
地球は約46億年前に誕生し、その歴史は「地質時代」という時間単位で区分されています。カンブリア紀・ジュラ紀・白亜紀…学校で耳にしたあの名前は、地質時代のほんの一部です。実は冥王代・始生代・原生代・古生代・中生代・新生代という大きな区分があり、さらに細かく12の「紀」と複数の「世」に分かれています。この記事では、冥王代(地球誕生)から現在(ホロセン・メガラヤン期)まで、全地質時代区分を一覧表で網羅し、各時代の代表生物と主なできごとをまとめました。46億年の地球史をこの1ページで把握できます。
地質時代の全区分一覧
地質時代は大きく先カンブリア時代(冥王代・始生代・原生代)と顕生代(古生代・中生代・新生代)に分かれます。顕生代は化石が豊富なため研究が進んでおり、さらに12の「紀」へと細分されています。なお「顕生代」とは「目に見える生物が栄えた時代」を意味し、カンブリア爆発以降を指します。
先カンブリア時代(約46億〜5億4000万年前)
地球の歴史のうち実に約88%を占める長大な時間帯です。化石がほとんど残らないため長らく研究が困難でしたが、近年は微生物化石や岩石の同位体分析が進み、驚くべき出来事が次々と明らかになっています。
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| 累代/代 | 開始(億年前) | 主なできごと | 代表生物・環境 |
|---|---|---|---|
| 冥王代 Hadean | 約45.4 | 地球誕生・ジャイアントインパクト説で月形成・マグマオーシャン・原始海洋形成 | 無生物(生命なし) |
| 始生代 Archean | 約40 | 最古の岩石(約40億年前)・最初の生命(原核生物)出現・大陸核の形成開始 | シアノバクテリア(藍藻)・ストロマトライト |
| 原生代 Proterozoic | 約25 | 大酸化イベント(GOE・約24億年前)・スノーボールアース(約7〜6億年前)・真核生物・多細胞生物の出現 | エディアカラ生物群・大型藻類 |
大酸化イベント(GOE:Great Oxidation Event)とは、シアノバクテリアの光合成活動が大気中の酸素濃度を急上昇させた出来事です。当時の多くの嫌気性生物にとって「酸素という毒素」が充満した大激変で、地球史最初の大量絶滅とも呼ばれます。
エディアカラ生物群は、骨格も外骨格も持たない軟体性の多細胞生物群で、カンブリア爆発の直前(約6〜5億年前)に出現しました。世界各地の岩石に印象化石として残されており、チャーニオディスクス(クラゲ状)・スプリギナ(虫状)などが知られています。
古生代(約5億4000万〜2億5200万年前)
化石が豊富に残り始め、生命史の「ドラマが始まる」時代です。カンブリア紀に多くの動物門が一斉出現した「カンブリア爆発」から始まり、脊椎動物の誕生・陸上進出、巨大森林の形成、そして史上最大の大量絶滅(P-T境界)で幕を閉じます。
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| 紀 | 開始(億年前) | 主なできごと | 代表生物 |
|---|---|---|---|
| カンブリア紀 Cambrian | 約5.4 | カンブリア爆発・外骨格を持つ動物が一斉出現・最初の脊椎動物(ピカイア)・バージェス頁岩 | アノマロカリス・三葉虫・ハルキゲニア・オパビニア |
| オルドビス紀 Ordovician | 約4.85 | 海洋無脊椎動物の多様化・最初の陸上植物(コケ類)・末期に第1回大量絶滅(氷河期起因) | 三葉虫(全盛期)・頭足類・筆石・ウミサソリ |
| シルル紀 Silurian | 約4.44 | 顎を持つ魚類の多様化・維管束植物の本格的な陸上進出・サンゴ礁の発展 | ウミサソリ(最大2.5m超)・顎魚類・クックソニア(最古の維管束植物) |
| デボン紀 Devonian | 約4.19 | 「魚類の時代」・ダンクルオステウスなど装甲魚類全盛・最初のテトラポッド(四肢動物)陸上進出・森林形成 | ダンクルオステウス・ティクタアリク・エウステノプテロン |
| 石炭紀 Carboniferous | 約3.59 | 巨大シダ森林が堆積し石炭層を形成・大気酸素濃度約35%・巨大節足動物が出現・爬虫類の誕生 | メガネウラ(翼開長70cm超)・アースロプレウラ(体長2m超)・両生類 |
| ペルム紀 Permian | 約2.99 | パンゲア超大陸の形成・単弓類(哺乳類型爬虫類)の繁栄・末期にP-T境界(種の約96%が絶滅) | ディメトロドン・グロソプテリス・三葉虫(末期に絶滅) |
三葉虫(さんようちゅう)は古生代を代表する示準化石で、カンブリア紀から繁栄しペルム紀末のP-T境界で完全に絶滅しました。約2億9000万年もの間、海底を支配したグループです。
中生代(約2億5200万〜6600万年前)
「恐竜の時代」として広く知られますが、哺乳類・鳥類・花を咲かせる植物(被子植物)が誕生した変革期でもあります。ジュラ紀に恐竜が最大勢力を誇り、白亜紀末の小天体衝突(K-Pg境界)で幕を閉じます。
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| 紀 | 開始(億年前) | 主なできごと | 代表生物 |
|---|---|---|---|
| 三畳紀 Triassic | 約2.52 | P-T後の回復期・恐竜と哺乳類の祖先が相次いで出現・海棲爬虫類(魚竜・首長竜)の台頭 | コエロフィシス・プラケリア・イクチオサウルス・スカフォニクス |
| ジュラ紀 Jurassic | 約2.01 | 恐竜が最大勢力・巨大竜脚類の全盛・始祖鳥出現・大陸の分裂加速 | ブラキオサウルス・ステゴサウルス・始祖鳥(アルキオプテリクス)・アンキロサウルス先駆種 |
| 白亜紀 Cretaceous | 約1.45 | 被子植物(花植物)が爆発的多様化・恐竜の種数が最多・末期に小天体衝突(K-Pg境界・約6600万年前) | ティラノサウルス・トリケラトプス・モササウルス・アンモナイト(末期絶滅) |
アンモナイトは中生代の示準化石として有名で、白亜紀末に非鳥類型恐竜と同じタイミングで絶滅しました。その精巧な螺旋構造は現代でも多くの研究者を魅了し続けています。
新生代(約6600万年前〜現在)
非鳥類型恐竜が絶滅した後の生態的空白を埋めるように、哺乳類が爆発的に多様化した時代です。人類の祖先が出現し、幾度もの氷河期を経て現代の生態系へと続きます。
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| 紀・世 | 開始 | 主なできごと | 代表生物 |
|---|---|---|---|
| 古第三紀 Paleogene | 約6600万年前 | 哺乳類の急速な多様化と大型化・熱帯雨林の拡大・鳥類の多様化 | パラケラテリウム(史上最大の陸上哺乳類)・ジャイアントペンギン |
| 新第三紀 Neogene | 約2340万年前 | 草原の拡大・類人猿と人類の祖先(猿人)の出現・大型草食哺乳類の繁栄 | アウストラロピテクス・マストドン・メガロドン(体長15〜18m超とも推定されるサメ・諸説あり) |
| 第四紀 更新世 Pleistocene | 約258万年前 | 氷期・間氷期の繰り返し(計20回超)・現生人類(ホモ・サピエンス)の出現・巨大哺乳類の絶滅ラッシュ | マンモス・ケナガサイ・スミロドン(サーベルタイガー) |
| 第四紀 完新世 Holocene | 約1万1700年前 | 気候温暖化・農耕と文明の始まり・現代の生態系確立・産業革命以降の急激な人為的変化 | 現代の人類・現生動植物・農作物・家畜 |
完新世(ホロセン)の細区分(2018年にIUGSが正式認定)
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| 世 | 期 | 開始 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 完新世 | グリーンランディアン期 | 約1万1700年前 | 急激な気候温暖化・農耕の萌芽 |
| 完新世 | ノースグリッピアン期 | 約8200年前 | 温暖安定期・メソポタミア文明・エジプト文明 |
| 完新世 | メガラヤン期 | 約4200年前〜現在 | 寒冷乾燥化イベント・インダス/中国文明との相関。インドのメガラヤ洞窟の鍾乳石で確認 |
地球史の豆知識
地球史の5大転換点
地質時代の境界には、地球規模の大事件が潜んでいます。地球史を理解する上で特に重要な5つの転換点を押さえておきましょう。
① カンブリア爆発(約5億4000万年前)
数千万年という地質学的に見て「一瞬」の間に、多細胞動物の主要なボディプランがほぼ出そろいました。目・触手・脚・殻など、現代の動物が持つほぼすべての基本構造がこの時期に出現しています。なぜこれほど急速に多様化したのかは現在も議論が続いています。
② 大酸化イベント(約24億年前)
シアノバクテリアの光合成活動が大気中の酸素濃度を急上昇させた「酸素の大革命」。嫌気性生物の多くが絶滅しましたが、以後は好気性生物(酸素を使う生物)が地球の主役になり、効率的なエネルギー代謝が可能になりました。これがなければ複雑な動物の出現もありませんでした。
③ スノーボールアース(約7〜6億年前)
赤道付近まで凍りついた「全球凍結」が少なくとも2〜3回起きたとされます。凍結が解けた後に大量の栄養塩が海洋に供給され、多細胞生物の多様化が加速。エディアカラ生物群の出現とも関係があると考えられています。
④ P-T境界(ペルム紀末・約2億5200万年前)
史上最大の大量絶滅です。シベリアでの超大規模火山噴火を主因とする複合的な環境崩壊により、海洋生物の約96%・全生物種の約90〜96%が絶滅したとされます(諸説あり)。絶滅した動物の詳細はこちら
⑤ K-Pg境界(白亜紀末・約6600万年前)
直径約10kmの小天体がメキシコ・ユカタン半島沖に衝突し、衝突の衝撃と「衝突の冬」(粉塵による太陽光遮断)で植物が枯れ、食物連鎖が崩壊。非鳥類型恐竜を含む多くの生物が絶滅しましたが、哺乳類の多様化への道が開かれた出来事でもあります。地球の歴史と宇宙の関係については宇宙の雑学まとめもどうぞ。
語呂合わせで覚える地質時代の「紀」
古生代(6紀):缶のお汁で咳込む
- カン(カンブリア紀)の お(オルドビス紀)汁(シルル紀)で(デボン紀)咳(石炭紀)込む(ペルム紀)
中生代(3紀):三十代は白髪
- 三(三畳紀)十(ジュラ紀)代は 白(白亜紀)髪
新生代(3紀):古新第四
- 古(古第三紀)新(新第三紀)第四(第四紀)
全部まとめると「カオシデセペ(古生代)→ 三ジュ白(中生代)→ 古第三・新第三・第四(新生代)」の順序になります。
まとめ
地球46億年の歴史は、冥王代の無生物状態から始まり、始生代に生命が誕生。原生代の大酸化イベント・スノーボールアースを経て、カンブリア爆発で生命が爆発的多様化を遂げました。古生代に三葉虫・脊椎動物・森林が栄え、P-T境界で一度リセット。中生代に恐竜が支配し、K-Pg境界の衝突後に哺乳類と人類が台頭して現在のメガラヤン期(完新世)に至ります。地質時代の区分は単なる年表ではなく、生命と地球環境が互いに影響し合いながら変化し続けてきた証です。