
カクテルとは、ベースとなるスピリッツにジュースやリキュール・シロップを組み合わせた混合酒のことです。世界中に数千種類以上が存在し、名前の語源を辿ると歴史的な人物・都市・出来事に由来するものが多く、一杯のグラスに物語が宿っています。この記事では定番から個性的なものまでベース別に45種類を一覧でまとめ、特に名前の由来が面白い10選を詳しく解説します。
カクテルの種類一覧|ベース別45選
カクテルはベースとなるスピリッツ(蒸留酒)の種類で大まかに分類されます。度数はレシピや割り方によって変わるため、テーブルの数値は目安として参考にしてください。
ジンベースのカクテル
ジンはジュニパーベリー(杜松の実)で風味付けした蒸留酒で、独特のハーブ香が特徴です。カクテルのベースとして最もバリエーション豊富なお酒の一つとされており、イギリスとオランダを中心に18世紀ごろから発展しました。
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| カクテル名 | 度数目安 | 主な材料 | 味の系統 |
|---|---|---|---|
| マティーニ | 30〜40% | ジン+ドライベルモット | 辛口・スッキリ |
| ギムレット | 20〜25% | ジン+ライムコーディアル | 酸味・爽快 |
| ジンフィズ | 10〜15% | ジン+レモン+ソーダ | 爽快・シュワシュワ |
| シンガポールスリング | 10〜15% | ジン+チェリーリキュール他 | フルーティ・甘め |
| ネグローニ | 25〜30% | ジン+カンパリ+スウィートベルモット | 苦甘・複雑 |
| トム・コリンズ | 10〜15% | ジン+レモン+砂糖+ソーダ | 爽快・さっぱり |
| ラストワード | 25〜30% | ジン+マラスキーノ+緑シャルトリューズ+ライム | ハーブ・均整 |
ウォッカベースのカクテル
ウォッカは穀物やジャガイモを原料とする無色透明に近い蒸留酒で、クセが少なく他の材料の味を引き立てます。フルーツジュースやシロップとの相性が特によく、カラフルなカクテルが多いのが特徴です。
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| カクテル名 | 度数目安 | 主な材料 | 味の系統 |
|---|---|---|---|
| モスコミュール | 10〜15% | ウォッカ+ジンジャービア+ライム | スッキリ・ピリ辛 |
| ブラッディメアリー | 10〜15% | ウォッカ+トマトジュース+スパイス | スパイシー・塩辛 |
| スクリュードライバー | 10〜15% | ウォッカ+オレンジジュース | さっぱり・甘め |
| コスモポリタン | 20〜25% | ウォッカ+コアントロー+クランベリー+ライム | 甘酸っぱい |
| セックスオンザビーチ | 10〜15% | ウォッカ+ピーチシュナップス+クランベリー | フルーティ・甘め |
| カミカゼ | 20〜25% | ウォッカ+コアントロー+ライム | 酸味・辛口 |
| ウォッカトニック | 10〜15% | ウォッカ+トニックウォーター | スッキリ・さっぱり |
ラムベースのカクテル
ラムはサトウキビの搾り汁や廃糖蜜を原料とする蒸留酒で、カリブ海の島々が発祥とされています。トロピカルな甘みと独特の風味がフルーツジュースと抜群に合い、カクテルの世界でも長い歴史を持ちます。
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| カクテル名 | 度数目安 | 主な材料 | 味の系統 |
|---|---|---|---|
| モヒート | 10〜15% | ラム+ミント+ライム+砂糖+ソーダ | ミント・爽快 |
| ダイキリ | 20〜25% | ラム+ライムジュース+砂糖 | 酸味・シャープ |
| ピニャコラーダ | 10〜15% | ラム+ココナッツクリーム+パイナップルジュース | トロピカル・甘め |
| マイタイ | 15〜20% | ラム2種+オレンジキュラソー+ライム | フルーティ・南国風 |
| キューバリブレ | 10〜15% | ラム+コーラ+ライム | 甘め・さっぱり |
| ゾンビ | 20〜30% | 3種のラム+アプリコットブランデー他 | フルーティ・強烈 |
テキーラベースのカクテル
テキーラはメキシコ原産のブルーアガベ(竜舌蘭の一種)から作る蒸留酒で、独特の草の香りと強い風味が特徴です。メキシコの国民的なお酒でもあり、世界中のバーで定番のベースとして使われています。
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| カクテル名 | 度数目安 | 主な材料 | 味の系統 |
|---|---|---|---|
| マルガリータ | 20〜25% | テキーラ+コアントロー+ライム(塩リム) | 甘酸っぱい・塩味 |
| テキーラサンライズ | 10〜15% | テキーラ+オレンジジュース+グレナデン | フルーティ・甘め |
| パロマ | 10〜15% | テキーラ+グレープフルーツジュース+塩 | 苦酸っぱい・爽快 |
| エルディアブロ | 10〜15% | テキーラ+カシスリキュール+ジンジャービア | フルーティ・スパイシー |
ウイスキーベースのカクテル
ウイスキーは大麦・小麦・とうもろこしなどを原料とする蒸留酒で、スコッチ・バーボン・ジャパニーズなど産地によって風味が大きく異なります。ストレートで飲まれることも多いですが、カクテルのベースとしても長い歴史があります。
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| カクテル名 | 度数目安 | 主な材料 | 味の系統 |
|---|---|---|---|
| マンハッタン | 25〜35% | バーボン+スウィートベルモット+ビターズ | 甘め・複雑 |
| オールドファッションド | 30〜40% | バーボン+角砂糖+ビターズ+オレンジ | 辛口・芳醇 |
| ウイスキーサワー | 15〜20% | ウイスキー+レモン+砂糖(卵白も) | 甘酸っぱい |
| ゴッドファーザー | 25〜35% | スコッチ+アマレット | アーモンド・辛口 |
| ラスティネイル | 30〜40% | スコッチ+ドランブイ | ハチミツ・スパイシー |
ブランデーベースのカクテル
ブランデーはワインや果実を蒸留した上品な蒸留酒で、コニャック・アルマニャックが有名です。深みのある香りと複雑な風味から、クラシックカクテルのベースとして19世紀から使われてきました。
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| カクテル名 | 度数目安 | 主な材料 | 味の系統 |
|---|---|---|---|
| サイドカー | 25〜30% | コニャック+コアントロー+レモン | 甘酸っぱい・エレガント |
| スティンガー | 25〜35% | ブランデー+ホワイトペパーミントリキュール | ミント・さっぱり |
| アレクサンダー | 15〜20% | ブランデー+クレームドカカオ+生クリーム | クリーミー・甘め |
ワイン・シャンパンベースのカクテル
ワインやシャンパン(スパークリングワイン)をベースにしたカクテルは、アルコール度数が低めで食前酒(アペリティフ)として世界的に親しまれています。ヨーロッパのカフェ文化から生まれたものが多いのも特徴です。
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| カクテル名 | 度数目安 | 主な材料 | 味の系統 |
|---|---|---|---|
| キール | 10〜12% | 白ワイン+カシスリキュール | 甘め・フルーティ |
| キールロワイヤル | 10〜12% | シャンパン+カシスリキュール | 華やか・甘め |
| ベリーニ | 8〜10% | プロセッコ+白桃ピューレ | フルーティ・軽やか |
| ミモザ | 8〜10% | シャンパン+オレンジジュース | 爽快・甘め |
| サングリア | 8〜10% | 赤ワイン+フルーツ+ブランデー少量 | フルーティ・甘酸っぱい |
| アペロールスプリッツ | 8〜10% | プロセッコ+アペロール+ソーダ | 苦甘・爽快 |
| フレンチ75 | 10〜15% | シャンパン+ジン+レモン+砂糖 | 辛口・爽快 |
ビールベースのカクテル
ビールをベースにしたカクテルは「ビアカクテル」とも呼ばれ、アルコール度数が低く飲みやすいのが特徴です。パブ文化が発達したイギリスやアイルランドで多くのスタイルが生まれました。
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| カクテル名 | 度数目安 | 主な材料 | 味の系統 |
|---|---|---|---|
| シャンディガフ | 2〜3% | ビール+ジンジャービア | さっぱり・炭酸 |
| ブラックベルベット | 5〜7% | スタウト+シャンパン | クリーミー・甘め |
| スネークバイト | 4〜5% | ビール+サイダー(りんご酒) | 甘め・フルーティ |
ノンアルコール(モクテル)
アルコールを使わないカクテルを「モクテル(Mocktail)」といい、"Mock(偽の・模倣の)"と"Cocktail"を組み合わせた造語です。子どもから妊婦・運転者まで楽しめる華やかなノンアルドリンクとして、近年世界的に需要が高まっています。
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| カクテル名 | 主な材料 | 味の系統 |
|---|---|---|
| シャーリーテンプル | グレナデン+ジンジャーエール+オレンジジュース | 甘め・フルーティ |
| アーノルドパーマー | アイスティー+レモネード | さっぱり・甘酸っぱい |
| シンデレラ | オレンジ+パイナップル+レモンジュース | フルーティ・爽快 |
名前の由来が面白いカクテル10選
カクテルの名前には、実在の人物・歴史的事件・土地の文化が隠れていることが多いです。知っておくとバーでの会話が格段に楽しくなる、語源エピソードを10選でまとめました。
ネグローニ|イタリア貴族の「もっと強くして」から生まれた一杯

ネグローニの誕生は1919年ごろのフィレンツェとされています(諸説あり)。イタリア貴族のカミッロ・ネグローニ卿が、行きつけのカフェ・カソーニ(Caffè Casoni)でいつものアメリカーノ(カンパリ+スウィートベルモット+ソーダ)に飽き、バーテンダーのフォスコ・スカルセッリに「ソーダの代わりにジンを入れてくれ」と頼んだのが起源とされています。
ロンドン旅行の帰りにジンに目覚めたネグローニ卿のひと言が、世界を代表するクラシックカクテルを生み出しました。バーテンダーのスカルセッリは後に伯爵の許可を得て公式にレシピを発表したとされており、「ネグローニ」という名はそのまま卿の苗字から来ています。現在は世界で最も売れているクラシックカクテルのランキングで複数年にわたり首位を獲得しています。
ベリーニ|ルネサンス画家の名を冠するヴェネツィア生まれ

1948年、ヴェネツィアの老舗バー「ハリーズ・バー(Harry's Bar)」のオーナー、ジュゼッペ・チプリアーニが考案したとされています。白桃のピューレとイタリアのスパークリングワイン「プロセッコ」を合わせたシンプルな一杯です。
名前の由来は、ちょうど同じ時期にヴェネツィアで開催されていたルネサンス画家ジョヴァンニ・ベッリーニ(Giovanni Bellini, 1430頃〜1516年)の展覧会。ベッリーニの絵画に使われていた独特のサーモンピンクが、このカクテルの色と似ていたことから名付けられたとされています。ハリーズ・バーはヘミングウェイ・チャップリンら著名人も通った伝説のバーです。
モスコミュール|3人の「困った」が生んだ銅マグの名作

1941年のロサンゼルス、サンセット・ストリップにある「コック・アンド・ブル(Cock'n Bull)」パブが誕生の舞台です。ウォッカの普及に苦労していたジョン・G・マーティン、売れないジンジャービアを抱えていたパブオーナーのジャック・モーガン、そして売れ残りの銅製マグカップを処分したかったソフィー・ベレジンスキー——3人の「困った事情」が偶然重なって生まれたカクテルとされています。
「モスコ」はウォッカ=ロシア(モスクワ)のイメージから、「ミュール(mule)」はジンジャービアのピリッとしたキックが「ラバに蹴られたような強さ」を連想させることから来ているという説が有力です(諸説あり)。銅製マグカップで提供するスタイルも、この逸話から生まれたマーケティング戦略として今日まで受け継がれています。
マルガリータ|塩のリムが象徴するメキシコのカクテル女王

テキーラ+コアントロー+ライムジュースのシンプルな構成ながら、世界で最も注文されるカクテルの一つとされています。グラスのリム(縁)に塩をまぶす「スノースタイル」が視覚的な象徴として定着しています。
名前の由来には複数の説があり定説はありません。1930〜40年代にメキシコの社交界でマルガリータという女性が初めて作ったという説、スペイン語で「ひなぎく(デイジー)」を意味する「margarita」から来たという説、禁酒法時代のカリフォルニアで偶然生まれたという説など、諸説が入り乱れています。いずれにせよ「マルガリータ」はスペイン語圏の女性名でもあり、華やかなビジュアルはその名にふさわしいといえます。
モヒート|ヘミングウェイも愛したキューバ生まれの爽快感

ラム+ミント+ライム+砂糖+ソーダという組み合わせで、キューバを代表するカクテルです。ノーベル文学賞作家アーネスト・ヘミングウェイがキューバ滞在中にハバナのバー「ラ・ボデギータ・デル・メディオ」でこよなく愛したとされ、世界的に有名になりました。
名前の由来には諸説あり、アフリカ起源のことばで「力・魔法の薬」を意味する「mojo」から来たという説、スペイン語の「mojado(濡れた)」に由来するという説などが語られています。ミントが爽快で夏に人気が高く、砂糖やシロップの量でアレンジの幅が広いことから、バーでも自宅でも作りやすいカクテルとして長く愛されています。
ピニャコラーダ|「濾したパイナップル」がそのまま名前になったトロピカルの王様

スペイン語で「piña(パイナップル)」と「colada(濾した)」を合わせた名前がそのままカクテル名になっています。ラム+ココナッツクリーム+パイナップルジュースのトロピカルな一杯で、プエルトリコの国民的カクテルとして公式に認定されています。
1954年にプエルトリコのサンフアン、カリベ・ヒルトンホテルのバーテンダー、ラモン・マレロが考案したとされていますが(諸説あり)、その後も発明者を名乗る複数の主張が続いています。甘くトロピカルな白い見た目から「夏のカクテル」の代名詞となっており、アルコールなしのバージョン「ヴァージン・ピニャコラーダ」もリゾートホテルの定番メニューです。
ミモザ|パリで生まれた黄色い泡のカクテル

シャンパン(またはスパークリングワイン)とオレンジジュースを1:1で合わせたミモザは、アルコール度数が低く朝食・ブランチに合う食前酒として世界中に広まりました。春に黄色い房を咲かせる花「ミモザ(アカシアの一種)」の色と泡立ちが似ていることから命名されたとされています。
1925年にパリのホテルのバーで考案されたという説が一般的ですが(諸説あり)、発祥には諸説あります。なお、英国では同じ組み合わせを「バック・フィズ(Buck's Fizz)」と呼ぶことが多く、バック・フィズは1921年ロンドンのバック・クラブが発祥とされています。同じレシピでも国によって名前が異なるのも面白い点です。
キール|フランスの市長が世界に広めた地元の一杯
冷えた白ワイン(主にブルゴーニュ産のアリゴテ種)にカシスリキュールを少量加えるシンプルなカクテルで、フランス・ブルゴーニュ地方ディジョンの地酒を生かした飲み物です。シャンパンで代用すると「キールロワイヤル(Kir Royal)」と呼ばれ、より格上な一杯になります。
1945年から1968年までディジョン市長を務めたカトリック聖職者のフェリックス・キール(Félix Kir, 1876〜1968年)が、外交の場や公式行事でこの地元ワインとカシスの組み合わせを積極的に振る舞い、名声が広がったとされています。政治家の名前がそのままカクテル名として定着した珍しい例で、地方産品のブランド化にも貢献しました。
オールドファッションド|カクテルという言葉の「原点」を体現する一杯

1806年、アメリカの新聞が"cocktail"という言葉を初めて定義した際のレシピが「スピリッツ+砂糖+ビターズ+水」だったとされています。オールドファッションドはまさにこの定義を忠実に守ったカクテルです。
19世紀末、アメリカのバーでは複雑なリキュールや新しい素材を使うカクテルが流行し始めました。そんな中、「昔ながらのスタイル(old-fashioned way)で作ってくれ」と注文する客が続出したことが名前の由来とされています(諸説あり)。バーボンまたはライウイスキーをベースに、角砂糖・アンゴスチュラビターズ・オレンジとチェリーを組み合わせる古典的な一杯で、現在も世界のバーで不動の人気を誇ります。
シャーリーテンプル|子役スターの名を冠したノンアルコールの傑作
グレナデンシロップ(ザクロ系の赤いシロップ)とジンジャーエール、オレンジジュースを組み合わせた鮮やかなノンアルカクテルです。1930〜40年代にハリウッドで活躍したアメリカの国民的子役スター、シャーリー・テンプル(Shirley Temple, 1928〜2014年)の名を冠しています。
テンプル本人が幼いころハリウッドのレストランを訪れた際、大人と同じように華やかな飲み物を楽しめるよう、バーテンダーが特別に作ったのが始まりとされています(諸説あり)。甘みと鮮やかな赤がかったオレンジ色から子ども向けに最適で、現在も幅広い年代に愛されるモクテルの代名詞です。なお、テンプル本人は後年インタビューで「自分の名を冠したカクテルが好きではない」と語ったという逸話も残っています。
まとめ
カクテルはただ美味しいだけでなく、その名前の裏に人物・時代・文化が刻まれています。ネグローニのように貴族の「もっと強くして」から生まれたものあれば、モスコミュールのように3人の売れ残り品が奇跡的に出会ったものもあります。次にバーを訪れたとき、名前の由来を思い浮かべながら飲むと、また違った楽しみ方ができるはずです。











