国字(和製漢字)一覧|働・峠・込など日本で作られた漢字まとめ

漢字は中国から伝来したイメージがありますが、じつは日本人が独自に作り出した「国字(くにじ)」も多く存在します。「働」「峠」「込」「辻」「畑」など日常的に使われる漢字の中にも国字は多く、小学校や中学校で習うものも少なくありません。この記事では、常用漢字・自然・植物・魚・生活用語・度量衡など8つのカテゴリに分けて49字の主要な国字を一覧でまとめました。成り立ちを知ると、漢字の見方がまったく変わります。

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国字(くにじ)とは

国字とは、中国から輸入された漢字ではなく、日本で独自に作り出した漢字のことです。「和字(わじ)」「和製漢字」とも呼ばれます。

多くの国字は、複数の漢字や部首を組み合わせた会意文字の手法で作られています。たとえば「峠(とうげ)」は「山」「上」「下」を組み合わせ、山道の上り下りをする最高地点を表します。「畑(はたけ)」は「火」と「田」で、焼き畑農業に使う乾いた農地を表します。

国字の主な特徴

  • 中国の古典文献にはもともと存在しない
  • 訓読みのみで音読みがないものがほとんど(例外あり)
  • 会意文字が多い:複数の要素を組み合わせて意味を表す
  • 総数は1,500字以上ともいわれるが、定義や文献によって異なる

国字一覧(種類別)

以下は、常用漢字や一般的な辞典・文献で確認できる主要な国字を種類別に整理した一覧です。

常用漢字に含まれる国字(10字)

文化庁が定める常用漢字表(2,136字・2010年改定)には、10字の国字が含まれています。

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漢字 読み 意味・用途
におう 薫る・においがする
こむ 中に入り込む・混雑する
とうげ 山道の最高地点・分水嶺
わく 物を囲むフレーム・型
とち トチノキ(栃木県名の由来の樹木)
はたらく 仕事をする・労働する
しぼる 強く絞る(搾乳・搾取)
へい 土地を区切る壁・境界の柵
せん 分泌器官(甲状腺・汗腺・涙腺など)
はたけ・はた 水を引かない農耕地(乾田)
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自然・地形の国字

日本の地形・気象に特有の概念を表すために作られた国字です。

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漢字 読み 意味・用途
つじ 道路が交差する場所(辶+十・十字路の形)・辻説法などに残る
なぎ 風がやんで海や空気が静まること(夕凪・朝凪)
こがらし 晩秋〜冬に吹く木を枯らすような強い北風
しずく 水滴・一滴の水が落ちる様子
また 川・道路・谷が二股に分かれる場所(地名に多い)
たこ 風を受けて空に揚げる玩具(紙や布を骨組みに張ったもの)

植物・農業の国字

日本固有の植物や農業概念を表す国字です。

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漢字 読み 意味・用途
さかき 神道の儀式で神前に供える常緑樹
ささ タケの一種で小型のもの(笹の葉・笹団子など)
もみじ カエデ・紅葉した葉の様子(人名・地名で使用)
もみ 稲の殻付きの実(精米前の米粒)
すぎ 「杉」の人名・地名用字(椙山など固有名詞に多い)
かし カシノキ(常緑広葉樹・どんぐりのなる木)

人間・生活・文化の国字

日本の文化・社会生活に根ざした国字です。

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漢字 読み 意味・用途
しつけ 礼儀作法・社会規範を身につけさせること(身を美しく)
麿 まろ 平安時代の一人称(わたし)・古語で上流貴族の言葉
おもかげ 面影・記憶の中に残る人の姿
もく 木目の複雑な模様・杢糸(撚り合わせた糸)・大工の別称
ます 液体や穀物を量る容器・碁盤のマス目
くるま 人力車(じんりきしゃ)の俗称・古語
くめ 人名・姓として使われる(「久米」を一字に縮めた字)
かみしも 武家が用いた礼装(上衣と袴のセット)
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魚・水産物の国字

日本近海や川・湖の水産物を表す国字は特に豊富です。魚へんの漢字全般については「魚へんの漢字195種」もあわせてご覧ください。

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漢字 読み 意味・用途
いわし イワシ(沿岸に群れる小魚・腐りやすく弱い魚の意)
あゆ アユ(清流の魚・縄張りを「占める」説や神功皇后の占いに使った説など諸説あり)
かつお カツオ(鰹節・だしの原料となる温帯の大型魚)
ぶり ブリ(出世魚・関西ではハマチ→メジロ→ブリと名が変わる)
たら タラ(雪の降る冬が旬・魚+雪の成り立ち)
さわら サワラ(春が旬の大型魚・魚+春の成り立ち)
きす キス(砂浜沿いに棲む白身魚)
ひらめ ヒラメ(平たい体の高級白身魚・魚+平)
はたはた ハタハタ(秋田名物・魚+神で「雷神」が現れる晩秋の時期に産卵のため大群で押し寄せる)
にしん ニシン(北海道の魚・数の子の原料)

鳥を表す国字

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漢字 読み 意味・用途
しぎ シギ(渡り鳥の一種・細長いくちばしが特徴)
つぐみ ツグミ(冬に日本へ飛来する渡り鳥)

医学・解剖を表す国字

明治時代に西洋医学を取り込む際、身体の機能を漢字1字で表すために作られた国字です。腺(せん)は常用漢字でもあります。

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漢字 読み 意味・用途
すい 膵臓(すいぞう)・インスリンや消化酵素を分泌する臓器

近代に作られた国字(度量衡系)

明治時代に欧米の単位を漢字1字で表すために作られた国字です。現在ではほぼ使われませんが、旧教科書・公文書に見ることができます。

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漢字 読み 意味・用途
キログラム kg(キログラム)の漢字表記
キロメートル km(キロメートル)の漢字表記
ミリメートル mm(ミリメートル)の漢字表記
センチメートル cm(センチメートル)の漢字表記
キロリットル kL(キロリットル)の漢字表記
デシリットル dL(デシリットル)の漢字表記
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豆知識:国字の成り立ちと特徴

会意文字でできている

多くの国字は、意味を持つ部品を組み合わせた「会意文字」です。

  • 峠(とうげ):山 + 上 + 下 → 山道を上り下りする場所
  • 畑(はたけ):火 + 田 → 火で焼いた乾いた田(焼き畑農業から)
  • 働(はたらく):人 + 動 → 人が動いて仕事をすること
  • 辻(つじ):辶(しんにょう)+ 十 → 十字形に道が交差する場所
  • 躾(しつけ):身 + 美 → 身を美しくすることが「しつけ」

音読みがある国字

ほとんどの国字は訓読みのみですが、「腺(せん)」「膵(すい)」など医学用語の国字には音読みがあります。これは西洋医学の解剖学・生理学の概念を「漢語」として日本語に取り込む必要があったためです。

国字は日本だけではない

国字という概念は日本固有ではありません。かつてのベトナムでは「字喃(チュノム)」、朝鮮半島でも独自の漢字が作られました。いずれもその国の言語・文化・自然を表現するために生まれた点で、日本の国字と共通しています。

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まとめ

国字は、日本人が自分たちの暮らし・自然・文化を表現するために生み出した独自の漢字文化の結晶です。峠・働・込のように日常的に使われるものから、鰯・鱈のように水産文化の豊かさを示すもの、瓩・粁のように明治の近代化を映すものまで、その多様性は日本語の奥深さを物語っています。動物漢字全般については「動物を表す漢字157選」、四字熟語については「四字熟語一覧227選」もあわせてどうぞ。

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参考・出典

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