
人類が宇宙に進出するために生み出してきたロケットと宇宙船は、実に多種多様です。1950年代の黎明期から現在まで、数十ヶ国・数十の機関がさまざまな目的のために開発を続けており、その総数は軽く100機を超えます。
この記事では、打ち上げロケット(40機)と有人・貨物宇宙船(18機)を合わせた58機を、「歴史的名機(退役済み)」「現役機」「開発中・次世代機」の3軸で整理しました。冷戦期の競争から民間企業による宇宙ビジネスの時代まで、宇宙開発の歩みがひと目でわかります。関連記事として天体の種類一覧65種や系外惑星の種類一覧もあわせてどうぞ。
ロケット(打ち上げ機)の種類一覧
ロケットは「搭載物(ペイロード)を宇宙へ送り届けるための乗り物」です。現在使われているロケットは、1段または複数段の構造を持ち、多くは使い捨てですが、近年は再使用型が主流になりつつあります。
歴史的ロケット(退役済み)
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| ロケット名 | 開発(国/機関) | 退役年 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| V-2 | ドイツ・陸軍(ナチス) | 1945年 | 世界初の弾道ミサイル。宇宙ロケット技術の原点 |
| レッドストーン | アメリカ・NASA | 1961年 | 初の米国人宇宙飛行(アラン・シェパード)に使用 |
| マーキュリー・アトラス | アメリカ・NASA | 1963年 | ジョン・グレンの初の軌道飛行(1962年)を実現 |
| タイタンII | アメリカ・NASA | 1966年(有人) | ジェミニ計画(12回)に使用した軍転用ロケット |
| サターンV | アメリカ・NASA | 1973年 | 高さ110m・史上最大の有人ロケット。アポロ計画を担った |
| サターンIB | アメリカ・NASA | 1975年 | スカイラブ計画・アポロ・ソユーズテスト計画に使用 |
| N-I | 日本・NASDA | 1982年 | 日本初の静止衛星打ち上げを達成した国産ロケット |
| N-II | 日本・NASDA | 1987年 | N-Iの後継。技術国産化を推進した過渡期のロケット |
| アリアン1〜4 | ヨーロッパ・ESA | 2003年 | 欧州商業打ち上げ市場を開拓したアリアンシリーズ初期型 |
| H-I | 日本・NASDA | 1992年 | N-IIの後継で自主開発成分を高めた日本のロケット |
| デルタII | アメリカ・NASA/ULA | 2018年 | 1989年初打ち上げ。火星探査機マーズ・パスファインダーなど数多くの科学ミッションに使用 |
| スペースシャトル | アメリカ・NASA | 2011年 | 世界初の再利用型宇宙往還機。135回飛行し国際宇宙ステーション建設に貢献 |
| H-IIA | 日本・JAXA/三菱重工 | 2024年(引退予定) | 2001年初打ち上げ。信頼性98.7%の日本の主力ロケット(H3へ移行中) |
| アンタレス | アメリカ・ノースロップ・グラマン | 2022年(一時休止) | ウクライナ危機後にロシア製エンジンAJ26が供給停止。現在新型エンジンへ換装中 |
現役ロケット(2026年時点)
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| ロケット名 | 開発(国/機関) | 初打ち上げ | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| ソユーズ2 | ロシア・ロスコスモス | 2004年 | ソユーズ系の最新世代。人員・貨物の両方に対応 |
| プロトンM | ロシア・ロスコスモス | 2001年 | 大型静止衛星の投入に使われてきた重量級ロケット |
| アリアン5 | ヨーロッパ・ESA/アリアンスペース | 1996年 | 欧州の主力重量ロケット。ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を打ち上げた |
| アリアン6 | ヨーロッパ・ESA/アリアンスペース | 2024年 | アリアン5の後継。打ち上げコスト低減と打ち上げ頻度向上を目指す |
| ファルコン9 | アメリカ・SpaceX | 2010年 | 世界最多打ち上げ回数の現役ロケット。第一段の回収・再使用が可能 |
| ファルコン・ヘビー | アメリカ・SpaceX | 2018年 | ファルコン9を3本束ねた現役最強クラスのロケット |
| バルカン・セントールI | アメリカ・ULA | 2024年 | ベゾス氏のブルーオリジンのBE-4エンジンを採用した新型ロケット |
| H3 | 日本・JAXA/三菱重工 | 2024年 | H-IIAの後継。コスト半減・打ち上げ頻度向上を目指す日本の次期主力 |
| イプシロンS | 日本・JAXA | 2023年(イプシロン系) | 小型衛星に特化した固体燃料ロケット(2023年に地上燃焼試験事故→改良継続) |
| PSLV | インド・ISRO | 1993年 | インドの主力ロケット。チャンドラヤーン1・2を打ち上げた |
| LVM3(GSLV Mk.III) | インド・ISRO | 2017年 | インド最大のロケット。チャンドラヤーン-3(2023年月面着陸成功)に使用 |
| 長征5(CZ-5) | 中国・CNSA | 2016年 | 中国最大級の重量ロケット。天問-1(火星)・嫦娥5号(月)に使用 |
| 長征2F(CZ-2F) | 中国・CNSA | 1999年 | 中国の有人宇宙ミッション(神舟)専用ロケット |
| 長征7(CZ-7) | 中国・CNSA | 2016年 | 天和コアモジュール(中国宇宙ステーション)の建設を担った |
| ヴェガC | ヨーロッパ・ESA/アビオ | 2022年 | 小型衛星向けの欧州ロケット(2022年に打ち上げ失敗→復帰目指す) |
| エレクトロン | ニュージーランド・ロケットラブ | 2017年 | 小型衛星に特化した民間ロケット。第一段の回収再使用にも成功 |
| アルファ | アメリカ・ファイヤーフライ | 2022年 | 小型衛星打ち上げ専用の民間ロケット(2023年に初成功) |
| ニュートロン(開発中) | アメリカ・ロケットラボ | 2025年以降 | 再使用型の中型ロケット。現在開発中 |
| テランR | アメリカ・リラティビティ・スペース | 2023年(初試験) | 3Dプリントで製造する再使用型ロケット(開発継続中) |
| スターシップ | アメリカ・SpaceX | 2023年(試験飛行) | 史上最大の完全再使用型ロケット。月・火星輸送を目指す |
開発中・次世代ロケット
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| ロケット名 | 開発(国/機関) | 状況 | 概要 |
|---|---|---|---|
| SLS(スペース・ローンチ・システム) | アメリカ・NASA | 初打ち上げ2022年 | アルテミス計画専用の超重量ロケット。月への有人探査を担う次世代機 |
| ニューグレン | アメリカ・ブルーオリジン | 2025年(初打ち上げ) | ベゾス氏が設立したブルーオリジンの大型再使用ロケット。2025年1月に初打ち上げ |
| H3後継(将来構想) | 日本・JAXA | 検討段階 | 2030年代を見据えたH3の次世代ロケット構想 |
| アリアン6後継 | ヨーロッパ・ESA | 検討段階 | 再使用可能な部分を取り入れた2030年代の欧州ロケット構想 |
| LVM4(構想) | インド・ISRO | 計画段階 | インドの有人月探査・将来宇宙輸送向けの次世代重量ロケット構想 |
| 長征9(CZ-9) | 中国・CNSA | 開発中 | 月・火星への有人飛行を目指す中国の超重量ロケット |
有人宇宙船・貨物宇宙船の種類一覧
宇宙船は大きく「有人宇宙船(宇宙飛行士が搭乗)」と「貨物宇宙船(物資輸送専用)」に分かれます。ロケットが「運ぶ力」なら、宇宙船は「目的地で活動するための船」です。
歴史的宇宙船(退役済み)
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| 宇宙船名 | 開発(国/機関) | 退役年 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| ボストーク | ソ連・OKB-1 | 1963年 | 世界初の有人宇宙船。ガガーリンの地球一周を実現(1961年) |
| マーキュリー | アメリカ・NASA | 1963年 | 米国初の有人宇宙船。アラン・シェパードら6名が搭乗 |
| ボスホート | ソ連・OKB-1 | 1965年 | ボストークを改良した複数人乗り宇宙船。初の船外活動(EVA)を実施 |
| ジェミニ | アメリカ・NASA | 1966年 | アポロ計画への橋渡し役。軌道ランデブー・ドッキング技術を確立 |
| アポロ | アメリカ・NASA | 1975年 | 月面着陸を実現した3人乗り宇宙船。指令船+月着陸船の2モジュール構成 |
| スカイラブ | アメリカ・NASA | 1979年 | 米国初の宇宙ステーション。3クルーが交代で滞在し各種実験を実施 |
| スペースシャトル(オービター) | アメリカ・NASA | 2011年 | 再使用型有人宇宙往還機。コロンビア号(2003年事故)・チャレンジャー号(1986年事故)でも知られる |
| プログレス(初期型) | ソ連・ロスコスモス | 2000年代まで各型が退役 | ISSへの無人貨物輸送船。現在はプログレスMSシリーズが現役 |
現役・開発中の宇宙船
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| 宇宙船名 | 開発(国/機関) | 用途 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| ソユーズMS | ロシア・ロスコスモス | 有人 | 1967年来の伝統を持つ現役有人宇宙船。ISS乗員輸送を担う |
| プログレスMS | ロシア・ロスコスモス | 貨物 | ISSへの無人物資補給船。有人ソユーズと同型の船体を使用 |
| クルードラゴン | アメリカ・SpaceX | 有人 | 2020年にISSへの有人輸送を開始した民間宇宙船。4名まで搭乗可能 |
| カーゴドラゴン(ドラゴン2) | アメリカ・SpaceX | 貨物 | クルードラゴンの無人貨物仕様。ISSへの物資補給を担う |
| シグナス | アメリカ・ノースロップ・グラマン | 貨物 | ISSへの無人物資補給に特化。帰還時にISS内の廃棄物を焼却 |
| スターライナー | アメリカ・ボーイング | 有人 | NASA・ボーイング共同開発。2024年に有人初飛行(軌道上で不具合が発生し、帰還に遅延) |
| 神舟 | 中国・CNSA | 有人 | 中国独自の有人宇宙船。天和コアモジュールへの乗組員輸送を担う |
| 天舟 | 中国・CNSA | 貨物 | 中国宇宙ステーションへの無人物資補給船 |
| ドリームチェイサー | アメリカ・シエラ・スペース | 貨物(予定) | 翼を持つ再使用型宇宙往還機。ISS貨物輸送向けにNASAと契約 |
| スターシップ(宇宙船部分) | アメリカ・SpaceX | 有人/貨物 | アルテミス計画の月着陸船候補にも選定された次世代宇宙船 |
ロケット・宇宙船にまつわる豆知識
再利用ロケットが変えた宇宙開発の常識
2015年にブルーオリジン、2015〜2016年にSpaceXが相次いでロケット第一段の回収・垂直着陸に成功したことで、宇宙開発の経済モデルが根本から変わりました。それまで打ち上げるたびに億円単位のロケットが使い捨てになっていたコストが、再使用によって大幅に削減されています。SpaceXのファルコン9は同一ブースターを20回以上再使用した実績があります。
ロケットの推進剤の種類
ロケットは主に「液体推進剤」と「固体推進剤」の2種類に分かれます。液体は酸化剤と燃料を別タンクに積む方式で、代表的な組み合わせは液体水素+液体酸素(比推力が高く環境負荷も低い)と液体酸素+ケロシン(安価で扱いやすい)です。固体推進剤はあらかじめ固形化された推進剤を燃焼させるため構造が単純で即応性が高く、イプシロンのような小型ロケットや大型ロケットの補助ブースターに使われます。
日本のロケット開発のあゆみ
日本のロケット開発は1955年に糸川英夫博士が全長23cmの「ペンシルロケット」を水平発射する実験から始まりました。その後、ラムダ・ミューシリーズの科学用固体ロケット(M-V)、NASDAのN・H系列の実用ロケットと2系統で発展し、JAXAの発足(2003年)後に統合されました。H3は最新世代として、打ち上げコストを従来の半分以下(50億円以下)に抑えることを目標に設計されています。
まとめ
ロケット・宇宙船の種類を歴史的名機から現役・開発中まで58機にわたって紹介しました。冷戦期の競争から始まった宇宙開発は、今や民間企業も主役となり、再使用ロケット・大型有人宇宙船の時代へと急速に進化しています。宇宙への窓口がどんどん広がりつつある今、各国・各機関のロケット開発競争はますます激しくなっています。宇宙に興味を持った方は宇宙論の謎17選もあわせてお楽しみください。
腕試しクイズ(全5問)|ロケット・宇宙船
参考・出典
- JAXA(宇宙航空研究開発機構)公式サイト:H3ロケット・イプシロンロケット https://www.jaxa.jp/
- NASA公式サイト:ロケット・宇宙船の仕様・歴史 https://www.nasa.gov/
- ESA(欧州宇宙機関)公式サイト:アリアンシリーズ https://www.esa.int/
- ISRO(インド宇宙研究機関)公式サイト:LVM3・PSLVほか https://www.isro.gov.in/
- SpaceX公式サイト:ファルコン9・スターシップ仕様 https://www.spacex.com/