
「世界の七不思議」という言葉は誰もが聞いたことがあるでしょう。でも「古代の七不思議」と「新世界の七不思議」の違いを正確に言える人は意外と少ないものです。
古代世界の七不思議は紀元前2世紀のギリシャ詩人が選んだ人類の建築奇跡。新・世界七不思議は2007年に世界中からの投票で選ばれた現存する建造物。そして日本には古くから伝わる独自の「七不思議」文化もあります。本記事では三つの七不思議をまとめて、各建造物の歴史と謎を解説します。古代七不思議7件すべてが同時に存在した時期がほぼなかった、という意外な事実もあわせてご紹介。
古代世界の七不思議
古代の七不思議は、紀元前2〜1世紀にビザンティウムの詩人アンティパトロスが選んだとされる7つの建造物です。現存するのはギザの大ピラミッドのみ。7件がほぼ同時に存在できた期間はせいぜい50〜60年にすぎず、すべてが同時に「そこにあった」時代は事実上存在しません。
① ギザの大ピラミッド(エジプト)
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| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 建造年代 | 紀元前2560年頃 |
| 場所 | エジプト・カイロ近郊ギザ |
| 現状 | 現存(唯一の生き残り) |
古代エジプト第4王朝クフ王の墓として建設。元の高さは約146.5m(現在は138.8m)で、中世に大型建造物に抜かれるまで約3800年にわたって世界最高の人工建造物であったとされます。100万個以上の石灰岩ブロックを積み上げた建設方法には、今なお諸説あります。七不思議の中で唯一現存しており、ユネスコ世界遺産にも登録されています。
② バビロンの空中庭園(イラク)
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| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 建造年代 | 紀元前600年頃とされる |
| 場所 | バビロン(諸説あり) |
| 現状 | 実在未確認 |
七不思議の中で唯一、実在が確認されていない謎の建造物です。新バビロニア王国のネブカドネザル2世が、緑溢れる山岳地帯の出身である妻アミュティスのため、段々式の庭園を建設したと伝わります。最新の研究では、バビロンではなくアッシリアの都市ニネヴェに建設された庭園が誤って伝承されたという説も有力です。
③ エフェソスのアルテミス神殿(トルコ)
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| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 建造年代 | 紀元前550年頃(再建版) |
| 場所 | 現在のトルコ・エフェス近郊 |
| 現状 | 柱1本のみ現存 |
狩猟の女神アルテミスを祀る巨大神殿。紀元前356年、「歴史に名を残したい」という理由だけでヘロストラトスという若者が放火し、炎上しました。この放火があったとされる夜はアレクサンドロス大王が生まれた夜と同じとも言われており、「女神がアレクサンドロスの誕生を守るため神殿を離れていた」という逸話が生まれました。その後再建されましたが、3世紀に再度破壊されました。
④ オリンピアのゼウス像(ギリシャ)
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| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 建造年代 | 紀元前435年頃 |
| 場所 | ギリシャ・オリンピア |
| 現状 | 完全消失 |
彫刻家フェイディアスが制作した座像で、高さ約13mありました。象牙と金を組み合わせた「クリセレファンティノス像」という技法が用いられており、古代の著述家は「この像を見ずに死んだならば不幸だ」と書き残したとされます。後にコンスタンティノープルへ移送されたとも、オリンピアで5世紀頃の火災で消失したとも言われており、最期は諸説あります。
⑤ ハリカルナッソスのマウソロス霊廟(トルコ)
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| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 建造年代 | 紀元前353年頃 |
| 場所 | 現在のトルコ・ボドルム |
| 現状 | 遺跡の一部が現存 |
ペルシャ帝国属州カリアの太守マウソロスの霊廟。妻のアルテミシアが夫の死を悼んで建設させた豪壮な建築物で、高さ約45mといわれています。英語で「霊廟」を意味するmausoleum(マウソレウム)はここから来ており、七不思議の名前が現代語の語源になった代表的な例のひとつです。
⑥ ロドス島の巨像(ギリシャ)
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| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 建造年代 | 紀元前284年頃(完成) |
| 場所 | ギリシャ・ロドス島 |
| 現状 | 紀元前226年の地震で崩壊 |
太陽神ヘリオスの青銅像で、高さ約33mとされます(諸説あり)。完成から約58年後に大地震で崩壊し、七不思議の中で最も短命でした。倒壊後も長く残骸が残り、古代の旅人がその巨大さに驚いたと伝えられます。
⑦ アレクサンドリアの大灯台(エジプト)
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| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 建造年代 | 紀元前280年頃 |
| 場所 | エジプト・アレクサンドリア沖のファロス島 |
| 現状 | 14世紀の地震で完全崩壊 |
高さ100〜135mともいわれる巨大灯台で、頂上の火は50km先からも見えたとされます。実際に機能する構造物として七不思議に選ばれた唯一の例。1303年と1323年の地震で完全に崩壊し、現在はカイトベイ要塞がその跡地に建っています。世界遺産まとめで紹介した多くの遺産と同様、その消滅は歴史の無常を感じさせます。
新・世界七不思議(2007年投票)
スイスの実業家ベルナール・ウェーバーが設立した「新世界七不思議財団」が主導し、2007年7月7日にポルトガルのリスボンで結果を発表。世界中から約1億票の投票が集まりました。ギザの大ピラミッドは「名誉七不思議」として投票対象外で自動的に認定されています。
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| 不思議名 | 国 | 建造年代 | 注目ポイント |
|---|---|---|---|
| 万里の長城 | 中国 | 紀元前7世紀〜16世紀 | 総延長約21,196km |
| マチュ・ピチュ | ペルー | 15世紀頃 | 標高2,430mの「天空の都市」 |
| コロッセオ | イタリア | 80年完成 | 収容人数最大約5万人 |
| タージ・マハル | インド | 1653年完成 | ムガル帝国の白大理石の霊廟 |
| チチェン・イッツァ | メキシコ | 9〜12世紀 | マヤ文明のピラミッド「エル・カスティーヨ」 |
| ペトラ | ヨルダン | 紀元前6世紀〜 | 赤い岩壁に刻まれたナバテア人の都市 |
| コルコバードのキリスト像 | ブラジル | 1931年完成 | リオの丘に立つ高さ30m(台座含む38m)の像 |
古代七不思議との大きな違いは「現存する建造物」が対象であること。世界遺産と重複するものも多く、観光地としての人気も高い7件が揃っています。世界のオーパーツ30選と比べると、七不思議は謎だけでなく実際に訪れることができる点が魅力です。
日本の七不思議とは
日本には「七不思議」という独自の文化的伝統があります。ある場所や地域に伝わる不思議な現象・伝説を7つにまとめたもので、江戸時代から庶民に親しまれてきました。
代表的な日本の七不思議:
- 本所七不思議(東京・旧本所地区):「置いてけ堀」「狸ばやし」「送り提灯」など江戸時代の怪談をまとめたもの。どの話を「七つ」に数えるかは諸説あり、固定リストが存在しない
- 遠州七不思議(静岡):遠江国(現在の静岡県)に伝わる不思議な現象7つ。夜泣き石・子生れ石・妖怪が舞うとされた場所など
- 諏訪大社七不思議(長野):日本最古級の神社のひとつ・諏訪大社に伝わる、科学では説明しにくい自然現象や神事の謎
- 学校の七不思議(全国):現代の都市伝説として学校ごとに語り継がれる怪談。「トイレの花子さん」「夜に動く絵画」など
日本の七不思議は固定されたリストではなく、場所や時代によって入れ替わるのが特徴です。「なぜ七つか」については、古来より「7」が神聖な数として特別視されてきた(七福神・七草・北斗七星・七曜など)ことに由来するとされます。
まとめ
世界の七不思議は「古代」「新世界」「日本独自」の三種類に分かれます。古代七不思議は現存するのがギザのピラミッドのみという儚さが魅力で、新世界七不思議は2007年の市民投票で選ばれた現代の奇跡です。日本の七不思議は地域ごとに語り継がれる怪談文化として今も生きています。世界の歴史と謎を知る入り口として、七不思議はいつの時代も人の好奇心を刺激し続けています。