
数学の教科書を開くと、見慣れない記号がずらりと並んでいます。∑、∫、∈、∀……読み方すらわからないものも多いでしょう。
本記事では、算術・集合論・論理・微積分・代数・確率統計・幾何学など、主要カテゴリにわたる数学記号131種を完全一覧で掲載しています。各記号の読み方・意味・語源をカテゴリ別テーブルにまとめており、「この記号の名前が思い出せない」「語源が気になる」という場面で役立てていただけます。ギリシャ文字の数学での使い方一覧も収録しています。
数学記号の種類と全一覧
算術・比較記号
四則演算・等号・不等号など、小中学校から登場する最も基本的な記号です。
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| 記号 | 読み方 | 意味・用途 | 語源・由来 |
|---|---|---|---|
| + | プラス | 加算(足し算) | ラテン語「et(and)」の略記が変形したものが起源の説が有力。14〜15世紀のドイツ語の数学文書で使用が確認される |
| − | マイナス | 減算(引き算) | ラテン語「minus(より少ない)」の頭文字 m を短縮した説が有力。1489年にウィドマンが使用 |
| × | かける | 乗算(掛け算)・ベクトルの外積・デカルト積(集合論) | イギリスの数学者オートレッドが1631年に乗算記号として導入。複数の意味で使われる |
| ÷ | わる | 除算(割り算) | スイスの数学者ラーン(ヨハン・ハインリヒ・ラーン)が1659年に初めて使用 |
| / | スラッシュ | 除算・分数(a/b) | 分数の横棒(フラクション)を斜めにした形に由来 |
| = | イコール | 等号・等しい | ロバート・レコード(イギリス)が1557年に2本の平行線を使用。「これより等しいものはない」と説明した |
| ≠ | ノットイコール | 等しくない | 「=」に否定の斜線を引いた記号 |
| < | 小なり | 〜より小さい | 17世紀に整備。鋭角が「小さい側」を向く方向が慣例となった |
| > | 大なり | 〜より大きい | 「<」の左右反転形 |
| ≤ | 小なりイコール | 〜以下(≦も同義) | 「<」と「=」を組み合わせた合成記号 |
| ≥ | 大なりイコール | 〜以上(≧も同義) | 「>」と「=」を組み合わせた合成記号 |
| ≈ | ニアリーイコール | おおよそ等しい・近似 | 波線が「揺らぎ・近さ」を視覚的に表現 |
| ≒ | ニアリーイコール | 近似(日本・中国圏で多用) | ≈と同義。日本の教科書・理科系で定着 |
| ≡ | 三重等号 | 恒等式・合同(mod n)・定義 | ライプニッツが使用。ガウスが整数論の「合同」に定着させた(1801年) |
| ∝ | 比例する | 比例関係(y ∝ x) | 英語 proportional の頭文字「p」を変形させた形に由来する説が有力 |
| ± | プラスマイナス | 正負の両方・誤差範囲 | 「+」と「−」を重ねた合成記号。1700年代に標準化 |
| ∓ | マイナスプラス | ±の逆の符号(−または+) | ±を上下逆にした記号 |
| % | パーセント | 百分率(全体を100とした割合) | ラテン語「per centum(100につき)」の略 |
集合論の記号
「集合」とは要素の集まりのことで、現代数学の基礎となる記号体系です。
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| 記号 | 読み方 | 意味・用途 | 語源・由来 |
|---|---|---|---|
| ∈ | イン | 〜に属する・〜の元である(a ∈ A) | ペアノ(1889年)がギリシャ語「ἐστί(est:〜である)」の頭文字 ε を変形して導入 |
| ∉ | ノットイン | 〜に属さない | 「∈」に否定の斜線を引いた記号 |
| ∋ | ニ | 〜を元にもつ(∈の逆向き)(A ∋ a) | 「∈」を左右反転させた形 |
| ⊂ | サブセット | 真部分集合(A ⊂ B) | Contained in の「C」を変形。シュレーダーらが1890年代に使用 |
| ⊆ | サブセットオアイコール | 部分集合(等しい場合を含む) | 「⊂」と「=」を組み合わせた合成記号 |
| ⊃ | スーパーセット | 真超集合(B ⊃ A) | 「⊂」の逆向き |
| ⊇ | スーパーセットオアイコール | 超集合(等しい場合を含む) | 「⊃」と「=」を組み合わせた合成記号 |
| ∪ | カップ / ユニオン | 合集合(A と B のどちらかに属する要素全体) | 英語 Union の「U」を変形させた形 |
| ∩ | キャップ / インターセクション | 積集合(A と B の両方に属する要素全体) | 「∪」を上下逆にした形。Intersection の「n」に由来する説もある |
| ∅ | エンプティセット | 空集合(要素が一つもない集合) | ブルバキグループ(1939年)がノルウェー・デンマーク語の文字「Ø」を流用して導入 |
| ∀ | フォーオール | 全称記号(すべての〜について)(∀x: ...) | 英語「All」の頭文字「A」を上下逆にした形。ゲンツェン(1935年)が導入。ペアノの「∃」に倣って作られた |
| ∃ | ゼアエグジスツ | 存在記号(〜が存在する)(∃x: ...) | 英語「Exists」の頭文字「E」を左右逆にした形。ペアノが1897年に導入 |
| ∄ | ゼアドーズノットエグジスト | 〜が存在しない | 「∃」に否定の斜線を引いた記号 |
| ∖ | セットマイナス | 差集合(A の要素から B の要素を除いた集合) | バックスラッシュ「\」の変形。A∖B と表記 |
論理記号
命題論理・述語論理で使われる記号。「〜かつ〜」「〜または〜」といった論理関係を表します。
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| 記号 | 読み方 | 意味・用途 | 語源・由来 |
|---|---|---|---|
| ∧ | アンド / 論理積 | かつ(両方が真のとき真) | 英語「And」の「A」を変形(楔形)。ホワイトヘッド&ラッセルが使用 |
| ∨ | オア / 論理和 | または(どちらか一方が真のとき真) | ラテン語「vel(または)」の頭文字「v」に由来。∧の上下逆 |
| ¬ | ノット / 否定 | 〜でない(命題の真偽を反転) | 「−」を曲げた形。否定・反転を視覚的に表現 |
| → | ならば / 含意 | A → B:A が真で B が偽のときのみ偽 | 矢印の向きで論理の「方向」を表す |
| ↔ | 同値 / 双条件 | A ↔ B:両者の真偽値が等しいとき真 | 双方向の矢印で同値関係を表す |
| ⊤ | トップ | 恒真式(常に真)・トートロジー | 「T(True)」を記号化。ブール代数でも使用 |
| ⊥ | ボトム / パーペンディキュラー | 矛盾(常に偽)・幾何学では垂直 | 「⊤」を上下逆にした記号(Falsum・偽)。幾何学の垂直記号とも同形 |
| ∴ | ゆえに | 結論を示す(Therefore) | ラテン語「ergo(ゆえに)」を3点で略記。17世紀に使用開始 |
| ∵ | なぜならば | 理由・根拠を示す(Because) | 「∴」を上下逆にした記号。18世紀頃から使用 |
| ⊢ | ターンスタイル | 〜が証明可能(形式体系での推論) | 「L」を90度回転させた形。フレーゲが1879年に導入 |
解析・微積分の記号
極限・微分・積分・級数で使われる記号。高校〜大学数学で中心的に登場します。
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| 記号 | 読み方 | 意味・用途 | 語源・由来 |
|---|---|---|---|
| ∑ | シグマ(大文字) | 総和(数列の和の総計) | ラテン語「summa(和)」の頭文字 S に対応するギリシャ大文字シグマ |
| ∏ | パイ(大文字) | 総乗(数列の積の総計) | 英語「product(積)」の頭文字 P に対応するギリシャ大文字パイ |
| ∫ | インテグラル | 積分(面積・体積を求める演算) | ラテン語「summa(和)」の頭文字「s」を縦に伸ばした形。ライプニッツが1675年に導入 |
| ∬ | ダブルインテグラル | 二重積分(平面領域上の積分) | 「∫」を2つ並べた記号 |
| ∭ | トリプルインテグラル | 三重積分(空間領域上の積分) | 「∫」を3つ並べた記号 |
| ∮ | コンターインテグラル | 周回積分(閉曲線上の積分) | 「∫」に閉曲線(円)を付けた記号 |
| d | ディー | 微分記号(dy/dx:y の x による微分) | ライプニッツが「差(differentia)」の d を微分記号として使用(1675年) |
| ∂ | ラウンドディー | 偏微分記号(複数変数のうち一変数についての微分) | ルジャンドル(1786年)が導入。筆記体の「d」を丸めた形 |
| lim | リミット | 極限(ある値に限りなく近づく) | ラテン語「limen(限界・敷居)」の略 |
| ∞ | インフィニティ | 無限大 | ジョン・ウォリス(1655年)が導入。ローマ数字の1000「CIƆ」を変形した説、メビウスの帯の形から取った説など諸説あり |
| Δ | デルタ(大文字) | 変化量・差分(Δx:x の変化量) | 「差(difference)」の頭文字 D に対応するギリシャ大文字デルタ |
| ∇ | ナブラ | ベクトル微分演算子(勾配・発散・回転) | ハミルトン(1853年)が導入。ギリシャ語で竪琴を意味する「νάβλα(nabla)」に形が似ていることから命名 |
| ′ | プライム | 一階導関数(f′)・角度の「分」(60′ = 1°) | ラグランジュ(1770年代)が導入。アポストロフィ「'」を記号化 |
| ″ | ダブルプライム | 二階導関数(f″)・角度の「秒」(60″ = 1′) | 「′」を2つ並べた記号 |
| O() | ビッグオー | 計算量・漸近上界(アルゴリズム解析で使用) | バッハマン(1894年)が導入。漸近的上限を表す |
| o() | スモールオー | 漸近的優位(O より厳密な上界) | O() の「厳密版」として解析学で使用 |
代数・整数論の記号
方程式の変形・整数の性質・写像の合成など、代数学の基本記号です。
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| 記号 | 読み方 | 意味・用途 | 語源・由来 |
|---|---|---|---|
| √ | ルート / 根号 | 平方根(√4 = 2) | ラテン語「radix(根・語根)」の頭文字「r」を変形。クリストフ・ルドルフが1525年に導入 |
| ∛ | キューブルート | 三乗根(立方根)(∛8 = 2) | √に小さな3を付けた変形記号 |
| ⁿ√ | n乗根 | n乗根(一般形) | √の一般化形 |
| ! | ファクトリアル | 階乗(n! = 1×2×3×…×n) | フランスのクランプが1808年に「!」を階乗記号として導入 |
| ∣x∣ | アブソリュートバリュー | 絶対値(例:∣−3∣ = 3)※縦棒2本で数を挟む | ヴァイヤーシュトラス(1841年)が縦棒2本を使用 |
| ‖x‖ | ノルム | ノルム(ベクトルや関数の「長さ」) | 絶対値記号を二重にした拡張形 |
| ⌊x⌋ | フロア | 床関数(x以下の最大整数) | 下向きの角括弧が「下に押さえる」イメージを表現 |
| ⌈x⌉ | シーリング | 天井関数(x以上の最小整数) | 上向きの角括弧が「上に持ち上げる」イメージを表現 |
| ∣ | 整除 | a∣b:「a が b を割り切る」 | 縦棒を整除関係の記号として使用。数論で頻出 |
| ∤ | 整除しない | a∤b:「a が b を割り切らない」 | 「∣」に否定の斜線を引いた記号 |
| ∘ | コンポジション | 写像の合成(f∘g:g を先に適用し f を適用) | 小さな丸(○)で合成を表現 |
| mod | モッド | 剰余(13 mod 4 = 1) | ラテン語「modulus(尺度・基準)」の略。ガウスが整数論で体系化 |
| gcd / GCD | ジーシーディー | 最大公約数(greatest common divisor) | 英語 greatest common divisor の略 |
| lcm / LCM | エルシーエム | 最小公倍数(least common multiple) | 英語 least common multiple の略 |
| sup | スープレマム | 上限(集合の最小上界) | ラテン語「supremum(最上)」の略 |
| inf | インフィマム | 下限(集合の最大下界) | ラテン語「infimum(最下)」の略 |
線形代数の記号
行列・ベクトル空間・内積など、高校〜大学で学ぶ線形代数の記号です。
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| 記号 | 読み方 | 意味・用途 | 語源・由来 |
|---|---|---|---|
| Aᵀ | エー・トランスポーズ | 転置行列(行と列を入れ替えた行列) | 英語「transpose」の頭文字 T を上付きに付ける表記 |
| A⁻¹ | エー・インバース | 逆行列(A·A⁻¹ = 単位行列 I) | 指数「-1」で逆数の概念を行列に応用 |
| det(A) | デターミナント | 行列式(行列の特性を表すスカラー値) | ラテン語「determinare(決定する)」の略 |
| tr(A) | トレース | 対角成分の総和(行列の痕跡) | ドイツ語「Spur(痕跡)」・英語「trace」の略 |
| ⊗ | テンソル積 | テンソル積(クロネッカー積ともいう) | 円にかける「×」を入れた合成記号 |
| ⊕ | 直和 | 直和(ベクトル空間の直和分解) | 円の中にプラスを入れた合成記号 |
| · | ドット積 | 内積(ベクトル a と b の積:スカラー値を返す) | 英語「dot product」のドット(点) |
確率・統計の記号
確率論・統計学で使われる記号。データ分析・機械学習でも頻繁に登場します。
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| 記号 | 読み方 | 意味・用途 | 語源・由来 |
|---|---|---|---|
| P(A) | ピー・エー | 確率(事象 A が起こる確率) | 英語「probability」の頭文字 P |
| P(A given B) | ピー・エー・ギブンビー | 条件付き確率(B が起きたときに A が起こる確率)※P(A∣B) とも表記 | 縦棒(∣)が「〜が与えられたとき」を意味する |
| E[X] | 期待値 | 期待値(確率変数の理論的な平均値) | 英語「expected value」の頭文字 E |
| Var(X) | バリアンス | 分散(データのばらつきの程度) | 英語「variance」の略 |
| Cov(X,Y) | コバリアンス | 共分散(2変数の連動の程度) | 英語「covariance」の略 |
| σ | シグマ(小文字) | 標準偏差(分散の平方根)・母集団の標準偏差 | ギリシャ文字 σ。ゴルトン・ピアソンらが統計で使用(19世紀末〜) |
| μ | ミュー | 母集団の平均・期待値 | ギリシャ文字 μ。英語「mean(平均)」の頭文字 m に対応するギリシャ文字 |
| ρ | ロー | ピアソンの相関係数(−1〜+1) | ギリシャ文字 ρ。英語「correlation」の r に対応するギリシャ文字 |
| χ² | カイ・じじょう | カイ二乗値(適合度・独立性検定で使用) | ギリシャ文字 χ(カイ)の2乗 |
| ~ | チルダ | 〜に従う(X ~ N(0,1):標準正規分布に従う) | 波形記号が「曲線・分布」を連想させることから |
| α | アルファ | 有意水準(仮説検定で許容する誤り率) | ギリシャ文字 α。統計学でネイマン・ピアソンが第一種の過誤に割り当て |
| β | ベータ | 第二種の過誤の確率・回帰係数 | ギリシャ文字 β。統計学・回帰分析で標準的に使用 |
幾何学の記号
図形の角度・合同・相似・平行など、平面・空間幾何学で使われる記号です。
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| 記号 | 読み方 | 意味・用途 | 語源・由来 |
|---|---|---|---|
| ∠ | アングル | 角・角度(∠ABC:頂点 B の角) | 英語「angle(角)」の「a」を象形化した記号(鋭角の形) |
| △ | トライアングル | 三角形(△ABC など) | 三角形の形をそのまま記号として使用 |
| □ | スクエア | 四角形・正方形 | 四角形の形をそのまま記号として使用 |
| ∥ | パラレル | 平行(2直線が交わらない) | 2本の縦棒が平行関係を視覚的に表現 |
| ≅ | コングルエント | 合同(形も大きさも等しい図形) | 「=(等しい)」と「〜(似た形)」を組み合わせた合成記号 |
| ∼ | シミラー | 相似(形は等しいが大きさが異なる)・確率統計では「〜に従う」 | 波線が「似ているが完全には等しくない」を視覚的に表現 |
| ° | ディグリー | 度(角度の単位:360°が一周) | ラテン語「gradus(段階・度)」に由来。小さな丸が単位記号として定着 |
| ⌀ | ダイアメーター | 直径(円の直径を表す記号) | ギリシャ語「διάμετρος(diametros:対角線を渡るもの)」の略記 |
| π | パイ | 円周率(≈ 3.14159…) | ウィリアム・ジョーンズ(1706年)が「周辺(periphery)」のギリシャ語 περιφέρεια の頭文字を使用 |
数の集合・特殊定数
数学で頻繁に登場する「特定の数の集合」や「基本定数」を表す記号です。
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| 記号 | 読み方 | 意味・用途 | 語源・由来 |
|---|---|---|---|
| ℕ | 自然数 | 自然数の集合(1,2,3,… または 0,1,2,…) | ドイツ語「Natürliche Zahlen(自然数)」の N。ペアノが使用 |
| ℤ | 整数 | 整数の集合(…,-2,-1,0,1,2,…) | ドイツ語「Zahlen(数)」の Z。デデキントが使用 |
| ℚ | 有理数 | 有理数の集合(分数で表せる数) | 英語「quotient(商)」の Q。分数=分子÷分母(商)から |
| ℝ | 実数 | 実数の集合(有理数と無理数を合わせた数) | 英語「Real number」の R |
| ℂ | 複素数 | 複素数の集合(a + bi の形) | 英語「Complex number」の C |
| ℍ | 四元数 | 四元数の集合(a + bi + cj + dk の形) | 四元数を発見したハミルトン(Hamilton)のイニシャル H |
| i | 虚数単位 | i² = −1 を満たす数 | オイラーが「imaginary(虚数の)」の頭文字 i を使用(1777年頃) |
| e | ネイピア数 | 自然対数の底(≈ 2.71828…) | オイラーが「e」と表記(1736年)。exponential の e、オイラー自身のイニシャルなど諸説あり |
| φ | ファイ(黄金比) | 黄金比(≈ 1.61803…:(1+√5)/2) | 彫刻家フィディアス(Phidias)の頭文字 Φ 説が有力。20世紀初頭に定着 |
| ℵ₀ | アレフ・ゼロ | 可算無限の濃度(自然数全体と同じ無限の大きさ) | カントールがヘブライ文字の第1字「אָלֶף(アレフ)」を集合論の基数に使用(1883年) |
数学でよく使うギリシャ文字
ギリシャ文字は数学・物理学の「慣例的な変数名」として広く使われています。詳しい読み方と全24文字は「ギリシャ文字24文字一覧」も参照してください。
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| 文字 | 読み方 | 数学での主な用途 | 使用例 |
|---|---|---|---|
| γ | ガンマ(小) | オイラー・マスケローニ定数・ガンマ関数の引数 | γ ≈ 0.5772…(オイラー定数) |
| δ | デルタ(小) | 微小量・ε-δ論法の「距離」 | 解析学の「ε-δ論法」で距離を表す変数として使用 |
| ε | イプシロン | 微小な正の数・許容誤差 | 「ε > 0 を任意に与えたとき」(解析学の定式化) |
| ζ | ゼータ | リーマン・ゼータ関数 | ζ(2) = π²/6(バーゼル問題の解) |
| η | エータ | 効率・学習率 | 機械学習の学習率 η、粘性係数 |
| θ | シータ | 角度・パラメータ | 三角関数の角度「sin θ」、機械学習のパラメータ θ |
| κ | カッパ | 曲率 | 曲線の曲率 κ |
| λ | ラムダ | 固有値・波長・λ計算 | 固有値問題「Ax = λx」、光の波長 λ |
| ν | ニュー | 周波数・自由度 | 光の周波数 ν、t 分布の自由度 ν |
| ξ | クサイ | 確率変数・座標変数 | 確率変数や積分変数として使うことが多い |
| τ | タウ | 時定数・位相・τ(2π) | RC 回路の時定数 τ、円周率の2倍「τ = 2π」 |
| ψ | プサイ(小) | 波動関数 | 量子力学のシュレーディンガー方程式における ψ |
| ω | オメガ(小) | 角速度・n 乗根・計算量 | 回転の角速度 ω、1 の原始 n 乗根 ω |
| Γ | ガンマ(大) | ガンマ関数 | Γ(n) = (n−1)!(n が正の整数のとき) |
| Λ | ラムダ(大) | 固有値を並べた対角行列 | 固有値分解 A = PΛP⁻¹ の Λ |
| Σ | シグマ(大) | 共分散行列・総和(∑と同形) | 多変量正規分布の共分散行列 Σ |
| Π | パイ(大) | 総乗(∏と同形) | 計算量や確率の積 |
| Φ | ファイ(大) | 標準正規分布の累積分布関数 | P(Z ≤ z) = Φ(z) |
| Ψ | プサイ(大) | 波動関数(量子力学) | 多電子系の波動関数 Ψ |
数学記号にまつわる豆知識
∫(インテグラル)は「S」を伸ばした形だった
積分記号 ∫ は、ラテン語「summa(和)」の頭文字「S」を縦に引き伸ばした形です。ライプニッツが1675年に「和の連続バージョン」として積分を考案したときに導入しました。微小な面積 dA を「全部たし合わせる(sum)」という発想が形に表れています。
ちなみに、∑(シグマ)も「和(sum)」を表す記号で、S の音に対応するギリシャ文字が使われています。両者は「離散的な和」と「連続的な和」という対になる概念です。
∞(無限大)の形の謎
無限大を表す記号「∞」は、イギリスの数学者ジョン・ウォリスが1655年に著書『De sectionibus conicis』で使用したことで広まりました。その形の由来は諸説あります。
- ローマ数字の1000「M(またはCIƆ)」説:当時「非常に大きな数」を表していた記号が変形した
- メビウスの帯説:始点と終点のない輪の形を表したもの
- ギリシャ文字Ω(オメガ:最後の字)説:「数の最後の大きさ」を表す記号として変形された
現在も確定的な由来はわかっておらず、数学史の未解決の謎の一つです。
∅(空集合)はデンマーク語の文字が起源
空集合を表す「∅」は、0(ゼロ)とよく混同されますが、まったく別の記号です。ノルウェー語・デンマーク語・スウェーデン語などに存在する文字「Ø」が起源とされています。
フランスの数学者グループ「ブルバキ(Bourbaki)」が1939年に集合論を体系化する際に、「スラッシュを引いた O(オー)」として採用しました。0(ゼロ)との混同を避けるため、意図的にデザインを変えた経緯があります。
まとめ
本記事では数学記号131種を、算術・集合論・論理・微積分・代数・線形代数・確率統計・幾何学・数の集合の9カテゴリと、ギリシャ文字の数学での用途一覧に整理して掲載しました。「∫はSを伸ばした形」「∅はデンマーク語由来」など、記号の裏側にある歴史も合わせて紹介しています。
関連記事として、数学の定理・法則108選、ギリシャ文字24文字一覧、単位の接頭辞全24種一覧もご覧ください。












