ビールの種類一覧67選|ラガー・エール・IPAの違いと語源まとめ

ビールは世界で最も飲まれているお酒のひとつですが、その種類は実に多様です。「ラガーとエールって何が違うの?」「IPAって何の略?」——そんな疑問を持ちながらもなかなか調べる機会がなかった方のために、世界のビアスタイル67種を一挙にまとめました。

この記事では、ビールを発酵方法(ラガー系・エール系・自然発酵系)で大別したうえで、各スタイルをテーブルで網羅します。さらに代表的なスタイルについては特徴・語源・飲み方も解説。ビールの奥深さを知ると、次の一杯がもっと楽しくなりますよ。

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ビールの2大カテゴリ:ラガーとエールの違い

ビールは大きくラガー(下面発酵)エール(上面発酵)に分かれます。この違いは使う酵母と発酵温度によって生まれます。

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項目 ラガー エール
発酵方法 下面発酵(酵母がタンク底部で働く) 上面発酵(酵母がタンク上部で働く)
発酵温度 低温(5〜10℃) 常温(15〜25℃)
熟成期間 長い(1〜3ヶ月) 短い(数日〜数週間)
風味傾向 すっきり・クリーン フルーティー・複雑
代表スタイル ピルスナー・ダンケル IPA・スタウト・ヴァイツェン

ラガーは低温でゆっくり発酵させるため雑味が少なくクリーンな飲み口に仕上がります。日本の大手メーカービール(アサヒスーパードライ・キリン一番搾りなど)はほぼすべてラガーです。

エールは歴史が長く、中世ヨーロッパでは「ビール=エール」でした。フルーティーで複雑な香りが特徴で、クラフトビールの多くがエール系です。

ビールのスタイル一覧67選

ラガー系(下面発酵)

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スタイル 色/外観 アルコール度数 代表的な産地・銘柄
ピルスナー 淡黄色・澄んだ 4〜5% チェコ(ピルスナーウルケル)・ドイツ(ビットブルガー)
ヘレス 淡黄色・澄んだ 4.5〜5.5% ドイツ・バイエルン(Spaten・Löwenbräu)
ドルトムンダー/エクスポート 金色 5〜5.5% ドイツ・ドルトムント(DAB)
メルツェン/オクトーバーフェスト 琥珀色 5〜6.5% ドイツ(Hofbräu・Paulaner)
ダンケル 茶褐色〜黒褐色 4.5〜5.5% ドイツ・バイエルン(Hofbräu Dunkel)
シュヴァルツ(ブラック) 黒色 4〜5% ドイツ(Köstritzer Schwarzbier)
ボック 琥珀色〜濃褐色 6〜7.5% ドイツ(Einbecker・Paulaner Salvator)
ドッペルボック 濃褐色〜黒褐色 7〜10% ドイツ(Salvator・Optimator)
マイボック 淡金〜琥珀色 6〜7.5% ドイツ(春限定・5月ボック)
アイスボック 非常に濃い褐色 9〜14% ドイツ(冷凍濃縮製法)
ラオホ(スモーク) 琥珀〜茶色 4.5〜6% ドイツ・バンベルク(Schlenkerla)
アメリカン・ラガー 淡黄色 4〜5% アメリカ(バドワイザー・コアーズ)
ライトラガー 極淡黄色 3〜4.2% アメリカ(バドライト・ミラーライト)
ジャパニーズ・ラガー 淡黄色 4.5〜5.5% 日本(アサヒ・キリン・サッポロ・サントリー)
ドライラガー 淡黄色 4.5〜5.5% 日本(アサヒスーパードライ)
ヴィエナ(ウィーン・ラガー) 琥珀〜銅色 4.7〜5.5% オーストリア(Dos Equis Amber)
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エール系(上面発酵)— イギリス・アメリカ系

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スタイル 色/外観 アルコール度数 代表的な産地・銘柄
ペールエール 金〜琥珀色 4〜5.5% イギリス(フラーズ・ロンドンプライド)
アメリカン・ペールエール(APA) 淡金〜琥珀 4.5〜6.2% アメリカ(シエラネバダ・ペールエール)
IPA(インディア・ペールエール) 淡金〜琥珀 5.5〜7.5% イギリス・アメリカ(ストーン・Lagunitas)
ダブルIPA(インペリアルIPA) 金〜琥珀 7.5〜10%+ アメリカ(Pliny the Elder)
セッションIPA 淡金 3〜5% アメリカ(Flying Dog・Easy IPA)
ニューイングランドIPA(NEIPA) 白濁した金色 5〜8% アメリカ・ニューイングランド
ウェストコーストIPA 澄んだ金〜琥珀 6〜8% アメリカ西海岸
ビター 金〜琥珀 3〜4.5% イギリス(苦味系伝統エール)
ESB(エクストラ・スペシャル・ビター) 琥珀 4.5〜6% イギリス(Fuller's ESB)
ゴールデンエール 淡金色 3.8〜5% イギリス(Badger・Golden Champion)
ミルドエール 茶色〜濃褐 2.5〜4.5% イギリス(低アルコール伝統エール)
ブラウンエール 茶〜濃褐色 4〜6% イギリス(Newcastle Brown Ale)
アンバーエール 琥珀〜赤褐色 4.5〜6.2% アメリカ(Fat Tire Amber Ale)
レッドエール 赤〜琥珀色 4〜6% アイルランド(Kilkenny・Murphy's)
スコッティッシュエール 琥珀〜茶色 2.5〜3.5% スコットランド
スコッティッシュ・ストロング(ウィ・ヘビー) 茶〜黒褐色 6.5〜10% スコットランド(Belhaven Wee Heavy)
オールドエール 濃茶〜黒褐 6〜9% イギリス(Old Peculier)
バーレーワイン 琥珀〜濃褐 8〜12% イギリス・アメリカ
ポーター 褐色〜黒褐色 4〜6.5% イギリス(Fuller's London Porter)
スタウト 黒色 4〜6% アイルランド・イギリス(ギネス)
ドライスタウト(アイリッシュ・スタウト) 黒色 4〜5% アイルランド(ギネス・マーフィーズ)
ミルクスタウト(スウィートスタウト) 黒色 4〜6% イギリス(Left Hand Milk Stout)
オートミールスタウト 黒色 4〜6% イギリス・アメリカ
インペリアルスタウト 黒色 8〜13% ロシア由来(Samuel Smith・Founders)
クリームエール 淡金色 4〜5.5% アメリカ(Genesee Cream Ale)

エール系(上面発酵)— ドイツ系

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スタイル 色/外観 アルコール度数 代表的な産地・銘柄
ヴァイツェン(ヘフェヴァイツェン) 白濁した淡金 4.5〜5.5% ドイツ(Franziskaner・Erdinger)
クリスタルヴァイツェン 澄んだ金色 4.5〜5.5% ドイツ(濾過済み小麦ビール)
ドゥンケルヴァイツェン 茶〜褐色 5〜5.5% ドイツ(Schneider Weisse Dunkel)
ヴァイツェンボック 白濁した褐色 7〜9% ドイツ(Schneider Aventinus)
ケルシュ 淡金・澄んだ 4.5〜5% ドイツ・ケルン(Gaffel・Früh)
アルトビール 銅〜褐色 4.5〜5.5% ドイツ・デュッセルドルフ(Uerige)

エール系(上面発酵)— ベルギー系

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スタイル 色/外観 アルコール度数 代表的な産地・銘柄
ウィット(ベルジャン・ホワイト) 白濁した淡色 4.5〜5.5% ベルギー(ヒューガルデン・ブランシュ)
セゾン 金〜琥珀色 5〜8% ベルギー・ワロン(Saison Dupont)
ベルジャン・ダブル 琥珀〜茶色 6〜8% ベルギー(Westmalle Dubbel・Chimay Red)
ベルジャン・トリプル 淡金色 8〜10% ベルギー(Westmalle Tripel・Chimay White)
クワドルペル(ベルジャン・クアッド) 濃茶〜黒褐 10〜14% ベルギー(Rochefort 10・Westvleteren 12)
ベルジャン・ゴールデン・ストロング 澄んだ金色 7.5〜10.5% ベルギー(Duvel・Delirium Tremens)
フランダース・レッドエール 赤〜栗色 5〜6% ベルギー(Rodenbach)
アウドブルーン(フランダース・ブラウン) 濃褐〜赤褐 5〜7% ベルギー(Liefmans Goudenband)
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自然発酵・サワービール系

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スタイル 色/外観 アルコール度数 代表的な産地・銘柄
ランビック 白濁した淡色 5〜6% ベルギー・パヨッテンランド
グーズ 金〜琥珀色 5〜7% ベルギー(Boon・Lindemans)
クリーク(チェリーランビック) 赤〜ピンク色 4〜6% ベルギー(Lindemans Kriek)
フランボワーズ(ラズベリーランビック) ピンク〜赤 4〜6% ベルギー
ゴーゼ 白濁した淡金 4〜5% ドイツ・ライプツィヒ(Bayerischer Bahnhof)
ベルリナー・ヴァイセ 白濁した淡色 2.5〜3.5% ドイツ・ベルリン

特殊・個性派スタイル

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スタイル 色/外観 アルコール度数 特徴
フルーツビール 多様 3〜8% フルーツエキスや果汁を副原料に加えたビール
チョコレートスタウト 黒色 5〜8% カカオやチョコレートモルトで風味付け
コーヒースタウト 黒色 5〜8% コーヒー豆を副原料に加えたスタウト
バレルエイジド(樽熟成) 多様 8〜14% ウイスキーやワイン樽で熟成したビール
グルテンフリービール 多様 4〜5% 小麦・大麦を使わずソルガムや米で醸造
ノンアルコールビール 淡黄色 0〜0.5% 通常の工程後にアルコールを除去
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代表スタイルの特徴と語源を深掘り

ピルスナー|世界で最も飲まれているビールスタイル

ピルスナーは世界のビール消費量の約8割以上を占める最も普及したスタイルです。1842年にチェコの都市ピルゼン(Pilsen)で生まれ、その地名がそのままスタイル名になりました。

従来のビールが褐色・混濁していた時代に、透き通った黄金色の美しいビールとして登場し、当時のヨーロッパで爆発的に流行。ガラス製コップの普及と重なったことで「ビールは黄金色で澄んでいるもの」というイメージが世界中に広まりました。

日本のラガービールのほとんどはピルスナースタイルをベースにした「ジャパニーズ・ラガー」です。

IPA(インディア・ペールエール)|ホップ香が命のクラフトビールの王様

IPAはIndia Pale Aleの略。18世紀後半、イギリスからインドへビールを輸送する際に、高ホップ・高アルコールのビールが長旅でも品質を保てたことが広まったのが起源とされています(ただし「インド向けに特別にホップを増量した」という通説は、現代の研究では一部に異論もあり諸説あります)。

現代のIPAは、アメリカのクラフトビールブームで「シトラス・松脂・熱帯果実」を思わせるホップの香りを全面に出したスタイルとして再解釈され、世界中のビールファンを魅了しています。

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ギネス(ドライスタウト)|あの黒い泡が立つビールの秘密

スタウト(英語で「太い・頑丈な」の意)は、ポーターをさらに強く濃くしたビールとして18世紀に登場しました。アイルランドのギネス社が1759年から醸造しているギネス・スタウトは世界最有名のスタウトです。

ギネスの黒色は「ローストバーレー(焦がした大麦)」によるもの。独特のクリーミーな泡は、二酸化炭素ではなく窒素で押し出すことで生まれます。

ヴァイツェン|バナナ風味の正体はエステル化合物

ヴァイツェン(Weizen)はドイツ語で「小麦」の意味。小麦麦芽を50%以上使うドイツの伝統ビールで、フィルタリングしないヘフェヴァイツェン(Hefe=酵母)が代表的です。

バナナのような甘い香りは「イソアミルアセテート」というエステル化合物で、ヴァイツェン専用酵母が発酵中に産生します。クローブのようなスパイシーな香りは「4-ビニルグアヤコール」によるもの。麦芽でも果実でもなく、酵母が生み出す香りです。

ランビック|野生酵母で醸すベルギーの奇跡

ランビックはベルギーのパヨッテンランド地域でのみ作られる、野生の酵母と細菌による自然発酵ビールです。現代の醸造はほぼすべて純粋培養酵母を使いますが、ランビックは醸造所の窓を開けて空気中の酵母を取り込む「冷却槽(コールシップ)」製法で醸します。

発酵に使われる酵母の主役はブレタノミセス(Brettanomyces)。独特の酸味・革・馬小屋のような複雑な風味を生み出します。ブレンドしたものが「グーズ」、チェリーを加えたものが「クリーク」です。

ゴーゼ|塩入りビールが生まれた理由

ゴーゼ(Gose)はドイツ・ライプツィヒの伝統ビールで、塩とコリアンダーを加えた独特のサワービールです。塩は発祥地ゴスラーの鉱物豊富な地下水(ハルツ山脈由来の塩分を含む)に倣って添加されるようになったとされています。塩は腐敗防止と風味付けの両方を担い、コリアンダーが爽やかなスパイス感を添えます。

一時は絶滅に近い状態でしたが、クラフトビールブームで世界中に復活。日本のクラフトブルワリーでも醸造されています。

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クラフトビールとは何か

クラフトビールに明確な定義はありませんが、アメリカのビール協会(Brewers Association)では以下を基準としています:

  • 小規模:年間生産量600万バレル未満
  • 独立系:大手企業による持株比率25%未満
  • 伝統的:主原料に麦芽を使用

日本では600か所を超えるクラフトブルワリー(2024年時点・さらに増加傾向)が存在し、各地の素材や文化を取り入れたユニークなビールが生まれています。代表的なジャパニーズクラフトブルワリーには、ヤッホーブルーイング(よなよなエール)・コエドブルワリー・ベアードブルーイングなどがあります。

ビールにまつわる豆知識

語源
ビール(Beer)の語源は諸説ありますが、ラテン語で「穀物」を意味する「biber(ビベール)」、または「飲む」を意味する動詞に由来するという説が有力です。ドイツ語でも「Bier(ビーア)」、フランス語でも「bière(ビエール)」と呼ばれます。

世界最古のビール
人類がビールを醸造していた証拠は約1万3,000年前のイスラエルに遡ります。また、古代シュメール(現イラク)の文字記録には約5,000年前のビールの記述が残っています。

ビールの国別消費量
世界最大のビール消費国は中国(年間約4,000万キロリットル前後)で、20年以上連続で1位を維持しています。一人当たり消費量ではチェコが世界トップで、年間一人当たり約150リットルを消費します(30年以上連続1位)。日本は世界7位前後です。

ビール法(ラインハイツゲボート)
1516年にドイツ・バイエルンで制定された世界最古の食品法「ビール純粋令(Reinheitsgebot)」は、ビールの原料を水・麦芽・ホップのみと定めたもの。後に酵母が加えられ、現在もドイツビールの品質基準として機能しています。

まとめ

ビールは「ラガー」「エール」「自然発酵」の3系統を軸に、産地・醸造方法・使用原料によって実に多様なスタイルが生まれています。今回紹介した67スタイルも、世界中に存在するビアスタイルのほんの一部です。

次にバーやクラフトビア専門店に行くときは、ぜひメニューのスタイル表記に注目してみてください。同じ「ビール」でも、選ぶスタイルによってまったく異なる世界が広がります。

世界のお酒についてもっと知りたい方は、世界のお酒132種一覧もぜひ参考にしてください。日本酒については日本酒の種類一覧で純米・吟醸・大吟醸の違いをくわしく解説しています。ワインが気になる方はワインの種類一覧もどうぞ。

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