布・繊維の加工の種類一覧|防水・撥水・防シワなど機能加工56種まとめ

毎日着る衣類や使う生地には、製造段階でさまざまな機能が加えられています。「防水」「撥水」「形態安定(ノーアイロン)」「抗菌防臭」——タグに書かれた加工の言葉は多いものの、何が違うのか分かりづらいことも。この記事では、布・繊維に施される加工の種類を防水・形態安定・機能性・仕上げ・ウォッシュ系など10カテゴリ56種に分けて一覧でまとめました。加工名・仕組み・代表的な用途をセットで確認できます。

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布・繊維の加工とは

繊維加工とは、織り・編みなどで作られた布(生地)に後から機能や風合いを加える処理のことです。大きく次の2種類に分かれます。

  • 整理・仕上げ加工:布の縮みを取り除く・光沢を出す・やわらかくするなど、品質を整える加工
  • 機能加工:防水・抗菌・UVカットなど、特定の機能を持たせる加工

どちらも組み合わせて使われることが多く、現代の衣料品は複数の加工が重なって成立しています。

布・繊維の加工の種類一覧

①防水・撥水・耐水系

水に関する加工は「防水」「撥水」「耐水」など似た言葉が多く、混同しやすいカテゴリです。それぞれ仕組みと水を防ぐ程度が異なります。

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加工名 仕組み・特徴 代表的な用途
防水加工 布の隙間を樹脂でふさぎ水を通さない。通気性は失われやすい レインコート・テント生地
撥水加工(DWR加工) フッ素・シリコン樹脂で表面をコーティングし、水を玉状に弾く。通気性あり スポーツウェア・アウターウェア
耐水加工 生地の隙間を埋めて水の浸入を防ぐ。撥水より強く防水より弱め 傘・ウインドブレーカー
透湿防水加工 水は通さず水蒸気(汗)は通す。ゴアテックスが代表商標 登山ウェア・レインウェア
コーティング加工 アクリル・ウレタン樹脂を塗布して防水・防風膜を形成 アウトドアウェア・バッグ
ラミネート加工 フィルムを貼り合わせ高い耐水性を実現。コーティングより強度が高い 高機能アウターウェア

②形態安定・防縮系

洗濯による縮みやシワを防ぐ加工です。「ノーアイロン」「ノンアイロン」表示の多くは形態安定加工が施されています。

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加工名 仕組み・特徴 代表的な用途
防縮加工 製品になってからの縮みを防ぐ総称。各種方法がある 綿・ウール製品全般
サンフォライズ加工 綿生地を水と熱で先に強制収縮させる防縮加工の代表 ワイシャツ・Tシャツ・デニム
縮絨(しゅくじゅう)加工 ウールに熱・圧力・摩擦を加えて縮め密度を高める ウールコート・フェルト製品
ウール防縮加工 スケール(鱗状の表面構造)を薬品で除去し洗濯機でも縮まなくなる ウォッシャブルウール製品
形態安定加工(W&W加工) 樹脂処理でシワになりにくくアイロンがけ不要に。ウォッシュ&ウェアの略 ワイシャツ・スラックス
形状記憶加工 素材が元の形状に戻る性質を付与。プリーツや折り目が自然に戻る スーツのパンツ・スカート

③抗菌・防臭・衛生系

繊維に付着する細菌やウイルスの増殖を抑え、清潔に保つ加工です。下着・スポーツウェア・医療用途に多く使われます。

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加工名 仕組み・特徴 代表的な用途
抗菌加工 抗菌剤が繊維表面の細菌の増殖を抑制 下着・靴下・スポーツウェア
防臭加工 不快臭の原因物質を減らしたり臭いを目立ちにくくする 靴下・インナー
消臭加工 活性炭や化学反応で臭い物質を分解・吸着して除去 作業服・介護ウェア
制菌加工 複数種の細菌の増殖と活動を同時に抑制。JIS L 1902 で規格化 医療用品・衛生用品
抗ウイルス加工 繊維表面に付着したウイルスの数を減少させる マスク・医療衣料・通勤着

④UV・温熱・冷感系

体温調節や日焼け防止に関する機能加工です。夏向けの冷感素材から冬向けの発熱素材まで多様です。

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加工名 仕組み・特徴 代表的な用途
UVカット加工 紫外線吸収剤や反射剤を付与して紫外線を遮断・吸収 夏用アウター・スポーツウェア・傘
遮光加工 光全体を遮る。UVカットより広い波長域をブロック カーテン・日傘・アウトドア用品
接触冷感加工 糖・ゼオライトの吸湿時吸熱効果や熱伝導性を利用して冷感を付与 夏用インナー・シーツ・ひんやりグッズ
蓄熱・保温加工 赤外線を吸収・蓄積して熱を逃しにくくする 冬用インナー・アウターウェア
吸湿発熱加工 水分(汗・水蒸気)を吸収する際の化学反応で発熱。ヒートテック等が代表 冬用インナー・靴下
遠赤外線加工 セラミックや金属酸化物を加工して遠赤外線を放射し温感を与える 健康ウェア・防寒インナー

⑤防炎・制電・防汚系

安全性や清潔さに関わる加工です。消防士の制服から家庭の壁紙まで幅広く使われています。

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加工名 仕組み・特徴 代表的な用途
防炎加工 着火しにくく・燃え広がりにくくする(消防法に基づく認定制度あり) カーテン・じゅうたん・舞台幕
難燃加工 燃えにくい性質を付与。防炎より広い概念 作業服・消防服・建材
帯電防止加工(制電加工) 繊維表面で静電気が発生・蓄積しにくくする 作業服・クリーンルーム用衣料
防汚加工 汚れが付きにくく、付いても落としやすくする テーブルクロス・作業服
撥油加工 油を弾く。フッ素系コーティングが多い エプロン・作業服・食品加工用
防虫加工 防虫剤を繊維に加工して虫(蛾など)から守る ウール製品・ニット・絨毯
防ダニ加工 ダニを忌避・死滅させる成分を付与 寝具・カーペット・布団カバー

⑥吸水・速乾系

スポーツや夏場の快適性に直結する加工です。素材の繊維形状と組み合わせることで効果が高まります。

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加工名 仕組み・特徴 代表的な用途
吸水速乾加工 毛細管現象を利用して汗を素早く吸収し、外に放散して乾かす スポーツウェア・夏用インナー

⑦仕上げ・風合い系

布の見た目や手触りを整える加工です。高級感の演出や着心地の向上を目的とします。

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加工名 仕組み・特徴 代表的な用途
シルケット加工(マーセライズ加工) 綿を水酸化ナトリウム溶液に浸しシルクのような光沢と風合いに改質 高級シャツ・ハンカチ・寝具
カレンダー加工(シレー加工・チンツ加工) 熱したロールで圧力をかけ表面を平滑にして光沢・気密性を向上 シルクライクポリエステル・コート地
エンボス加工 型押しで生地に凹凸・模様・立体感を付ける バッグ生地・装飾布・壁紙
起毛加工 針状の突起で表面の繊維を搔き出して毛羽立たせる。フリース・フランネルの仕上げに使用 コート地・フリース・フランネル
剪毛加工(シャーリング) 起毛した表面を均一に刈り揃えてベルベット状の均一な毛並みにする ベルベット・ベロア・モケット
毛焼き加工 バーナーや電熱ロールで表面の毛羽を焼いてクリアな表面に プリント用生地・細番手素材
柔軟加工 柔軟剤でコーティングしてソフトな風合いを付与 インナー・寝具・タオル
減量加工 ポリエステルを強アルカリで表面溶解しシルクのような柔らかく軽い風合いに ポリエステルドレス素材
樹脂加工 合成樹脂を含浸または塗布してハリ・コシ・防シワ性を付与 裏地・接着芯・形状保持用途

⑧ウォッシュ・ビンテージ系

洗い・加熱・薬品処理でわざと古びた風合いを演出する加工です。デニム製品で特に多く使われます。

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加工名 仕組み・特徴 代表的な用途
ストーンウォッシュ加工 軽石(軽石)と一緒に洗い、摩擦で色落ちと柔らかさを出す デニムジーンズ・デニムジャケット
ケミカルウォッシュ加工 漂白剤や薬品でムラのある独特の色落ち・色抜きを表現 デニム・ヴィンテージ風ウェア
ウォッシャー仕上げ(ワッシャー加工) 洗いをかけて洗いざらした自然な柔らかい風合いに ナイロン素材・カジュアルウェア
タンブラー加工 乾燥機(タンブラー)で回転させて繊維をほぐし柔らかく仕上げる コットン製品・フリース・タオル
ビンテージ加工(エイジング加工) サンドブラスト・擦れ・摩耗で使い古した雰囲気を演出 デニム・ワーク系ウェア

⑨プリント・特殊表面加工

模様・テクスチャーを加える加工です。染色前処理から装飾まで幅広く含まれます。

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加工名 仕組み・特徴 代表的な用途
オパール加工(透かし加工・バーンアウト加工) セルロース繊維とポリエステルの混紡に酸をプリントし、セルロースだけを溶解させて透かし模様を作る 高級ドレス生地・カーテン
フロッキー加工(フロック加工) 短繊維を静電気で直立させて接着(植毛)し、ベルベット状の表面を作る バッグ内装・デコレーション素材
リップル加工 水酸化ナトリウムをプリントして部分収縮させ、さざ波状の凹凸を作る サッカー生地・夏用ブラウス
塩縮加工 塩類溶液で生地を部分収縮させてランダムな表情(シワ・凹凸)を付与 夏用ファッション素材
プリーツ加工 生地にヒダを付け熱処理で固定する プリーツスカート・パンツ
ボンディング加工 接着剤で異なる機能を持つ2〜3枚の生地を貼り合わせて複合素材を作る アウターウェア・機能性ウェア

⑩特殊・機能拡張加工

近年発展した先端的な加工や特殊用途の加工です。

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加工名 仕組み・特徴 代表的な用途
蓄光加工(夜光加工) 光を吸収して暗闇で光る蓄光剤を繊維に付与 安全着・アクセサリー・子供服
導電性加工 金属繊維や導電性コーティングで電気を通せるようにする スマートテキスタイル・タッチパネル対応手袋
香り加工(マイクロカプセル加工) 香り成分を極小のカプセルに閉じ込め、摩擦で放香させる アロマウェア・インナー
パラフィン加工 パラフィンオイルを生地表面に塗り込み独特の質感と経年変化(白化)を楽しめる キャンバス生地・アウトドア雑貨
遮熱加工 太陽光(近赤外線)を反射して体感温度の上昇を防ぐ 夏用アウター・遮熱カーテン
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豆知識:防水・撥水・耐水の違い

加工の名前でよく混乱するのが「防水」「撥水」「耐水」の3つです。

  • 撥水加工:水を弾く。小雨なら大丈夫だが、長時間の雨や強い雨では水が染み込みやすい。通気性がある
  • 耐水加工:水の浸入をある程度防ぐ。撥水と防水の中間的な性能
  • 防水加工:水を通さない。強い雨でも安心だが、通気性が失われやすい
  • 透湿防水加工:防水性能を持ちながら汗の水蒸気は通す。ゴアテックスが有名な商標

スポーツウェアの「撥水」は通気性を重視、レインコートの「防水」は完全防水を重視という使い分けです。

豆知識:商標名で呼ばれる代表的な機能加工

一部の繊維加工は商標名が一般的な呼称として広まっています。

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商標名 加工の種類 特徴
ゴアテックス(GORE-TEX) 透湿防水加工 W.L.ゴア社の特許。登山ウェアの代名詞
サンフォライズ(Sanforized) 防縮加工 綿・リネンの防縮処理の国際認証商標
ヒートテック(HEATTECH) 吸湿発熱加工 ユニクロと東レの共同開発・吸湿発熱インナーの代表
テフロン(Teflon) 撥水・撥油加工 デュポン社が開発したフッ素コーティング商標(現ケマーズ社)
シンサレート(Thinsulate) 保温加工 3M社の薄くて暖かい中綿素材
マーセライズ(Mercerize) シルケット加工 シルケット加工の英語名(発明者ジョン・マーサーの名前から)
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まとめ

布・繊維の加工は、防水・撥水・耐水系から形態安定・抗菌・UVカット・保温・冷感・起毛・ウォッシュ系など多岐にわたります。今回は10カテゴリ56種をまとめました。タグに書かれた加工の名前が何を意味するかを知ると、素材選びや洗濯・お手入れの判断にも役立ちます。繊維の素材(天然繊維・化学繊維)については繊維の種類一覧47種完全版|天然・化学繊維の特徴と用途まとめもあわせてご覧ください。

腕試しクイズ(全5問)

読んだ内容の腕試しです。いくつ分かるでしょうか?

腕試しクイズ(全5問)|繊維加工の種類
全5問。「採点する」で正解数と解説が表示されます。
第1問 綿を水酸化ナトリウム溶液に浸し、シルクのような光沢と風合いに改質する加工は?

第2問 セルロース繊維とポリエステルの混紡に酸をプリントし、セルロースだけを溶解させて透かし模様を作る加工は?

第3問 水酸化ナトリウムをプリントして部分収縮させ、さざ波状の凹凸を作る加工は?

第4問 オイルを生地表面に塗り込み、独特の質感と経年変化(白化)を楽しめる加工は?

第5問 熱したロールで圧力をかけ、表面を平滑にして光沢・気密性を向上させる加工は?

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