
哲学の用語は多様で、初めて学ぼうとすると「どこから手をつければいいかわからない」と感じる方も多いはずです。この記事では、哲学の用語を存在論・認識論・倫理学・論理学・美学・政治哲学・言語哲学・科学哲学・現代哲学・東洋哲学の10分野に分類し、計205語を網羅しました。読み方と簡潔な意味を一覧にまとめたので、辞典感覚で調べたいときや語彙を整理したいときにご活用ください。
哲学用語一覧(全205語)
存在論・形而上学(25語)
「何があるか」「存在とは何か」を問う分野です。哲学の中でも最も根本的な問いを扱います。
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| 用語 | 読み方 | 意味・説明 |
|---|---|---|
| 存在論 | そんざいろん | 存在の本質・構造・種類を研究する哲学の基幹分野 |
| 形而上学 | けいじじょうがく | 時間・空間・因果・実体など物理を超えた根本原理を探究する |
| 実体 | じったい | 独立して存在するもの。デカルトは精神と物体の2実体を立てた |
| 本質 | ほんしつ | ものをそのものたらしめる根本的性質(エッセンス) |
| 偶有性 | ぐうゆうせい | 本質ではなく付随的・偶然的な性質(アリストテレス) |
| 普遍 | ふへん | 複数のものに共通する性質・概念。個別との対立が普遍論争の核心 |
| 個別 | こべつ | 唯一特定のもの。「この赤い林檎」という具体的存在 |
| 唯名論 | ゆいめいろん | 普遍は名前に過ぎず、実在するのは個別のみとする立場 |
| 実在論 | じつざいろん | 普遍そのものが実在するとする立場(唯名論との普遍論争) |
| 決定論 | けっていろん | すべての出来事は先行する原因によって必然的に決まるという立場 |
| 因果律 | いんがりつ | 原因と結果の法則。すべての出来事には必ず原因がある |
| 目的論 | もくてきろん | 自然や行為を目的(テロス)から説明するアリストテレスの方法 |
| 二元論 | にげんろん | 世界の根本が心と物など異質な2実体からなるとする立場(デカルト) |
| 一元論 | いちげんろん | 世界の根本は1つの実体(物質・精神・神など)だとする立場 |
| 汎神論 | はんしんろん | 神=宇宙・自然そのものと同一視する立場(スピノザ) |
| 観念論 | かんねんろん | 実在は精神・観念であり物質は二次的とする立場(ヘーゲルなど) |
| 唯物論 | ゆいぶつろん | 存在の根本は物質であり、精神も物質の産物とする立場 |
| 無 | む | 存在の否定。「なぜ何もないのではなく何かがあるのか」(ハイデガー) |
| 時間論 | じかんろん | 時間の本質を問う形而上学の一分野(アウグスティヌス・マクタガート) |
| アイデンティティ | あいでんてぃてぃ | 同一性。テセウスの船問題(部品を全交換した船は同じ船か)が代表例 |
| 可能世界 | かのうせかい | 現実とは異なりえた論理的に整合した世界。様相論理学の基礎概念 |
| 様相 | ようそう | 必然性・可能性・不可能性の区別。「必然的に真」など様式の区別 |
| 神の存在証明 | かみのそんざいしょうめい | 存在論的証明(アンセルムス)・宇宙論的証明・目的論的証明の三種類 |
| テロス | てろす | 目的・終局。アリストテレスの目的論において万物の向かう到達点 |
| ニヒリズム | にひりずむ | 価値・意味・真理を否定する立場。ニーチェが近代の病として診断した |
認識論(20語)
「何を知りうるか」「知識の根拠は何か」を問う分野です。
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| 用語 | 読み方 | 意味・説明 |
|---|---|---|
| 認識論 | にんしきろん | 知識・認識の起源・構造・限界を研究する哲学の分野 |
| 懐疑論 | かいぎろん | 確実な知識の存在を根底から疑う立場。古代ピュロンが起源 |
| 方法的懐疑 | ほうほうてきかいぎ | デカルトが確実な真理を求めて一切を疑う方法として採用した手続き |
| コギト | こぎと | 「我思う、ゆえに我あり」。懐疑しても疑っている自分は疑えないというデカルトの出発点 |
| 経験論 | けいけんろん | 知識の根源は感覚・経験にあるとする立場(ロック・ヒューム・バークリー) |
| 合理論 | ごうりろん | 知識の根源は理性・先天的観念にあるとする立場(デカルト・ライプニッツ) |
| アプリオリ | あぷりおり | 経験に先立つ・先天的な知識。数学的真理などが典型例 |
| アポステリオリ | あぽすてりおり | 経験に基づく・後天的な知識(経験論のキーワード) |
| 先天的総合判断 | せんてんてきそうごうはんだん | カントが主張する、経験なしに内容を広げる判断(「7+5=12」など) |
| 現象 | げんしょう | 人間の感性・悟性を通じて現れるもの(カント)。「物自体」との対概念 |
| 物自体 | ものじたい | 認識の届かない実在そのもの(カント)。現象の背後の不可知の対象 |
| 超越論的 | ちょうえつろんてき | 経験を可能にする先験的な条件に関わる(カントの専門用語) |
| 真理の整合説 | しんりのせいごうせつ | 命題が他の命題群と整合するとき真とみなす説 |
| 真理の対応説 | しんりのたいおうせつ | 命題が事実に対応するとき真であるとする古典的な説 |
| プラグマティズム | ぷらぐまてぃずむ | 真理は実際の効果・有用性で決まるとする立場(ジェームズ・デューイ) |
| 現象学 | げんしょうがく | 意識に現れる現象をありのままに記述・分析する哲学(フッサール創始) |
| エポケー | えぽけー | 判断停止・現象学的還元。先入観を括弧に入れる操作(フッサール) |
| 間主観性 | かんしゅかんせい | 複数の主観に共有される客観性の基盤(フッサールが探究) |
| 根拠律 | こんきょりつ | あらゆるものには十分な根拠がある(ライプニッツが定式化) |
| 直観 | ちょっかん | 推論を経ずに直接把握する認識作用。カントでは感性的直観が重要 |
倫理学・道徳哲学(25語)
「何が正しい行為か」「どう生きるべきか」を問う分野です。
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| 用語 | 読み方 | 意味・説明 |
|---|---|---|
| 功利主義 | こうりしゅぎ | 最大多数の最大幸福を善の基準とする立場(ベンサム・ミル) |
| 義務論 | ぎむろん | 行為の善悪は結果でなく義務・規則への適合で決まるとする立場(カント) |
| 定言命法 | ていげんめいほう | 条件なしに「〜せよ」と命じる道徳の絶対的命令。カント倫理学の核心 |
| 仮言命法 | かげんめいほう | 「〜したければ〜せよ」という条件付きの命令。定言命法との対 |
| 徳倫理学 | とくりんりがく | 善き行為でなく善き人格・徳の涵養を目指す立場(アリストテレス復興) |
| 徳 | とく | 卓越した性格特性。アリストテレスにとっての卓越性(アレテー) |
| 善意志 | ぜんいし | 道徳的価値をもつ唯一のもの。それ自体として善な意志(カント) |
| 最高善 | さいこうぜん | 行為の究極的目的としての善。カントは幸福と道徳性の合致と規定 |
| 相対主義 | そうたいしゅぎ | 真理・価値・道徳は文化や個人によって相対的だとする立場 |
| メタ倫理学 | めたりんりがく | 道徳的言語・命題・事実の本性そのものを探究する倫理学の分野 |
| 自然主義的誤謬 | しぜんしゅぎてきごびゅう | 「善は快楽だ」など自然的性質を善と同一視する論理的誤り(G.E.ムア) |
| ケアの倫理 | けあのりんり | 配慮・関係性・文脈を中心に置く倫理学(ギリガン・ノディングズ) |
| パターナリズム | ぱたーなりずむ | 本人の意思に反しても本人の幸福のために介入することを正当化する立場 |
| 利己主義 | りこしゅぎ | 自己の利益を行為の最終的基準とする立場(心理的・倫理的の2種類) |
| 利他主義 | りたしゅぎ | 他者の利益・幸福を優先することを道徳的に求める立場 |
| 生命倫理 | せいめいりんり | 生命・医療・生殖技術にかかわる倫理的問題を扱う応用倫理の分野 |
| 応用倫理学 | おうようりんりがく | 環境・医療・情報技術など具体的な社会問題に倫理学を適用する分野 |
| 規範倫理学 | きはんりんりがく | 何が正しい行為かの規範・基準を探究する倫理学の主要部門 |
| 道徳的実在論 | どうとくてきじつざいろん | 道徳的事実は客観的に存在するという立場(反相対主義) |
| 功績主義 | こうせきしゅぎ | 能力・努力・貢献によって分配が決まるべきとする立場 |
| コントラクタリアニズム | こんとらくたりあにずむ | 道徳を合理的な契約への同意に基礎づける立場(スカンロン) |
| 中庸 | ちゅうよう | 過不足なく適度な状態。アリストテレスが徳をこの状態として定義した |
| 幸福主義 | こうふくしゅぎ | 幸福(エウダイモニア)を最高善とする立場(アリストテレス) |
| ストア派の倫理 | すとあはのりんり | 理性に従い情念に動かされない心の平静(アパテイア)を最善とする |
| 目的論的倫理学 | もくてきろんてきりんりがく | 行為の善悪を結果・目的から判断する倫理学の立場(功利主義を含む) |
論理学・形式論理(20語)
推論の正しさ・妥当性を研究する分野です。哲学的議論の骨格をなします。論理的誤謬(ファラシー)の詳細は論理的誤謬(ファラシー)101選もあわせてご覧ください。
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| 用語 | 読み方 | 意味・説明 |
|---|---|---|
| 演繹法 | えんえきほう | 一般的前提から個別的結論を必然的に導く推論(三段論法など) |
| 帰納法 | きのうほう | 個別的事例を積み重ねて一般的法則を導く推論 |
| 三段論法 | さんだんろんほう | 大前提・小前提・結論からなる演繹的推論の基本形(アリストテレス) |
| アブダクション | あぶだくしょん | 最善の説明への推論(仮説形成的推論)。パースが提唱 |
| トートロジー | とーとろじー | いかなる状況でも真となる恒真式。「AかつAでない」の否定など |
| 矛盾律 | むじゅんりつ | 同一のものが同時に同じ側面でAでありかつAでないことはあり得ない |
| 排中律 | はいちゅうりつ | 命題とその否定の一方が必ず真で、第三の可能性はないという原則 |
| 同一律 | どういつりつ | AはAである。思考の最も基本的な法則 |
| 充足理由律 | じゅうそくりゆうりつ | あらゆるものには十分な根拠がある(ライプニッツが体系化) |
| 様相論理 | ようそうろんり | 必然・可能・不可能を形式的に扱う論理学の拡張 |
| 述語論理 | じゅつごろんり | 命題の内部構造(主語・述語・量化子)を扱う現代論理学 |
| 命題論理 | めいだいろんり | 命題全体を単位として結合子(かつ・または・でない)で扱う論理 |
| 背理法 | はいりほう | 命題を仮定し矛盾を導くことで真偽を証明する方法(帰謬法) |
| 妥当性 | だとうせい | 前提が真なら結論も必然的に真となる演繹的推論の性質 |
| パラドックス | ぱらどっくす | 正しい前提から矛盾した結論が生じる問題。詳しくはパラドックスの種類一覧へ |
| ラッセルのパラドックス | らっせるのぱらどっくす | 「自分自身を含まない集合の集合」が自分を含むか否かで矛盾が生じる |
| ソリテス・パラドックス | そりてすぱらどっくす | 砂山のパラドックス。1粒ずつ取り除いても砂山はいつ砂山でなくなるか |
| 循環論法 | じゅんかんろんほう | 結論を前提に使う誤った論証(ペティティオ・プリンキピイ) |
| アドホック | あどほっく | 反証を避けるために事後的に付け加える説明や修正 |
| ヴェン図 | べんず | 集合の関係を視覚化する論理学の図解法(ジョン・ヴェンが考案) |
美学・芸術哲学(15語)
美・崇高・芸術の本質を哲学的に探究する分野です。
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| 用語 | 読み方 | 意味・説明 |
|---|---|---|
| 美学 | びがく | 美・崇高・芸術の本質を哲学的に探究する分野(バウムガルテンが命名) |
| 崇高 | そうこう | 美とは異なる圧倒的・畏怖的な体験。カントとバークが体系化した概念 |
| カタルシス | かたるしす | 悲劇が観客にもたらす感情の浄化・解放(アリストテレス) |
| ミメーシス | みめーしす | 模倣。芸術を現実の模倣とするプラトン・アリストテレスの概念 |
| アウラ | あうら | 芸術作品が固有にもつ一回性・真正性の輝き(ヴァルター・ベンヤミン) |
| 幽玄 | ゆうげん | 深みがあって奥ゆかしい美しさ。和歌・仏教由来の語を世阿弥が能楽美学の核心概念として体系化した |
| 侘び | わび | 不完全さ・質素さに美を見る日本独自の美意識(茶道と深く結びつく) |
| 寂び | さび | 時の経過による趣・古びた味わいに美を見る日本の美意識 |
| もののあわれ | もののあわれ | 事物の無常に触れたときの哀感と共感の美意識(本居宣長が定式化) |
| 美的距離 | びてききょり | 実用的・感情的関わりを離れた鑑賞の態度(エドワード・ブロー) |
| 芸術の定義問題 | げいじゅつのていぎもんだい | 何が芸術かを正当に定義できるかという分析哲学の問い |
| 表現主義 | ひょうげんしゅぎ | 芸術は内的感情・精神の表現であるとする美学的立場 |
| 形式主義 | けいしきしゅぎ | 芸術の価値は形式的特性にあり、内容・感情とは無関係とする立場 |
| 仮象 | かしょう | 芸術が作り出す美しい見せかけ(schöner Schein)。シラーが美学概念として定式化した |
| 解釈学 | かいしゃくがく | テキスト・芸術・歴史の意味を理解する方法(ガダマー・シュライアーマッハー) |
政治哲学・社会哲学(20語)
国家・権力・正義・社会秩序の根拠を問う分野です。
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| 用語 | 読み方 | 意味・説明 |
|---|---|---|
| 社会契約論 | しゃかいけいやくろん | 国家・社会は人々の契約によって成立するという理論(ロック・ルソー・ホッブズ) |
| 自然状態 | しぜんじょうたい | 社会・国家が存在しない仮想状態。ホッブズは「万人の万人に対する闘争」と描写 |
| 一般意思 | いっぱんいし | 共同体全体の真の利益を目指す意思(ルソー)。特殊意思・全体意思と区別される |
| 自由主義 | じゆうしゅぎ | 個人の自由・権利・自律を政治の中心価値とする立場 |
| リベラリズム | りべらりずむ | 自由・平等・人権を基礎にした現代的な政治思想 |
| 共同体主義 | きょうどうたいしゅぎ | 個人は共同体・文化によって形成されるとするリベラリズム批判(サンデル) |
| 共産主義 | きょうさんしゅぎ | 生産手段の共有・階級のない社会を目指す政治思想(マルクス・エンゲルス) |
| 無政府主義 | むせいふしゅぎ | 国家・権威を否定し自発的な協力による社会を目指す立場(アナーキズム) |
| 原初状態 | げんしょじょうたい | ロールズが正義の原理を導くために想定した仮想の平等な立場 |
| 無知のヴェール | むちのヴェール | 自分の社会的地位を知らない状態での合意からが公正な原理を生む(ロールズ) |
| 承認論 | しょうにんろん | 自己実現には他者からの承認が必要とする立場(ヘーゲル・ホネット) |
| ヘゲモニー | へげもにー | 支配的文化・イデオロギーによる合意形成の権力(グラムシ) |
| 生権力 | せいけんりょく | 人口・生命を管理・最適化する近代の権力形態(フーコー) |
| パノプティコン | ぱのぷてぃこん | 中央の監視塔から全房を見渡せる円形監獄。監視社会の象徴(フーコーが援用) |
| イデオロギー | いでおろぎー | 社会・政治の特定の見方・信念体系。支配階級の利益を隠蔽する機能(マルクス) |
| 正義 | せいぎ | 各人が応じた取り扱いを受けることの原理(プラトン・ロールズが中心的に論じた) |
| 主権 | しゅけん | 国家・政治体の最高権力。ボダン・ホッブズが近代的概念を確立 |
| 公正としての正義 | こうせいとしてのせいぎ | ロールズの正義論。機会均等原理と格差原理からなる二原理体系 |
| 代議制民主主義 | だいぎせいみんしゅしゅぎ | 選挙による代表者を通じた間接民主主義 |
| 功利主義的政治論 | こうりしゅぎてきせいじろん | 最大多数の最大幸福を政治・立法の基準とするベンサム的立場 |
言語哲学・分析哲学(20語)
言語の意味・指示・真理の本性を哲学的に探究する分野です。
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| 用語 | 読み方 | 意味・説明 |
|---|---|---|
| 言語哲学 | げんごてつがく | 言語・意味・指示・真理の本性を哲学的に探究する分野 |
| 言語ゲーム | げんごゲーム | 言語使用は特定の生活形式に埋め込まれたゲームとするウィトゲンシュタインの概念 |
| 意味の使用説 | いみのしようせつ | 言葉の意味はその使われ方・文脈で決まる(後期ウィトゲンシュタイン) |
| 論理実証主義 | ろんりじっしょうしゅぎ | 意味ある命題は経験的検証か論理的真理のみとする立場(ウィーン学団) |
| 記述理論 | きじゅつりろん | 固有名は記述句の略語とするラッセルの意味論 |
| 直接指示論 | ちょくせつしじろん | 固有名は記述でなく直接対象を指示するクリプキの理論 |
| 志向性 | しこうせい | 意識・心的状態が何かについて(対象について)であるという性質(ブレンターノ) |
| 言語行為論 | げんごこういろん | 発話は命題を述べるだけでなく行為を遂行するとする理論(オースティン) |
| 構造主義 | こうぞうしゅぎ | 意味は個別要素でなく要素間の関係(構造)から生まれるとする立場(ソシュール) |
| シニフィアン | しにふぃあん | 記号の音声・形態的側面(能記)。ソシュールの言語学の基礎概念 |
| シニフィエ | しにふぃえ | 記号の概念・意味的側面(所記)。シニフィアンと対をなす |
| 脱構築 | だつこうちく | テキスト内の暗黙の階層や対立を解体する読解実践(デリダ) |
| 差延 | さえん | 意味は常に延期・差異化されるというデリダの核心概念(différance) |
| ポスト構造主義 | ぽすとこうぞうしゅぎ | 構造主義の固定した構造概念を批判・超えようとする潮流(デリダ・フーコー) |
| 解釈学的循環 | かいしゃくがくてきじゅんかん | テキスト全体の理解と部分の理解は互いに前提しあうという現象 |
| 分析哲学 | ぶんせきてつがく | 言語分析・論理的厳密性を重視する20世紀の哲学的潮流(英米圏が中心) |
| 大陸哲学 | たいりくてつがく | 現象学・実存主義・批判理論等、ヨーロッパ大陸の哲学的潮流 |
| 命題的態度 | めいだいてきたいど | 信念・欲求など命題に対する心的状態(「Pと信じる」「Pを望む」など) |
| クオリア | くおりあ | 感覚・経験の主観的・質的側面(赤の赤さ・痛みの痛さ)。心の哲学の核心問題 |
| 確実性 | かくじつせい | ウィトゲンシュタイン後期の主題。疑いの根底にある動かしがたい確信 |
科学哲学(15語)
科学の方法・知識の本性・科学的説明の構造を研究する分野です。
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| 用語 | 読み方 | 意味・説明 |
|---|---|---|
| 科学哲学 | かがくてつがく | 科学の方法・知識の本性・科学的説明の構造を研究する分野 |
| 反証可能性 | はんしょうかのうせい | 科学的理論の条件。原理的に反証できなければ科学とは認めない(ポパー) |
| パラダイム | ぱらだいむ | ある時代の科学者共同体が共有する問題設定・解決の枠組み(クーン) |
| 科学革命 | かがくかくめい | 一つのパラダイムから別のパラダイムへの非連続的な移行(クーン) |
| 通常科学 | つうじょうかがく | 既存のパラダイム内で謎解きを行う日常的な科学活動(クーン) |
| 科学的実在論 | かがくてきじつざいろん | 科学の理論的概念は実在する対象に対応するという立場 |
| 道具主義 | どうぐしゅぎ | 科学理論は真偽でなく有用な道具として評価されるとする立場 |
| 帰納の問題 | きのうのもんだい | 有限の観察から普遍的法則を正当化できないというヒュームの問題 |
| 観察の理論負荷性 | かんさつのりろんふかせい | 観察は理論に依存し、純粋な中立観察はないという主張(ハンソン) |
| 還元主義 | かんげんしゅぎ | 複雑な現象を基礎的な要素に還元して説明しようとする立場 |
| 創発 | そうはつ | 部分の性質からは予測できない全体の性質の出現。反還元主義の核心 |
| 自由意思 | じゆういし | 決定論的世界での意思の自由の有無をめぐる哲学の根本問題 |
| コペルニクス的転回 | こぺるにくすてきてんかい | カントが認識論で行った革命。対象が認識に従うという発想の転換 |
| 理論の過小決定 | りろんのかしょうけってい | 同じ証拠に対して複数の理論が整合しうるという問題(クワイン=デュエム) |
| 経験主義の二つのドグマ | けいけんしゅぎのふたつのどぐま | クワインが批判した分析/総合の区別と意味の検証主義という二前提 |
現代哲学・批評理論(20語)
20世紀以降に展開した実存主義・批判理論・ポスト構造主義などの潮流です。
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| 用語 | 読み方 | 意味・説明 |
|---|---|---|
| 実存主義 | じつぞんしゅぎ | 実存(個人の具体的な在り方)が本質に先立つとする立場(サルトル) |
| 実存は本質に先立つ | じつぞんはほんしつにさきだつ | 人間には先天的な本質はなく自由な選択で自己を形成するというサルトルの命題 |
| 不条理 | ふじょうり | 人間の意味を求める欲求と世界の無意味さの衝突(カミュ)。シーシュポスの神話が象徴 |
| アンガージュマン | あんがーじゅまん | 自由な行為による社会・政治への主体的参与(サルトル) |
| 批判理論 | ひはんりろん | フランクフルト学派の哲学。道具的理性・支配の批判(ホルクハイマー・アドルノ) |
| 啓蒙の弁証法 | けいもうのべんしょうほう | 理性的啓蒙が神話へと転化するアポリアを論じる著作(ホルクハイマー&アドルノ) |
| コミュニカティブ合理性 | こみゅにかてぃぶごうりせい | 相互理解を目指した対話的合理性(ハーバーマスが提唱) |
| ポストモダン | ぽすともだん | 近代の「大きな物語」・普遍的真理への不信を特徴とする思想的状況(リオタール) |
| リゾーム | りぞーむ | 根茎。中心・階層のない水平的ネットワーク的な思考モデル(ドゥルーズ&ガタリ) |
| 他者論 | たしゃろん | 他者の哲学的問題。レヴィナスは「顔」を通じた倫理的出会いを論じた |
| 顔の倫理 | かおのりんり | 他者の顔が命令する「殺すな」という倫理的要求(レヴィナス) |
| 脱中心化 | だつちゅうしんか | 主体・構造の中心が解体されるポスト構造主義の特徴 |
| フェミニスト哲学 | ふぇみにすとてつがく | ジェンダー・権力・主体性を哲学的に問い直す潮流(ボーヴォワール以降) |
| 環境倫理学 | かんきょうりんりがく | 自然・生態系への道徳的配慮を論じる応用倫理の分野 |
| 心身問題 | しんしんもんだい | 意識・精神と物質・脳の関係をめぐる哲学の根本問題 |
| 機能主義 | きのうしゅぎ | 心的状態はその因果的・機能的役割によって定義されるとする立場 |
| 物理主義 | ぶつりしゅぎ | すべては物理的なものであるとする立場(二元論への対立) |
| 他者の心問題 | たしゃのこころもんだい | 他者が意識・心をもつことをどうして知りえるかという哲学的問い |
| 中国語の部屋 | ちゅうごくごのへや | AIは意味を理解していない(構文は意味論でない)ことを示すサールの思考実験 |
| 人工知能の哲学 | じんこうちのうのてつがく | AIに本当の意味での知能・意識が可能かという問題(チューリングテスト含む) |
東洋哲学(25語)
インド哲学(仏教・ヴェーダーンタ)・中国哲学(儒教・老荘)・日本の美意識を含む分野です。
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| 用語 | 読み方 | 意味・説明 |
|---|---|---|
| 仏教哲学 | ぶっきょうてつがく | 苦・無常・無我・縁起などを核とするインド起源の哲学体系 |
| 諸行無常 | しょぎょうむじょう | すべての現象・事物は常に変化し固定した実体がないという仏教の根本命題 |
| 諸法無我 | しょほうむが | すべてのものに固定した自己(我)はないという仏教の教え |
| 縁起 | えんぎ | すべての存在は相互依存の関係(因縁)によって生じているという仏教の概念 |
| 空 | くう | すべての物事には固定した本質(自性)がないという大乗仏教の核心(龍樹) |
| 涅槃 | ねはん | 煩悩・苦から解放された悟りの境地。仏教の究極的な解脱目標 |
| 業 | ごう | カルマ。意図的な行為とその因果的な果報を指す概念 |
| 輪廻 | りんね | 業(カルマ)による生死の繰り返し。涅槃(解脱)によって終わる |
| 梵我一如 | ぼんがいちにょ | 宇宙の根本原理(梵・ブラフマン)と個の自己(我・アートマン)の同一性(インド哲学) |
| 儒教 | じゅきょう | 孔子を祖とする倫理・政治思想。仁・義・礼を中心概念とする |
| 仁 | じん | 人を愛すること。儒教の中心徳目。思いやり・人間性の完成 |
| 礼 | れい | 社会的な規範・儀礼・秩序。儒教において仁を外に現す形式 |
| 知行合一 | ちこうごういつ | 真の知識は実践と一体であるという王陽明の命題(陽明学) |
| 朱子学 | しゅしがく | 朱熹による儒教の理気二元論体系。日本では江戸幕府の官学とされた |
| 陽明学 | ようめいがく | 王陽明による儒教改革。知行合一・良知説を特徴とする |
| 老荘思想 | ろうそうしそう | 老子・荘子を祖とする道家哲学。無為自然・道(タオ)が中心概念 |
| 道(タオ) | どう | 老荘思想の核心。万物の根源・宇宙の秩序原理。言語で定義しきれない |
| 無為自然 | むいしぜん | 人為を加えず自然のままに在ることが最善とする老荘思想の概念 |
| 中道 | ちゅうどう | 苦行と享楽の両極端を離れた釈迦の修行法・実践の指針 |
| 禅 | ぜん | 坐禅・公案・不立文字を特徴とする仏教の宗派。体験的な悟りを重視 |
| 公案 | こうあん | 禅における修行者への問答。「隻手の音声」など論理では解けない問い |
| 易経 | えききょう | 陰陽の変化を64卦で表す中国最古の哲学書の一つ |
| 陰陽 | いんよう | 対立する二つの力(暗/明・女/男・静/動)による宇宙の根本原理 |
| 修身 | しゅうしん | 自己の道徳的修養。大学の八条目の出発点とされる(儒教) |
| 一期一会 | いちごいちえ | 一生に一度限りの出会いという茶道の精神。禅の無常観と連なる |
哲学を深める3つの視点
西洋哲学史の流れ
哲学の用語は時代背景と切り離せません。古代ギリシャ(ソクラテス・プラトン・アリストテレス)が「存在論・倫理学・目的論」を確立し、中世(アウグスティヌス・アクィナス)がキリスト教神学と統合しました。近世デカルトが「二元論・コギト」で認識論を刷新し、カントが「物自体・先天的総合判断」で統合。19〜20世紀にはヘーゲルの弁証法、ニーチェのニヒリズム批判、フッサールの現象学、サルトルの実存主義へと展開しました。用語の「どの時代・誰の文脈か」を意識するだけで理解の深さが変わります。
認知バイアスとの関係
哲学の認識論は現代の認知科学・心理学とも密接に結びついています。「懐疑論」「直観」「経験論」は心理学の法則・効果208種まとめで紹介している確証バイアスや利用可能性ヒューリスティックの哲学的背景でもあります。「なぜ人は自分の認識を疑わないのか」という問いは哲学と心理学が交差する地点です。
東洋哲学と西洋哲学の対比
西洋哲学が「実体・本質・普遍」を問い続けてきた一方、東洋哲学(特に仏教・老荘)は「無常・空・無為」を出発点にします。固定した本質の存在を前提とする西洋 vs. 固定した本質の存在を否定する東洋——という対比は、現代哲学のポスト構造主義(脱中心化・差延)とも奇妙な共鳴を示します。どちらが正しいというより、問い方の違いを楽しむことが哲学の醍醐味です。
まとめ
哲学の用語205語を存在論・認識論・倫理学・論理学・美学・政治哲学・言語哲学・科学哲学・現代哲学・東洋哲学の10分野に分類してまとめました。哲学の用語は分野をまたがって使われることも多く、一つの用語を軸に芋づる式に語彙が広がります。まずは興味ある分野の用語から手を伸ばしてみてください。