
経済学の用語は、知っていると毎日のニュースがぐっとわかりやすくなります。「インフレが進んでいます」「金融政策が〜」「比較優位で〜」——テレビや新聞でよく耳にする言葉でも、正確な意味まで把握している人は少ないものです。
この記事では、経済学の用語を122語まとめました。ミクロ経済学・マクロ経済学・金融政策・国際貿易・行動経済学・ゲーム理論の6分野に分けて、読み方・一言の意味・身近な例を3列で整理しています。大学入試・資格試験の対策から、ニュース読解・投資の基礎知識まで幅広く使えます。
経済学の用語一覧(全122選)
ミクロ経済学の基本用語
個人・企業レベルの経済行動を分析するミクロ経済学の基本用語です。「需要と供給」「費用と効用」など、経済学の土台になる概念が揃っています。
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| 用語 | 読み | 意味 | 身近な例 |
|---|---|---|---|
| 希少性 | きしょうせい | 欲求に対してモノ・サービスが常に不足しているという経済学の大前提 | お金も時間も食料も、欲しいだけは手に入らない |
| 需要 | じゅよう | ある価格で消費者が購入したいと思う量の合計 | 値段が下がるほど買いたい人が増える |
| 需要の法則 | じゅようのほうそく | 他の条件が同じなら価格が上がるほど需要量が減るという経済学の基本法則 | 値上げした商品はだいたい売れにくくなる |
| 供給 | きょうきゅう | ある価格で生産者が販売したいと思う量の合計 | 値段が上がるほど作りたい企業が増える |
| 均衡価格 | きんこうかかく | 需要量と供給量がちょうど一致する価格 | 市場が「落ち着く」値段 |
| 価格弾力性 | かかくだんりょくせい | 価格が1%変化したとき需要量が何%変化するかを示す指数 | 食料品は低く、宝石・観光は高い |
| 効用 | こうよう | 消費者がモノ・サービスから得る満足感の大きさ | 空腹時の食事から得る「うれしさ」 |
| 限界効用 | げんかいこうよう | 財を1単位追加して消費したときに得られる追加の満足量 | 3杯目のビールの「うれしさ」 |
| 限界効用逓減の法則 | げんかいこうようていげんのほうそく | 同じ財を消費し続けると1単位あたりの満足感が徐々に下がること | 食べ続けるとだんだん美味しく感じなくなる |
| 機会費用 | きかいひよう | ある選択をしたことで諦めた別の選択肢から得られたはずの利益 | 大学進学の費用は授業料だけでなく「働けたはずの給料」も含む |
| サンクコスト | サンクコスト(埋没費用) | すでに支出済みで回収不可能な費用 | 「お金を払ったから」とつまらない映画を最後まで見てしまう |
| 限界費用 | げんかいひよう | 生産量を1単位増やすために追加でかかる費用 | 工場でジュースを1本多く作るコスト |
| 固定費用 | こていひよう | 生産量に関係なく一定にかかる費用 | 工場の家賃・設備費 |
| 変動費用 | へんどうひよう | 生産量に比例して増減する費用 | 材料費・アルバイト代 |
| 平均費用 | へいきんひよう | 総費用を生産量で割った1単位あたりのコスト | 1個作るのにいくらかかるか |
| 規模の経済 | きぼのけいざい | 生産量が増えるほど1単位あたりのコストが下がること | 大量生産するほど製品が安くなる |
| 範囲の経済 | はんいのけいざい | 複数の財を合わせて生産するほうが別々より効率が上がること | 牛乳とバターを同じ工場で作るほうが安い |
| 無差別曲線 | むさべつきょくせん | 消費者が同じ満足度を得られる財の組み合わせを示した曲線 | コーヒーとお茶をどう組み合わせても同じ満足度になる線 |
| 予算制約 | よさんせいやく | 所得と価格が与えられたとき消費できる財の最大量の限界 | 月3万円で食費と交通費を配分する限界 |
| 消費者余剰 | しょうひしゃよじょう | 消費者が実際に払う価格と支払ってもよいと思う最高額との差額 | 5000円出してもいい商品を3000円で買えたら2000円分の「得」 |
| 生産者余剰 | せいさんしゃよじょう | 生産者が実際に受け取る価格と最低限受け入れられる価格との差額 | 原価600円の商品を800円で売れたら200円の「得」 |
| 死荷重 | しかじゅう | 独占や課税により取引が行われず失われる社会的余剰の損失 | 高関税で貿易量が減り誰も得をしない損失 |
| トレードオフ | トレードオフ | 一方を追求すると他方を犠牲にしなければならない関係 | インフレ抑制と景気刺激は同時に実現しにくい |
| パレート効率 | パレートこうりつ | 誰かを損させずには誰かをそれ以上改善できない最適な状態 | これ以上改善できない「完璧な資源配分」 |
| パレート改善 | パレートかいぜん | 誰かを損させることなく誰かを改善できる変化 | 双方にとってよりよい取引を見つけること |
| 費用便益分析 | ひようべんえきぶんせき | 政策や事業の全費用と全便益を金額換算して比較する手法 | ダム建設の是非を経済計算で判断する |
市場構造と市場の失敗
競争の形態と、市場だけでは解決できない問題を扱う分野です。独占・外部性・情報の非対称性など、政府が介入する根拠になる概念が多く含まれます。
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| 用語 | 読み | 意味 | 身近な例 |
|---|---|---|---|
| 完全競争 | かんぜんきょうそう | 多数の企業が同一財を販売し、どの企業も価格を決める力を持たない市場 | 農産物市場が近い(同じ白米なら価格を決められない) |
| 独占 | どくせん | 1社のみが市場で財・サービスを供給する状態 | 電力会社がかつて地域ごとに独占していた |
| 寡占 | かせん | 少数の大企業が市場を支配する状態 | スマートフォン市場はApple・Samsung等数社が主導 |
| 独占的競争 | どくせんてききょうそう | 多数の企業が差別化した商品を競争する市場形態 | レストランや美容院(価格を多少変えても客は離れない) |
| 自然独占 | しぜんどくせん | 規模の経済が大きく、1社が供給したほうが効率的な産業 | 電力・ガス・水道・鉄道インフラ |
| 価格差別 | かかくさべつ | 同一の財を異なる消費者に異なる価格で販売すること | 学生割引・早期予約割引・会員価格 |
| 外部性 | がいぶせい | 市場取引の外側で第三者に与える費用または便益 | 工場の煤煙が近隣住民に与える被害 |
| 正の外部性 | せいのがいぶせい | 第三者に無償で利益をもたらす外部効果 | ワクチン接種で周囲も感染リスクが下がる |
| 負の外部性 | ふのがいぶせい | 第三者に無償で損害を与える外部効果 | 工場の大気汚染・河川汚染 |
| ピグー税 | ぴぐーぜい | 負の外部性を内部化するために課す税 | 炭素税・環境税がこれにあたる |
| 公共財 | こうきょうざい | 非競合性・非排除性を持ち、市場では適切に供給されにくい財 | 国防・街灯・一般道路(誰かが使っても減らない・排除できない) |
| 共有地の悲劇 | きょうゆうちのひげき | 共有資源は各個人が使い過ぎて枯渇するという現象 | 漁業資源の乱獲・草地の食い荒らし |
| 情報の非対称性 | じょうほうのひたいしょうせい | 取引の一方が他方より多くの情報を持っている状況 | 中古車販売・保険市場で顕著 |
| モラルハザード | モラルハザード | 保険加入などでリスクが他者に転嫁されると、当事者がリスクの高い行動をとりやすくなること | 「どうせ保険が出る」と医療費を気にしなくなる |
| 逆選択 | ぎゃくせんたく | 情報の非対称性のもとで質の悪い商品・取引相手が優先的に残る現象 | 健康な人が医療保険に入らず病気がちな人だけが加入する |
| プリンシパル=エージェント問題 | プリンシパルエージェントもんだい | 依頼者(株主)と代理人(経営者)の利害が一致しない問題 | 会社の利益より経営者個人の報酬・保身が優先されるケース |
| 市場の失敗 | しじょうのしっぱい | 市場メカニズムだけでは効率的な資源配分が達成できない状態 | 外部性・公共財・独占・情報の非対称性が主な原因 |
| コースの定理 | コースのていり | 取引費用がゼロなら当事者間の交渉で外部性問題は効率的に解決されるという定理 | 財産権を明確にすれば補償交渉で解決できる |
| 規制の虜 | きせいのとりこ | 規制機関が規制対象産業に支配されてしまう現象 | 金融庁が大手銀行の利益を優先してしまうケース |
| フリーライダー問題 | フリーライダーもんだい | 公共財や集合行動のコストを払わずに利益だけを受ける者が出る問題 | 税を払わず公共サービスを利用する・デモに乗っかるだけ |
マクロ経済学の基本用語
国全体の経済規模・物価・雇用を扱うマクロ経済学の用語です。GDPやインフレなど、ニュースで最も頻繁に登場する言葉が集まっています。
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| 用語 | 読み | 意味 | 身近な例 |
|---|---|---|---|
| GDP(国内総生産) | こくないそうせいさん | 一定期間に国内で生産された財・サービスの付加価値の合計 | 日本のGDPは約617兆円(2024年度名目・初の600兆円超え)。国の経済規模を示す最重要指標 |
| GNP(国民総生産) | こくみんそうせいさん | 自国民が国内外で生産した財・サービスの合計(現在はGNIに移行) | 海外で働く日本人の生産も含む |
| GNI(国民総所得) | こくみんそうしょとく | 国民が国内外から受け取った所得の合計 | GNPとほぼ同義で現在の主流の指標 |
| 名目GDP | めいもくGDP | 現在の市場価格で評価したGDP | 物価が上がるとGDPも増えて見えるため実態を反映しにくい |
| 実質GDP | じっしつGDP | 物価変動の影響を除いたGDP | 実際の経済成長を測るのに使う |
| インフレーション | インフレーション | 物価全体が持続的に上昇し、お金の価値が下がっていく現象 | 去年100円だったパンが110円になる |
| デフレーション | デフレーション | 物価全体が持続的に下落し、お金の価値が上がっていく現象 | 価格下落で企業利益が減り、賃金も下がる悪循環 |
| スタグフレーション | スタグフレーション | インフレと景気後退(失業増加)が同時に起きる最悪の経済状態 | 1970年代のオイルショック時に世界中で発生 |
| ハイパーインフレ | ハイパーインフレ | 月率50%以上という異常な速度で物価が上昇する現象 | 1920年代ドイツでパン1個を買うのに一輪車いっぱいの紙幣が必要になった |
| 消費者物価指数(CPI) | しょうひしゃぶっかしすう | 一般消費者が購入するモノ・サービスの価格変動を指数化したもの | 日本のインフレ率を測る最も身近な指標 |
| GDPデフレーター | GDPデフレーター | GDPベースで物価変動を測る指数(名目GDP÷実質GDP×100) | CPIより幅広い経済活動の物価を反映する |
| 潜在GDP | せんざいGDP | 完全雇用・設備フル稼働のときに達成できる最大GDP | 日本の実際のGDPと比べた「伸びしろ」 |
| GDPギャップ | GDPぎゃっぷ | 実際のGDPと潜在GDPの差 | プラスなら景気過熱、マイナスなら不況のサイン |
| 乗数効果 | じょうすうこうか | 政府支出が1増えると国民所得がそれ以上に増える波及効果 | 公共工事が建設業者・材料業者・飲食業へと連鎖する |
| クラウディングアウト | クラウディングアウト | 政府が大量に国債を発行すると金利が上昇し民間投資が減る現象 | 政府の借金が企業の投資を「締め出す」 |
| 有効需要 | ゆうこうじゅよう | 実際の購買力を伴った需要(ケインズが重視した概念) | 「欲しい」だけでなく「買えるお金もある」需要 |
| 総需要 | そうじゅよう | 経済全体の財・サービスへの需要の合計(消費+投資+政府支出+純輸出) | 景気刺激策はこれを増やすことを目的とする |
| 総供給 | そうきょうきゅう | 経済全体で供給される財・サービスの合計 | 生産能力や労働力で上限が決まる |
| 景気循環 | けいきじゅんかん | 拡張・後退・谷・回復という4局面を繰り返す経済活動のリズム | 好景気と不景気は約10年前後の周期で交互に訪れることが多い |
| 景気後退 | けいきこうたい(リセッション) | GDPが2四半期連続でマイナス成長となる状態 | リーマンショック後の2008〜2009年が代表例 |
| 完全雇用 | かんぜんこよう | 働きたい人が全員仕事に就けている状態 | 経済政策の最終目標の一つ |
| 自然失業率 | しぜんしつぎょうりつ | 摩擦的・構造的失業のみが残る理論上の最低失業率 | 日本では約3〜4%前後とされる |
| フィリップス曲線 | フィリップスきょくせん | インフレ率と失業率が逆相関する関係を示したグラフ | 失業を減らすとインフレになり、インフレを抑えると失業が増える |
| 所得再分配 | しょとくさいぶんぱい | 税や社会保障で所得を高所得者から低所得者へ移転する機能 | 累進課税・生活保護がこの役割を担う |
| ジニ係数 | じにけいすう | 所得格差を0〜1で表す指標(0=完全平等、1=完全不平等) | 先進国は0.3前後、途上国では0.5超の国もある |
| 経済成長率 | けいざいせいちょうりつ | 実質GDPの前年比変化率 | 日本は近年0〜2%前後で推移。先進国では2〜3%が「好調」の目安 |
金融・財政政策の用語
中央銀行・政府が景気を管理するための政策手段に関する用語です。金融ニュースを読むために欠かせない言葉が揃っています。
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| 用語 | 読み | 意味 | 身近な例 |
|---|---|---|---|
| 金融政策 | きんゆうせいさく | 中央銀行が金利やお金の供給量を調整して景気・物価を管理する政策 | 日銀がゼロ金利・マイナス金利政策を続けてきた |
| 財政政策 | ざいせいせいさく | 政府が歳入(税収)と歳出(支出)を調整して景気に影響を与える政策 | 不況時に公共工事を増やして景気を刺激する |
| 公開市場操作 | こうかいしじょうそうさ | 中央銀行が国債を売買して市場に流通するお金の量を調節する手法 | 国債を買うと市場にお金が流れ込む(量的緩和につながる) |
| 量的緩和(QE) | りょうてきかんわ | 中央銀行が大量に国債等を買い入れてお金の供給量を増やす非伝統的金融政策 | リーマンショック後に米FRBが大規模実施 |
| 金利 | きんり | お金を貸し借りしたときに生じる利子の割合(年率表示が一般的) | 借金を増やして投資するかどうかを左右する |
| 政策金利 | せいさくきんり | 中央銀行が決定する基準の金利 | 日銀がゼロ〜マイナスに維持してきた金利 |
| 準備率 | じゅんびりつ(法定準備率) | 銀行が預金のうち中央銀行に預けなければならない割合 | これを下げると銀行が貸し出せるお金が増える |
| 信用創造 | しんようそうぞう | 銀行が貸し出しを繰り返すことで預金量を何倍にも増やすメカニズム | 1000万円の預金が銀行を経由して数千万円規模の経済活動を生む |
| 流動性のわな | りゅうどうせいのわな | 金利がほぼゼロになっても追加の金融緩和が効かなくなる状態 | お金を刷っても誰も使わず「貯め込む」だけになる状況 |
| プライマリーバランス | プライマリーバランス | 国債返済を除いた政府の歳入と歳出の差(基礎的財政収支) | 財政健全化の目標指標として使われる |
| 財政赤字 | ざいせいあかじ | 国の歳出が歳入を上回っている状態 | 日本は1990年代以降ほぼ慢性的な赤字状態が続く |
| 国債 | こくさい | 国が資金調達のために発行する債券 | 元本と利子を約束して買ってもらう国の借用証書 |
| テイラー・ルール | テイラーのルール | インフレ率と需給ギャップから最適な政策金利を導く計算式 | 中央銀行の金利決定の目安として世界中で参照される |
| 財政乗数 | ざいせいじょうすう | 財政支出が1増えると国民所得が何倍になるかを示す値 | 景気がよい時は低く、不況時は高くなる |
| リカードの等価定理 | リカードのとうかていり | 国債発行による財政出動は将来の増税を予測した貯蓄増加で相殺されるという仮説 | 「国の借金は将来の自分たちの借金」という直観に対応する |
| ソブリンリスク | ソブリンリスク | 国家が債務不履行(デフォルト)に陥るリスク | ギリシャ危機(2010年代)はこのリスクが顕在化した代表例 |
国際経済・貿易の用語
国と国の間の経済関係を扱う分野の用語です。貿易・為替・国際収支など、グローバルな経済ニュースを読む上で必要な言葉を揃えています。
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| 用語 | 読み | 意味 | 身近な例 |
|---|---|---|---|
| 比較優位 | ひかくゆうい | 他国と比べて相対的に効率よく生産できる財に特化して貿易するほうが双方に利益になるという原理 | リカードが提唱。たとえ一国が全分野で劣っていても貿易で双方得になれる |
| 絶対優位 | ぜったいゆうい | ある財を絶対的に少ないコストで生産できること | 比較優位ではなく単純なコスト比較。スミスが最初に論じた |
| 自由貿易 | じゆうぼうえき | 関税やその他の貿易規制を設けず国家間で自由に貿易できる状態 | WTOはこれを推進する国際機関 |
| 保護貿易 | ほごぼうえき | 関税・輸入規制で国内産業を外国との競争から守る政策 | 農業・鉄鋼など国内産業保護のために多くの国が採用 |
| 関税 | かんぜい | 輸入品に課される税 | 鉄鋼に25%の関税をかけると輸入量が減り国内産業が守られる |
| 非関税障壁 | ひかんぜいしょうへき | 関税以外の方法で輸入を制限する規制 | 煩雑な検査・独自の安全基準・輸入割当など |
| 為替レート | かわせレート | 異なる通貨の交換比率 | 1ドル=○○円という日常的な表示 |
| 購買力平価(PPP) | こうばいりょくへいか | 各国の通貨の購買力が等しくなるよう為替レートが決まるという仮説 | ビッグマック指数が有名な例 |
| 変動相場制 | へんどうそうばせい | 為替レートを市場の需給に任せて変動させる制度 | 現在の日本が採用する制度 |
| 固定相場制 | こていそうばせい | 為替レートを一定に固定する制度 | 1971年のニクソンショックまで1ドル=360円で固定されていた |
| 経常収支 | けいじょうしゅうし | 貿易・サービス・所得・移転など経済取引の総合的な収支 | 黒字なら稼いでいる国、赤字なら借りている国 |
| ダンピング | ダンピング(不当廉売) | 外国企業が輸出市場でコスト以下の不当廉売をすること | WTOでは反ダンピング税による対抗措置が認められている |
| 貿易収支 | ぼうえきしゅうし | 財(モノ)の輸出額から輸入額を引いた差額 | 黒字なら日本が海外に売る量が多い状態 |
| 国際収支 | こくさいしゅうし | 一国の対外的なすべての経済取引の記録(経常収支+資本収支+金融収支) | 国際的なお金の流れの全体像を示す |
行動経済学・ゲーム理論の用語
「人は必ずしも合理的ではない」という発見から生まれた行動経済学と、複数の意思決定者を分析するゲーム理論の用語をまとめました。現代経済学で最も注目を集める分野です。
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| 用語 | 読み | 意味 | 身近な例 |
|---|---|---|---|
| 行動経済学 | こうどうけいざいがく | 心理学的知見を取り入れ、実際の人間がどう意思決定するかを分析する経済学の分野 | 「人は合理的に行動する」という従来の前提を覆した |
| 合理的経済人(ホモ・エコノミクス) | ごうりてきけいざいじん | 常に自分の利益を最大化するよう合理的に行動するという伝統的経済学の人間モデル | 現実の人間はこの通りには動かないと行動経済学が示した |
| プロスペクト理論 | プロスペクトりろん | 人は同額でも「得る喜び」より「失う痛み」を約2倍強く感じるという理論 | カーネマン・トベルスキーが提唱。2002年ノーベル経済学賞 |
| 損失回避 | そんしつかいひ | 同じ金額でも損失の痛みは利益の喜びより強く感じられる傾向 | 株が下がっても売れず「塩漬け株」を持ち続けてしまう |
| アンカリング | アンカリング | 最初に見た数字(アンカー)が後の判断に強い影響を与える心理現象 | 定価5000円から3000円への値引きが「お得感」を生む |
| ナッジ | ナッジ | 強制せず選択肢の提示方法で行動を望ましい方向に誘導する手法 | 食堂で健康的な食品を目の高さに置くだけで選ばれやすくなる |
| フレーミング効果 | フレーミングこうか | 同じ情報でも「提示の仕方」によって判断が変わる心理効果 | 「手術の成功率90%」と「死亡率10%」で受け取り方が変わる |
| ヒューリスティクス | ヒューリスティクス | 時間・情報が限られた中での直感的・経験則的な意思決定の方法 | 「有名人が使っているから良いはず」という判断 |
| 現在バイアス | げんざいバイアス | 遠い将来の利益より目先の利益を強く好む傾向 | 「ダイエットは明日から」「貯金はいつかしよう」 |
| 双曲割引 | そうきょくわりびき | 将来の利益に対して近いほど割引率が高くなる非一貫的な評価 | 今日の1万円と1ヶ月後の1万1千円を同じように感じてしまう |
| サンクコストの誤謬 | サンクコストのごびゅう | 回収不能な過去の投資を考慮して合理的でない判断を続けること | 「もう100万円使ったから」と成功見込みのないプロジェクトを続ける |
| バンドワゴン効果 | バンドワゴンこうか | 多くの人が選んでいるからという理由で追随して選ぶ心理 | 「みんながやっているから」という消費行動・流行への乗り方 |
| ゲーム理論 | ゲームりろん | 複数の意思決定者が戦略的に行動するとき何が起きるかを数学的に分析する理論 | 経済・政治・進化生物学まで幅広く応用される |
| ナッシュ均衡 | ナッシュきんこう | 全プレイヤーが互いの戦略を前提として最適を尽くしており、誰も一方的に戦略を変えるインセンティブがない状態 | 数学者ジョン・ナッシュが提唱。映画『ビューティフル・マインド』の主人公 |
| 囚人のジレンマ | しゅうじんのジレンマ | 個人が合理的行動をとると全員にとって最悪の結果になるゲーム理論の代表例 | 企業の価格競争・軍拡競争・地球温暖化交渉に応用される |
| 支配戦略 | しはいせんりゃく | 相手がどの戦略をとっても自分にとって最善の戦略 | 囚人のジレンマでは「自白」が支配戦略になる |
| 協調ゲーム | きょうちょうゲーム | 複数の当事者が同じ選択をすることで双方に利益がある状況 | 「右側通行か左側通行か」はどちらかに全員が統一すれば良い |
| バックワードインダクション | バックワードインダクション(後向き帰納法) | ゲームの最後から逆算して最初の最適行動を決める推論手法 | チェスや交渉の最適戦略を求めるのに使う |
| オークション理論 | オークションりろん | さまざまなオークション形式における入札行動を分析する理論 | 電波帯域の競売・政府調達入札に応用される |
| レントシーキング | レントシーキング | 新しい価値を生み出さず、政治的働きかけなど社会的な仕組みを利用して利益を得ようとする行動 | ロビー活動で規制を自社有利に変えさせようとする企業行動 |
経済学用語の豆知識
ノーベル経済学賞は「本家」ではない
ノーベル賞の中で「経済学賞」だけは、ノーベルの遺言による本来のノーベル賞ではありません。1968年にスウェーデン国立銀行が設立した「アルフレッド・ノーベル記念スウェーデン国立銀行経済学賞」が正式名称です。そのため他のノーベル賞受賞者から異論が出ることもあります。行動経済学の創始者リチャード・セイラー(2017年受賞)やゲーム理論のジョン・ナッシュ(1994年受賞)などが受賞しています。
GDPに含まれないもの
GDPには「市場を通じた経済活動」しか含まれません。家庭での料理・掃除・育児(家事)、ボランティア活動、友達への無償の手伝いなどはGDPに入りません。一方で不法薬物の売買や違法賭博は統計上難しいものの、一部の国では推計に含めています。日本の家事労働を金銭換算すると年間100兆円以上になるという試算もあり、GDPだけでは経済の豊かさを正確に測れないという批判があります。
「ビッグマック指数」とは
購買力平価を直感的に示す指標として、イギリスの経済誌『エコノミスト』が1986年から発表している「ビッグマック指数」があります。世界各国で同じ材料・製法で作られるビッグマックの価格を比較することで、各国の通貨の割安・割高を判断します。2024年時点で日本のビッグマック価格(約480円)はアメリカ(約900円相当)より大幅に安く、円が購買力平価ベースで大きく割安であることが示されています。
まとめ
経済学の用語122語を6つの分野に分けてまとめました。ミクロ経済学の「限界効用」「機会費用」といった基本概念から、マクロ経済学の「GDP」「インフレ」、金融政策の「量的緩和」「政策金利」、国際経済の「比較優位」「購買力平価」、そして行動経済学の「プロスペクト理論」「ナッジ」、ゲーム理論の「ナッシュ均衡」「囚人のジレンマ」まで、ニュースや試験でよく出る用語を網羅しています。
経済学の知識は、毎日のニュースの解像度を上げるだけでなく、自分自身の意思決定の質を高めることにも役立ちます。似た知識として社会・ビジネスの法則63選や認知バイアス一覧もあわせてご覧ください。












