
大安は縁起がよく、仏滅は縁起が悪い——そんなイメージはあっても、他の六曜の意味や「十二直」「二十八宿」まで答えられる人は多くないでしょう。日本のカレンダーに書かれた吉凶の指標を総称して「暦注(れきちゅう)」といい、六曜はそのひとつにすぎません。本記事では六曜6種の意味・読み方から、十二直12種・二十八宿28種まで全件を網羅した完全一覧をまとめています。結婚式・開業・引越しの日取り選びにも役立ててください。
暦注(れきちゅう)とは
暦注とは、旧暦の各日に付記された吉凶・行事・禁忌の指針の総称です。農耕・冠婚葬祭・旅行の吉凶を示す目安として、古くから人々の生活に根付いてきました。
暦注のルーツは古代中国の天文占術にあります。日本には奈良時代ごろに伝来し、江戸時代に庶民へ広く普及しました。現代のカレンダーに残る六曜はそのなかでも最もなじみ深いものです。
暦注は大きく「暦注上段」「暦注中段」「暦注下段」に分類されます。六曜・十二直・二十八宿はいずれも暦注下段に属し、日々の吉凶判断に用いられてきました。このほかにも二十四節気・七十二候や干支・十干十二支など、日本の暦は多層的な体系で成り立っています。
六曜(ろくよう)一覧|6種の意味と吉凶まとめ
六曜は「先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口」の6種がこの順に繰り返す暦注です。旧暦の各月1日(元日)に対応した日から始まり、月が替わるごとにリセットされます。そのため「今月の大安は何曜日?」と確認したいときはカレンダーの表示を参照するのが確実です。
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| 名称 | 読み | 吉凶 | 意味・特徴 |
|---|---|---|---|
| 大安 | たいあん | 大吉 | 万事において最も縁起のよい日。結婚式・開業・入学式など慶事の代表的な吉日 |
| 仏滅 | ぶつめつ | 大凶 | すべてが滅するとされる最も縁起の悪い日。慶事を避けるのが慣例とされる |
| 友引 | ともびき | 吉(昼のみ凶) | 友を引き寄せる日とされる。葬儀は「友を冥界に引き込む」として避けるのが習慣。朝・夕は吉、昼(午)は凶 |
| 先勝 | せんしょう | 午前吉・午後凶 | 「先んずれば勝ち」。午前中(〜午後2時ごろ)は吉、午後は凶。急ぎの用事は午前中に |
| 先負 | せんぷ | 午前凶・午後吉 | 「先んずれば負け」。午前中は凶、午後(午後2時ごろ〜)は吉。重要な用事は午後に |
| 赤口 | しゃっこう | 凶(昼のみ吉) | 火・刃物・血に注意が必要とされる日。昼(午の刻=午前11時〜午後1時)のみ吉 |
六曜の読み間違いに注意
六曜には読み間違えやすい名称があります。
- 先勝:「さきかち」は通称。正式には「せんしょう」
- 先負:「さきまけ」は通称。正式には「せんぷ」(または「せんぶ」)
- 赤口:「あかくち」は誤り。「しゃっこう」または「しゃっく」が正式
六曜の由来と歴史
六曜は古代中国の占術が起源で、日本には鎌倉時代に伝わったとされます。ただし、現在のような「大安=吉・仏滅=凶」という使われ方が庶民に浸透したのは江戸時代後期から明治時代にかけてのことです。
「仏滅」という名称に「仏」の字がありますが、仏教とは直接の関係はありません。もともとは「物滅(ものめつ)」と書かれており、「すべての物が滅する」という意味でした。江戸時代の庶民が当て字として「仏滅」と書くようになり、定着したとされています。
明治時代には「迷信を排除する」として六曜が暦から一時削除されたこともありましたが、民間の習慣として根強く残り、現代のカレンダーにも掲載され続けています。
十二直(じゅうにちょく)一覧|12種の吉凶まとめ
十二直は、北斗七星の柄の向きと十二支の方位を組み合わせた暦注で、12種の「直(じき)」が日ごとに順番に割り当てられます。六曜が「大まかな吉凶」を示すのに対し、十二直は「何をするべき日か・何を避けるべき日か」という具体的な指針を示します。
江戸時代には暦の「下段」に印刷されて広く普及し、農業・商業・冠婚葬祭の日取りを決める重要な目安として使われました。「建・満・成・開」の4日は「四吉(しきつ)」とも呼ばれる特に縁起のよい日とされています。
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| 名称 | 読み | 吉凶 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 建 | たつ | 大吉 | 万事に最吉。建築・旅行・祝い事すべてに適す。「四吉」のひとつ |
| 除 | のぞく | 中吉 | 悪いものを取り除く日。病気治療・厄払い・大掃除に吉。婚礼・土木工事は凶 |
| 満 | みつ | 大吉 | 何事も満ちる吉日。祝い事・新規開始・旅行に吉。「四吉」のひとつ |
| 平 | たいら | 中吉 | 物事が平穏に進む日。旅行・道路整備・種まきに吉。婚礼・穴掘りは凶 |
| 定 | さだん | 吉 | 物事が定まる日。建築・婚礼・業務開始に吉。訴訟・争い事は凶 |
| 執 | とる | 吉 | 物事を執り行う日。祝い事・建築・商談に吉。葬儀・土木工事は凶 |
| 破 | やぶる | 大凶 | 物事を破り壊す日。訴訟・解体作業のみ可。婚礼・祝い事・新規開始は凶 |
| 危 | あやぶ | 凶 | 危険が多い日。外出・旅行・高所作業は避ける。農業・漁業も凶とされる |
| 成 | なる | 吉 | 物事が成就する日。祝い事・建築・旅行に吉。訴訟・葬儀は凶。「四吉」のひとつ |
| 納 | おさむ | 吉 | 物事を取り納める・収穫の日。物品の購入・収穫・商品入荷に吉。葬儀は凶 |
| 開 | ひらく | 中吉 | 物事を開く・始める日。開店・開業・建築に吉。葬儀・仕込み作業は凶。「四吉」のひとつ |
| 閉 | とず | 凶 | 物事を閉じる日。墓参り・種の収蔵には吉。新規開始・婚礼・旅行は凶 |
二十八宿(にじゅうはっしゅく)一覧|全28宿の読み方と吉凶まとめ
二十八宿は、月が約1ヶ月で天球を一周することから、月の通り道(白道)を28区画に分割した「宿(しゅく)」のことです。古代中国の天文学が起源で、日本には奈良時代に伝わりました。
28宿は東・北・西・南の4方向(四神)に7宿ずつ割り当てられています。それぞれの四神(青龍・玄武・白虎・朱雀)は、東西南北を守護する神獣として日本の文化にも広く根付いています。
東方青龍(とうほうせいりゅう)の7宿
東の天空を司る青龍に対応する7宿です。スピカやアンタレスなど、おとめ座・てんびん座・さそり座・いて座の明るい星がこの区画に含まれます。
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| 宿名 | 読み | 吉凶 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 角宿 | かくしゅく | 吉 | 旅行・結婚・建築全般に吉 |
| 亢宿 | こうしゅく | 凶 | 争い事・急ぎ事を避ける |
| 氐宿 | ていしゅく | 吉 | 商売・結婚・建築に吉 |
| 房宿 | ぼうしゅく | 大吉 | 万事に吉。特に旅行・結婚に最良 |
| 心宿 | しんしゅく | 凶 | 特に旅行・移動は避ける |
| 尾宿 | びしゅく | 吉 | 建築・婚礼・旅行に吉 |
| 箕宿 | きしゅく | 吉 | 新規事業・旅行に吉 |
北方玄武(ほっぽうげんぶ)の7宿
北の天空を司る玄武(亀と蛇が合わさった神獣)に対応する7宿です。やぎ座・みずがめ座・ペガスス座の星々が含まれます。
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| 宿名 | 読み | 吉凶 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 斗宿 | としゅく | 吉 | 酒食・宴会・旅行に吉 |
| 牛宿 | ぎゅうしゅく | 中吉 | 農業・収穫・畜産に吉 |
| 女宿 | じょしゅく | 凶 | 婚礼・新規事業は避ける |
| 虚宿 | きょしゅく | 凶 | 葬儀・慶事ともに凶 |
| 危宿 | きしゅく | 凶 | 外出・旅行は危険。特に水辺は避ける |
| 室宿 | しつしゅく | 大吉 | 建築・婚礼・祝い事に吉 |
| 壁宿 | へきしゅく | 吉 | 読書・学問開始・建築に吉 |
西方白虎(せいほうびゃっこ)の7宿
西の天空を司る白虎に対応する7宿です。アンドロメダ座・おひつじ座・おうし座・オリオン座の星々が含まれます。昴宿(ぼうしゅく)はプレアデス星団(スバル)に対応し、日本でも古くから親しまれてきた宿です。
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| 宿名 | 読み | 吉凶 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 奎宿 | けいしゅく | 吉 | 文書・印刷・建築に吉 |
| 婁宿 | ろうしゅく | 吉 | 結婚・祭事・旅行に吉 |
| 胃宿 | いしゅく | 吉 | 収穫・農業・貯蔵に吉 |
| 昴宿 | ぼうしゅく | 吉 | 旅行・裁縫・婚礼に吉。プレアデス星団(スバル)に対応 |
| 畢宿 | ひつしゅく | 中凶 | 雨天になりやすい日。狩猟・旅行には一部吉 |
| 觜宿 | ししゅく | 凶 | 新規事業・婚礼は避ける |
| 参宿 | しんしゅく | 大吉 | 婚礼・建築・旅行に吉。オリオン座の三ツ星に対応 |
南方朱雀(なんぽうすじゃく)の7宿
南の天空を司る朱雀(赤い鳥)に対応する7宿です。ふたご座・かに座・うみへび座の星々が含まれます。
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| 宿名 | 読み | 吉凶 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 井宿 | せいしゅく | 大吉 | 建築・旅行・結婚に吉 |
| 鬼宿 | きしゅく | 大吉 | 結婚・開業に最良とされる特別吉日 |
| 柳宿 | りゅうしゅく | 凶 | 建築・婚礼は避ける |
| 星宿 | せいしゅく | 凶 | 物事が滞りやすい不吉な日 |
| 張宿 | ちょうしゅく | 吉 | 酒食・宴会・旅行に吉 |
| 翼宿 | よくしゅく | 凶 | 遠出・旅行は避ける |
| 軫宿 | しんしゅく | 中吉 | 旅行・農業に吉 |
暦注に関するよくある疑問
「天赦日」は六曜や十二直とどう違う?
六曜の大安は6日ごとにやってきますが、「天赦日(てんしゃにち)」は年に5〜7回ほどしかない特別な吉日です(年によって回数が異なります)。天赦日は「天が万物の罪を赦す日」とされ、六曜・十二直など暦注のなかでも最上位の吉日とされています。大安と天赦日が重なる日は「最強吉日」と呼ばれ、開業・結婚・新規プロジェクトのスタートに人気があります。
「仏滅に結婚式はダメ」は本当?
「仏滅=縁起が悪い」という観念は江戸時代以降に広まった俗信です。「仏滅」の元の字は「物滅」で、「旧来のものがすべて滅し、新たなものが生まれる」という解釈もあります。現代では仏滅に式場料金が割引になる「仏滅婚」を選ぶカップルも増えており、実際に気にするかどうかは個人の価値観によります。
六曜と仏教・神道に関係はある?
六曜はもともと中国の占術に由来するもので、仏教とも神道とも直接の関係はありません。「仏滅」という名称から仏教と結びつけてイメージしやすいですが、実際に仏教の教義に基づくものではありません。神社・仏閣側も「六曜は仏教の教えではない」と公式に述べていることがほとんどです。
大安・仏滅はどのくらいの頻度で来る?
六曜は6日周期で繰り返されるため、大安も仏滅も約6日ごとにやってきます。ただし旧暦の月初めに六曜のサイクルがリセットされるため、月によっては大安が続くこともあれば、仏滅が連続することもあります。結婚式場では、土日の大安が特に人気が高く、半年〜1年先まで予約が埋まることも珍しくありません。
まとめ
日本の暦注は「六曜」「十二直」「二十八宿」を中心に、古代中国から伝わった天文占術と日本独自の発展が組み合わさった体系です。六曜は6種・十二直は12種・二十八宿は28種の計46種を網羅してまとめると、暦注の全体像が見えてきます。現代では法的・宗教的な意味はありませんが、結婚式・開業・引越しの日取りを選ぶ際の参考指標として今も広く親しまれています。吉凶を気にしすぎず、一つの文化・雑学として暦注の世界を楽しんでみてください。











