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「孫子」は、今からおよそ2500年前、中国春秋戦国時代に、呉の国王闔盧(こうろ)に仕えた兵法家・孫武が著したとされる、
全13篇、約6000字からなる、最古にして最強の兵法書です。
「孫子の兵法」はビジネスだけでなく、私生活での知恵、人間関係、恋愛、就活、スポーツ、ゲームなど、様々なものに応用されます。
ここでは、全13篇の原文・訳文・解説をまとめました。
*訳文は「訳文を見る」を押すと表示されます。
この記事の目次
孫子の兵法による、戦略の指南
九変篇
・原文
「智者の慮(おもんぱかり)は、必ず利害を雑(まじ)う。利に雑うれば、而(すなわ)ち務(つとめ)は信(まこと)なる可(べ)し。害に雑うれば、而ち患(うれ)いは解く可し。」
・一言解説
「物事は一方向からだけで見ない」
・原文
「用兵の法は、その来らざるを恃(たの)むこと無く吾(わ)が以(もっ)て待つことあるを恃むなり。」
・一言解説
「備えあれば憂いなし」
行軍篇
・原文
「鳥の起つ者は、伏(ふく)なり。獣の駭(おどろ)く者は、覆(ふう)なり。塵高くして鋭き者は、車(しゃ)の来(きた)るなり。」
・一言解説
「ちょっとした変化を見逃さず、その先を読む」
謀攻篇
・原文
「用兵の法は、十なれば則(すなわ)ち之(これ)を囲む。五なれば則ち之を攻む。倍(ばい)すれば則ち之を分かつ。敵すれば則ち能(よ)く之と戦う。少なければ則ち能く之を逃(のが)る。若(し)からざれば則ち能く之を避(さ)く。故に小敵の堅なるは大敵の擒(とりこ)なり。」
・一言解説
「ビジネスには撤退する勇気も必要」
・原文
「上兵は謀(はかりごと)を伐つ。其の次は交(まじわり)を伐つ。其の次は兵を伐つ。其の下は城を攻(せ)む。」
・一言解説
「戦う前に相手を封じ込める方法を考える」
・原文
「彼を知り己を知らば、百戦殆(あや)うからず。彼を知らずして己を知らば、一勝一敗(いっしょういっぷ)す。彼を知らず己を知らざれば、戦う毎(ごと)に必ず殆うし。」
・一言解説
「相手との力関係を冷静に見極める」
・原文
「百戦百勝は、善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。」
・一言解説
「戦わずして勝つことができればベスト」
虚実篇
・原文
「我は専(あつ)まりて一と為(な)り、敵は分かれて十と為れば、十を以て其(そ)の一を攻むる為り。」
・一言解説
「敵が大きくても、分散させれば勝てる」
・原文
「兵の形は水を象(かたど)る。水の行(こう)は高きを避けて下(ひく)きに走る。兵の勝(かち)は実(じつ)を避けて虚(きょ)を撃つ。」
・一言解説
「水のように柔軟に戦い方を変える」
・原文
「千里の道を行きて労(ろう)せざる者は、無人の地を行けばなり。攻めて必ず取る者は、其(そ)の守らざる所を攻むればなり。」
・一言解説
「敵のいないところを狙う」
・原文
「戦いの地を知り、戦いの日を知らば、千里なるも戦うべし」
・一言解説
「ビジネスをデザインし、主体的な計画で動く」
九地篇
・原文
「古(いにしえ)の善(よ)く兵を用うる者は、能(よ)く敵人をして前後相い及ばず、衆寡(しゅうか)相い恃(たの)まず、貴賤(きせん)相い救わず、上下相い扶(たす)けざらしむ。」
・一言解説
「内なる敵に備える」
・原文
「呉人(ごびと)と越人(えつびと)の相い悪(にく)むも、其の舟を同じうして済(わた)り、風に遇(あ)うに当たりては、其の相い救うこと左右の手の如し。」
・一言解説
「共通の仮想敵がいれば、ライバルとも手を組める」
・原文
「之(これ)を往(ゆ)く所無きに投ずれば、諸(しょ)・劌(かい)の勇(ゆう)なり。」
・一言解説
「やるしかない状況になれば、人は勇者になる」
・原文
「始めは処女の如くにして、敵人、戸(こ)を開くや、後(のち)は脱兎(だっと)の如くす。敵、拒(ふせ)ぐに及ばず。」
・一言解説
「謙虚に振る舞い、余計な敵を作らない」
作戦篇
・原文
「智将は務(つと)めて敵に食(は)む。」
・一言解説
「ライバルの力を、自分の力にしてしまう」
・原文
「敵を殺す者は怒(ど)なり。敵の貨を取る者は利なり。」
・一言解説
「倒すのではなく、利用する」
・原文
「兵は拙速(せっそく)を聞くも、未(いま)だ巧久なるを賭(み)ざるなり」
・一言解説
「スピードが速ければ、失敗した後のやり直しも速い」
軍形篇
・原文
「昔(いにしえ)の善く戦う者は、先(ま)ず勝つ可(べ)からざるを為(な)して、以(もっ)て敵の勝つ可きを待つ。勝つ可からざるは己に在り、勝つ可きは敵に在り。」
・一言解説
「勝てるかどうかは敵次第だが、負ける理由は自分にある」
・原文
「勝兵は先(ま)ず勝ちて而(しか)る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝を求む。」
・一言解説
「勝算を得てから戦いを始めよ」
・原文
「勝者の民(たみ)を戦わしむるや、積水を千仭(せんじん)の谿(たに)に決するが若(ごと)き者は、形なり。」
・一言解説
「ビジネスに勢いをつけるには、まずダムを作る」
用間篇
・原文
「盟主・賢将の動きて人に勝ち、成功の衆に出づる所以(ゆえん)の者は先知(せんち)なり。」
・一言解説
「先に知り、先に考え、先に手を打つ」
・原文
「軍の撃たんと欲する所、城の攻めんと欲する所、人の殺さんと欲する所は、必ず先ず、其の守将・左右・謁者(えっしゃ)・門者・舎人(しゃじん)の姓名を知り、吾(わ)が間(かん)をして必ず索(もと)めて之(これ)を知らしむ。」
・一言解説
「どうしても勝ちたければ、事前に情報を集める」
計篇
・原文
「兵とは詭道(きどう)なり。故に、能(のう)なるも之(これ)に不能を示し、用いて之に用いざるを示す。近くとも之に遠きを示し、遠くとも之に近きを示し、利して之を誘い、乱して之を取る。」
・一言解説
「サプライズを与え、良い意味で相手を裏切る」
・原文
「孫子曰(いわ)く、兵は国の大事なり。死生の地、存亡の道、察せざる可(べ)からざるなり。」
・一言解説
「経営次第で、人生は左右され、会社もつぶれる」
・原文
「未(いま)だ戦わずして廟算(びょうさん)するに、勝つ者は算を得ること多きなり。未だ戦わずして廟算するに、勝たざる者は算を得ること少なきなり。算多きは勝ち、算少なきは勝たず。況(いわ)んや算無きに於(お)いてをや。」
・一言解説
「勝つイメージが出来ないなら戦わない」
地形篇
・原文
「卒(そつ)を視ること嬰児(えいじ)の如し。故に之(これ)と深谿(しんけい)にも赴く可し。卒を視ること愛子(あいし)の如し。故に之と倶(とも)に死す可し。」
・一言解説
「人は、自分を認めてくれる人のために尽くす」
火攻篇
・原文
「主(しゅ)は怒りを以(もっ)て師を興す可(べ)からず。将は慍(いきどお)り以て戦いを致す可からず。」
・一言解説
「感情に任せて軽はずみな言動をしない」
軍争篇
・原文
「其(そ)の疾(はや)きこと風の如く、其の徐(しずか)なること林の如く、侵掠(しんりゃく)すること火の如く、動かざること山の如く、知り難きこと陰の如く、動くこと雷震の如し。」
・一言解説
「スピード対応、傾聴、火のように熱い提案、揺るがない信念」
・原文
「軍政に曰(いわ)く、言うも相い聞こえず、故に金鼓(きんこ)を為(つく)る。視(しめ)すも相い見えず、故に旌旗(せいき)を為る。是の故に昼戦に旌旗多く、夜戦に金鼓多し。夫(そ)れ、金鼓・旌旗は人の耳目(じもく)を一(いつ)にする所以(ゆえん)なり。人既に専一(せんいつ)なれば、則(すなわ)ち勇者独り進むことを得ず。怯者(きょうしゃ)も独り退くことを得ず。此(こ)れ衆(しゅう)を用うるの法なり。」
・一言解説
「全員が心を一つにして動くには、目指すビジョンが必要」
勢篇
・原文
「激水の疾(はや)くして、石を漂わすに至る者は、勢(せい)なり。鷙鳥(しちょう)の撃ちて毀折(きせつ)に至る者は、節なり。是(こ)の故に善く戦う者は、其の勢は険にして、その節は短なり。勢は弩(ど)を張るが如く、節は機を発するが如し。」
・一言解説
「持てる力を最大限発揮するには、勢いとタイミングが重要」
まとめ
全体的な特徴としては、無駄な争いはなるべく避けるようにしたり、長期化させて国力を下げることを避けたりと、
非好戦的 な面が挙げられますね。
そして、基本的には負けない戦いをすることが勝利に繋がると、孫子の兵法では説いています。
また、孫子の兵法は現代ビジネスに役立つことが非常に多いです。
「戦わずに勝つ」という考え方、相手を取り込む、主導権を握る、臨機応変な対応、など。
2008年に中国の胡錦濤(こきんとう)国家主席が米国に訪問した際に、ジョージ・W・ブッシュ大統領に英訳された「孫子」を贈ったともいわれています。
一国のリーダーとして読むべき本でもあることがわかります。
そんな世界中で愛読され続ける「孫子の兵法」、ぜひ一度、読んで見てはいかがでしょうか。
よろず屋マメ知識
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