雨の種類・呼び名 400選|季節・降り方の日本語表現まとめ
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雨を表す日本語の表現は、400種類以上あるといわれています。「篠突く雨」「霧雨」など降り方による表現、「五月雨」「秋霖」など季節を映した呼び名、さらには七夕の伝説に由来する「洗車雨」「酒涙雨」まで、多種多様な言葉が生まれました。稲作が盛んだった日本ならではの、繊細で情緒あふれる雨の表現を、降り方・季節別に一覧でご紹介します。

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降り方による雨の種類

日本語では、雨の強さや降るタイミングによって細かく呼び名が分かれています。同じ「雨」でも、篠のように激しいものから霧のように繊細なもの、突然やってくるものまで、実に多様な表現があります。

強い雨

・大雨(おおあめ)
大量に降る雨。気象庁の大雨注意報の基準を超える雨を指し、1時間に50mm以上の降水量が目安とされています。

・強雨(きょうう)
大量に降る強い雨。

・豪雨(ごうう)
大量に降る激しい雨。一般的に「大雨」より強い状態を指します。

・ゲリラ豪雨(げりらごうう)
限られた場所に短時間集中的に降る、急激な強い雨。都市型水害の原因となることが多く、近年増加傾向にあります。

・ゲリラ雷雨(げりららいう)
雷を伴ったゲリラ豪雨。

・集中豪雨(しゅうちゅうごうう)
限られた場所に集中的に降る激しい雨。警報基準を超えるような局地的な大雨。

・スコール
短時間に猛烈に降る雨。熱帯地方で雨を伴ってくる突発的な強風による。東南アジアや赤道付近の地域では日課のように発生します。

・鉄砲雨(てっぽうあめ)
大粒の、鉄砲のような強烈な雨。

・篠突く雨(しのつくあめ)
細い竹や篠で突くような、激しく降る雨。古来より激しい雨の表現として広く使われてきた慣用句です。

・飛雨(ひう)
風が混じった激しい雨。

弱い雨

・小雨(こさめ)
それほど長くない時間降って止む弱い雨。総降水量1mm未満。

・疎雨(そう)
まばらに、ポツポツと降る雨。

・霧雨(きりさめ)
霧のように細かい雨。雨粒の大きさが0.5mm未満で、傘がなくても比較的濡れにくい特徴があります。

・細雨(さいう)
あまり強くなく、しとしと降り続く雨。

・微雨(びう)
急に降り出すがすぐ止む、それほど強くない、濡れてもすぐに乾く程度の雨。

・小糠雨(こぬかあめ)
音を立てず静かに降る、糠のようなとても細かい雨。「糠雨」とも呼ばれます。

・涙雨(なみだあめ)
涙のように、ほんの少しだけ降る雨。

・天気雨(てんきあめ)
晴れているのに降る雨。

・天泣(てんきゅう)
空に雲がないのに降ってくる、細かい雨。「天気雨」と同義。

・狐の嫁入り(きつねのよめいり)
太陽が出ているのに降る雨。「天気雨」の別表現で、狐が嫁入りの行列を引いているという言い伝えに由来します。

いきなり降る雨

・通り雨(とおりあめ)
さっと降りだし、すぐに止む雨。

・俄雨(にわかあめ)
急に降り出して、しばらくすると止んでしまう雨。

・驟雨(しゅうう)
急にざっと降りだし、すぐに止む雨。「俄雨」と同義。

・叢雨(むらさめ)
降り方が激しくなったり、ゆるくなったりする雨。「村雨」「群雨」とも書く。「俄雨」と同義。

・鬼雨(きう)
鬼の仕業ともいえるような、急で激しい雨。「ゲリラ豪雨」の和名です。

・肘笠雨(ひじかさあめ)
急に降り出す雨。笠をかぶる暇もなく、肘で頭を覆う様子が由来の情緒ある表現です。

降り続く雨

・長雨(ながあめ)
数日以上降り続く、まとまった雨。

・陰雨(いんう)
しとしとと降り続く陰気な雨。「淫雨」とも書く。

・地雨(じあめ)
強さが一定の長く降り続く雨。

・連雨(れんう)
連日降り続く雨。

・霖雨(りんう)
連日降り続く雨。

・積雨(せきう)
積もっていくように、長く降り続く雨。

・宿雨(しゅくう)
前夜から降り続く雨。

・漫ろ雨(そぞろあめ)
それほど強くはないが、降り続く雨。

恵みの雨

農業が盛んだった日本では、干ばつを救う雨に特別な名前を付けて喜んできました。稲作が収穫を左右する農耕社会ならではの、雨への深い感謝が言葉に表れています。

・翠雨(すいう)
青葉に降り注ぐ恵みの雨。「翠」は深緑を意味し、新緑の季節の雨を詩的に表した言葉です。

・喜雨(きう)
日照り続きの後に降る喜びの雨。「雨喜び(あまよろこび)」とも呼ばれます。

・慈雨(じう)
干ばつを救い、草木を潤す恵みの雨。「喜雨」と同義。

・甘雨(かんう)
草木を潤す、しとしととした雨。「慈雨」と同義。

・穀雨(こくう)
穀物の成長を促す雨。二十四節気のひとつ「穀雨」(4月20日頃)もこの言葉に由来します。

・瑞雨(ずいう)
穀物を潤す喜びの雨。「穀雨」と同義。

色で表す雨

・緑雨(りょくう)
青々とした新緑の草木に降る雨。

・青雨(せいう)
青々とした新緑に降り注ぐ雨。「緑雨」と同義。

・紅雨(こうう)
春に咲いた花々に降り注ぐ雨。桜や梅など、紅い花を背景にした雨景色を表します。

・白雨(はくう)
夏、明るい空から降る俄雨。空が白く見えるほどの激しい雨を指すこともあります。

・黒雨(こくう)
空を真っ暗にするような大雨。

面白い雨

・私雨(わたくしあめ)
局地的な限られた地域にだけ降る雨。箱根や鈴鹿、比叡などが有名なスポットです。

・外持雨(ほまちあめ)
限られた場所、人にだけを潤す俄雨。帆待雨とも書き、船頭が船主と内密に契約外の輸送をして不正に収入を得ることや、定収入以外の臨時収入を指す言葉としても使われます。

・虎が雨(とらがあめ)
陰暦5月28日に降る雨。曽我十郎の忌日とされ、恋人の虎御前の涙が雨となって降るといわれています。

・洗車雨(せんしゃう)
陰暦7月6日、七夕の前日に降る雨。彦星が織姫に会う際に使用される牛車を洗う水といわれています。

・酒涙雨(さいるう)
七夕に降る雨。雨によって会えなくなった彦星と織姫が流す涙といわれています。

・怪雨(かいう)
色がついていたり、異物を含む雨。つむじ風に巻き上げられた魚やカエル、木の実、火山灰などが降ったという観測事例もあります。

・血雨(けつう)
土壌由来の成分を含んだ、赤い色の雨。サハラ砂漠の砂が偏西風に運ばれ、雨水に混じって降ることがあります(諸説あり)。

・作り雨(つくりあめ)
打ち水のこと。人工的に作り出した「雨」という意味です。

・樹雨(きさめ)
濃霧の森林を歩いているときに、葉から滴り落ちてくる雨。霧が葉に付着して水滴となる現象で、植物が霧を「捕まえる」と表現されることもあります。

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季節による雨

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「春」の雨

・春雨(はるさめ)
春のしとしとと降る雨。「花散らしの雨」とも呼ばれます。2月末から3月にかけて降ることが多い。

・春時雨(はるしぐれ)
春に降る時雨のこと。「花時雨」とも呼ばれます。

・菜種梅雨(なたねつゆ)
3月から4月の菜の花が咲くころの長雨。本格的な梅雨の前触れともいわれます。

・発火雨(はっかう)
二十四節気の「清明」の頃、しとしとと静かに降る雨。「桃花の雨」「杏花雨(きょうかう)」とも呼ばれます。

・春霖(しゅんりん)
3月から4月にかけてぐずつく雨。「春の長雨」とも呼ばれます。

・軽雨(けいう)
春に少しだけ降る雨。

・雪解雨(ゆきげあめ)
冬に積もった雪を解かすように降る雨。

・催花雨(さいかう)
花の育成を促す雨。「養花雨(ようかう)」「育花雨(いくかう)」とも呼ばれます。

「梅雨」の雨

・卯の花腐し(うのはなくたし)
旧暦の卯月に降る長雨。この時の雲を「卯の花雲」といいます。

・麦雨(ばくう)
麦が熟する頃(梅雨の時期)に降る雨。

・入梅(にゅうばい)
梅雨に入ること。梅の実が熟す頃に降る雨が由来。

・栗花落(ついり)
梅雨に入ること。栗の花が散る頃に降る雨が由来。「堕栗花」とも書きます。

・五月雨(さみだれ)
旧暦五月に降る長雨。梅雨のこと。松尾芭蕉の俳句「五月雨をあつめて早し最上川」で有名な表現です。

・走り梅雨(はしりつゆ)
5月中旬から下旬にかけて降り続く、梅雨入り前の雨。

・暴れ梅雨(あばれつゆ)
梅雨の時期の終盤に降る、強烈な雨。

・送り梅雨(おくりつゆ)
梅雨明けを知らせる、雷を伴った雨。

・返り梅雨(かえりつゆ)
梅雨明け後に、再び雨が降り続くこと。「戻り梅雨」「残り梅雨」とも呼ばれます。

・旱梅雨(ひでりつゆ)
雨があまり降らない梅雨。「空梅雨(からつゆ)」「枯れ梅雨」とも呼ばれます。

・男梅雨(おとこつゆ)
雨が降るときは激しく降り、止むときはすっきり晴れる梅雨。

・女梅雨(おんなつゆ)
しとしととした、雨脚の弱い梅雨。

「夏」の雨

・夕立(ゆうだち)
夏の夕方に降る、短時間で降る雷を伴った雨。積乱雲の発達によって生じ、気温を一気に下げる効果があります。

・神立(かんだち)
神様が何かを伝えようとしている「雷」を指すことから、夕立や雷雨を意味します。

・半夏雨(はんげあめ)
夏至から11日目の半夏生(はんげしょう)の日に降る雨。

・御山洗(おやまあらい)
富士山閉山の旧暦7月26日に降る雨。登山者によって汚れた富士山を清めるといわれています。

・電雨(でんう)
夏に稲妻とともに降る俄雨。

・土用雨(どようあめ)
夏の土用の頃(7月下旬〜8月上旬)に降る大雨。

「秋」の雨

・秋雨(あきさめ・しゅうう)
秋に降る冷たい雨。夏から秋にかけての移行期に現れる秋雨前線によるもので、気温の急激な低下を感じさせます。

・冷雨(れいう)
晩秋に降る、しとしととした冷たい雨。

・白驟雨(はくしゅうう)
秋に降る、雨粒の大きい激しい雨。

・秋微雨(あきついり)
秋に降る長雨。「秋入梅」とも書きます。

・秋時雨(あきしぐれ)
晩秋に降る、降ったりやんだりする雨。

・伊勢清めの雨(いせきよめのあめ)
宮中行事である神嘗祭が執り行われる陰暦9月17日の翌日に、祭祀の後を清めるとされる雨。

・秋湿り(あきしめり)
秋の長雨。

・秋霖(しゅうりん)
秋の長雨。

「冬」の雨

・時雨(しぐれ)
あまり強くないが、降ったりやんだりする雨。傘を差す間もなくすぐに晴れるような通り雨。主に秋から冬のものをいいます。

・村時雨(むらしぐれ)
ひとしきり強く降り、すぐに通り過ぎる雨。

・片時雨(かたしぐれ)
ひとところに降る村時雨。

・横時雨(よこしぐれ)
横殴りに降る村時雨。

・朝時雨(あさしぐれ)
朝方に降る時雨。

・冬時雨(ふゆしぐれ)
晩秋から初冬にかけて降る時雨。

・月時雨(つきしぐれ)
月明かりのちらつく時雨。

・北山時雨(きたやましぐれ)
京都北山に降る雨の風物詩。

・山茶花時雨(さざんかしぐれ)
山茶花の紅い花が咲く頃に降る時雨。

・解霜雨(かいそうう)
冬の寒いときに、作物についた霜を溶かすように降る雨。

・氷雨(ひさめ)
霙(みぞれ)や雪に変わる前の、非常に冷たい雨。

・凍雨(とうう)
凍るような冷たい雨。

・寒九の雨(かんくのあめ)
寒の入りから9日目に降る雨。農業では「寒九の雨は豊年の兆し」とも伝えられています。

・寒の雨(かんのあめ)
小寒・大寒の時季に降る雨。

・鬼洗い(おにあらい)
大晦日に降る雨。追儺(ついな)と呼ばれる宮中行事に由来するともいわれています。

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まとめ

本記事では、日本語の雨の種類・呼び名を降り方・季節別に一覧でご紹介しました。

日本に雨の表現が400種類以上も存在するのは、稲作を中心とした農業文化と深く関係しています。雨の多寡が収穫を左右する農耕社会では、雨の状態を細かく観察し、正確に表現する必要がありました。その積み重ねが、世界でも類を見ない豊かな「雨の語彙」を生み出したのです。

「酒涙雨」「洗車雨」のような七夕の物語に由来する表現や、「怪雨」のような不思議な現象を指す言葉など、日本語の雨の表現には文化や歴史も凝縮されています。気象の視点だけでなく、日本語の豊かさという観点からも楽しんでいただけたら幸いです。

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