
仏壇に並ぶ道具には、それぞれに名前と役割があります。本尊・位牌・香炉・おりんといった基本のものから、宗派ごとに異なる専用仏具まで、その種類は非常に多彩です。この記事では、仏具を荘厳具・供養具・梵音具・礼拝用具・宗派専用仏具の5カテゴリに整理し、名称・読み方・用途を71種まとめました。法事や仏壇の購入・整備の際にお役立てください。
仏具の基本セット|三具足・五具足とは
仏壇に最低限必要な仏具セットを「三具足(みつぐそく)」と呼びます。香炉1点・燭台1点・花立1点の3種で、仏前を供養するための基本形です。
より正式な荘厳の形が「五具足(ごぐそく)」で、燭台と花立を各2点に増やした5点セット(香炉1・燭台2・花立2)になります。さらに2点追加した「七具足(しちぐそく)」もあり、仏壇の格式や法要の規模に応じて使い分けます。
なお、仏具の種類や数は宗派・地域・お寺の方針によってさまざまです。本記事の内容はあくまで一般的な解説であり、詳細は菩提寺や仏具店にご確認ください。
荘厳具(しょうごんぐ)の一覧
仏壇・仏堂を飾り、仏前の場を整えるための仏具です。
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| 名称(読み) | 用途・役割 | 備考 |
|---|---|---|
| 本尊(ほんぞん) | 信仰の中心となる仏像・仏画・曼荼羅。仏壇最上段の中央に安置する | 宗派により仏像か掛軸かが異なる |
| 脇侍(わきじ/きょうじ) | 本尊の左右に祀る祖師像や菩薩像 | 別名:脇掛(わきかけ)・脇仏。宗派で種類が全く異なる |
| 位牌(いはい) | 故人の戒名・法名・没年月日を刻み、霊魂の依代とする木牌 | 板位牌・繰り出し位牌など種類あり。浄土真宗では不使用 |
| 宮殿(くうでん) | 仏壇上段に設けた宮殿形の厨子型構造物。本尊を収める | 浄土真宗で特に重視される |
| 天蓋(てんがい) | 仏像・棺・礼盤の真上にかざす傘形の装飾具 | 円形・六角形・八角形などがある |
| 瓔珞(ようらく) | 本尊上部や輪灯に吊り下げる宝飾装飾具 | 浄土真宗では宗派ごとに形式が指定されている |
| 幢幡(どうばん) | 竿柱に長方形の布を垂らした旗状の荘厳装飾 | 日蓮宗・浄土宗などで使用。浄土真宗は不使用 |
| 輪灯(りんとう) | 輪形の油皿を吊り下げ、仏壇・本堂を照らす照明具 | 浄土真宗で特に多用される |
| 吊灯籠(つりどうろう) | 仏壇内部に吊り下げ、本尊や位牌を照らす燈具 | 伝統型仏壇で使用 |
| 常花(じょうか) | 金色の蓮花を模した金属製の造花飾り | 浄土真宗では不使用。生花の代替品ではない |
| 打敷(うちしき) | 仏壇の卓に敷く金襴・錦の布。季節によって使い分ける | 浄土真宗は三角形、他宗派は四角形が多い |
| 光背(こうはい) | 仏像の背後に設ける、後光を表した円形・舟形の装飾 | 仏像と一体のものも多い |
| 厨子(ずし) | 本尊や位牌を納める小型の宮殿形木製容器 | 携帯用の小型厨子もある |
| 前卓(まえじょく) | 仏壇前に置く、供物・仏具を乗せるための卓 | 上卓・前卓など複数の種類がある |
| 法名軸(ほうみょうじく) | 法名を墨書した掛軸。浄土真宗で位牌の代わりに用いる | 浄土真宗専用 |
供養具(くようぐ)の一覧
仏前に香・灯・花・飲食を供えるための仏具です。「五供(ごく)」とも呼ばれる香・花・灯・飯・水の供養を担います。
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| 名称(読み) | 用途・役割 | 備考 |
|---|---|---|
| 香炉(こうろ) | 線香・抹香を焚く供香の基本仏具。三具足の中央に置く | 宗派で形が異なる(前香炉・玉香炉・透かし香炉など) |
| 燭台/火立(しょくだい/ひたて) | ろうそくを立て、灯明を供える仏具。三具足の一つ | 輪灯が代わりになる宗派もある |
| 花立(はなたて) | 生花や造花を立てて供える筒形の仏具 | 三具足・五具足の一つ |
| 仏飯器/仏器(ぶっぱんき/ぶっき) | 炊きたてのご飯を盛り仏前に供える器 | 朝の勤行後に下げるのが一般的 |
| 茶湯器(ちゃとうき) | お茶または水を入れて仏前に供える蓋付き器 | 浄土真宗では不使用 |
| 高杯(たかつき) | 脚付きの杯形台で、菓子・果物などを供える | 別名:高月(こうげつ)。左右一対で用いる |
| 霊供膳/霊具膳(れいぐぜん) | 精進料理一汁三菜を盛った小型膳を仏前に供える | 別名:仏膳(ぶつぜん)。浄土真宗では原則不使用 |
| 華瓶(けびょう) | 樒(しきみ)や花を挿して仏前に供える瓶型の花立て | 浄土真宗で特に重視される |
| 供笥(くげ) | 花びら形の金属製供物台で、餅や菓子を供える | 浄土真宗専用。他宗の高杯に相当 |
| 仏器膳(ぶっきぜん) | 仏飯器と茶湯器を乗せて高くするための小型の膳台 | 別名:仏器台(ぶっきだい) |
| 焼香炉(しょうこうろ) | 抹香を炭火の上で焚く専用の香炉 | 法要・葬儀で使用。前香炉とは別の用途 |
| 線香差し(せんこうさし) | 次に使う線香を立てておく筒状の収納具 | 別名:線香立て |
| 灯籠(とうろう) | 仏壇内や仏前に置き、仏を照らし荘厳する燈具 | 六角組灯籠が浄土真宗の正式形式 |
| 散華(さんげ) | 蓮の花びら形の薄い紙片。法要で撒いて仏を供養する | 法要の荘厳演出として使われる |
| 火消し(ひけし) | ろうそくの炎を上からかぶせて消す筒形の器具 | 息で吹き消すのを避けるために使う |
梵音具(ぼんのんぐ)の一覧
読経の際に音を出し、仏を呼び寄せる合図や拍子を担う仏具です。「梵音(ぼんのん)」とは仏の声・清浄な音を意味します。
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| 名称(読み) | 用途・役割 | 備考 |
|---|---|---|
| おりん/鈴(おりん/りん) | 読経の開始・終了の合図として打ち鳴らす鉢形の金属製の鐘 | りん棒・りん台とセットで用いる。浄土真宗では鏧子(けいす)とも呼ぶ |
| 梵鐘(ぼんしょう) | 寺院の楼上に吊り下げる大鐘。勤行・法要の合図に鳴らす | 別名:釣り鐘(つりがね) |
| 喚鐘(かんしょう) | 梵鐘より小型で、僧侶の集合・法要開始の合図に使う | 山門脇や廊下に吊るされる |
| 木魚(もくぎょ) | 魚形の木製打楽器で、読経のリズムを整える | 禅宗・浄土宗などで使用。浄土真宗は不使用 |
| 木柾(もくしょう) | 丸形の木製打楽器で、読経のリズムを整える | 日蓮宗専用。木魚の代わりに使う |
| 鏧子(けいす) | 小型の椀形金属製鐘で、読経の合図に打つ | 浄土真宗で広く使用。磬子とも書く |
| 引磬(いんきん) | 柄付きの小型磬で、法要中に携行して打ち鳴らす | 行道・引導渡しで使用 |
| 雲版(うんばん) | 雲形の金属板を打ち鳴らす合図用打楽器 | 禅宗寺院で多用 |
| 銅鑼(どうら) | 真鍮製の円盤を打ち鳴らす金属製打楽器 | 法要や行事の合図に使用 |
| 音木(おんぎ) | 紫檀製の角材で、読経の拍子を取る棒状打楽器 | 浄土真宗で多用 |
| 太鼓(たいこ) | 読経・法要で使う打楽器。法要の荘厳に欠かせない | 大太鼓・楽太鼓など種類多数 |
| 妙鉢(みょうはち) | 2枚一組のシンバル形金属打楽器。法要で打ち鳴らす | 別名:饒鉢(にょうはち) |
| 錫杖(しゃくじょう) | 頭部に金属環を持つ長杖。突き鳴らして行道に使う | 修験者・お遍路も携行。法具兼梵音具 |
礼拝用具・収納具の一覧
経典を読んだり合掌礼拝したりする際に使う仏具、および仏具を収める道具類です。
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| 名称(読み) | 用途・役割 | 備考 |
|---|---|---|
| 数珠(じゅず) | 念仏・読経の回数を数える珠連。合掌時に両手にかける | 宗派ごとに珠の数・形・使い方が異なる。数珠の宗派別の違いはこちら |
| 経机(きょうつくえ) | 経本・経典を置いて読経するための小型の机 | 香炉を乗せることもある |
| 経本(きょうほん) | 読経に用いる経典を冊子にしたもの | 宗派ごとに内容が異なる |
| 過去帳(かこちょう) | 先祖代々の法名・没年月日・俗名を記録する帳面 | 全宗派で使用。浄土真宗では位牌の代わりになる |
| 見台(けんだい) | 過去帳を開いて立てかけて置くための台 | 別名:過去帳見台(かこちょうけんだい) |
| 仏壇(ぶつだん) | 本尊・位牌を安置し日常の礼拝の場となる厨子型家具 | 素材・様式は宗派・地域で多様 |
| 念珠入れ(ねんじゅいれ) | 数珠を収納・保管する袋または箱 | 数珠袋(じゅずぶくろ)とも呼ぶ |
| 焼香盆(しょうこうぼん) | 焼香炉・抹香を載せて参列者に回す盆 | 法要の焼香時に使用 |
| 切手盆(きってぼん) | お布施や香典を乗せて渡す際に使う小型の盆 | 別名:長手盆(ながてぼん) |
宗派専用の仏具
宗派によって使う仏具は大きく異なります。以下は代表的な宗派専用仏具です。
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| 宗派 | 仏具名(読み) | 特徴・用途 |
|---|---|---|
| 浄土真宗(全派) | 供笥(くげ) | 花びら形の供物台。他宗の高杯に相当する |
| 浄土真宗(全派) | 華瓶(けびょう) | 樒を挿す瓶型の花立て。五具足の花立に相当 |
| 浄土真宗(全派) | 鏧子(けいす) | 椀形の小鐘。おりんの代わりに読経の合図に使う |
| 浄土真宗(全派) | 音木(おんぎ) | 紫檀製の棒状打楽器。読経の拍子を取る |
| 浄土真宗(全派) | 法名軸(ほうみょうじく) | 法名を記した掛軸。位牌の代わりに仏壇に飾る |
| 浄土真宗本願寺派(西) | 土香炉(どこうろ) | 青磁製の丸形香炉。線香を寝かせて焚く |
| 浄土真宗本願寺派(西) | 蓮傘瓔珞(れんがさようらく) | 蓮の傘形に蝶形パーツを連ねた吊り下げ装飾 |
| 浄土真宗大谷派(東) | 透かし香炉(すかしこうろ) | 金属透かし彫りの足付き香炉。線香を寝かせて使う |
| 浄土真宗大谷派(東) | 輪灯瓔珞(りんとうようらく) | 輪灯の上部に取り付ける環状の宝飾装飾 |
| 真言宗・天台宗(密教) | 独鈷杵(どっこしょ) | 上下に1本ずつ刃を持つ金属製法具。煩悩を打ち砕く象徴 |
| 真言宗・天台宗(密教) | 三鈷杵(さんこしょ) | 上下に3本ずつ刃を持つ金属製法具。三業を清める |
| 真言宗・天台宗(密教) | 五鈷杵(ごこしょ) | 上下に5本ずつ刃を持つ法具。五仏・五智を表す |
| 真言宗・天台宗(密教) | 独鈷鈴(どっこれい) | 独鈷杵の片方が鈴状の法具。仏を呼び寄せるときに鳴らす |
| 真言宗・天台宗(密教) | 三鈷鈴(さんこれい) | 三鈷杵の片方が鈴状の法具。加持祈祷で使用 |
| 真言宗・天台宗(密教) | 五鈷鈴(ごこれい) | 五鈷杵の片方が鈴状の法具。密教修法で使用 |
| 真言宗・天台宗(密教) | 羯磨(かつま) | 三鈷杵を十字に組み合わせた形の法具。修法壇の四隅に置く |
| 真言宗・天台宗(密教) | 塗香器(ずこうき) | 香粉(塗香)を入れる蓋付き容器。修法前の身の清めに使う |
| 真言宗・天台宗(密教) | 護摩木(ごまき) | 護摩供でたき火に投入する細木 |
| 日蓮宗 | 木柾(もくしょう) | 丸形の木製打楽器。木魚の代わりに読経のリズムを刻む |
| 日蓮宗 | 大曼荼羅(だいまんだら) | 日蓮が書した文字による曼荼羅。日蓮宗の本尊形式 |
| 禅宗(曹洞宗・臨済宗) | 払子(ほっす) | 獣毛・麻を束ねた柄付き道具。煩悩を払う威儀具 |
| 禅宗(曹洞宗・臨済宗) | 坐蒲(ざふ) | 坐禅修行で使う円形の厚いクッション |
| 禅宗(曹洞宗・臨済宗) | 雲版(うんばん) | 雲形の金属板を打つ合図具。禅宗寺院で多用 |
| 各宗派共通 | 如意(にょい) | 柄の長い棒状道具。法要時に僧侶が手に持つ威儀具 |
| 各宗派共通 | 中啓(ちゅうけい) | 末広がりの儀式用扇子。法要時に僧侶が持つ |
| 各宗派共通 | 曼荼羅(まんだら) | 仏の世界観を図像・文字で表した掛軸形式の本尊 |
豆知識|三具足・五具足・七具足の体系
仏具セットには「三具足(みつぐそく)」「五具足(ごぐそく)」「七具足(しちぐそく)」という体系があります。
三具足は香炉1・燭台1・花立1の3点。仏前の最小限の供養形式で、日常の礼拝はこれで整います。香炉が中央、花立が向かって右、燭台が向かって左に置くのが基本です(宗派によって異なります)。
五具足は香炉1・燭台2・花立2の5点。燭台と花立が左右一対になり、法要や仏事の正式な形です。
七具足は五具足に仏飯器と茶湯器を加えた7点で、より丁寧な供養の形とされます。
この「三・五・七」という奇数の体系は、縁起のよい奇数を重んじる仏教的な思想を反映しています。実際の仏壇の設えは、宗派・寺院・家庭の事情によってさまざまですので、菩提寺にご確認ください。
まとめ
仏具は荘厳具・供養具・梵音具・礼拝用具・宗派専用仏具の5カテゴリに大別でき、それぞれが礼拝・供養・修行の場を整える役割を持ちます。本記事では71種を網羅しましたが、仏具の形式は宗派・地域・寺院の伝統によって大きく異なります。仏壇の購入や法事の際は、菩提寺や信頼できる仏具店にご相談ください。