の正式な読み方。さらに「善意」は「親切な気持ち」ではなく「ある事実を知らないこと」、「悪意」は「悪い心」ではなく「ある事実を知っていること」を意味します。本記事では、こうした難解な法律用語を民事・刑事・相続・不動産など8分野に分けて114語を一覧にまとめました。契約書の読解や相続手続きに役立ててください。

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読み方が日常語と違う法律用語

法律用語の中には、日常会話の読み方とは異なる読み方が定着しているものがあります。明治時代に西洋の法典を漢訳した際の名残で、民法には特に古典的な訓読が多く残っています。

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用語 法律での読み 日常の読み 意味
遺言 いごん ゆいごん 死後に効力を生じる意思表示の書面
競売 けいばい きょうばい 裁判所が行う不動産等の強制売却手続き
兄弟姉妹 けいていしまい きょうだいしまい 同じ親を持つきょうだい(民法文書の正式読み)
立木 りゅうぼく たちき 土地に根を張って生育している樹木
入会権 いりあいけん にゅうかいけん 地域住民が共有山野を利用できる慣習的権利
相殺 そうさい そうさつ(俗読み) 互いの債権・債務を対当額で消し合うこと

意味が日常語と違う法律用語

見た目は普通の日本語なのに、法律上まったく別の意味を持つ用語があります。知らずに使うと誤解につながることもあります。

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用語 読み 法律での意味 日常での意味
善意 ぜんい ある事実を知らないこと 親切な気持ち・よい心
悪意 あくい ある事実を知っていること 悪い心・害を与えようとする心
強迫 きょうはく 心理的強制で相手の意思決定の自由を侵害すること 脅迫と同義に使われがち
過失 かしつ 注意義務を怠った不注意な行為 「うっかりミス」程度の軽い語感
占有 せんゆう 物を事実上支配・所持している状態(所有権は問わない) 「自分のものを持っている」の語感
取消し とりけし 行為を遡及的に無効にすること(一定要件下のみ可能) 「キャンセル」の感覚で使われがち
無効 むこう 最初から法的効力が生じないこと 「効かない・使えない」の意味にも
故意 こい 結果発生を認識・認容してあえて行うこと(刑法上の厳格な定義) 「わざと」の軽い意味にも使われる
錯誤 さくご 内心と表示が食い違う意思表示の欠陥(→取消し事由) 「間違い・ミス」の意味
和解 わかい 互いに譲歩して紛争を解決する合意 「仲直り」の意味に多く使われる
時効 じこう 一定期間の経過で権利が消滅・取得する制度 「罪が許される」の意味に多く使われる
心裡留保 しんりりゅうほ 自分でもわかりながら本心と異なる意思表示をすること ほぼ法律専門用語・日常では使われない
不当利得 ふとうりとく 法律上の根拠なく他人の財産で利益を得ること 「不当な利益を得ること」(意味は近いが法的要件が厳格)
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分野別・法律用語一覧

民事訴訟・裁判手続き

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用語 読み 意味
原告 げんこく 訴えを起こした側の当事者
被告 ひこく 訴えられた側の当事者(刑事の「被告人」とは別)
訴状 そじょう 裁判所に提出する訴えの書面
答弁書 とうべんしょ 被告が訴状に対して提出する反論書面
口頭弁論 こうとうべんろん 当事者が裁判官の前で主張・立証する手続き
準備書面 じゅんびしょめん 口頭弁論前に提出する主張・立証の書面
判決 はんけつ 裁判所が訴訟を終局的に判断する裁判
決定 けってい 判決以外の裁判所の裁判(口頭弁論が不要)
控訴 こうそ 一審判決に不服のある当事者が高裁に申し立てること
上告 じょうこく 二審判決に不服のある当事者が最高裁に申し立てること
抗告 こうこく 決定・命令に対する不服申し立て
棄却 ききゃく 申立ての理由がないとして退けること
却下 きゃっか 申立てが不適法として審理せずに退けること
認容 にんよう 原告の請求を認める判決
仮処分 かりしょぶん 本訴判決前に権利・地位を暫定的に保全する措置
仮差押え かりさしおさえ 判決前に債務者の財産の処分を禁じる保全措置
強制執行 きょうせいしっこう 判決等に基づき国家権力で義務の履行を強制すること
損害賠償 そんがいばいしょう 違法行為によって生じた損害を金銭で賠償すること
慰謝料 いしゃりょう 精神的苦痛に対して支払う損害賠償
示談 じだん 裁判によらず当事者間で解決する合意

刑事法・刑事手続き

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用語 読み 意味
被疑者 ひぎしゃ 犯罪の疑いがある者(起訴前の呼称)
被告人 ひこくにん 刑事事件で起訴された者(起訴後の呼称)
告訴 こくそ 被害者等が捜査機関に犯罪事実を申告すること
告発 こくはつ 被害者・告訴権者以外の第三者が申告すること
起訴 きそ 検察官が被疑者を裁判所に訴えること
不起訴 ふきそ 検察官が起訴しないと決定すること(嫌疑なし・起訴猶予等)
逮捕 たいほ 被疑者の身柄を強制的に拘束すること
勾留 こうりゅう 起訴前または起訴後に被疑者・被告人を拘束し続けること
拘留 こうりゅう 1日以上30日未満の自由刑(刑罰。勾留とは別)
保釈 ほしゃく 保釈金を納付することで起訴後の身柄拘束を解くこと
公判 こうはん 刑事事件の公開の法廷での審理
量刑 りょうけい 有罪の場合に刑の重さを決めること
執行猶予 しっこうゆうよ 一定期間内に再犯がなければ刑の執行が免除される制度
懲役 ちょうえき 刑務所に収容し所定の作業を行わせる自由刑
禁錮 きんこ 作業義務なしに刑務所に収容する自由刑
罰金 ばっきん 金銭を強制的に納付させる財産刑(1万円以上)
科料 かりょう 財産刑の軽い方(1000円以上1万円未満・前科がつく)
過料 かりょう 行政上の制裁(前科がつかない・「かりょう」と読む)
黙秘権 もくひけん 供述を拒む権利(憲法38条・刑事訴訟法311条)
再審 さいしん 確定判決後に新証拠等を理由として再び審理すること
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相続・家族法

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用語 読み 意味
相続 そうぞく 死亡した人の権利・義務を承継すること
遺産 いさん 死亡した人が残した財産全般
相続放棄 そうぞくほうき 相続の権利・義務をすべて放棄すること
限定承認 げんていしょうにん 遺産の範囲内でのみ債務を承継する条件付き相続
遺留分 いりゅうぶん 法定相続人が最低限受け取れる相続財産の割合
法定相続分 ほうていそうぞくぶん 民法で定める各相続人の相続割合
寄与分 きよぶん 相続財産の維持・増加に貢献した相続人に認める追加分
特別受益 とくべつじゅえき 生前贈与等で特別に受けた利益(相続分の前払い扱い)
代襲相続 だいしゅうそうぞく 相続人が先に死亡した場合にその子が代わって相続すること
嫡出子 ちゃくしゅつし 法律婚の夫婦間に生まれた子
認知 にんち 婚外子を父が法的に自分の子と認める手続き
成年後見 せいねんこうけん 判断能力が不十分な成人を保護する法制度
任意後見 にんいこうけん 元気なうちに自分で後見人を選ぶ制度
遺産分割 いさんぶんかつ 相続人が遺産の分け方を決める手続き
遺言執行者 いごんしっこうしゃ 遺言の内容を実現するために選任された者

不動産・物権法

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用語 読み 意味
物権 ぶっけん 物を直接支配する権利(所有権・抵当権など)
所有権 しょゆうけん 物を自由に使用・収益・処分できる排他的権利
抵当権 ていとうけん 債務の担保として不動産に設定する担保権
根抵当権 ねていとうけん 一定範囲の不特定の債権を担保する抵当権
地上権 ちじょうけん 他人の土地上に工作物・竹木を所有するための権利
地役権 ちえきけん 他人の土地を自己の土地の便宜のために利用する権利
留置権 りゅうちけん 他人の物を留置して弁済を促す権利
先取特権 さきとりとっけん 法律上、他の債権者に優先して弁済を受ける権利
質権 しちけん 債務の担保として動産等を占有する担保権
登記 とうき 不動産・会社の権利関係を公簿に記録すること
仮登記 かりとうき 本登記の順位を保全するための暫定的な登記
取得時効 しゅとくじこう 一定期間占有を続けると所有権を取得できる制度
消滅時効 しょうめつじこう 一定期間権利を行使しないと権利が消滅する制度
ひつ 登記簿上の土地一区画の単位(「一筆の土地」)
公示の原則 こうじのげんそく 物権変動は登記等で公示しなければ第三者に対抗できない原則

契約・債権法

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用語 読み 意味
債権 さいけん 特定の人に一定の行為を請求できる権利
債務 さいむ 特定の人に対して一定の行為をしなければならない義務
弁済 べんさい 債務の内容を実現して消滅させること(=履行)
履行 りこう 債務の内容を実際に実行すること
連帯保証 れんたいほしょう 主債務者と同等の責任を負う保証(催告・検索の抗弁なし)
連帯債務 れんたいさいむ 複数人が同一債務について各自が全額の責任を負うもの
解除 かいじょ 契約の効力を遡及的に消滅させること
解約告知 かいやくこくち 継続的契約を一方的に将来に向けて終了させること
詐欺 さぎ 相手を欺いて錯誤に陥れ意思表示をさせること(民法上)
諾成契約 だくせいけいやく 双方の合意のみで成立する契約(売買・贈与など)
要物契約 ようぶつけいやく 合意に加えて物の引渡しも必要な契約(消費貸借など)
消費貸借 しょうひたいしゃく 借りたものを消費してよく、同種・同量を返す貸借(金銭消費貸借)
使用貸借 しようたいしゃく 無償で物を貸す契約(賃貸借と異なり対価なし)
請負 うけおい 仕事の完成を目的として報酬を支払う契約
委任 いにん 法律行為等の処理を依頼する契約(弁護士委任など)

会社・商法

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用語 読み 意味
有限責任 ゆうげんせきにん 出資額の範囲内でのみ責任を負うこと
無限責任 むげんせきにん 会社の債務について個人財産でも無制限に責任を負うこと
取締役 とりしまりやく 株式会社の業務執行の意思決定を行う役員
代表取締役 だいひょうとりしまりやく 会社を代表する権限を持つ取締役
株主総会 かぶぬしそうかい 株主で構成される会社の最高意思決定機関
商標 しょうひょう 商品・サービスを識別するために使用するマーク等
破産 はさん 返済不能な債務超過状態を清算する法的手続き
民事再生 みんじさいせい 債務を圧縮しながら事業継続を目指す法的整理手続き
会社更生 かいしゃこうせい 主に大企業向けの事業再建型法的整理手続き
清算 せいさん 会社解散後に財産を整理して法人を消滅させる手続き
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豆知識

①法律用語が難しくなった理由

法律用語が読みにくく・わかりにくくなった背景には、明治時代の近代法整備があります。フランス民法典(Code Civil)やドイツ民法典(BGB)を日本語に翻訳する際、当時の法学者たちは西洋の法的概念を表すために漢語を多用しました。「債権」「物権」「占有」といった用語は、漢文の文法や訓読の影響を強く受けており、一般の日本語とは乖離した読み方・意味が定着しました。国立国語研究所も「法律用語が普通の日本語とかけ離れている理由」として、この明治期の翻訳文化を挙げています。

②同じ読みで意味・漢字が違う紛らわしい用語

法律には読み方が同じでも意味がまったく異なる用語が多くあります。特に混同しやすいものを整理しておきましょう。

  • 勾留(こうりゅう)と拘留(こうりゅう):勾留は刑事訴訟手続きで行われる身柄拘束(捜査・審理のため)。拘留は刑法上の刑罰で、1日以上30日未満の自由刑。どちらも「こうりゅう」と読むが、前者は手続き・後者は刑罰という根本的な違いがあります。
  • 科料(かりょう)と過料(かりょう):科料は刑事上の刑罰(1000円以上1万円未満の財産刑。前科がつく)。過料は行政上または民事上の制裁(前科はつかない)。どちらも「かりょう」と読み、文字も似ているため混同されがちです。
  • 強迫(きょうはく)と脅迫(きょうはく):民法上の強迫は、心理的強制で相手の意思決定の自由を侵害する行為(→取消し事由になる)。刑法上の脅迫は、相手を畏怖させる害の告知(→刑事罰の対象)。読みは同じでも適用される法律と効果が異なります。
  • 告訴(こくそ)と告発(こくはつ):告訴は被害者や法定代理人など告訴権者が行う申告。告発は告訴権者以外の第三者(誰でも)が行える申告。どちらも捜査機関に犯罪事実を申告する行為ですが、申告できる人の範囲が異なります。

まとめ

法律用語の難しさの多くは、明治以来の翻訳文化と法律独特の厳密さから生まれています。「善意」「悪意」「時効」「占有」のように日常語と意味がズレている用語や、「いごん(遺言)」「けいばい(競売)」のように読み方が違う用語を知っておくと、契約書・裁判ニュース・相続手続きがぐっと理解しやすくなります。「世界の奇妙な法律」も合わせて読むと、法律の意外な一面がさらに楽しめます。→世界の奇妙な法律まとめ15選

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