
日本の仏教は「13宗56派」に大別されます。奈良時代に中国から伝来して以降、平安・鎌倉・江戸と時代ごとに新しい宗派が誕生し、開祖・本尊・根本経典・修行の形がそれぞれ異なります。この記事では、天台宗・真言宗・浄土宗・浄土真宗・曹洞宗・臨済宗・日蓮宗など主要宗派を時代別の比較テーブルで網羅。「自力か他力か」という軸で各宗派の違いをわかりやすく整理します。
日本の仏教は「13宗56派」
仏教が日本に伝わったのは6世紀(538年または552年とする二説がある)とされています。以降、中国・朝鮮半島から伝来した教えをもとに各時代の僧が新たな宗派を開き、現代では慣用的に「13宗56派」という区分が使われています。
「13宗」は主要な宗派の数を指し、それぞれがさらに複数の「派」(本山が異なるグループ)に分かれて計56派になります。ただし「13」の数え方は時代や文献によって差があり、黄檗宗を含めて14宗とする見方もあります。
現代の信者数が最も多いのは浄土真宗(本願寺派・大谷派など10派合計で最大)、次いで浄土宗・曹洞宗・天台宗・真言宗などが続きます(文化庁「宗教年鑑」より)。
日本の仏教宗派 時代別一覧
奈良時代の宗派(南都六宗)
奈良時代(710〜794年)に中国から伝わった6つの学派的宗派を「南都六宗」と呼びます。国家仏教として保護されましたが、鎌倉時代以降に勢力が縮小。現在も律宗・華厳宗・法相宗は法灯を受け継いでいます。
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| 宗派名(読み) | 開祖 | 総本山 | 教えの核心 |
|---|---|---|---|
| 法相宗(ほっそうしゅう) | 道昭・玄昉 | 興福寺・薬師寺(奈良) | 唯識思想:「心のみが実在する」と説く |
| 三論宗(さんろんしゅう) | 道慈 | (現在は独立宗派として消滅に近い) | 龍樹の「空」の思想にもとづく |
| 律宗(りっしゅう) | 鑑真 | 唐招提寺(奈良) | 中国僧・鑑真が754年に来日し戒律を伝えた |
| 華厳宗(けごんしゅう) | 審祥・良弁 | 東大寺(奈良) | 「すべてはつながっている」縁起思想。大仏が本尊 |
| 倶舎宗(くしゃしゅう) | (法相宗の附宗) | 法相宗と同じ | 阿毘達磨倶舎論の研究学問宗。独立宗派としては現存しない |
| 成実宗(じょうじつしゅう) | (三論宗の附宗) | 三論宗と同じ | 成実論の研究学問宗。独立宗派としては現存しない |
平安時代の宗派
平安時代(794〜1185年)に最澄と空海が唐(中国)から新たな教えを持ち帰り、日本仏教の二大潮流を形成しました。
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| 宗派名(読み) | 開祖 | 総本山 | 教えの核心 |
|---|---|---|---|
| 天台宗(てんだいしゅう) | 最澄(伝教大師) | 比叡山延暦寺(大津市) | 法華経を根本に念仏・禅・密教を包括。「一切衆生悉有仏性」 |
| 真言宗(しんごんしゅう) | 空海(弘法大師) | 高野山金剛峯寺・東寺(京都) | 密教(真言・印・曼荼羅による修行)。「即身成仏」を説く |
院政期〜鎌倉時代の新仏教(鎌倉仏教)
院政期から鎌倉時代(12〜13世紀)は日本仏教の大変革期。融通念仏宗は院政期(1117年)に先駆けて成立し、その後、天台宗・真言宗で修行した僧たちが新宗派を次々と開き、浄土・禅・法華の各系統が武士や庶民の間に広まりました。
浄土系(念仏で救われる)
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| 宗派名(読み) | 開祖 | 総本山 | 教えの核心 |
|---|---|---|---|
| 融通念仏宗(ゆうずうねんぶつしゅう) | 良忍(1073〜1132) | 大念仏寺(大阪市) | 念仏の功徳が互いに融通し合う。1117年開宗 |
| 浄土宗(じょうどしゅう) | 法然(1133〜1212) | 知恩院(京都)・増上寺(東京) | 「南無阿弥陀仏」の称名念仏による他力本願の救い。1175年開宗 |
| 浄土真宗(じょうどしんしゅう) | 親鸞(1173〜1263) | 本願寺(西本願寺・東本願寺) | 法然の教えを深化。信心一念で救われる「信心正因」。1224年(教行信証) |
| 時宗(じしゅう) | 一遍(1239〜1289) | 清浄光寺(藤沢市) | 踊り念仏で知られる。信・不信を問わず阿弥陀仏に救われると説く。1274年開宗 |
禅系(修行・座禅で悟りを開く)
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| 宗派名(読み) | 開祖 | 総本山 | 教えの核心 |
|---|---|---|---|
| 臨済宗(りんざいしゅう) | 栄西(1141〜1215) | 建仁寺・妙心寺(京都)ほか計14本山 | 禅問答(公案)で悟りを目指す。武家文化・茶道と結びついた。1191年開宗 |
| 曹洞宗(そうとうしゅう) | 道元(1200〜1253) | 永平寺(福井)・總持寺(横浜) | 「只管打坐(しかんたざ)」:座禅そのものが悟りである。1227年開宗 |
法華系(法華経への帰依)
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| 宗派名(読み) | 開祖 | 総本山 | 教えの核心 |
|---|---|---|---|
| 日蓮宗(にちれんしゅう) | 日蓮(1222〜1282) | 身延山久遠寺(山梨県) | 「南無妙法蓮華経」の題目と法華経への絶対帰依。1253年開宗 |
江戸時代に伝来した宗派
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| 宗派名(読み) | 開祖 | 総本山 | 教えの核心 |
|---|---|---|---|
| 黄檗宗(おうばくしゅう) | 隠元隆琦(中国僧・1592〜1673) | 万福寺(宇治市) | 明代中国の禅を伝来。念仏禅(禅と念仏の融合)が特徴。1661年来日 |
宗派の違いを分ける2つの軸
日本の仏教宗派の違いは「どう救われるか」と「何の経典を根拠にするか」の2軸で整理できます。
軸①:自力 vs 他力
- 他力(阿弥陀仏の力で救われる):浄土宗・浄土真宗・時宗・融通念仏宗
- 自力(修行・座禅・密教儀礼で悟りを開く):禅宗(臨済・曹洞・黄檗)・真言宗・律宗・法相宗
- 法華経への帰依:日蓮宗・天台宗(法華経を中心に他も包括)
軸②:根本経典
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| 宗派 | 根本経典 |
|---|---|
| 天台宗・日蓮宗 | 法華経(妙法蓮華経) |
| 真言宗 | 大日経・金剛頂経(密教経典) |
| 浄土宗・浄土真宗・時宗 | 浄土三部経(阿弥陀経・無量寿経・観無量寿経) |
| 禅宗(曹洞・臨済・黄檗) | 経典よりも「以心伝心」の禅体験を重視 |
| 法相宗 | 解深密経 |
| 華厳宗 | 華厳経 |
浄土真宗の主要10派
浄土真宗は信者数が全宗派中で最大規模となっており、10の独立した派に分かれています。
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| 派名 | 本山 | 所在地 |
|---|---|---|
| 浄土真宗本願寺派 | 本願寺(西本願寺) | 京都市下京区 |
| 真宗大谷派 | 真宗本廟(東本願寺) | 京都市下京区 |
| 真宗高田派 | 専修寺 | 三重県津市 |
| 真宗仏光寺派 | 仏光寺 | 京都市下京区 |
| 真宗興正派 | 興正寺 | 京都市下京区 |
| 真宗木辺派 | 錦織寺 | 滋賀県野洲市 |
| 真宗出雲路派 | 毫摂寺 | 福井県越前市 |
| 真宗誠照寺派 | 誠照寺 | 福井県鯖江市 |
| 真宗三門徒派 | 専照寺 | 福井県福井市 |
| 真宗山元派 | 證誠寺 | 福井県鯖江市 |
臨済宗の14本山
臨済宗は日本国内で14の独立した本山(派)があり、それぞれ独自の法脈を持ちます。
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| 派名 | 本山 | 所在地 |
|---|---|---|
| 建仁寺派 | 建仁寺 | 京都市東山区 |
| 東福寺派 | 東福寺 | 京都市東山区 |
| 南禅寺派 | 南禅寺 | 京都市左京区 |
| 天龍寺派 | 天龍寺 | 京都市右京区 |
| 相国寺派 | 相国寺 | 京都市上京区 |
| 大徳寺派 | 大徳寺 | 京都市北区 |
| 妙心寺派 | 妙心寺 | 京都市右京区 |
| 建長寺派 | 建長寺 | 神奈川県鎌倉市 |
| 円覚寺派 | 円覚寺 | 神奈川県鎌倉市 |
| 永源寺派 | 永源寺 | 滋賀県東近江市 |
| 方広寺派 | 方広寺 | 静岡県浜松市 |
| 向嶽寺派 | 向嶽寺 | 山梨県甲州市 |
| 佛通寺派 | 佛通寺 | 広島県三原市 |
| 国泰寺派 | 国泰寺 | 富山県高岡市 |
宗派ごとの数珠の違い
数珠(念珠)のデザインと使い方は宗派によって異なります。浄土真宗の「門徒数珠」は輪に対して珠が少ない独特の形状で、両手にかけてすり合わせます。浄土宗は二重にして使うのが正式です。真言宗・天台宗では房が3本ある「本数珠」を使います。どの宗派にも対応できる「略式数珠(片手数珠)」も広く流通しています。
詳しくは数珠の種類一覧|宗派別の違いと玉の名称・構造まとめをご覧ください。
腕試しクイズ(全5問)
主要宗派の開祖・特徴を問う5問です。
まとめ
日本の仏教は奈良時代から江戸時代まで各時代に新たな宗派が成立し、現在は「13宗56派」に大別されます。浄土宗・浄土真宗・時宗(他力念仏系)、曹洞宗・臨済宗(禅系)、真言宗(密教系)、日蓮宗(法華系)のように、「自力か他力か」「何の経典を根拠にするか」の2軸で整理すると違いが見えてきます。浄土真宗は10派、臨済宗は14本山を持つなど、一宗の中にもさらに多様な流れがあります。仏教と日本文化の深いつながりを、宗派の成り立ちから読み解いてみてください。
参考・出典
- 文化庁「宗教年鑑」 https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/hakusho_nenjihokokusho/shukyo_nenkan/ (2026-10-09参照)