世界の民族衣装81種一覧|地域別の特徴・歴史まとめ

世界には数百を超える民族がそれぞれ固有の民族衣装を育んできました。その衣装は気候・宗教・素材・美意識・歴史を色濃く映す「生きた文化財」です。

本記事では、東アジアの着物(日本)・韓服(韓国)・チャイナドレス(中国)から、インドのサリー、スコットランドのキルト、モロッコのジェラバ、ガーナのケンテまで、9地域81種の民族衣装を地域別テーブルで一覧化しました。衣装名・国・特徴の3列で整理しており、検索・リファレンスとしてご活用ください。各地域の文化背景は豆知識セクションで詳しく解説します。

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東アジアの民族衣装(11種)

東アジアの民族衣装は絹・木綿・麻などの天然繊維を活かした品格のあるデザインが特徴です。着物・韓服はいずれも礼装として現代でも冠婚葬祭・公式行事で活躍しています。アイヌは日本列島の先住民族で、独自の刺繍文化を持ちます。

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衣装名(読み) 国・地域 特徴
着物(きもの) 日本 絹製の和服。格式は素材・模様・帯で細かく規定される
浴衣(ゆかた) 日本 夏の普段着。花火大会や温泉地で広く親しまれる薄手の着物
甚平(じんべい) 日本 麻や綿製の上下セット。男性・子どもの夏の定番普段着
紋付袴(もんつきはかま) 日本 男性の礼装。家紋入りの羽織+袴のセット。成人式・卒業式に
アイヌ衣装(チカラカラペ) 日本(アイヌ民族) 白い布に黒・紺で渦巻き状のアイウシ(刺繍)を施した衣装
韓服(ハンボク) 韓国 女性用チマチョゴリ・男性用パジチョゴリの総称。曲線美が特徴
ドゥルマギ(두루마기) 韓国 韓服に重ねるコート型外套。外出・礼装時に着用
旗袍(チャイナドレス・チーパオ) 中国 清朝の満州族衣装が洋風にアレンジされたタイトなドレス
漢服(ハンフー) 中国 漢民族の伝統衣装の総称。近年の復興運動で若者に人気
デール(deel) モンゴル カシミアや絹製の長袖ローブ。季節・性別・身分で形が異なる
チュバ(チュパ) チベット 動物の毛皮や羊毛製の長ローブ。片袖を外す着方が特徴的

東南アジアの民族衣装(9種)

熱帯・亜熱帯気候の東南アジアでは通気性を重視した薄手の衣装が発達しました。宗教の違い(イスラム教のマレーシア・インドネシアと仏教圏のタイ・ミャンマー)で衣装の傾向が大きく異なります。バティックは2009年にユネスコ無形文化遺産に登録されています。

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衣装名(読み) 国・地域 特徴
アオザイ(Áo dài) ベトナム スリット入りの絹製ロングドレス。女性の学校制服にも採用
バティック(Batik) インドネシア 蝋を使ったロウケツ染めの更紗模様布。ユネスコ無形文化遺産
ケバヤ(Kebaya) インドネシア・マレーシア 刺繍や蕾絹で飾られた女性の薄手ブラウス
バリ島衣装(Pakaian Adat Bali) インドネシア(バリ島) 腰布(サロン)と花飾りで装う。バリヒンドゥー教の儀式衣装
バジュ・クルン(Baju Kurung) マレーシア・ブルネイ ゆったりしたブラウスと長スカートのセット(イスラム系女性用)
バロン・タガログ(Barong Tagalog) フィリピン パイナップル繊維製の半透明礼装シャツ。男性の国民的正装
チョンクラベン(Chong Krabeng) タイ・カンボジア 長い腰布を股下に通す巻きスカート型衣装
ロンジー(パソ) ミャンマー 男女共に着る筒状の腰巻き。素材・模様で男女を区別
バジュ・メラユ(Baju Melayu) マレーシア 男性用のシャツ+ズボン+腰巻き(サンピン)の3点正装
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南アジア・中央アジアの民族衣装(8種)

インドを中心とする南アジアは1枚の布を体に巻き付ける「ドレープ文化」が特徴です。ブータンは公共の場での民族衣装着用が義務化された世界唯一の国です。中央アジアはシルクロードの産地として絹織物文化が発達しました。

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衣装名(読み) 国・地域 特徴
サリー(Sari) インド・南アジア 5〜9mの1枚布を体に巻き付ける女性衣装。地域で巻き方が100種以上
レヘンガ・チョリ(Lehenga Choli) インド 広がるスカート+クロップトップ+スカーフの祝儀礼装
クルタ・パジャマ(Kurta Pajama) インド・パキスタン 長めのシャツ(クルタ)+ゆったりしたパンツのセット
シャルワール・カミーズ(Shalwar Kameez) パキスタン・インド ゆったりした上着+細身のズボンのセット。南アジア全域で着用
ドーティー(Dhoti) インド 腰から足先まで巻く長い白布。農村や宗教儀式で着用
キラ(Kira) ブータン 女性用の手織り布を体に巻き付ける民族衣装
ゴ(Gho) ブータン 膝丈の男性用着物型衣装。公的場所では着用義務がある
チャパン(Chapan) ウズベキスタン・中央アジア カラフルな絹や綿の刺繍が施された長袖ローブ

中東・北アフリカ・東アフリカの民族衣装(10種)

イスラム教の戒律(女性の肌を覆う)と砂漠の乾燥気候が、この地域の衣装文化を大きく規定しています。白い長袍(トーブ)は砂漠の強い日差しを反射し体温調節にも優れた実用的な衣装です。エチオピアのガビは東アフリカ独自の綿布文化です。

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衣装名(読み) 国・地域 特徴
トーブ(Thobe/Dishdasha) アラブ諸国 白い長袖の長袍(くるぶし丈)。男性の日常・礼装に欠かせない
アバヤ(Abaya) アラビア半島 体全体を覆う黒いローブ。サウジアラビアでは伝統的に着用
ビシュト(Bisht) アラブ諸国 トーブの上に羽織る金糸刺繍の礼装用マント
カフタン(Kaftan) トルコ・中東 袖が長くゆったりしたローブ。オスマン帝国の宮廷衣装が起源
チャドル(Chador) イラン 頭から足まで覆う半円形の黒いローブ。イランの女性外出衣装
ジェラバ(Djellaba) モロッコ フード付きの長いローブ。男女共用で日常的に着用
ハイク(Haik) アルジェリア・チュニジア 大判の白い羊毛布を体に巻き付ける伝統的な女性衣装
タグルムスト(Tagelmust) トゥアレグ族(サハラ) 数メートルの藍色布でターバンとベールを兼ねる衣装
ガラベーヤ(Galabiyya) エジプト 胸元に刺繍を施した長袖の長衣。農村から都市まで着用
ガビ(Gabi/Shama) エチオピア 白い綿の大判布を肩から体に巻く。男女共通の日常・礼装
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西・南ヨーロッパの民族衣装(7種)

西・南ヨーロッパはスコットランドの氏族文化、ドイツ・オーストリアのビア文化、スペインのフラメンコ文化と民族衣装が深く結びついています。キルトのタータン柄は氏族(クラン)ごとに固有のものを持ちます。

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衣装名(読み) 国・地域 特徴
キルト(Kilt) スコットランド タータン柄の巻きスカート(男性用)。氏族ごとに固有の柄を持つ
ディルンドル(Dirndl) ドイツ・オーストリア コルセット+ブラウス+スカート+エプロンの女性民族衣装
レーダーホーゼン(Lederhosen) ドイツ・オーストリア 革製の半ズボン(サスペンダー付き)。男性用民族衣装
フスタネッラ(Fustanella) ギリシャ・アルバニア 白いプリーツのミニスカート型衣装(男性用)。衛兵の礼装
フラメンコドレス(Traje de Flamenca) スペイン フリルが多いロングドレス。フラメンコ文化と不可分
ポルトガル民族衣装(Traje regional) ポルトガル 地方によって異なる刺繍入り衣装。ヴィアナ・ド・カステロが有名
トラヒト(Tracht) スイス・オーストリア 地方ごとに異なる伝統衣装。スイスでは地域間の差が大きい

北欧・東欧・コーカサスの民族衣装(14種)

北欧・東欧は地域ごとの文化的独立意識が高く、民族衣装が強い文化的シンボルになっています。ノルウェーのブナードは毎年5月17日の憲法記念日に全国で着用されます。ウクライナのヴィシヴァンカは現在も国民的アイデンティティの象徴として広く着られています。

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衣装名(読み) 国・地域 特徴
ヴィシヴァンカ(Vyshyvanka) ウクライナ 赤・黒の幾何学模様刺繍が施されたシャツ。国民的シンボル
サラファン(Sarafan) ロシア ジャンパースカート型の女性民族衣装。色鮮やかな刺繍が特徴
コントゥシュ(Kontusz) ポーランド 背面でスリットの入った袖が特徴のポーランド貴族ローブ
ブナード(Bunad) ノルウェー 地域ごとに刺繍が異なる民族衣装。5月17日に全国着用
フォルクドレクト(Folkdräkt) スウェーデン 青・黄を基調とした地域別民族衣装。仲夏祭で着用
カンサッリスプク(Kansallispuku) フィンランド 地方の手工芸品として継承される刺繍入り民族衣装
コルト(Gákti) サーミ人(北欧) 青を基調とした刺繍入り民族衣装。季節・地域で色柄が異なる
タウタ(Tautinis kostiumas) リトアニア 白地の刺繍シャツ+縞模様スカートのセット
タウタス・タープs(Tautas tērps) ラトビア 白と赤の幾何学刺繍。オアクリーン(樫の木)の意匠が多い
ラフヴァリエ(Rahvariie) エストニア 黒・赤・白の幾何学模様が特徴の絹・麻混紡衣装
ナロドナ・ノシュニャ(Narodna nošnja) クロアチア 地域ごとに異なる幾何学刺繍の民族衣装
コジョク(Cojoc) ルーマニア 花模様の刺繍を施した羊革製ベスト(男性用礼装)
マジャール民族衣装(Magyar népviselet) ハンガリー 赤い花柄刺繍と広がるスカートが特徴
チョハ(Chokha) ジョージア 胸に弾薬入れ(ガズィリ)を縫い付けた男性用ウールコート
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アフリカ(サブサハラ)の民族衣装(10種)

サハラ砂漠以南のアフリカでは、染色布・手織り布の文化が独自の発展を遂げました。ガーナのケンテ布や西アフリカのアンカラプリントは現代のファッションにも大きな影響を与えています。マサイ衣装の赤いシュカは世界的に知られています。

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衣装名(読み) 国・地域 特徴
マサイシュカ(Shuka) ケニア・タンザニア(マサイ族) 赤いチェック柄の布を腰・肩に巻く。赤は勇気の象徴
カンガ(Kanga) 東アフリカ(タンザニア等) ことわざ・文字が印刷された薄い綿布。腰巻き・肩掛け両用
キテンゲ(Kitenge) 中央・東アフリカ カラフルなロウケツ染め綿布。仕立ててドレスや頭巾に使用
ケンテ(Kente) ガーナ・西アフリカ 幾何学模様の手織り絹布。王族・首長の礼装が起源
アグバダ(Agbada) ナイジェリア・西アフリカ 広い袖のローブ+シャツ+ズボンの3点礼装セット
ンデベレ族衣装(Ndebele dress) 南アフリカ(ンデベレ族) 鮮やかな5色ストライプのビーズ装飾。女性は首輪(リング)も着用
ランバ(Lamba) マダガスカル 絹や綿製の大判布。腰巻き・肩掛け・赤ちゃんの抱っこ布に
バソト毛布(Basotho Blanket) レソト・南アフリカ 幾何学模様の羊毛毛布を全身に巻く独特の民族衣装
ダシキ(Dashiki) 西アフリカ全般 刺繍入りのゆったりしたシャツ。1960年代のブラックパワー運動で世界普及
フラニ衣装(Fulani dress) 西・中央アフリカ(フラニ族) インディゴ染めの藍色衣装。細い刺繍と琥珀のビーズ装飾が特徴

南北アメリカの民族衣装(7種)

アメリカ大陸の民族衣装は、先住民族(インディヘナ)の文化とスペイン・ポルトガル植民地の影響が融合した独自の形を持ちます。アンデス山地のポンチョやマヤ族のウイピルは数千年の歴史を持つ生きた文化遺産です。

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衣装名(読み) 国・地域 特徴
ウイピル(Huipil) メキシコ・中米(マヤ族等) マヤ・アステカ文明起源の刺繍入りチュニック型衣装
チャロ衣装(Traje de Charro) メキシコ 金銀刺繍の上着・ズボン・大ぶりのソンブレロのセット。男性礼装
グアヤベラ(Guayabera) キューバ・中南米 プリーツ刺繍が特徴の麻製ゆったりシャツ。男性の夏の礼装
ポンチョ(Poncho) 南米アンデス 四角い布の中央に穴を開けたシンプルなマント。全アンデスに共通
チョラの衣装(Traje de Chola) ボリビア・ペルー 広がるスカート(ポレラ)+ショール+ボウラー帽の独特な民族衣装
ウンク(Uncu) ペルー(インカ) インカ文明の四角い貫頭衣。幾何学模様のトカプ(紋様)が刻まれる
アノラック(Anorak) イヌイット(カナダ・グリーンランド) 密封構造のフード付き防水上衣。アザラシの皮や腸で作られる
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オセアニアの民族衣装(5種)

オセアニアの民族衣装は、植物の樹皮・繊維・羽根など身近な自然素材を活かした文化が特徴です。ポリネシア系の腰布文化と、マオリ族の羽根マント文化が広く知られています。

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衣装名(読み) 国・地域 特徴
タパ布(Tapa/Ngatu) トンガ・サモア・ポリネシア 桑の木の樹皮を叩いて伸ばし、模様を描いた伝統布
ラバラバ(Lavalava/Sulu) サモア・フィジー 腰に巻くシンプルな布のスカート。男女共に日常的に着用
パレオ(Pareo) タヒチ・フランス領ポリネシア 鮮やかな花柄プリントの腰巻き・肩掛け布。観光文化にも定着
コロウァイ(Kahu huruhuru) ニュージーランド(マオリ) キーウィや鶏の羽根で作られる伝統マント。首長の礼装
シンシン衣装 パプアニューギニア 部族ごとに異なる儀式衣装。羽根飾り・タコノキ葉・顔料で装飾

世界の民族衣装にまつわる豆知識

「着物」は元々すべての衣服を指す言葉だった

現代では和服全般を指す「着物」ですが、もともと「着(き)る物(もの)」という意味の普通名詞でした。明治時代に洋服が普及したことで、従来の日本の衣服を「着物」と呼んで区別するようになりました。英語では "kimono" として世界に広まり、現在では日本以外でも着物の着方を楽しむ愛好家が増えています。

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サリーの巻き方は地域で100種類以上ある

インドのサリーは5〜9mの1枚布ですが、地域によって巻き方が100種類以上存在すると言われています。最も一般的な「ニヴィスタイル」(プリーツを前に折り込む方法)のほか、タミル・ナードゥ州固有の腰布の通し方や、マハーラーシュトラ州の前後異なる布量の巻き方など、着方だけで地域や出身地が分かる文化があります。

キルトは元々ハイランド地方の作業着だった

スコットランドの象徴とされるキルトですが、起源は16世紀のハイランド地方の作業着(グレートキルト)とされています。タータン柄と氏族の対応関係が整理されたのは18世紀後半以降のこと。現在ではスコットランド系のディアスポラが世界各地でキルトを着用し、文化的アイデンティティを示しています。

バティックはユネスコ無形文化遺産に登録されている

インドネシアのバティック(ロウケツ染め)は2009年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。バティック技法自体は世界各地に類似のものがありますが、インドネシアでは1000年以上の歴史があり、模様の意味体系や製造手順が高度に発達しています。ジャワ島ではバティックの柄が身分や場の格式を示す役割を果たしてきました。

ブータンは世界で唯一、公共の場で民族衣装着用が義務化された国

ブータンでは1989年に国王の勅令(カショ)により、政府機関・学校・寺院など公共の場での民族衣装着用が義務付けられました。男性はゴ(膝丈の着物型衣装)、女性はキラ(手織り布を体に巻く衣装)が正装とされます。これは民族文化を守るための政策で、「幸福度」を重視するブータンの国づくりと密接に関わっています。

ジョージアのチョハは「弾薬ポケット」が胸にある

ジョージア(グルジア)の男性民族衣装チョハの最大の特徴は、胸の左右に縫い付けられた「ガズィリ(Gaziri)」と呼ばれる管状のポケット列です。もともとはライフルの弾薬を入れるためのもので、現在は装飾として残っています。コーカサス地方の戦士文化を体現した衣装です。

まとめ

世界9地域81種の民族衣装を地域別にまとめました。衣装はその土地の気候・宗教・歴史・美意識を映す鏡です。砂漠の白い長袍(トーブ)から熱帯の薄手のバティック、高山チベットのチュバまで、環境への適応が衣装に刻まれています。

世界の民族衣装の多様性に興味を持ったら、衣装が活きる世界の有名な祭り世界の主要宗教の記事もあわせてご覧ください。

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