素粒子の種類一覧【65選】|クォーク・ヒッグス粒子・反物質まとめ

素粒子・粒子物理学の用語を65件一覧にまとめました。標準模型の17種類にとどまらず、反粒子8種・複合粒子(バリオン・メソン)19種・仮説粒子13種・準粒子8種まで分類別のテーブルで網羅しています。「クォークって何?」という入門から「グラビトンと超対称性粒子の違いは?」という専門的な疑問まで、ひとつの記事で解決できるよう設計しました。

スポンサーリンク

素粒子の基礎知識:標準模型とは

自然界には4つの基本的な力が存在します。電磁気力(光や電気の力)・弱い力(放射性崩壊を引き起こす力)・強い力(クォークを束ねる力)・重力の4つです。

現代物理学の「標準模型(Standard Model)」は、そのうち重力を除く3つの力と、それを構成する素粒子を体系的に記述する理論です。標準模型に登場する素粒子は計17種類。物質を構成するフェルミオン(クォーク6種+レプトン6種)と、力を媒介するボソン(ゲージボソン4種+ヒッグスボソン1種)に大別されます。

← 横にスクロールできます →

力の種類 媒介粒子 到達範囲
電磁気力 光子(γ) 無限遠
弱い力 W・Zボソン 極めて短距離(10⁻¹⁸m)
強い力 グルーオン(g) 短距離(10⁻¹⁵m)
重力 グラビトン(仮説) 無限遠

物理の法則全般については物理の法則・定理91選|ニュートンから量子力学までもあわせてご覧ください。

素粒子(標準模型)一覧

クォーク(6種)

物質を構成する最小単位のひとつ。単独では存在できず、必ず複数で結合してハドロンを形成します。電荷は分数(+2/3 または −1/3)です。1995年にトップクォークがフェルミ国立加速器研究所で発見されたことで、6種がすべて確認されました。

← 横にスクロールできます →

名称 記号 分類 一言説明
アップクォーク u クォーク(第1世代) 電荷+2/3。陽子・中性子の主な構成要素
ダウンクォーク d クォーク(第1世代) 電荷−1/3。アップと対をなす最軽量クォーク
チャームクォーク c クォーク(第2世代) 電荷+2/3。J/ψ粒子の構成に関わる
ストレンジクォーク s クォーク(第2世代) 電荷−1/3。「奇妙な粒子」(ケーオン等)の構成要素
トップクォーク t クォーク(第3世代) 電荷+2/3。1995年発見。質量は金原子並みの重さ
ボトムクォーク b クォーク(第3世代) 電荷−1/3。Bメソンの構成要素
スポンサーリンク

レプトン(6種)

クォークとは異なり単独で存在できる素粒子。強い力を受けません。電子・ミュー粒子・タウ粒子とそれぞれ対応するニュートリノ3種の計6種です。

← 横にスクロールできます →

名称 記号 分類 一言説明
電子 e⁻ レプトン(第1世代) 電荷−1。原子の電子雲を構成。最も身近な素粒子
電子ニュートリノ νe レプトン(第1世代) 電荷0。太陽から毎秒数兆個が体を通り抜ける
ミュー粒子 μ レプトン(第2世代) 電荷−1。電子の約207倍の質量を持つ重い兄弟
ミューニュートリノ νμ レプトン(第2世代) 電荷0。加速器実験で大量に生成される
タウ粒子 τ レプトン(第3世代) 電荷−1。電子の約3477倍の質量。寿命は非常に短い
タウニュートリノ ντ レプトン(第3世代) 電荷0。2000年にFNALで初めて直接検出

ボソン(5種)

力を媒介する粒子の総称。フェルミオンとは異なり、複数の粒子が同じ量子状態を共有できます。

← 横にスクロールできます →

名称 記号 分類 一言説明
光子 γ ゲージボソン 電磁気力の媒介粒子。光・電波・X線の正体
Wボソン ゲージボソン 弱い力の媒介粒子。β崩壊に関わる。電荷±1
Zボソン Z⁰ ゲージボソン 弱い力の媒介粒子。電荷0で中性カレントを伝える
グルーオン g ゲージボソン 強い力の媒介粒子。クォーク同士を「糊」で結合
ヒッグスボソン H スカラーボソン 2012年CERN発見。他の粒子に質量を与える粒子
スポンサーリンク

反粒子・反物質一覧

すべての素粒子には対応する「反粒子」が存在します。粒子と反粒子が出会うと対消滅し、エネルギーを放出します。なぜ宇宙に反物質がほとんど存在しないのかは現代物理学最大の謎のひとつです。

← 横にスクロールできます →

名称 記号 対応する粒子 一言説明
陽電子 e⁺ 電子 電子の反粒子。PET検査(陽電子放出断層撮影)に利用
反陽子 陽子 1955年バークレー加速器で初発見。電荷−1
反中性子 中性子 磁気モーメントが中性子と逆向きを持つ
反電子ニュートリノ ν̄e 電子ニュートリノ 原子炉から放出。1956年にニュートリノ実験で初検出
反ミューニュートリノ ν̄μ ミューニュートリノ 加速器実験の副産物として多量に生成
反タウニュートリノ ν̄τ タウニュートリノ タウ粒子崩壊時に放出される
反アップクォーク ū アップクォーク メソン(中間子)を構成する代表的な反クォーク
反ダウンクォーク ダウンクォーク π⁺中間子(ud̄)の構成要素

複合粒子(ハドロン)一覧

クォークが2個以上結合してできた粒子をハドロンと呼びます。3個のクォークからなるバリオンと、クォーク+反クォークからなるメソン(中間子)に分類されます。

バリオン(3クォーク)

← 横にスクロールできます →

名称 記号・構成 電荷 一言説明
陽子 p(uud) +1 原子核を構成。半減期は非常に長く実質安定とされる
中性子 n(udd) 0 原子核を構成。単体では約10分で崩壊
ラムダ粒子 Λ(uds) 0 ストレンジネスを持つ最軽量バリオン
シグマ粒子 Σ(uus,uds等) +1,0,−1 3種(Σ⁺,Σ⁰,Σ⁻)が存在するハイペロン
グザイ粒子 Ξ(uss,dss) 0,−1 「カスケード粒子」とも呼ばれる二重ストレンジ粒子
オメガ粒子 Ω⁻(sss) −1 1964年発見。3個のストレンジクォークで構成
デルタ粒子 Δ(uuu等4種) +2,+1,0,−1 陽子・中性子の励起状態。スピン3/2
ペンタクォーク Pc(qqqq q̄) 可変 2015年LHCb実験で発見。5つのクォークからなる

メソン(クォーク+反クォーク)

← 横にスクロールできます →

名称 記号・構成 電荷 一言説明
荷電パイ中間子 π±(ud̄,dū) ±1 核力を媒介する。寿命約26ナノ秒
中性パイ中間子 π⁰(uū,dd̄) 0 2光子に崩壊する。寿命約8×10⁻¹⁷秒
荷電ケーオン K±(us̄,sū) ±1 ストレンジネスを持つ中間子。K中間子とも
中性ケーオン K⁰(ds̄,sd̄) 0 CP対称性の破れ発見(1964年)に貢献
ロー中間子 ρ(ud̄等) +1,0,−1 非常に短命(約4×10⁻²⁴秒)の中間子
イータ中間子 η 0 質量約548MeV。3光子または3パイへ崩壊
ファイ中間子 φ(ss̄) 0 2個のストレンジ反ストレンジから構成
J/ψ粒子 J/ψ(cc̄) 0 1974年発見の「11月革命」の主役。チャームの証拠
アップシロン粒子 Υ(bb̄) 0 1977年発見。ボトムクォーク存在の証拠となった
Bメソン B(bq̄等) 0,±1 ボトムクォークを含む中間子。B工場実験で研究
Dメソン D(cq̄等) 0,±1 チャームクォークを含む中間子
スポンサーリンク

仮説粒子・未発見粒子一覧

以下の粒子は理論的に予測されているか実験的に示唆されているものの、2026年現在いまだ正式に発見・確認されていない(または発見が議論中の)粒子です。今後の加速器実験や宇宙観測で検証が続けられています。

← 横にスクロールできます →

名称 記号 分類 一言説明(現状)
グラビトン G 仮説ボソン 重力を媒介すると予測される仮説粒子。未発見
磁気モノポール 仮説粒子 磁石のN極またはS極だけを持つ粒子。大統一理論が予測
アクシオン a 仮説粒子 強いCP問題を解くために提唱。暗黒物質候補
WIMP 仮説粒子 弱い相互作用する大質量粒子。暗黒物質候補の総称
ステライルニュートリノ νs 仮説粒子 弱い力も受けない「不活性」ニュートリノ
ニュートラリーノ χ 超対称性粒子 光子・Zボソン・ヒッグスのSUSYパートナーが混合した粒子
スクォーク 超対称性粒子 クォークの超対称性パートナー(スピン0)
スレクトロン 超対称性粒子 電子の超対称性パートナー(スピン0)
グルイーノ 超対称性粒子 グルーオンの超対称性パートナー(スピン1/2)
フォティーノ γ̃ 超対称性粒子 光子の超対称性パートナー(スピン1/2)。仮説的
プレオン 仮説粒子 クォーク・レプトンがさらに小さな粒子で構成されるとする説
レプトクォーク LQ 仮説粒子 レプトンとクォークの両方の性質を持つ仮説粒子
タキオン 仮説粒子 光速を超える粒子との仮説。現代物理では否定的とされる

準粒子(クアジパーティクル)一覧

固体や液体などの多体系において、粒子のような振る舞いをする集団的な励起を「準粒子」と呼びます。実際の素粒子ではありませんが、物性物理学・材料科学で非常に重要な概念です。

← 横にスクロールできます →

名称 分類 現れる系 一言説明
フォノン 準粒子(ボソン的) 結晶格子 格子振動の量子。熱伝導・音波の担い手
マグノン 準粒子(ボソン的) 磁性体 スピン波の量子。磁気エネルギーを伝える
エキシトン 準粒子 半導体 電子と正孔(ホール)が結合した束縛状態
プラズモン 準粒子(ボソン的) 金属・プラズマ 電子集団の振動の量子。ナノプラズモニクスで応用
ポーラロン 準粒子 極性結晶 電子と格子歪みが一体化した複合励起
ポラリトン 準粒子 光学共振器 光子とエキシトンが強く結合した混合励起状態
ホーラー(ホール) 準粒子(フェルミオン的) 半導体 電子の欠乏箇所が正電荷の粒子のように振る舞う
スキルミオン 準粒子(トポロジカル) 磁性薄膜 トポロジカルな磁気渦構造。次世代メモリ候補
スポンサーリンク

豆知識

2012年ヒッグス粒子発見の瞬間

2012年7月4日、スイス・ジュネーブのCERN(欧州原子核研究機構)は、LHC(大型ハドロン衝突型加速器)の2つの実験グループ(ATLASとCMS)がそれぞれ独立してヒッグスボソンの発見を確認したと発表しました。

ヒッグスボソンは1964年にピーター・ヒッグスらが理論的に予言した粒子で、他の粒子に質量を与えるメカニズム(ヒッグス機構)の核心です。発表当日の会場は発見を報告した学者に対して盛大な拍手が送られ、1964年に理論を提唱したヒッグス本人も涙をぬぐったと伝えられています。翌2013年、ヒッグスはノーベル物理学賞を受賞しました。

ニュートリノ振動の謎

ニュートリノはかつて「質量ゼロ」だと考えられていました。ところが1998年、スーパーカミオカンデ(日本・岐阜県)の観測で、ニュートリノが飛行中に「種類(フレーバー)」を変える現象——ニュートリノ振動——が発見されます。

振動するためにはわずかでも質量が必要であり、標準模型は質量ゼロを前提としていたため、これは標準模型の「穴」を意味します。この発見でスーパーカミオカンデのリーダー梶田隆章氏は2015年のノーベル物理学賞を受賞。なぜニュートリノが質量を持つのかは、現在も理論的に未解決のままです。

反物質消失の謎(CP対称性の破れ)

ビッグバン直後、宇宙には物質と反物質が同量生成されたと考えられています。ところが現在の宇宙は物質だけでできています。物質と反物質が同数あれば、すべてが対消滅してエネルギーだけになるはずです。

この謎の鍵がCP対称性の破れです。物理法則が粒子(C:電荷共役)と反粒子を入れ替えても、空間を鏡像反転(P:パリティ変換)しても変わらないという対称性(CP対称性)が、実験ではわずかに破れていることが確認されています。1964年のK中間子実験で初めて観測され、2008年にノーベル物理学賞(小林誠・益川敏英氏)が贈られました。ただし、この破れの量は現在の宇宙の物質量を説明するには不十分とされており、謎は続いています。

スポンサーリンク

まとめ

素粒子・粒子物理学の用語を標準模型17種類を筆頭に、反粒子・複合粒子・仮説粒子・準粒子まで計65件一覧化しました。ヒッグス粒子やニュートリノ振動、反物質の謎など、素粒子物理学は21世紀においても未解決の問いに満ちています。宇宙の最小単位を探る旅は、まだまだ続いています。

一緒に読まれている人気記事

参考・出典

スポンサーリンク

X でフォローしよう!

おすすめの記事