
「車離れ」「テレビ離れ」「飲み会離れ」——「◯◯離れ」という表現は日常のニュースや会話にあふれています。消費・娯楽・人間関係など幅広い分野で「◯◯離れ」が語られてきました。この記事では、食・飲料から社会参加まで、現代日本で使われている「◯◯離れ」71種を7カテゴリ別テーブルで網羅します。
「◯◯離れ」とは
「◯◯離れ」は、特定のもの・こと・習慣から人々(主に若者)が遠ざかっていく社会的傾向を表す現代語です。「若者の〇〇離れ」として語られることが多く、メディアや世論調査の場でよく使われます。
最初に記録されている用例は、1972年(昭和47年)8月号の岩波書店『図書』に掲載された「若ものの活字離れの元凶は教科書だ!!」という見出しとされています。「活字離れ」は半世紀以上前から語られていたことになります。
ただし「◯◯離れ」という言葉は世相の変化を伝える言い回しであり、統計的に測れるものもあれば、印象論として語られるものもあります。以下の一覧では、各「離れ」がいつ頃から言われ始めたか・なぜ語られるようになったかを中立に紹介します。
食・飲料の「◯◯離れ」
食卓にあがるもの・飲み物の消費変化を表す「◯◯離れ」です。
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| 「◯◯離れ」 | いつ頃から | 背景・特徴 |
|---|---|---|
| 酒離れ / お酒離れ | 1990年代〜 | 飲酒量の長期減少。国税庁の課税統計でも飲酒量の減少傾向が確認されている |
| ビール離れ | 1990年代後半〜 | ビール系飲料の課税数量が1994年をピークに減少。第三のビール・RTD缶の台頭も背景にある |
| 日本酒離れ | 1970年代後半〜 | 清酒の消費量は1970年代末をピークに長期減少。ウイスキーやワインブームが一因ともされる |
| ワイン離れ | 2010年代〜 | ブームが落ち着いた2010年代以降に言われるようになった。輸入量の動向に連動 |
| 牛乳離れ | 2000年代〜 | 学校給食以外での消費が低迷。農林水産省の調査で1人あたり消費量の減少が示されている |
| 米離れ | 1960年代〜 | 食の多様化に伴い、1962年をピークとする1人あたり米消費量の長期低下。農水省が継続調査 |
| 魚離れ | 1990年代〜 | 水産庁の調査で魚介類の1人あたり消費量が減少傾向。調理の手間・価格上昇も一因 |
| 野菜離れ | 2000年代〜 | 厚労省「国民健康・栄養調査」で野菜摂取量が目標(350g)を下回り続けている状況から語られる |
| フルーツ離れ | 2000年代〜 | 果実の1人あたり消費量が継続的に減少。価格の高止まりが一因ともされる |
| 朝食離れ | 2000年代〜 | 厚労省の調査で朝食欠食率が高い傾向が続く。ライフスタイルの変化を反映 |
| 外食離れ | 2020年代〜 | コロナ禍以降の行動変容と物価高が重なり、自炊回帰の傾向として語られるようになった |
| たばこ離れ | 1980年代〜 | 日本たばこ産業の販売本数が1996年をピークに減少。健康意識の高まりや受動喫煙対策の強化が続く |
| 魚介類離れ | 2000年代〜 | 上記「魚離れ」と重なるが、エビ・イカ・タコなど魚介類全体の消費減少を指す場合に使われる |
モノ・消費の「◯◯離れ」
製品・ブランドなど「モノ」に関する消費行動の変化です。
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| 「◯◯離れ」 | いつ頃から | 背景・特徴 |
|---|---|---|
| 車離れ / クルマ離れ | 1990年代〜 | 若年層の運転免許取得率・自動車保有率の低下が指摘されてきた。都市集中・移動手段の多様化が背景 |
| バイク離れ / 二輪離れ | 1990年代〜 | 二輪免許取得者数の減少。「バイクはコスト・危険」という認識の広がりが一因ともされる |
| ブランド離れ | 2000年代〜 | 欧米ラグジュアリーブランドへの若者の関心低下。消費の個人化・コスパ志向の影響が語られる |
| 百貨店離れ | 2000年代〜 | 百貨店の全国販売額が1991年をピークに長期減少。EC・ファストファッションへの移行が進んだ |
| マイホーム離れ | 2010年代〜 | 持ち家取得率の低下や「一生賃貸」志向の広がり。住宅ローンへの不安と流動性重視の働き方が絡む |
| スーツ離れ | 2000年代〜 | オフィスのカジュアル化(クールビズ等)や、コロナ禍のリモートワーク普及により語られるようになった |
| 腕時計離れ | 2010年代〜 | スマートフォンで時刻確認が可能になり、若年層の時計購入が減少傾向とされる |
| ハンコ離れ / 印鑑離れ | 2020年代〜 | デジタル化・電子契約の普及に伴い、官公庁・企業での押印廃止の動きが加速した |
| 現金離れ | 2010年代〜 | キャッシュレス決済の普及(電子マネー・QR決済)を背景に語られる。政府もキャッシュレス推進を後押し |
メディア・エンタメの「◯◯離れ」
テレビ・新聞などのメディアや、音楽・映画などエンタメ分野の変化です。
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| 「◯◯離れ」 | いつ頃から | 背景・特徴 |
|---|---|---|
| テレビ離れ | 1990年代〜 | NHK放送文化研究所の調査で10〜30代の視聴時間が長期にわたって減少。動画配信サービスへの移行が進む |
| 新聞離れ | 1990年代〜 | 日本新聞協会のデータで新聞発行部数が1997年をピークに減少。若年層の購読率は特に低い |
| 活字離れ / 読書離れ | 1970年代〜(前述の通り) | 文化庁の「国語に関する世論調査」で読書量の減少が繰り返し報告されている |
| 雑誌離れ | 2000年代〜 | 雑誌の販売部数・発行点数の減少が続く。ネット情報へのシフトが大きな要因とされる |
| CD離れ | 2000年代〜 | 音楽ソフト(CD)の出荷数量が1998年をピークに減少。ストリーミングサービスへの移行が加速した |
| ラジオ離れ | 2000年代〜 | 若年層のラジオ聴取率の低下。ポッドキャストやSpotify等の台頭が新たな局面をもたらしている |
| 映画館離れ | 時期により変動 | コロナ禍前後で大きく変動。若年層の映画館来場者数の減少が指摘された時期もある |
| 演歌離れ | 1990年代〜 | 演歌CDの売上减少と演歌歌手のテレビ出演機会の縮小。J-POPに主流が移った |
| プロ野球離れ | 2000年代〜 | 地上波テレビ中継の縮小時期に語られた。その後はデジタル配信で若年層の関与が変化している |
| 相撲離れ | 変動あり | 2000年代に入場者数の減少が指摘されたが、その後人気が回復する時期もあった |
| マンガ離れ | 変動あり | 紙の漫画誌・単行本の販売が減少した時期に語られた。電子コミックは増加傾向 |
| 音楽離れ | 2000年代〜 | 音楽への能動的な参加(CD購入・コンサート参加等)の変化として語られる場合がある |
| カラオケ離れ | 2010年代〜 | カラオケ店の来店者数の推移に連動して語られる。若年層の「1人カラオケ」需要とは別 |
趣味・レジャーの「◯◯離れ」
旅行・スポーツ・アウトドアなどのレジャー活動に関するものです。
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| 「◯◯離れ」 | いつ頃から | 背景・特徴 |
|---|---|---|
| 旅行離れ | 2000年代〜 | 国内・海外旅行ともに若者の旅行回数・消費額の変化として語られる |
| 海外旅行離れ | 2010年代〜 | 日本人のパスポート保有率が2009年をピークに低下傾向。「内向き志向」の若者論の文脈でも語られた |
| 海離れ | 1990年代〜 | 夏の海水浴場利用者数の減少。近年はクラゲ・水難事故への懸念なども語られる |
| スキー離れ / スノボ離れ | 1990年代後半〜 | スキー場入場者数が1993年をピークに大幅減少。「スキーブームの終焉」として語られた |
| ゴルフ離れ | 1990年代後半〜 | バブル崩壊後にゴルフ人口が減少。ゴルフ場数の過剰・費用の高さが若者参入の障壁とされた |
| パチンコ離れ | 2000年代〜 | パチンコ店舗数・遊技人口が1990年代をピークに減少傾向。スマホゲームへの移行も語られる |
| 釣り離れ | 変動あり | 釣り人口の減少時期に語られた。近年は「ソロキャンプ」ブームに連動した釣りへの関心回復もある |
| 麻雀離れ | 2000年代〜 | 雀荘利用者の高齢化と若年層の新規参入減少。一方でオンライン麻雀が普及している |
人間関係・コミュニティの「◯◯離れ」
飲み会・年賀状・地域活動など、社会的なつながりの変化です。
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| 「◯◯離れ」 | いつ頃から | 背景・特徴 |
|---|---|---|
| 飲み会離れ | 2010年代〜 | 会社の飲み会・忘年会への参加意欲の低下として語られる。コロナ禍でさらに加速したとされる |
| 合コン離れ | 2010年代〜 | マッチングアプリの普及に伴い、合コンを通じた出会いが減少傾向とされる |
| 年賀状離れ | 2000年代〜 | 日本郵便の年賀はがき発行枚数が2003年をピークに減少。SNSでの新年挨拶への移行が進む |
| 冠婚葬祭離れ | 2010年代〜 | 葬儀の簡略化(家族葬・直葬の増加)や結婚式を省く「なし婚」の増加として語られる |
| 町内会離れ | 2000年代〜 | 地域コミュニティへの参加率低下。少子高齢化による担い手不足も重なっている |
| PTA離れ | 2010年代〜 | PTA任意加入・廃止論の台頭。保護者の時間的・精神的負担への疑問から広まった |
| 同窓会離れ | 2010年代〜 | SNSで元クラスメイトとつながれるようになり、リアルの同窓会開催が減少しているとされる |
| 神社仏閣離れ | 2010年代〜 | 宗教的行事(法要・初詣の参拝様式など)の簡略化や宗教への関心の変化として語られる |
人生・仕事・社会参加の「◯◯離れ」
結婚・雇用形態・政治参加など、人生設計と社会への関わり方の変化です。
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| 「◯◯離れ」 | いつ頃から | 背景・特徴 |
|---|---|---|
| 結婚離れ | 1990年代〜 | 生涯未婚率の上昇として統計化されている。経済的要因・価値観の多様化が背景とされる |
| 恋愛離れ | 2010年代〜 | 「恋人が欲しいと思わない」若者の割合が一部調査で増加傾向。実態は議論が続く |
| 海外留学離れ | 2000年代〜 | 日本人の海外留学者数が2004年頃をピークに減少した時期に語られた。内向き志向・費用・治安への不安が一因とされる。近年は回復傾向もある |
| 正社員離れ | 2000年代〜 | フリーランス・副業・ギグワークなど「正社員以外」の働き方を選ぶ人の増加として語られる |
| 終身雇用離れ | 2010年代〜 | 転職市場の拡大に伴い、「1社に定年まで」という働き方から離れる流れが顕在化した |
| 残業離れ | 2010年代〜 | 働き方改革関連法施行後(2019年〜)に総実労働時間の短縮傾向が統計に現れた |
| 選挙離れ | 1990年代〜 | 国政選挙の投票率が長期的に低下傾向。特に10〜20代の投票率の低さが繰り返し指摘される |
| 政治離れ | 1990年代〜 | 政党支持なし層の増加。選挙離れと並行して語られることが多い |
| 宗教離れ | 2000年代〜 | 「特定の宗教を信じていない」と答える人の割合の増加。葬儀の非宗教式化とも関連 |
| 農業離れ | 1960年代〜 | 農業従事者数・農家数の長期減少。後継者不足は農政の課題として今も続いている |
| 理科離れ | 1990年代〜 | 文部科学省の調査で理科・理工系進学希望の低下が語られた。「科学技術立国」との関係でも議論される |
| 地域活動離れ | 2000年代〜 | 自治会・ボランティア活動などへの参加率の低下。核家族化・都市化が背景とされる |
2020年代の「◯◯離れ」
デジタル化・コロナ禍・物価高などを背景に、2010〜2020年代に語られるようになった表現です。
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| 「◯◯離れ」 | いつ頃から | 背景・特徴 |
|---|---|---|
| 固定電話離れ | 2000年代〜 | 携帯電話の普及に伴い固定電話契約数が大幅減少。若年層は自宅に固定電話を持たないことも珍しくない |
| FAX離れ | 2010年代〜 | デジタル化の波と国際的な非効率さへの指摘から、企業・官庁でのFAX廃止の動きが広がった |
| メール離れ | 2010年代〜 | LINEや各種チャットツールへの移行により、特に私的なやり取りでのメール使用が減少した |
| SNS離れ | 2010年代後半〜 | Twitter(現X)・Facebook等の特定SNSから距離を置く動きが見られるようになった |
| コンビニ離れ | 2020年代〜 | 物価高・健康志向・ECの利便性向上を背景に、コンビニへの来店頻度の変化として語られる |
| オフィス離れ / 出社離れ | 2020年代〜 | コロナ禍以降のリモートワーク定着に伴い、毎日出社しない働き方が広がった |
| 紙離れ | 2000年代〜 | ペーパーレス化の進展。電子書籍・デジタル資料への移行と重なって語られる |
| IT業界離れ | 変動あり | 一部の時期に「エンジニアが集まらない」として語られた。現在はIT人材不足の文脈がより強い |
豆知識:「◯◯離れ」の歴史と使われ方
「◯◯離れ」が最初に記録されたのは前述のように1972年とされますが、表現が広がったのは1980〜90年代です。この時期は経済の高度成長が落ち着き、消費や生活様式が多様化し始めた時代でした。
言葉として注意したい点が2つあります。
1つ目は、「◯◯離れ」は必ずしも統計的に証明されているわけではないという点です。「テレビ離れ」「新聞離れ」のように視聴率・発行部数などのデータが裏付けるものもありますが、「恋愛離れ」「夢離れ」のように測定が難しく印象論の側面が強いものもあります。
2つ目は、「若者の◯◯離れ」という言い回しが、変化の要因を特定の世代に帰属させる効果を持つ点です。実際には「お金が若者から離れた」(経済的な問題)や「技術・サービスが変化した」(時代の変化)ことを指している場合も多く、世代だけの問題ではないとする見方もあります。
関連する現代語としては、「◯◯寿命」一覧や〇〇界隈の一覧もあわせてどうぞ。
まとめ
「◯◯離れ」は、食・飲料・メディア・人間関係・社会参加など実に幅広い分野で使われる現代語です。今回は71種を7カテゴリに整理しました。言葉の背後には、時代の変化・経済状況・技術革新など複合的な要因があります。「◯◯離れ」という表現一つひとつに、その時代の社会が映し出されています。
農林水産省「年間1人当たりの米の消費量をおしえてください」 https://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0405/05.html (2026-10-06参照)
日本新聞協会(新聞発行部数ピーク1997年・5,376.5万部の根拠) https://www.crex-data.com/industry/media-it/newspaper/circulation-trend (2026-10-06参照)
国税庁「酒類の課税数量推移」 https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/shiori/2021/pdf/025.pdf (2026-10-06参照)