世界の聖典一覧|聖書・コーラン・ヴェーダ・仏典など70種まとめ

世界には数千の宗教があり、それぞれが「神の言葉」や「悟りへの道」を記した聖典を持っています。旧約聖書・コーラン・ヴェーダ・仏典・古事記……。信仰の核心となるこれらの文書は、宗教の数だけ多様な形をとります。この記事では世界の主要宗教の聖典・経典を宗教別に70種まとめました。アブラハムの宗教からインド系・東アジア・古代宗教まで、信仰の礎となる正典を一覧で解説します。

各宗教の歴史・信者数・発祥地については、世界の主要宗教26選|信者数・聖典・発祥地を系統別に完全まとめもあわせてご覧ください。

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アブラハムの宗教(ユダヤ教・キリスト教・イスラム教)

中東に起源を持つ「アブラハムの宗教」は、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の三大一神教。共通の祖先を持つだけあって、聖典にも深い関係があります。

ユダヤ教

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聖典名 特徴・解説
タナハ(ヘブライ語聖書) ユダヤ教の根本聖典。律法書(トーラー)・預言書(ネヴィイーム)・諸書(ケトゥヴィーム)の3部から成り、キリスト教の旧約聖書に相当する
トーラー(モーセ五書) タナハの冒頭5巻(創世記・出エジプト記・レビ記・民数記・申命記)。神からモーセに授けられた律法を記し、ユダヤ法の最高権威とされる
タルムード トーラーの口承律法を集大成した解釈書・討論集。バビロニア・タルムードとエルサレム・タルムードの2種があり、ラビ・ユダヤ教の中心的権威
ミドラシュ タナハの物語・律法に対するラビたちの注解・説話集。文字通りの意味の解説から比喩的解釈まで多岐にわたる
ゾハル(光輝の書) ユダヤ神秘主義カバラーの中心的聖典。13世紀スペインで成立。神秘的な象徴体系でトーラーを解釈し、神の本質と宇宙の構造を論じる

キリスト教

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聖典名 宗派 特徴・解説
旧約聖書 全宗派 ヘブライ語聖書に相当。創世記・詩篇・イザヤ書など、イエス以前の神とイスラエルの歴史を記す
新約聖書 全宗派 イエス・キリストの生涯を記す四福音書、パウロ書簡、ヨハネの黙示録など27書から成る。ギリシア語で書かれた
旧約聖書続典(第二正典) カトリック・正教会 プロテスタントが正典に含めない文書群(トビト記・マカバイ記など)。カトリックは「第二正典」、プロテスタントは「外典」と呼ぶ
モルモン書 末日聖徒イエス・キリスト教会 1830年にジョセフ・スミスが「翻訳」したとされる。古代アメリカ大陸でのキリストの教えを記すと主張
教義と聖約 末日聖徒 ジョセフ・スミスと後継者への神の啓示を集めたもの。LDS教会の組織・教義を規定する
高価な真珠 末日聖徒 モーセ書・アブラハム書・信仰箇条などを収録した短い聖典集
天聖経 世界平和統一家庭連合(統一教会) 創設者・文鮮明の説教を弟子たちが編纂。2013年刊行。統一教会では「神の言葉の集大成」とされる
原理講論 世界平和統一家庭連合 1966年刊行。聖書の再解釈と統一教会の教義体系を体系化した根本テキスト

イスラム教

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聖典名 特徴・解説
クルアーン(コーラン) イスラム教の最重要聖典。預言者ムハンマドがアッラーから受けた啓示を集録。全114章(スーラ)から成り、神の言葉そのものとされるためアラビア語以外への翻訳は「翻訳」でなく「意味の解釈」と呼ばれる
ハディース ムハンマドの言行録(スンナ)。クルアーンに次ぐ第二の権威。「サヒーフ・ブハーリー」「サヒーフ・ムスリム」が最も権威あるハディース集とされる
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インド系宗教(ヒンドゥー教・仏教・ジャイナ教・シク教)

インドを発祥とする宗教群は、豊かで多様な聖典文化を育みました。

ヒンドゥー教

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聖典名 特徴・解説
リグ・ヴェーダ ヴェーダの中で最古・最重要。神々への1028の讃歌集。インド・アーリア語族が伝えた口承文学で、世界最古の宗教文学のひとつ
サーマ・ヴェーダ 祭式で歌うための讃歌集。大部分はリグ・ヴェーダから採録し、音楽的に歌えるよう編曲されている
ヤジュル・ヴェーダ 祭儀で唱える呪句・散文を集めたもの。祭司が儀礼を執行する際の手引書として使われた
アタルヴァ・ヴェーダ 呪術・医術・日常生活の知識を集めたヴェーダ。他の三ヴェーダより後代の成立で、民間信仰の色彩が強い
ウパニシャッド(奥義書) 「梵我一如(ブラフマンとアートマンは一体)」を説くインド哲学の源泉。紀元前8〜3世紀に成立した100以上の文書群
バガヴァッド・ギーター 叙事詩マハーバーラタの一節。戦士アルジュナとクリシュナ神の対話を通じ、ヨーガ・義務・信愛の道を説く。ヒンドゥー教で最も広く読まれる聖典のひとつ
ラーマーヤナ ラーマ王子の冒険と、妻シーターの救出を描く叙事詩。インド・東南アジアの文化・芸術に深い影響を与えた
マハーバーラタ 約10万詩節を誇る世界最長の叙事詩。クル族とパーンダヴァ族の大戦争を軸に、ダルマ(法・義務)を論じる
プラーナ文献 宇宙論・神話・系譜・聖地案内を記す文書群。18の大プラーナが正典とされ、ヴィシュヌ・シヴァ・ブラフマーの物語が中心
マヌ法典(マナヴァ・ダルマシャーストラ) 古代インドの法学書。ヴァルナ(カースト)制度・婚姻・相続・刑法を規定し、ヒンドゥー法の基本典籍とされてきた

仏教

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聖典名 宗派 特徴・解説
パーリ三蔵(ティピタカ) 上座部仏教 経蔵(スッタ・ピタカ)・律蔵(ヴィナヤ・ピタカ)・論蔵(アビダンマ・ピタカ)から成る。スリランカ・東南アジアで受け継がれる最古の仏典集成
般若心経(ハンニャシンギョウ) 大乗仏教全般 「空」の思想を262文字に凝縮した大乗仏教の精髄。日本では宗派を超えて最も広く読誦される経典
法華経(妙法蓮華経) 天台宗・日蓮宗 「すべての人が平等に成仏できる」という一乗思想を説く。天台宗・日蓮宗の根本経典。「南無妙法蓮華経」の題目はここから
浄土三部経 浄土宗・浄土真宗 無量寿経・観無量寿経・阿弥陀経の3経典。阿弥陀仏の極楽浄土と、称名念仏による往生を説く
大日経(マハーヴァイローチャナ経) 真言宗(密教) 密教の根本経典のひとつ。大宇宙を象徴する大日如来(毘盧遮那仏)の教えを説く。空海が持ち帰り真言宗の基礎となった
金剛頂経 真言宗(密教) 大日経とともに真言密教の根本経典。金剛界マンダラの思想的根拠となる
華厳経(ケゴンキョウ) 華厳宗 「一切は相互に関係し合っている(事事無礙法界)」を説く大乗経典。東大寺の盧舎那仏建立の思想的背景
涅槃経(ネハンギョウ) 大乗仏教 釈迦の入滅前後の言葉を記す。「一切衆生悉有仏性(すべての存在に仏性がある)」という思想で大乗仏教に広く影響
金剛般若経(ダイヤモンド・スートラ) 禅宗など 「般若(知恵)」の究極を論じる。禅宗で特に重視され、現存する最古の印刷本(868年)も本経典
維摩経 大乗仏教 在家信者の維摩居士が、病を縁として仏法の深義を菩薩たちに論じる。在家仏教・菩薩道の可能性を示す
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ジャイナ教

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聖典名 特徴・解説
アーガマ(ジャイナ経典群) 白衣派が伝承する45の正典群。開祖マハーヴィーラ(ヴァルダマーナ)の教えを集録。不殺生(アヒンサー)・不妄語・不偸盗などを説く
カルパスートラ マハーヴィーラの生涯と、23人の先行「勝者(ティールタンカラ)」の伝記を収める。ジャイナ教の祭礼で朗読される重要経典

シク教

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聖典名 特徴・解説
グル・グラント・サーヒブ 10代のグル(教師)の教えと詩偈を集成。1708年に第10代グル・ゴービンド・スィンフが永遠のグルと宣言。礼拝はこの聖典に向けて行われる
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東アジア・日本の宗教(道教・儒教・神道・天理教)

道教

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聖典名 特徴・解説
道徳経(老子) 老子の著作とされる81章の短い経典。「道(タオ)」と「無為自然」を説き、東洋思想に絶大な影響を与えた
荘子 老子の思想を継承・発展させた荘周の著作。「胡蝶の夢」など寓話を通じ、相対主義・自由の思想を展開する
道蔵 道教経典の大集成。約5500巻から成る叢書で、老子・荘子から医学・占術まで幅広い文書を収録する

儒教

儒教の正典は「四書五経」として体系化されています。

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聖典名 特徴・解説
論語 孔子とその弟子の言行録。「仁(じん)」「礼(れい)」の思想を核とし、東アジアの倫理・政治思想に最大の影響を与えた
孟子 孟子の思想をまとめた経典。人間の本性の善さ(性善説)と仁政・王道政治を主張
大学 礼記の一篇が独立した経典。君子の徳を修め、民を治める段階的な道「修身・斉家・治国・平天下」を説く
中庸 礼記の一篇が独立した経典。感情の均衡・中道の精神「中庸」を重視し、天人合一を論じる
詩経(シジン) 中国最古の詩集。西周から春秋時代の民謡・宮廷歌謡を305篇収録。孔子が編纂したと伝わる
書経(尚書) 古代中国の歴史文書集。堯・舜・禹ら聖王の言行と夏・殷・周の歴史を記し、政治の模範とされた
礼記(ライキ) 礼儀・祭祀・制度を論じる文書集。葬礼・冠婚・朝廷の儀礼など儒教の礼学の集大成
易経(周易) 64卦の象徴体系で宇宙・人事の変化を読み解く占術書兼哲学書。「変化」と「陰陽」の哲学の源泉
春秋 孔子が編纂したと伝わる魯国の年代記。242年間の出来事を記し、儒教の歴史哲学・倫理観を示す
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神道

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聖典名 特徴・解説
古事記 712年成立。日本最古の歴史書・神話集。天地の始まり・神々の誕生・ヤマトタケルら英雄の物語を記す
日本書紀 720年成立。国家が編纂した日本最古の正史。神代から持統天皇まで、漢文体で記す。古事記と並ぶ神典
古語拾遺(コゴシュウイ) 808年、斎部広成が撰。太古の神事・祭祀の由来を記し、中臣氏(藤原氏)が握る神祇行政を批判した文書でもある

天理教

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聖典名 特徴・解説
みかぐらうた 1867年から成立。教祖・中山みきが神楽(かぐら)の際に唱える12節の歌。神への感謝と人間救済を詠う
おふでさき 1869〜1882年、中山みきが神の啓示として書き記した詩集。全17号・1711首の和歌体で教えを説く
おさしづ 中山みきと本席・飯降伊蔵を通じた神の教示を集録。弟子への日々の指導が記録されており、教義の細部に及ぶ
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その他の宗教(ゾロアスター教・バハイ教・マニ教・マンダ教)

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聖典名 宗教 特徴・解説
アヴェスター ゾロアスター教 古代イランの預言者ザラスシュトラ(ゾロアスター)の教えを集録。善神アフラ・マズダーと悪神アンラ・マンユの善悪二元論を説く。現存するのは全体の約4分の1
アグダスの書(キターブ・アグダス) バハイ教 バハイ教の最重要聖典。創設者バハーウッラーが1873年頃に著した。バハイ共同体の宗教法・社会規範・礼拝の指針を定める
ケタベ・イガン(イガンの書) バハイ教 バハーウッラーの著作。ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の各預言者の教えの統一的な解釈を展開し、バハイ教の神学的根拠を論じる
マーニーの正典群(大福音書ほか) マニ教 3世紀の預言者マーニー自身が著した7つの聖典(大福音書・生命の宝など)。善悪・光闇の二元論を説いたが、ほぼ消失し断片のみ残る
ギンザ・ラバ(大宝) マンダ教 イラク・イランのマンダ教が伝える最重要聖典。光の世界と闇の世界の宇宙論、魂の救済・洗礼の儀礼を記す。現存する最古のグノーシス文書のひとつ

古代宗教・神話(古代エジプト・メソポタミア・北欧・マヤ)

現在は廃れた宗教や神話体系にも、人類の信仰と世界観を記した重要文書があります。

古代エジプト

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聖典名 特徴・解説
ピラミッド・テキスト 現存する世界最古の宗教文書のひとつ(紀元前2400年頃)。ファラオが死後に天界へ昇るための呪文・祈祷を王墓の壁面に刻んだ
コフィン・テキスト 中王国時代(紀元前2055年頃〜)に棺の内側に書かれた死者のための呪文集。王族だけでなく貴族にも使われるようになった
死者の書(ボック・オブ・ザ・デッド) 新王国時代(紀元前1550年頃〜)のパピルス巻物。冥界での審判をくぐり抜けるための192の呪文を収める。心臓をはかりにかける「魂の審判」図で知られる
アムドゥアト(冥界の書) 太陽神ラーが夜の12時間にわたり冥界を旅する描写。ラーが再生し夜明けを迎えるまでを描き、死と復活の神話を体系化する

メソポタミア

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聖典名 特徴・解説
エヌマ・エリシュ(バビロニア創世神話) 「はるかなる高みに」から始まるバビロニアの創世叙事詩。マルドゥク神が怪物ティアマトを倒して天地を創造する物語で、新年祭で朗唱された
ギルガメシュ叙事詩 世界最古の叙事詩のひとつ(紀元前2100年頃以降)。シュメール・バビロニアの英雄王ギルガメシュの冒険と、永遠の命を求める旅を描く。聖書の洪水物語の先行テキストを含む

北欧神話(ゲルマン)

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聖典名 特徴・解説
詩のエッダ(エルダー・エッダ) 13世紀にアイスランドで写本された古ノルド語の詩集。オーディン・トール・ロキなど北欧神話の神々と英雄を歌う
散文エッダ(スノッリのエッダ) 1220年頃、スノッリ・ストゥルルソンが著した北欧神話の解説書・詩学書。詩のエッダとならび北欧神話の主要資料

マヤ文明

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聖典名 特徴・解説
ポポル・ヴフ マヤ・キチェ族の創世神話。世界の創造・人類の起源・英雄双子の物語を記す。スペイン植民地時代にラテン文字に転写された

聖典にまつわる豆知識

「聖典」と「経典」の違いは?
「聖典」は宗教全般の神聖な文書を指す広い言葉。「経典」は仏教・儒教など東アジアの宗教では「お経」を意味しますが、広く使われる場合は聖典と同義になります。英語では "scripture" または "sacred text" が対応します。

世界最古の宗教文書はどれ?
現存する最古の宗教文書はエジプトの「ピラミッド・テキスト」(紀元前2400年頃)。次いでメソポタミアの宗教文書(紀元前2400〜2000年頃)が古く、インドのヴェーダ(紀元前1500〜1200年頃に口承成立)も古い宗教文学のひとつです。

最も多くの人が信仰する聖典は?
信者数で見ると、キリスト教(約24億人)の聖書、イスラム教(約19億人)のクルアーン、ヒンドゥー教(約12億人)のヴェーダ群がトップ3。仏教(約5億人)のパーリ三蔵・法華経などが続きます。

まとめ

世界の聖典・経典を宗教別に70種まとめました。ユダヤ教のタナハから始まり、キリスト教・イスラム教・ヒンドゥー教・仏教・シク教・道教・儒教・神道、そして古代の神話文書まで、人類の信仰は実に多様です。どの聖典も、その宗教と文化を理解するための第一歩。気になる聖典を手に取ってみると、思想の深さに驚かされるかもしれません。

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