
「出刃と柳刃って何が違うの?」「三徳ってどんな意味?」──台所に立つと自然と気になる包丁の種類。実は和・洋・中華を合わせると、プロの現場で使われる包丁だけで40種類以上あります。今回は包丁の種類を41種に分類し、名前の由来・向く食材・家庭/プロどちら向きかを一覧にまとめました。毎日の料理から専門料理まで、ぴったりの一本を見つける参考にしてください。
包丁は大きく「和包丁」「洋包丁」「中華包丁」の3種類に分かれます。片刃(一方向にだけ刃がついている)の和包丁は刺身など繊細な仕事に向き、両刃(左右対称)の洋包丁・中華包丁は直感的に扱いやすく家庭向きです。
包丁の種類一覧41選
和包丁|刺身・鮮魚を引く包丁(片刃)
刺身の切り口の美しさは使う包丁で決まります。長い刃を一方向に「引いて」切ることで、細胞を潰さずなめらかな断面を作れるのが和包丁ならではの特徴です。関西と関東で主流の刺身包丁の形が異なることも興味深いポイントです。
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| 包丁名(読み) | 刃の種類 | 主な用途・向く食材 | 向き |
|---|---|---|---|
| 柳刃包丁(やなぎば) | 片刃 | 刺身を引く(関西)・寿司ネタ | 料理人・家庭上級者 |
| 蛸引き包丁(たこひき) | 片刃 | 刺身を引く(関東)・タコ刺身 | 関東の料理人 |
| ふぐ引き包丁(ふぐひき) | 片刃 | フグの薄造り専用 | ふぐ料理専門 |
| 切り付け包丁(きりつけ) | 片刃 | 刺身と野菜の両用・汎用和包丁 | 和食料理人 |
和包丁|魚をさばく包丁
魚の頭を落とし、三枚おろしにする「さばき」作業専用の包丁です。厚い刃で骨を断てる出刃包丁を中心に、魚のサイズや用途によって専門の包丁が存在します。
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| 包丁名(読み) | 刃の種類 | 主な用途・向く食材 | 向き |
|---|---|---|---|
| 出刃包丁(でば) | 片刃 | 魚の三枚おろし・骨断ち | 家庭〜プロ |
| 小出刃包丁(こでば) | 片刃 | アジ・サバなど小型魚のさばき | 家庭・釣り人 |
| 相出刃包丁(あいでば) | 片刃 | 出刃よりやや薄め・汎用性高い | 和食料理人 |
| 舟行包丁(ふなゆき) | 片刃 | 漁船上での万能作業 | 漁師・料理人 |
| アジ切り包丁(あじきり) | 片刃 | アジ三枚おろしに特化 | 家庭・釣り人 |
| 鰻サキ包丁(うなぎさき) | 片刃 | ウナギを腹(または背)から開く | 鰻料理専門 |
| 骨スキ包丁・和(ほねすき) | 片刃 | 骨まわりの肉をそぎ取る | 和食料理人 |
和包丁|野菜を切る包丁
野菜専用の和包丁は、薄く均一に切る技術「かつら剥き」や精密な千切りを実現するために設計されています。刃が薄く、野菜の細胞を潰しにくい構造です。
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| 包丁名(読み) | 刃の種類 | 主な用途・向く食材 | 向き |
|---|---|---|---|
| 薄刃包丁(うすば) | 片刃 | かつら剥き・野菜の精密な薄切り | 和食料理人 |
| 菜切り包丁(なきり) | 両刃 | 野菜全般の押し切り | 家庭〜プロ |
| 鎌型薄刃(かましうすば) | 片刃 | 薄刃の大阪型・先端が鎌状 | 大阪の料理人 |
和包丁|専門・特殊な用途
特定の食材や料理だけに特化した専門包丁です。蕎麦・うどん・カステラなど、その食材を扱う職人が代々使い続けてきた独自の形状を持ちます。
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| 包丁名(読み) | 刃の種類 | 主な用途・向く食材 | 向き |
|---|---|---|---|
| そば切り包丁(そばきり) | 両刃 | 蕎麦生地を均一に切る | 蕎麦職人 |
| うどん切り包丁(うどんきり) | 両刃 | うどん生地の切り分け | うどん職人 |
| カステラ包丁(かすてら) | 両刃 | カステラ・スポンジの断面切り | 菓子職人 |
| 半月包丁(はんつき) | 両刃 | 前後に転がしてみじん切り | プロ・一部家庭 |
洋包丁|万能系
日本の家庭で最も使われているのが洋包丁の万能系です。肉・魚・野菜を1本でこなせる汎用性の高さが魅力。調理スタイルに合わせて選ぶのがポイントです。
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| 包丁名(読み) | 刃の種類 | 主な用途・向く食材 | 向き |
|---|---|---|---|
| 三徳包丁(さんとく) | 両刃 | 肉・魚・野菜の全般調理 | 家庭〜プロ |
| 牛刀(ぎゅうとう) | 両刃 | 肉料理から野菜まで全般 | プロ〜上級家庭 |
| ペティナイフ | 両刃 | フルーツ・薬味の細工切り | 家庭〜プロ |
洋包丁|専門・特化系
欧米の料理文化から生まれた専門包丁です。精肉・製菓・特定の食材に特化した形状は、作業効率を劇的に上げてくれます。
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| 包丁名(読み) | 刃の種類 | 主な用途・向く食材 | 向き |
|---|---|---|---|
| 筋引き包丁(すじびき) | 両刃 | 肉の筋・脂を除去・薄切り | プロ |
| ボーニングナイフ(骨スキ・洋) | 両刃 | 骨まわりの肉の解体 | 精肉・プロ |
| パン切り包丁(ぱんきり) | 波刃(セレーション) | パンを潰さずに切断 | 家庭〜プロ |
| チーズナイフ | 両刃・穴あき等 | チーズ各種(ハード・ソフト) | 家庭〜プロ |
| トマトナイフ | 小型波刃 | 皮の固いトマト専用 | 家庭 |
| パーリングナイフ(かわむき) | 両刃 | 根菜・果物の皮むき | 家庭〜プロ |
| ターニングナイフ | 湾曲両刃 | 野菜を球形・波形に削る飾り切り | フランス料理プロ |
| フィレットナイフ | 薄く柔軟な両刃 | 魚のフィレ取り・スモークサーモン薄切り | 料理人 |
| ハムスライサー | 両刃・長刃 | ハム・ロースト肉の均一薄切り | 精肉・業務用 |
| クリーバー(骨断ち) | 両刃・重厚 | 大骨を重い刃で断つ | 精肉・プロ |
| ステーキナイフ | 両刃(波刃も) | テーブルで肉を切り分ける | 家庭・飲食店 |
中華包丁
中華包丁は「1本で何でもできる」万能思想から生まれました。背面で肉を叩いたり、平面でにんにくを潰したりと、刃以外の部分も活用するのが特徴です。厚さによって薄型・標準型・骨断ち型に分かれます。
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| 包丁名 | 刃の種類 | 主な用途・向く食材 | 向き |
|---|---|---|---|
| 中華包丁・薄型(ブレードクリーバー) | 両刃・薄め | 野菜・魚の繊細な切り作業 | 中国料理人 |
| 中華包丁・標準型 | 両刃・中厚 | 肉・野菜・魚の全般作業 | 中国料理人 |
| 中華骨断ち包丁(チョッパー) | 両刃・厚重 | 豚・鶏の大骨のぶつ切り | 中国料理プロ |
その他・特殊な包丁
特定の食材や場面だけに使われる専用ナイフです。料理の世界の奥深さを感じさせる個性的な一群です。
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| 包丁名 | 刃の種類 | 主な用途・向く食材 | 向き |
|---|---|---|---|
| オイスターナイフ(牡蠣開け) | 短く厚い片刃 | 牡蠣の貝殻を安全に開ける | 鮮魚店・家庭 |
| グレープフルーツナイフ | 波刃・先端が曲がる | グレープフルーツの果肉を取り出す | 家庭 |
| ハーブナイフ(ミンチングナイフ) | 半月型両刃 | ハーブ・葉野菜をみじん切り | 家庭〜プロ |
| バターナイフ | 鈍刃 | バター・スプレッドを塗り広げる | 家庭 |
| ピザカッター式包丁 | 円盤回転刃 | ピザなどを転がして切る | 家庭・飲食店 |
| キャビアナイフ | 非金属製(骨・貝製) | キャビアを盛り付ける(金属臭防止) | 高級料理 |
名前の由来が面白い包丁7選
包丁の名前には、食文化・地域差・職人の工夫が詰まっています。由来を知るとさらに愛着が湧く7本を紹介します。
三徳包丁|「三つの徳」を持つ日本固有の万能包丁
「三徳(さんとく)」とは「肉・魚・野菜の三つの食材を扱える」という三つの徳から名付けられました。実は三徳包丁には前身があります。1940年代ごろ、菜切り包丁の切っ先を斜めに落として尖らせた「文化包丁(ぶんかぼうちょう)」が最初に登場。その後、背の部分を丸めてより使いやすくした形が「三徳包丁」と呼ばれるようになり、第二次世界大戦後に日本の家庭へ急速に普及しました。英語では「santoku knife」として世界中に輸出されており、グローバルなキッチンでも定番の存在になっています。
出刃包丁|通説は「出っ歯の鍛冶職人」が作ったから
語源は諸説あります。最も広く知られる説は、元禄時代に大坂の堺で作られた包丁で、開発した鍛冶職人が「出っ歯(でっぱ)」だったことから「出っ歯包丁(でっぱぼうちょう)」→「出歯包丁(でばぼうちょう)」→「出刃包丁」に変化したというもの。ただし正確なことはわかっておらず、「刃先が前に突き出ている形状から」「出端(でばな)=物事の始まりから」など他の説も存在します。刃が分厚くずっしりと重いのは、魚の太い骨を一気に断ち切るために必要な重量感のため。薄い刃では骨に弾かれてしまい、魚が崩れてしまいます。
柳刃包丁|刃の形が柳の葉に似ていることから
長く細い刃のシルエットが「柳の葉」に似ていることから「柳刃(やなぎば)」と命名されました。別名は「正夫(しょうぶ)」とも呼ばれ、これはアヤメ科の「菖蒲(しょうぶ)」の葉に形が似ているからという説もあります。関東では同じ役割の包丁を「蛸引き(たこひき)」と呼ぶことが多く、関西型と関東型で先端の形が異なります(柳刃は先がとがり、蛸引きは角張る)。刺身を引くとき、刃を一方向に引くだけで切れることで、断面が美しく仕上がります。
牛刀|もとは牛を解体するための包丁だった
名前の通り、もともとは「牛を解体するための包丁」として欧米から伝わった刃物です。明治時代に日本へ洋食文化が入り込む際に「牛刀(ぎゅうとう)」の名でも広まりました。英語では「chef's knife(シェフズナイフ)」として知られ、現代では牛肉に限らず野菜・魚・肉全般をこなせる万能包丁として世界中のプロが愛用しています。刃渡り18〜24cmと長め・重めで、切れ味より「押し切る」力を使う欧米の料理スタイルを反映した形状です。
ペティナイフ|フランス語「petit(小さい)」から
「ペティ(petty)」はフランス語で「小さい」を意味する「petit(プティ)」が語源。英語では「utility knife(ユーティリティナイフ)」とも呼ばれます。刃渡り12〜18cm程度で、フルーツの皮むき・薬味の細工・盛り付けの飾り切りなど、「大きな包丁では難しい細かい作業」が得意。三徳包丁の次に家庭に普及している包丁の一つです。
鰻サキ包丁|地域で形状が違う理由は「調理の流儀」の差
「鰻裂き(うなぎさき)」の名は、ウナギを「裂く」作業から来ています。驚くべきは、地域によって包丁の形状が大きく異なること。関東型は先端が細く尖り、ウナギの目の後ろに差し込んで背開きにします。関西型は先端が鍵のように曲がり、腹から開く「腹開き」に適した形。名古屋型はその中間。同じ「ウナギを開く」という目的でも、関東では背開き・関西では腹開きという異なる流儀を持ち、その流儀に合わせて刃の形が進化した歴史が興味深いところです。なお、ウナギを背開きにする関東の理由は「腹から開くのは切腹を連想させる」という武士文化の影響とも言われています。
菜切り包丁|「菜(野菜)を切る」そのままの名
「菜(な)」は野菜全般を指す古語で、「菜を切る包丁」がそのまま名前になりました。江戸時代から存在する歴史ある包丁で、上から真っすぐ押し切りできる両刃設計が特徴。薄刃包丁(片刃)と違って初心者でも直感的に使えるため、かつては多くの家庭で使われていました。現代では三徳包丁に主役の座を譲っていますが、野菜の千切りや大根のかつら剥きをするプロの料理人には今も根強い支持があります。
まとめ
和包丁・洋包丁・中華包丁・特殊包丁を合わせると、包丁の種類は41種類以上にのぼります。それぞれ名前の由来に職人の工夫や食文化の歴史が詰まっており、形状が違えば得意な作業も大きく異なります。
包丁選びのシンプルな目安:スパイスの種類まとめや食べ物の科学雑学と合わせて、料理の知識を深めるとより楽しくなります。
- 1本で済ませるなら三徳包丁(刃渡り16〜18cm)。家庭の調理の8割以上をカバーできます
- 2〜3本揃えるなら三徳包丁+ペティナイフ+パン切り包丁が定番セット
- 和食プロ志向なら柳刃・出刃・薄刃の3本が基本。洋食なら牛刀・筋引き・ペティナイフが定番
日常の料理には汎用性の高い「三徳包丁」1本から始め、食材や料理ジャンルに応じて専門の包丁を少しずつ揃えていくのがおすすめです。












