地球の五大大量絶滅|ビッグファイブの原因と生き残り生物を徹底解説

地球の歴史46億年のなかで、生物は何度も大規模な絶滅の危機を乗り越えてきました。なかでも規模が特に大きかった5回の大量絶滅は「ビッグファイブ」と呼ばれ、それぞれが地球の生物相を根底から塗り替えました。オルドビス紀末・デボン紀後期・ペルム紀末・三畳紀末・白亜紀末の5回です。各絶滅が「いつ・なぜ・どのくらいの規模で起き・何が生き残ったか」を、最新の研究成果も交えながら解説します。

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五大大量絶滅(ビッグファイブ)とは

「大量絶滅」とは、地球上の生物種の大部分が比較的短期間に失われる出来事を指します。古生代以降、特に規模の大きかった5回の絶滅イベントを「ビッグファイブ」と呼びます。

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# 時代 年代 種の損失率 主な原因
オルドビス紀末 約4億4400万年前 約85% 氷河期・海水準変動
デボン紀後期 約3億7400万年前 約82% 火山活動・海洋無酸素化
ペルム紀末 約2億5200万年前 約96% シベリア・トラップ噴火
三畳紀末 約2億100万年前 約76% CAMP火山活動・寒冷化
白亜紀末 約6600万年前 約76% 隕石衝突(チクシュルーブ)

5回の絶滅イベントを通じて共通するのは「環境の急激な変化が生物の適応速度を超えた」ことです。原因は氷河・火山・隕石と異なりますが、地球規模の温暖化や寒冷化、海洋酸素不足、食物連鎖の崩壊という共通のメカニズムをたどります。

地質時代の全区分については地質時代の区分一覧|冥王代からホロセンまで全時代と代表生物まとめもあわせてどうぞ。

①オルドビス紀末の大量絶滅(約4億4400万年前)

絶滅の規模

ビッグファイブの第1弾です。当時の生物種の約85%が短期間に失われました。三葉虫・腕足動物・サンゴ・ウミユリなど海洋生物を中心に壊滅的な被害が出た絶滅で、「O-S境界(オルドビス紀-シルル紀境界)」とも呼ばれます。

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なぜ起きたか

この時期、現在の南アメリカ大陸あたりに相当する大陸塊が南極域へ移動したことで、大規模な大陸氷河が形成されました。氷河が発達すると海水が氷として陸上に閉じ込められ、海水準が急激に低下。浅海の生態系が干上がり、大量絶滅の第一波を引き起こしました。

その後、氷期が終わり氷河が融解すると、今度は海水準の上昇によって生態系が再び攪乱され、第二波の絶滅が発生。2段階で進行したことがこの絶滅の特徴です。

さらに近年の研究では、地球近傍(6000光年以内)での超新星爆発によるガンマ線バーストがオゾン層を破壊し、紫外線が大量に降り注いで絶滅の引き金となった可能性も提唱されています(諸説あり)。

生き残り生物のトリビア

オルドビス紀に繁栄していた三葉虫は、浅海種の多くが絶滅しましたが、深海に生息していた系統が生き延び、デボン紀まで存続しました。棘皮動物(ヒトデ・ウニの仲間)や一部の軟体動物も生存し、次のシルル紀での生物回復の礎となりました。

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②デボン紀後期の大量絶滅(約3億7400万年前)

絶滅の規模

デボン紀後期に起きた絶滅で、海洋生物種の約82%が消滅しました。魚の全盛時代と呼ばれたデボン紀に繁栄していたダンクルオステウスなどの板皮類(甲冑魚)の多くが絶滅しました。「F-F境界(フラスニアン期末)」とも呼ばれます。

なぜ起きたか

最有力説は大規模火山活動です。東北大学などの研究(2021年)では、地層中の水銀の濃集とコロネン(高温の火山活動で生成される有機分子)の同時濃集から、大規模噴火が引き金となったことが確認されています。

もう一つの有力説が「木の根の進化」です。この時期、陸上植物が深い根を発達させて土壌に進出しました。根が岩を砕いて生じた大量の栄養分が河川を通じて海に流れ込み、藻類の大繁殖(富栄養化)が起きて海中の酸素が急速に消費されました。この海洋無酸素化が酸素に依存する海洋生物を壊滅させたとされます。

さらに、超新星爆発による宇宙線照射が一因だという研究(2020年)も発表されており、複合的な原因であった可能性が高いです。

生き残り生物のトリビア

陸上では大量絶滅がほとんど起きなかったことがこの絶滅の特徴です。すでに陸上に進出していた植物・両生類・原始的な爬虫類の先祖たちは、海洋の壊滅から切り離された陸上でしっかりと生き残りました。一部の淡水魚も生存し、その後の石炭紀における陸上生態系の繁栄へとつながっていきます。

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③ペルム紀末の大量絶滅(約2億5200万年前)― 史上最大

絶滅の規模

史上最大の大量絶滅」と呼ばれる絶滅です。海洋生物種の約96%、陸上脊椎動物の科の約70%が失われたとされます。古生代を通じて繁栄した三葉虫はこの絶滅で完全に姿を消し、地球の生物がほぼ全滅に近い状態になりました。「P-T境界(ペルム紀-三畳紀境界)」とも呼ばれます。

なぜ起きたか

最有力原因はシベリア・トラップと呼ばれる超大規模な火山活動です。現在のロシア・シベリアに相当する地域で、100万年以上にわたり断続的に噴火が続きました。放出された大量のCO₂と硫化ガスが温暖化・海洋酸性化・海洋無酸素化を引き起こし、食物連鎖の底辺から崩壊させていきました。

同時期、すべての大陸が集まった超大陸「パンゲア」の存在も生態系に影響したとされます。大陸が一つになることで海岸線(浅海の生態系)が激減し、生物多様性の基盤そのものが縮小したと考えられています。

生き残り生物のトリビア

この絶滅を生き延びた代表格がリストロサウルスです。南半球(現在のアフリカ・インド・南極)で化石が発見される単弓類(哺乳類型爬虫類)で、三畳紀初期には陸上脊椎動物の個体数の約95%を占めるほど爆発的に繁栄しました。

また、気嚢(肺に直結した空気袋)を発達させた一部のグループが低酸素環境を生き延び、後に恐竜の先祖となりました。一方、横隔膜を発達させて腹式呼吸を身につけた単弓類の系統は、哺乳類への進化の礎となりました。

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④三畳紀末の大量絶滅(約2億100万年前)

絶滅の規模

生物種の約76%が失われた絶滅です。三畳紀に繁栄していた大型爬虫類(ワニの先祖グループを含む)の多くが絶滅しました。「T-J境界(三畳紀-ジュラ紀境界)」とも呼ばれます。

なぜ起きたか

原因はCAMP(中央大西洋マグマ区)と呼ばれる超大規模な火山活動です。超大陸パンゲアが分裂を始める際に、現在の大西洋沿岸に当たる地域で大規模噴火が起き、大量のSO₂(二酸化硫黄)が成層圏に放出されました。

SO₂は空気中の水分と結合して硫酸の微粒子(エアロゾル)を形成し、太陽光を遮断します。これによって地球が急速に冷却(寒冷化)し、植物が光合成できなくなり、食物連鎖が崩壊しました。東北大学・東京大学の研究(2022年)では、この寒冷化が大量絶滅の原因である証拠が発見され、大きな注目を集めました。

生き残り生物のトリビア

この絶滅を生き延びたのが恐竜です。恐竜が寒冷化を乗り越えられた理由として、体に原始的な羽毛を持っていたことが有力視されています。保温機能を持つ羽毛が急激な寒冷化から体を守り、中高緯度地域の豊かな植物資源を独占できる状況をもたらしました。競合する大型爬虫類が絶滅したことで、ジュラ紀・白亜紀にわたる恐竜の黄金時代の幕が開きます。

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⑤白亜紀末の大量絶滅(約6600万年前)

絶滅の規模

恐竜の絶滅で有名なこの大量絶滅では、生物種の約76%が失われました。恐竜(非鳥類型恐竜)・首長竜・翼竜・アンモナイトなど、中生代を代表する生物が姿を消しました。「K-Pg境界(白亜紀-古第三紀境界)」とも呼ばれます。

なぜ起きたか

現在最も有力な説はチクシュルーブ隕石の衝突です。直径約10〜15kmの小惑星がメキシコ・ユカタン半島沖に衝突し、衝撃で大量の粉塵・スス・硫酸エアロゾルが成層圏まで舞い上がりました。太陽光が数年〜数十年にわたって遮断され、「衝突の冬(インパクトウィンター)」と呼ばれる急激な寒冷化と植物連鎖崩壊が世界規模で発生しました。

また同時期にはインドでデカン・トラップと呼ばれる大規模火山活動も起きており、両者が複合的に影響したとする研究もあります。日本原子力研究開発機構・京都大学の研究(2019年)では、衝突後に発生した大規模酸性雨の地質学的証拠も発見されています。

生き残り生物のトリビア

この絶滅を生き延びた最大の勝者が哺乳類です。当時の哺乳類は小型で夜行性が多く、岩陰や地下に潜むことで「衝突の冬」を乗り越えたと考えられます。恐竜が消えた後、大型動物のいなくなった陸上で爆発的に多様化し、現在の地球を支配する哺乳類の時代が始まりました。

また、一部の恐竜(鳥類型恐竜)も生き延びました。現在の鳥類は、白亜紀末の絶滅を生き残った恐竜の直系の子孫です。カメ・ワニ・一部のトカゲも生存しています。

近代に人間の活動によって絶滅した生物については絶滅した動物30選|ドードーからマンモスまで絶滅の原因まとめもあわせてどうぞ。

第6の大量絶滅は今まさに進行中?

現在、科学者たちは「第6の大量絶滅」が進行中であると警告しています。現在の生物種の絶滅速度は、過去の自然絶滅速度の100〜1000倍に達するという試算もあります。

過去5回のビッグファイブでは生物が回復するのに数百万〜数千万年かかりましたが、現在の絶滅は生息地破壊・気候変動・外来種の導入・過剰採取など人間活動が主な原因とされます。自然の回復速度を大幅に超えるペースで種が失われていることが最大の問題です。

ビッグファイブを振り返ると、今回の絶滅が特異なのは、その原因が地球外(隕石)でも地球内(火山・氷河)でもなく、生態系の一員である人類自身である点です。

まとめ

地球の五大大量絶滅(ビッグファイブ)は、氷河・火山・隕石と原因は多様ですが、いずれも「環境変化が生物の適応速度を超えた」点で共通しています。なかでもペルム紀末は種の96%を失った史上最大の絶滅であり、三葉虫が完全に姿を消した時代です。一方、各絶滅を乗り越えた「生き残り組」が次の生態系を切り開きました。哺乳類も鳥類も、ビッグファイブの生き残りから進化した存在です。46億年の地球史を彩るこれらの大事件を知ることで、今まさに進行中とされる「第6の大量絶滅」の深刻さも実感できるはずです。

地球の歴史をさらに詳しく知りたい方は地質時代の区分一覧|冥王代からホロセンまで全時代と代表生物まとめ古代生物・先史生物一覧|全88種を地質時代別に完全網羅した大図鑑もあわせてどうぞ。

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