
大きな地震が起きたとき、被害を左右するのは「揺れの直後にどう動けたか」です。とっさの行動は、知識があるかないかで大きく変わります。
この記事では、地震発生から「最初の数分」「10分以内」「24時間」 と時系列に沿って、何をすべきかを公式情報(首相官邸・消防庁・気象庁・内閣府防災)をもとにまとめました。特に、見落とされがちな 「通電火災」への備え と、水平避難・垂直避難の使い分け は知っておいてほしいポイントです。
なお、被害の状況や避難所の開設状況など刻々と変わる情報はここには書いていません。実際の行動は、気象庁・自治体・テレビ・ラジオの最新情報を確認したうえで、その場の状況に応じて判断してください。
最初の数分:まず「身の安全」を確保する
揺れを感じたり緊急地震速報を見聞きしたら、あわてず、まず身の安全を確保する のが大原則です。気象庁も「頭を保護し、丈夫な家具の下などに身を寄せ、あわてて外に飛び出さない」ことを呼びかけています。場所別に整理すると、次のようになります。
- 屋内:頭を守りながら大きな家具から離れ、丈夫なテーブルの下 など「落ちてこない・倒れてこない・移動してこない」空間に身を寄せる。無理に火を消しに行かない
- 屋外:ブロック塀・自動販売機・建物 から離れる。看板や割れたガラスなど落下物に注意する
- エレベーター内:最寄りの階に停止させ、すぐに降りる
- 運転中:あわてず、ハンドルをしっかり握り、周囲を確認しながら道路の左側にゆっくり停める
「あわてて外に飛び出す」ことは、瓦や窓ガラス、看板などの落下物でケガをする原因になります。揺れがおさまるまでは、まず自分の身を守ることに集中しましょう。
揺れが収まったら(10分以内にやること)
大きな揺れがおさまったら、落ち着いて次の行動に移ります。東京消防庁の「地震 その時10のポイント」などをもとに、優先順位の高いものから挙げます。
- 火の元を確認し、出火していれば初期消火(揺れがおさまってから、あわてずに行う)
- 窓や戸を開けて出口を確保する(建物の変形でドアが開かなくなるのを防ぐ)
- 足元を守る:転倒した家具やガラスの破片でケガをしないよう、スリッパやスニーカーを履く(枕元に用意しておくと安心)
- 転倒した家具・落下物・割れたガラスに注意 しながら室内を移動する
- 家族の安否を確認する:電話がつながりにくいときは、災害用伝言ダイヤル(171)などを使う
安否確認の具体的な手順は、災害時の通信・安否確認の方法をまとめた記事で詳しく解説しています。あわせて確認しておくと安心です。
なお、大都市では、身の安全を確保したあとに むやみに移動を始めないことが基本 とされています。火災や余震の危険があるため、まずは安全な場所にとどまり、正しい情報を集めてから行動しましょう。
家を離れる前に:「通電火災」とブレーカー
避難のときに見落とされがちで、しかしとても重要なのが 「通電火災」への備え です。
通電火災とは、地震による停電が復旧して電気が再び通ったときに起きる火災 のことです。倒れた電気ストーブに燃えやすい物が接触したまま再通電したり、家具の下敷きになって傷ついた配線に電気が流れたりして出火します。消防庁によると、過去の大規模地震では、原因が特定された火災の多くが電気に関係するものでした。
これを防ぐために、消防庁は次の対応を呼びかけています。
- 避難で家を離れるときは、ブレーカーを切ってから出る(あわせてガスの元栓も締める)
- 感震ブレーカーの設置:一定以上の揺れを感知すると自動で電気を遮断する装置。停電中に自力でブレーカーを切れない場合や、留守中に地震が起きた場合にも電気火災を防げる
「地震 その時10のポイント」でも、避難の前に 「電気・ガスの安全確認(ブレーカーを切り、ガスの元栓を締める)」 が項目に挙げられています。慌ただしい避難の中でも、ブレーカーひとつで火災リスクを大きく下げられることを覚えておきましょう。
避難の判断:水平避難と垂直避難
避難には、大きく分けて2つの考え方があります。内閣府や気象庁の用語では、それぞれ次のように呼ばれます。
- 水平避難(立ち退き避難):危険が予想される場所から離れ、指定緊急避難場所や安全な親戚・知人宅など、別の安全な場所へ移動する こと
- 垂直避難(屋内安全確保):洪水や津波などで避難場所へ移動する時間がない、または移動自体が危険なときに、建物の2階以上など高い場所へ移動する こと
覚え方は、「遠くへ逃げるのが水平避難/高いところへ逃げるのが垂直避難」 です。
原則は、安全な場所へ移動する「水平避難」です。ただし、すでに浸水が始まっている、外に出るほうが危険といった状況では、命を守る緊急の手段として「垂直避難」を選びます。どちらが優れているというものではなく、災害の種類とその場の状況で使い分ける ことが大切です。津波警報や大規模火災のときは、ためらわず高台などの安全な場所へ素早く避難してください。
自分の家や職場がどんな災害リスクのある場所か(浸水想定・土砂災害の区域など)は、平常時にハザードマップで確認しておきましょう。
最初の24時間の過ごし方
身の安全を確保し、火の始末と安否確認ができたら、最初の一日は次のことを意識して過ごします。
- 余震に備える:大きな地震のあとは、規模の大きな余震が続くことがあります。家具の近くや倒壊のおそれがある場所を避け、安全な空間で過ごす
- 正しい情報を集める:気象庁・自治体・放送局 など公式・信頼できる発信元から情報を得る。SNSの不確かな情報に振り回されない
- むやみに移動しない:安全が確認できるまで、混雑する駅などへ向かわない
- 無理をしない:救出・救護は近隣で協力して行い、危険な作業は無理をしない(本格的な手当てが必要なけがは、消防・医療など専門機関の指示に従う)
地震そのものの種類やメカニズムを知っておきたい方は、地震の種類(海溝型・直下型など)をまとめた記事もあわせてどうぞ。
まとめ
地震が起きたら、①まず身の安全 → ②火の元・出口確保・足元の保護・安否確認 → ③避難前にブレーカーとガス → ④状況に応じた避難(水平/垂直) という流れが基本です。
とっさの行動は、あらかじめ知っているかどうかで大きく変わります。特に 通電火災を防ぐブレーカー対応 と 避難の使い分け は、いざという時のために家族で共有しておきましょう。この記事をブックマークしておけば、必要なときにすぐ手順を確認できます。
【主な出典(いずれも公式)】首相官邸「地震発生時にとるべき行動」、東京消防庁「地震 その時10のポイント」、気象庁「地震から身を守るために」、総務省消防庁・内閣府防災「感震ブレーカー/大規模地震時の電気火災対策」ほか。
※各機関の呼びかけ内容は更新される場合があります。最新の情報は必ず各公式サイト・自治体の案内でご確認ください。