
映画には「アクション」「ホラー」だけでなく、「フィルム・ノワール」「スプラッター」「グラインドハウス」など数十種類以上のジャンルが存在します。
本記事では、映画の主要ジャンル・サブジャンルを74種、英語・原語名と語源(由来)つきでカテゴリ別に一覧にまとめました。後半には「スリラーとサスペンスの違いは?」「スプラッターとゴアって何が違うの?」「フィルム・ノワールってどういう意味?」といった疑問にもお答えします。
映画ジャンル・サブジャンル一覧(全74種)
カテゴリ別に整理しています。語源は英語・フランス語・ラテン語・ギリシャ語など原語の意味を掲載しています。
基本ジャンル(9種)
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| ジャンル名 | 英語・原語名 | 語源・由来 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| アクション | Action | ラテン語 actio(行為・行動) | 主人公が体を張って戦う・追跡・爆発シーンが中心 |
| アドベンチャー(冒険) | Adventure | 古フランス語 aventure(運命・出来事) | 探索・財宝・未知の土地を巡る冒険が軸 |
| コメディ | Comedy | ギリシャ語 kōmōidía(祭典の歌) | ユーモアや笑いを主軸に展開するジャンル |
| ドラマ | Drama | ギリシャ語 drāma(行為・行動) | 人間関係・感情・社会問題を描く最も広義なジャンル |
| ロマンス | Romance | 俗ラテン語 romanice(ローマ語で) | 恋愛・感情的な結びつきを主軸にした物語 |
| ミュージカル | Musical | music(音楽)+ -al を名詞化 | 歌と踊りでストーリーを進めるジャンル |
| アニメーション | Animation | ラテン語 animatio(命を吹き込む) | 手描き・CGなど映像を逐次制作した映画 |
| ドキュメンタリー | Documentary | ラテン語 documentum(書類・証拠) | 実際の出来事・人物・社会を記録した映画 |
| ファミリー | Family | ラテン語 familia(家族・召使い集団) | 子どもから大人まで楽しめる全年齢向け映画 |
ホラー・スリラー・サスペンス系(9種)
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| ジャンル名 | 英語・原語名 | 語源・由来 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| ホラー | Horror | ラテン語 horror(震え上がる恐怖・戦慄) | 超自然的・怪物的な恐怖で観客を震え上がらせる |
| スリラー | Thriller | 英語 thrill(震え・感動)+ -er | 身体的な恐怖と興奮を断続的に与えるジャンル |
| サスペンス | Suspense | ラテン語 suspensus(宙吊りの状態) | 緊張と不安感を「宙吊り」のように持続させる |
| ミステリー | Mystery | ギリシャ語 mystērion(秘密の儀式) | 謎・事件の解明を軸に展開する論理的な物語 |
| サイコスリラー | Psychological Thriller | psychological(心理的)+ thriller | 犯人・被害者の心理戦・精神的恐怖が中心 |
| スプラッター | Splatter | 英語 splatter(液体が飛び散る) | 血しぶき・内臓などの視覚的グロテスクさが特徴 |
| ゴア | Gore | 古英語 gor(凝血・ドロドロした血) | スプラッターの旧称。1970年代以前に主に使われた語 |
| オカルト | Occult | ラテン語 occultus(隠された・秘密の) | 悪魔崇拝・霊媒・超常現象を扱うジャンル |
| モンスター | Monster | ラテン語 monstrum(怪物・凶兆・不吉な徴) | 怪物や変異体が主な恐怖の源となる映画 |
SF・ファンタジー系(8種)
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| ジャンル名 | 英語・原語名 | 語源・由来 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| SF(サイエンス・フィクション) | Science Fiction | science(科学)+ fiction(虚構) | 科学技術・宇宙・未来・異星を舞台にした映画 |
| ファンタジー | Fantasy | ギリシャ語 phantasia(想像・幻) | 魔法・魔物・異世界など非現実的な世界観 |
| スペース・オペラ | Space Opera | horse opera・soap opera と同じ「-opera」の命名パターンから(1941年・ウィルソン・タッカーが造語) | 宇宙を舞台にした壮大な冒険・戦争・恋愛 |
| ダーク・ファンタジー | Dark Fantasy | dark(暗い)+ fantasy(幻想) | 重苦しい世界観・残酷な展開の大人向けファンタジー |
| サイバーパンク | Cyberpunk | cyber(制御工学)+ punk(反骨) | 高度なIT社会の管理と人間の反抗を描くSFサブジャンル |
| スチームパンク | Steampunk | steam(蒸気)+ punk(反骨) | 19世紀蒸気機関時代の技術が発達した架空世界を描く |
| ポスト・アポカリプス | Post-Apocalypse | ギリシャ語 apokalypsis(啓示・黙示録)+ post(後) | 文明崩壊後の世界を舞台にしたジャンル |
| ディストピア | Dystopia | ギリシャ語 dys(悪い)+ topos(場所) | 全体主義・監視社会など理想の逆を行く暗黒社会 |
犯罪・ノワール系(7種)
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| ジャンル名 | 英語・原語名 | 語源・由来 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 犯罪(クライム) | Crime | ラテン語 crimen(罪・告発) | 犯罪者・探偵・警察を主人公にした映画の総称 |
| フィルム・ノワール | Film Noir | フランス語 film(映画)+ noir(黒い) | 1940〜50年代アメリカの陰鬱な犯罪映画の様式 |
| ネオノワール | Neo Noir | neo(新・現代)+ noir(黒) | フィルム・ノワールの様式を現代に継承した作品群 |
| ギャング映画 | Gangster Film | 英語 gang(一味)+ -ster(〜する人) | 犯罪組織・マフィアを中心に描いた映画 |
| スパイ映画 | Spy Film | 古フランス語 espier(密かに見る) | 諜報員を主人公にした謀略・秘密作戦の映画 |
| ケイパー映画 | Caper Film | 英語 capers(悪ふざけ・軽業) | 犯罪計画の立案〜実行〜どんでん返しを描く |
| ヴィジランテ映画 | Vigilante Film | ラテン語 vigilans(見張る人・見張り番) | 法に頼らず私的制裁を行う主人公の復讐劇 |
歴史・戦争・西部劇系(6種)
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| ジャンル名 | 英語・原語名 | 語源・由来 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 歴史映画 | Historical Film | ギリシャ語 historia(探求・調査) | 過去の実際の出来事・人物を描いた映画 |
| 伝記映画(バイオピック) | Biopic | bio(生命)+ pic(pictureの略語) | 実在の人物の生涯を描いた映画 |
| 戦争映画 | War Film | 英語 war(戦争) | 戦場・戦時中の人間ドラマを描く映画 |
| 西部劇 | Western | 英語 western(西部の) | 19世紀アメリカ西部開拓時代を舞台にした映画 |
| マカロニ・ウェスタン | Spaghetti Western | イタリア製西部劇を米国人が「スパゲッティ」と侮蔑的に命名 | イタリア制作の西部劇。セルジオ・レオーネが代表格 |
| スペクタクル映画 | Spectacle Film | ラテン語 spectaculum(見世物・壮観な眺め) | 大規模なロケ・戦争・群衆場面を特徴とする大作映画 |
日本・アジア発のジャンル(5種)
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| ジャンル名 | 英語・原語名 | 語源・由来 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 時代劇 | Jidaigeki | 日本語「時代」+「劇」(時代ごとの劇) | 江戸時代以前の日本を舞台にした映画・ドラマ |
| 剣戟映画(チャンバラ) | Chanbara | 「チャン・バラ」(刀が交わる音の擬音語) | 刀で戦う侍・忍者が主人公の時代劇ジャンル |
| ヤクザ映画 | Yakuza Film | やくざ(花札カブで8+9+3=20→0点が最弱の組み合わせ→無頼者の意味に転じた・諸説あり) | 日本の暴力団を主人公にした犯罪・任侠映画 |
| 怪獣映画 | Kaiju Film | 日本語「怪獣」(怪しい獣)が英語圏でも定着 | 巨大怪獣の破壊・人類との戦いを描く。ゴジラが代表 |
| カンフー映画 | Kung Fu Film | 広東語 功夫(gōng fū)(熟練した技・鍛錬) | 中国武術をフィーチャーした香港発のアクション映画 |
コメディのサブジャンル(5種)
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| ジャンル名 | 英語・原語名 | 語源・由来 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| スラップスティック | Slapstick Comedy | slapstick(二枚板を打ち鳴らす舞台道具) | 大げさな身体動作・ドタバタが中心の古典的コメディ |
| ロマンティック・コメディ | Romantic Comedy(ロムコム) | romantic(ロマンスの)+ comedy | 恋愛+笑いで展開するラブコメ映画 |
| スクリューボール・コメディ | Screwball Comedy | screwball(奇妙な変化球)→「風変わりな」 | 高速の会話・逆転する男女関係が特徴の1930年代コメディ |
| ブラック・コメディ | Black Comedy | black(黒い)→「笑えない状況をあえて笑う」 | 死・犯罪・不条理などシリアスな題材を風刺的に笑う |
| サタイア(風刺映画) | Satire Film | ラテン語 satura(詰め合わせ・ごった煮)→批判的混交 | 社会・政治・権力を皮肉や風刺で描く映画 |
ロードムービー・成長系(3種)
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| ジャンル名 | 英語・原語名 | 語源・由来 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| ロードムービー | Road Movie | 英語 road(道)+ movie(映画) | 旅や移動そのものを軸に主人公が変化・成長する映画 |
| バディ映画 | Buddy Film | 英語 buddy(親友・相棒)← brother の方言形 | 対照的な2人組がコンビを組む映画 |
| 成長映画(ビルドゥングスロマン) | Coming-of-age Film | ドイツ語 Bildungsroman(形成+小説)の映画版 | 子ども〜成人への変化・成長を描く映画 |
社会派・芸術系(6種)
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| ジャンル名 | 英語・原語名 | 語源・由来 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 社会派映画 | Social Film | social(社会的)+ film | 格差・差別・貧困など社会問題を主題にした映画 |
| アート映画 | Art Film | フランス語 cinéma d'art(芸術映画)が起源 | 商業性より芸術性・実験性を優先した映画 |
| インディーズ映画 | Indie Film | independent(独立)の略 | メジャースタジオに依存しない独立製作映画 |
| 実験映画 | Experimental Film | 英語 experiment(実験)+ film | 従来の映画文法を壊す前衛的な映像作品 |
| モキュメンタリー | Mockumentary | mock(偽の・嘲る)+ documentary | ドキュメンタリーの形式を模倣したフィクション映画 |
| プロパガンダ映画 | Propaganda Film | ラテン語 propagare(広める・植え付ける) | 特定の政治・思想を大衆に伝達する目的で作られた映画 |
B級・カルト・ニッチ系(7種)
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| ジャンル名 | 英語・原語名 | 語源・由来 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| B級映画 | B Movie | 二番館(B級上映館)での上映用に作られた低予算映画 | 低予算・娯楽優先。C級以下の作品も含む大衆映画 |
| カルト映画 | Cult Film | 英語 cult(熱狂的崇拝・信仰) | 公開当初は不評でも熱狂的なファン集団が後から形成される映画 |
| エクスプロイテーション映画 | Exploitation Film | exploit(搾取・利用)+ -ation | 暴力・性・社会問題を煽情的に見せる大衆映画ジャンル |
| モンド映画 | Mondo Film | イタリア語 mondo(世界)+ドキュメンタリー形式 | 世界の奇習・残酷な場面を「記録映像」として見せる映画 |
| ミッドナイトムービー | Midnight Movie | 深夜上映(midnight screening)の定番作品 | 深夜に固定ファンが集まり参加型になった映画 |
| コン・フィルム | Con Film | con(詐欺・騙し)から | 詐欺師の計画・どんでん返しを描くジャンル(ケイパーと重複も) |
| グラインドハウス | Grindhouse Film | grindhouse(ストリップ劇場・低俗な大衆映画館の俗称) | 1960〜70年代に安価な大衆映画館で上映された低俗映画 |
その他テーマ別ジャンル(9種)
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| ジャンル名 | 英語・原語名 | 語源・由来 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| スポーツ映画 | Sports Film | sport(スポーツ)+ film | 試合・チーム・スポーツマンシップを描く映画 |
| 音楽映画 | Music Film | music(音楽)+ film | コンサート・ミュージシャンの伝記を描く映画 |
| パニック・ディザスター映画 | Disaster Film | ラテン語 astrum(星)→「凶星の影響」が語源 | 自然災害・事故・疫病などの大規模危機を描く映画 |
| ノスタルジー映画 | Nostalgia Film | ギリシャ語 nostos(帰郷)+ algos(痛み) | 過去への郷愁・懐かしさを主軸にした映画 |
| 怪奇・超常映画 | Paranormal Film | ギリシャ語 para(〜を超えた)+ normal(正常) | 幽霊・霊媒・UFOなど説明できない現象を扱う映画 |
| LGBT映画 | LGBTQ+ Film | L(レズビアン)G(ゲイ)B(バイセクシャル)T(トランスジェンダー)の頭字語 | 性的マイノリティの恋愛・アイデンティティを描く映画 |
| 動物映画 | Animal Film | animal(動物)+ film | 動物を主人公・重要な存在として描く映画 |
| 宗教・スピリチュアル映画 | Religious Film | ラテン語 religio(結びつき・崇敬)+ film | 信仰・宗教体験・奇跡を中心に据えた映画 |
| カタストロフィ映画 | Catastrophe Film | ギリシャ語 katastrophē(急激な下降・大転換) | 世界の終末・文明崩壊の「直中」を描く映画 |
紛らわしい映画ジャンルの違いを解説
ホラー・スリラー・サスペンス・ミステリーの4つの違い
この4ジャンルは日本語でも英語でも混同されがちですが、「何が恐怖・緊張の源か」「何を目的とするか」が異なります。
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| ジャンル | 恐怖・緊張の源 | 目的・体験 | 代表作例 |
|---|---|---|---|
| ホラー | 超自然・怪物・非人間的なもの | 恐怖・嫌悪感を与える | 『エクソシスト』『リング』 |
| スリラー | 人間(犯人・テロリスト等)の行動 | 興奮・スリル・身体的緊張 | 『羊たちの沈黙』『ダイ・ハード』 |
| サスペンス | 状況の不確実さ・宙吊り感 | 不安と緊張を長く持続させる | 『サイコ』『ゼロ・グラビティ』 |
| ミステリー | 謎・事件の真相 | 解決・謎解きの知的快感 | 『オリエント急行殺人事件』 |
「ホラー=超自然の恐怖、スリラー=人間が起こす恐怖」と覚えておくと区別しやすいです。サスペンスはジャンルというより「緊張感の維持」という演出技法の側面も強く、スリラーやミステリーと組み合わさることが多いジャンルです。
スプラッターとゴアの違い
どちらも「血が飛び散るグロテスクなホラー映画」を指しますが、呼び方の変遷があります。
- ゴア(Gore):1960〜70年代に使われた旧称。古英語の gor(凝血)が語源。
- スプラッター(Splatter):1980年代以降に定着した新称。液体が飛び散る音の擬音 splatter から。
監督のジョージ・A・ロメロが1978年の作品のプロモーションで「スプラッター映画」という言葉を積極的に使ったことで広まったとされています。現代では「スプラッター」の方が一般的で、「ゴア映画」は歴史的文脈で使われることが多いです。
フィルム・ノワールとは何か
フィルム・ノワール(Film Noir)はフランス語で「黒い映画」を意味します。
1940〜50年代のアメリカで量産された、陰鬱な照明・ファム・ファタール(魔性の女)・腐敗した社会を描いた犯罪映画群のこと。もともとアメリカ側がこの名称を自称したわけではなく、フランスの批評家ジャン=ピエール・シャルティエが1946年に「アメリカ人もまたノワールの映画(フィルム)をつくる」と評したことが語源とされています。
代表作:『マルタの鷹』(1941年)、『ダブル・インデムニティ』(1944年)。これらの様式を現代に継承した映画を「ネオノワール」と呼びます。
まとめ
映画のジャンルは、アクション・ドラマ・ホラーといった基本カテゴリから、フィルム・ノワール・スプラッター・グラインドハウスといったニッチなサブジャンルまで全74種あります。語源を知ることで、なぜその名前で呼ばれるのかが腑に落ち、映画の見方がより深まります。
音楽ジャンルも同様に「語源でわかる命名の理由」が面白いジャンルです。音楽のジャンル一覧96種(語源と特徴まとめ)も合わせてどうぞ。