
世界中の神話・伝説には、炎を吐く怪物から雨をもたらす神まで、多彩な「竜」が登場します。西洋のドラゴンと東洋の龍は姿も性質もまるで違いますが、どちらも人類が古代から抱いてきた畏敬の念を体現した存在です。本記事では世界80種のドラゴン・龍・竜を、形態別分類と地域別に一覧にしてまとめました。創作ネーミングの参考にも役立てていただけます。
なお、世界の幻獣・伝説の生き物の総まとめは「世界の幻獣・伝説の生き物207選|神話の怪物からUMAまで名前と特徴まとめ」もあわせてご覧ください。
ドラゴン・竜の形態別分類(9種)
竜・ドラゴンは「翼の有無」「足の数」「蛇型か否か」によって大きく分類されます。まずは主な形態別の種類を整理します。
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| 種類名 | 読み | 特徴 |
|---|---|---|
| ドラゴン | どらごん | 4本の足と2枚の翼を持つ西洋の典型的な竜。炎を吐き、財宝を守る悪の化身とされることが多い |
| ワイバーン | わいばーん | 2本の後ろ足と2枚の翼のみを持つ竜。前足が翼と一体化しており、尾に毒針を持つとされる |
| ワーム(ワイアーム) | わーむ | 足も翼も持たない巨大な蛇型の竜。地中や水中に棲み、毒や腐食液を吐く |
| リンドヴルム | りんどゔるむ | 2本の腕を持つが翼がなく、胴体は蛇のような北欧・ゲルマン系の竜。人を丸呑みにする |
| アンフィスバエナ | あんふぃすばえな | 胴体の両端に頭がある蛇竜。どちらの方向にも進め、片方の頭が眠っていてももう片方が見張る |
| アンピプテラ | あんぴぷてら | 胴体を持たず、翼・首・尾だけが一体になった竜族。ヘビのような細い体と翼が特徴 |
| コカトリス | こかとりす | 雄鶏の上半身と竜の下半身を持つキメラ。眼差しや吐息で対象を石化・即死させるとされる |
| 龍(東洋) | りゅう | 蛇のように長い体と4本の足を持つが翼はなし。水・雨・雲を司る神聖な存在で吉兆の象徴 |
| ナーガ | なーが | インド・東南アジアの竜族。蛇体、あるいは上半身が人で下半身が蛇の姿をとり、水辺を守る |
ヨーロッパの竜一覧(13種)
各地方の伝説に固有の名を持つ竜が多く伝わっています。英雄や聖人に退治される悪の化身として語られるものが大半です。
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| 名前 | 読み | 特徴 |
|---|---|---|
| ガルグイユ | がるぐいゆ | フランス・ルーアンに伝わる竜。セーヌ川で洪水と溺死をもたらしたが、聖ロマンに退治された。後に「ガーゴイル」の語源に |
| タラスク | たらすく | フランス南部タラスコン近郊の怪物竜。半獣・半亀のような姿で川沿いを荒らしたが、聖女マルトの祈りで制された |
| ヴィーヴル | ゔぃーヴる | フランス・ブルゴーニュ地方の翼ある蛇竜。額に宝石(オパールなど)を飾り、水辺に棲む女性竜とされる |
| ヴァヴェルの竜 | ゔぁゔぇるのたつ | ポーランド・クラクフのヴァヴェル丘の洞窟に棲む竜。家畜を食べ続け、靴職人の機転で退治された |
| ズメイ | ずめい | スラブ神話に広く伝わる多頭の竜。炎を吐いて村を焼き、英雄ドブルィニャ・ニキティチと戦ったとされる |
| ズメウ | ずめう | ルーマニアの竜族。人や花嫁を誘拐し城に連れ去る邪悪な存在として民話に頻繁に登場する |
| ヴィシャップ | ゔぃしゃっぷ | アルメニア神話の竜。高山や嵐の雲の中に棲み、神話上の英雄ヴァハグンによって倒されたとされる |
| クエレブレ | くえれぶれ | スペイン北部アストゥリアスの翼ある蛇竜。洞窟に財宝を守り、若い女性を生贄に求めるとされる |
| アイトワラス | あいとゔぁらす | リトアニアの家竜。黒い鶏の姿で家に棲み、財産をもたらす一方で盗みも働く |
| エレンスゲ | えれんすげ | バスク地方に伝わる洞窟の竜。角を持ち炎を吐く一角竜で、聖ミゲルに退治されたとも伝わる |
| 赤い竜 | あかいたつ | ウェールズの国旗に描かれる国章の竜。地中で白い竜と戦い勝利した後、ウェールズ民族の守護者となった |
| ジャバウォック | じゃばうぉっく | ルイス・キャロルの詩『ジャバウォッキー』に登場する創作の竜。「鉤爪と噛む顎」を持つ謎めいた怪物 |
| バジリスク | ばじりすく | 中世ヨーロッパ全域に伝わる蛇竜の王。視線・息・触れた水で生き物を殺すとされた |
北欧神話の竜一覧(4種)
北欧神話ではラグナロク(世界の終末)に関わる巨大な竜・蛇が重要な役割を持ちます。
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| 名前 | 読み | 特徴 |
|---|---|---|
| ファフニール | ふぁふにーる | 呪いの黄金を独り占めするため竜に変身した人物。英雄シグルズに倒され、その血を浴びた者は鳥の声を理解できる |
| ニーズヘッグ | にーずへっぐ | 世界樹ユグドラシルの根を永遠に齧り続ける悪竜。死者の体もついばみ、ラグナロク後も生き残るとされる |
| ヨルムンガンド | よるむんがんど | ミッドガルドを海の底で取り巻く巨大な蛇竜。自らの尾を噛む姿から「ミッドガルドの蛇」とも呼ばれる |
| ベオウルフの竜 | べおうるふのたつ | 英雄詩『ベオウルフ』に登場する名を持たない古竜。財宝を守り続け、盗まれたことに激怒して国を炎で焼き払う |
ギリシャ神話の竜一覧(6種)
ギリシャ神話では竜(ドラコン)は英雄の試練を与える番人・怪物として登場します。
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| 名前 | 読み | 特徴 |
|---|---|---|
| ラードーン | らーどーん | ヘスペリスの園の黄金のリンゴを守る眠らない竜。ヘーラクレスに倒され、後に天のりゅう座になったとも伝わる |
| ヒュドラ | ひゅどら | 9つの首を持つ水の怪物竜。一つ切ると二つ生えてくる首を持ち、ヘーラクレスが火で焼きながら退治した |
| ピュートーン | ぴゅーとーん | デルポイを支配していた大蛇竜。アポロンが退治し、その場所に神託所を開いた。これが「パイソン」の語源 |
| テュポン | てゅぽん | 百の竜や蛇の首を持つとされる最強の怪物神。ゼウスと壮絶な戦いを繰り広げたオリュンポス最大の脅威 |
| コルキスの竜 | こるきすのたつ | 黄金の羊毛を守る眠らない竜。イアソンと女魔術師メデアが協力し、眠り薬で眠らせて羊毛を持ち去った |
| カドモスの竜 | かどもすのたつ | テーバイ建国時に英雄カドモスが退治したアレスの竜。その歯を大地に蒔くと武装した兵士が生まれたとされる |
中東・旧約聖書の竜一覧(5種)
最古の竜の記録はメソポタミアにあります。エジプト・ヘブライの伝承にも竜は登場します。
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| 名前 | 読み | 特徴 |
|---|---|---|
| ティアマト | てぃあまと | バビロニア創世神話の混沌の竜神。塩水の海を体現し、マルドゥクに倒されてその体から天地が造られた |
| ムシュフシュ | むしゅふしゅ | バビロニアのマルドゥクが従えた守護竜。蛇の体に獅子の前足・鷲の後ろ足を持ち、イシュタル門を飾る |
| アペプ | あぺぷ | エジプト神話の混沌と闇の蛇竜神。毎夜、太陽神ラーの乗る船を冥界で襲い続ける永遠の敵 |
| リヴァイアサン | りゔぁいあさん | 旧約聖書・詩篇に登場する海の怪物竜。神が作った最強の生き物とされ、硫黄の息と炎を吐くと描写される |
| バハムート | ばはむーと | イスラム世界の宇宙を支える巨大な魚または竜。後に中東の伝承からファンタジーの竜の王として広まった |
東洋の龍一覧(中国・17種)
中国の龍は西洋の悪の竜とは対照的に、水・豊穣・王権を司る神聖な存在です。
中国の主な龍の分類(8種)
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| 名前 | 読み | 特徴 |
|---|---|---|
| 青龍 | せいりゅう | 四神の東方を守る青い龍。春・東の方角・木行を司り、白虎・朱雀・玄武とともに四神を構成する |
| 応龍 | おうりゅう | 翼を持つ龍の最高位。黄帝に仕えて治水や戦争を助け、翼は千年以上生きた龍だけが生やせるとされる |
| 蛟龍 | こうりゅう | 川・湖・沼に棲む龍になりきれていない竜。500年以上生きると龍へ昇格できると伝わる |
| 蟠龍 | ばんりゅう | 水中でとぐろを巻いている龍。昇天する前の状態を指し、螺旋状のとぐろが建築装飾にも用いられた |
| 飛龍 | ひりゅう | 雲の上を自由に飛ぶ龍。仙境や天界に棲み、仙人を運ぶとされる神聖な存在 |
| 黄龍 | おうりゅう | 五行の土行・中央を司る黄色い龍。四神に加えられ五神とする説もあり、皇帝の象徴でもある |
| 龍王 | りゅうおう | 海・川を支配する龍の王。東西南北の海を治める四海龍王が有名で、人間の姿に変身することも |
| 虬 | きゅう | 角を持たない若い龍。成長して角が生えると「龍」と呼ばれるようになる、いわば龍の子どもの呼称 |
龍生九子(りゅうせいきゅうし)(9種)
龍生九子とは、龍が産んだ9種の子どもたちで、それぞれ異なる性質を持ちます。中国の建築・工芸品の装飾に広く用いられてきました。
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| 名前 | 読み | 特徴 |
|---|---|---|
| 贔屓 | ひき | 亀に似た体を持ち、重いものを担ぐことを好む。石碑・墓石の台座によく用いられる |
| 螭吻 | ちふん | 竜の頭に魚のひれを持ち、火と水を好む。屋根の棟の両端を飾り、火災を防ぐとされる |
| 蒲牢 | ほろう | 体は小さいが声が大きく、響くことを好む。鐘のつり金具の装飾として使われた |
| 狴犴 | へいかん | トラに似た威厳ある姿で、正義を好む。牢獄・裁判所の門扉に刻まれ、威厳の象徴とされた |
| 饕餮 | とうてつ | 食欲の化身で、飲み食いを好む。商・周時代の青銅器に描かれる獣面文様がこれにあたる |
| 蚣蝮 | こうふく | 水を好み、橋や水路の欄干に彫られる。洪水や水難から守るとされた |
| 睚眦 | がいし | 殺伐とした戦いを好む。剣の柄・刀の鍔の装飾として武器に刻まれた |
| 狻猊 | さんげい | ライオンに似た姿で、煙と炎を好む。仏像の台座や香炉の足の飾りとして用いられた |
| 椒図 | しょうと | ハマグリに似た姿で、門を閉じることを好む。扉の環状の取っ手(環首)に用いられる |
日本の竜・龍一覧(6種)
日本では中国の龍文化を受け継ぎつつも、独自の竜神信仰が各地で発展しました。
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| 名前 | 読み | 特徴 |
|---|---|---|
| 八岐大蛇 | やまたのおろち | 8つの頭と8つの尾を持つ巨大な大蛇竜。スサノオノミコトに酒で酔わせて退治され、その尾から草薙剣が出た |
| 九頭竜 | くずりゅう | 9つの頭を持つ水神。長野の九頭竜川や各地の池・湖に伝わり、仏教の龍神とも結びついた |
| 五頭竜 | ごずりゅう | 5つの頭を持つ竜。江ノ島の弁財天縁起に登場し、人を食らう竜が弁財天に心変わりして守護神になる |
| 龍神 | りゅうじん | 海・川・湖を支配する水の神。竜宮城の主として有名で、恵みの雨をもたらす信仰が全国に広まった |
| 白龍 | はくりゅう | 白い龍神。清浄・善・癒やしを象徴し、白龍神社など各地で信仰される |
| 黒龍 | こくりゅう | 黒い龍神。水の深さ・強さを象徴し、滝や深淵の守護として祀られることが多い |
アジア各地の竜一覧(8種)
朝鮮半島・ベトナム・インドにも独自の竜が伝わります。
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| 名前 | 読み・原語 | 特徴 |
|---|---|---|
| ヨン | 용(ヨン) | 韓国の龍。雲と雨を司り王権の象徴でもある。日本・中国の龍と基本的な性質は近いが、爪が4本の点が異なる |
| イムギ | 이무기(イムギ) | 龍になれていない韓国の巨大蛇。1000年修行を積んで天から宝珠を授かると龍に昇格できるとされる |
| ロン | Rồng(ロン) | ベトナムの龍。国の始祖ラック・ロン・クァンは龍の末裔とされ、国家の象徴として深く信仰される |
| ナーク | Nāk | タイ・カンボジアの竜蛇神。川・湖の守護者で、寺院の階段にナーク像が並ぶのが典型的 |
| ヴァースキ | Vasuki | ヒンドゥー神話の蛇の王。乳海攪拌のとき綱として使われ、猛毒のハラーハラを飲み込んで世界を救った |
| シェーシャ | Shesha(アナンタ) | 宇宙を支え続ける無限の蛇竜。ヴィシュヌ神の寝台となり、その上でヴィシュヌが宇宙的な眠りにつく |
| タクシャカ | Takshaka | ヒンドゥー神話のナーガ族の王の一人。空を飛ぶ能力を持ち、王アリクシトを毒で殺したことで知られる |
| カーリヤ | Kaliya | ヤムナー川に棲む多頭の毒蛇竜。川を汚染していたが、クリシュナが蛇の上で踊りを踊って制服し追い払った |
南北アメリカの竜一覧(6種)
メソアメリカには「羽毛のある蛇」という独自の竜神が発達しました。
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| 名前 | 読み | 特徴 |
|---|---|---|
| ケツァルコアトル | けつぁるこあとる | アステカ神話の「羽毛のある蛇」神。文明・農業・風・知恵をもたらした創造神で、白い肌の人として現れるとされた |
| ククルカン | くくるかん | マヤ神話の羽毛蛇神。チチェン・イツァーのエル・カスティージョ神殿で崇拝され、ケツァルコアトルと同一視される |
| シパクトリ | しぱくとり | アステカ神話の大海原を泳ぐ怪物竜。その体が砕かれて大地と天が形成されたとされる、宇宙の原材料となった存在 |
| アマル | あまる | インカ神話の蛇竜。蛇・鳥・猫を合わせた姿とされ、川・湖・山の変動と結びつけられた |
| ボイタタ | ぼいたた | ブラジル・グアラニー族に伝わる炎の蛇竜。草原を焼く野火の化身で、目から炎を放ち、暗闇の守護者とされる |
| ピアサバード | ぴあさばーど | イリノイ川沿いに伝わるネイティブアメリカンの竜。岩壁に描かれた翼と角を持つ怪物で、人を攫うとされた |
アフリカ・オセアニアの竜一覧(6種)
アフリカや大洋州にも蛇を神格化した竜の伝承が広く存在します。
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| 名前 | 読み | 地域・特徴 |
|---|---|---|
| ダン | Dan | ベナン・ヴードゥー神話の虹蛇竜神。天と地をつなぐ虹の体を持ち、宇宙の秩序を支える創造の神 |
| インカンヤンバ | Inkanyamba | 南アフリカ・ズールー族の竜。滝や荒々しい川に棲む巨大な蛇竜で、嵐や洪水の原因とされた |
| レインボー・サーペント | Rainbow Serpent | オーストラリア先住民の創造神。大地を創り、川・水・生命を守る。「ドリームタイム」神話の中心的な存在 |
| タニファ | Taniwha | マオリ族の竜・水の怪物。川・湖・海に棲み、人を守護する一方で脅かすこともある両面的な存在 |
| モオ | Moʻo | ハワイの水竜。池・川の守護者で、女性に変身して人間の前に現れるとも伝わる |
| キハワヒネ | Kihawahine | ハワイのモオの中で最も尊崇されたとされる長老の水竜。王族の守護者として深く信仰された |
豆知識:東洋の龍と西洋のドラゴンはなぜ違う?
東洋の龍と西洋のドラゴンの最大の違いは「善悪のイメージ」と「形」です。
東洋(中国・日本など)の龍は、雨と豊作をもたらす吉兆の水神として崇拝されてきました。蛇のような細長い体で翼はなく、雲の中を駆け抜けて天に昇る姿が理想とされます。皇帝の象徴でもあり、5本爪の龍は皇帝専用とされるほど高貴な存在でした。
西洋のドラゴンがキリスト教の「蛇=悪魔」のイメージと結びついたことで、悪の怪物として定着していきました。中世ヨーロッパでは聖人が竜を退治する話が多く語られ(聖ジョージと竜が代表例)、「竜を倒す英雄」という物語の型が根付きました。
もともとどの文化でも「竜=水神・蛇の神格化」として出発しており、両者の違いはヨーロッパにおけるキリスト教化の影響が大きいと考えられています。
まとめ
世界のドラゴン・龍・竜を地域別に80種まとめました。翼のある悪の怪物から雨と豊穣の神まで、「竜」というモチーフが人類の想像力の中でいかに多様に育まれてきたかがわかります。創作ネーミングや世界観づくりにもぜひ活用してみてください。
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