世界の数の数え方の違い一覧|フランス語4×20から万進法まで

フランス語で「80」は「4×20(quatre-vingts)」、デンマーク語で「50」は「2.5×20(halvtreds)」と表します。10進法が当たり前のように見える世界ですが、各言語の数え方を掘り下げると、20進法の名残・逆順の数え方・二系統の数詞体系など、多彩な仕組みが顔を出します。

この記事では、日本語・英語・フランス語・デンマーク語・ドイツ語・韓国語・バスク語など11言語・文明の数え方の特徴と違いを一覧テーブルで比較。大きな数で生じる「万進法vs千進法」の問題や、時計に今も生きるバビロニアの60進法まで解説します。

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世界の数え方の特徴 言語・文明別一覧

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言語・文明 進法・体系 代表的な特徴 代表例
日本語 10進法・万進法 4桁ごとに位が変わる 万・億・兆・京・垓
中国語 10進法・万進法 日本語と同じ万単位 万(wàn)・億(yì)・兆(zhào)
英語 10進法・千進法 3桁ごとに位・11/12は独立語 thousand, million, billion
ドイツ語 10進法・逆順 1の位を先に言う 21=einundzwanzig(1と20)
フランス語 10進法+20進法残留 80は「4×20」 quatre-vingts(4×20)
ベルギー・スイスのフランス語 10進法 70・80・90に独自語 septante(70)・nonante(90)
デンマーク語 複雑な20進法 50は「2.5×20」 halvtreds(2.5×20)
韓国語 10進法・二系統 固有数詞と漢数詞を用途で使い分け 하나(1)・일(1)
バスク語 完全20進法 40は「2×20」 berrogei(2×20)
ウェールズ語 10進法+20進法残留 伝統体系で15は「10と5」 pymtheg=15(5と10)
マヤ文明 20進法 0を発明・点と棒で表現 kal=20, bak=400
バビロニア文明 60進法 時間・角度に今も残る 1時間=60分の源

フランス語・デンマーク語:20進法の名残が残る言語

フランス語──「80」は4×20(quatre-vingts)

フランス語の数え方の中で最も有名な特徴が、70・80・90の表現です。

  • 70(soixante-dix):「60と10」(soixante=60, dix=10)
  • 80(quatre-vingts):「4×20」(quatre=4, vingts=20)
  • 90(quatre-vingt-dix):「4×20と10」

この仕組みはケルト系のガリア人が使っていた20進法の名残とされています。中世フランスでは80を「quatre-vingts」と数えるのが一般的であり、フランスのアカデミー(アカデミー・フランセーズ)が17世紀にこの表現を正式化しました。

興味深いのは地域差で、ベルギー・スイス・ルクセンブルクのフランス語話者は、より規則的な「septante(70)・octante/huitante(80)・nonante(90)」を使います。同じフランス語でも国・地域によって数え方が違うのです。

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デンマーク語──「50」は2.5×20(halvtreds)

デンマーク語の数え方はヨーロッパ言語の中でも特に複雑で、50〜90の十の倍数が独特の20進法体系をもちます。

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数 デンマーク語 意味(直訳)
50 halvtreds 半分の3番目の20 = 2.5×20
60 tres 3×20
70 halvfjerds 半分の4番目の20 = 3.5×20
80 firs 4×20
90 halvfems 半分の5番目の20 = 4.5×20

「halvtreds」の「halv」は「半分」、「tredje」は「3番目」の意で、「3番目の20の半分前(=2.5番目の20)」という発想から50(=2.5×20)を表します。隣接するスウェーデン語・ノルウェー語が規則的な10進法(femti=50, sekstiett=60等)なのに対し、デンマーク語だけがこの複雑な体系を維持しています。

バスク語──ヨーロッパに残る完全な20進法

スペインとフランスの国境にまたがるバスク地方の言語・バスク語は、インド・ヨーロッパ語族に属さない孤立言語で、完全な20進法をとります。

  • 20(hogei):20
  • 40(berrogei):berra(2)+ hogei(20)= 2×20
  • 60(hirurogei):hirur(3)+ hogei(20)= 3×20
  • 80(laurogei):laur(4)+ hogei(20)= 4×20

バスク語がなぜ20進法をとるかは今も謎が多く、人類の指と足指の合計である20本を基準にしたという説が有力です。同様の20進法はウェールズ語・ブルトン語(フランス北西部のケルト語)にも伝統的な数え方として残っています。

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日本語vs英語:万進法と千進法の壁

日本語・中国語の「万進法」とは

日本語と中国語は4桁(万=10⁴)ごとに新しい単位名が現れる「万進法」を採用しています。

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数 日本語の単位 桁数
10,000 万 5桁
100,000,000 億 9桁
1,000,000,000,000 兆 13桁
10,000,000,000,000,000 京 17桁

「一億円」という表現は日本語話者にとって直感的ですが、英語では「100 million(1億)」と表現します。

英語の「千進法」──億・兆の訳でずれる理由

英語は3桁(千=10³)ごとに新しい単位名が現れる「千進法」です。

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英語 意味 日本語換算
thousand 10³ 千
million 10⁶ 百万
billion 10⁹ 十億
trillion 10¹² 一兆

日本語で「billion」を「億」と訳すか「十億」と訳すかは文脈によって揺れが生じ、ビジネスや報道で誤解を招くことがあります。たとえば英語の「1 billion dollars」は「10億ドル」ですが、「1億ドル」と誤訳されるケースが後を絶ちません。日英翻訳の際は桁数を必ず確認することが重要です。日本語の大きな数の読み方は命数法変換ツールで確認できます。

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逆順・二系統:ユニークな数え方の言語

ドイツ語──1の位を先に言う逆順の数え方

ドイツ語では21〜99の数字を「1の位+und(と)+10の位」の順で表現します。

  • 21 → einundzwanzig(ein=1, und=と, zwanzig=20)
  • 47 → siebenundvierzig(sieben=7, und=と, vierzig=40)

英語の twenty-one(20+1)と逆の順序です。この逆順はゲルマン語派(英語・ドイツ語・オランダ語の共通祖語)の古い特徴で、英語も中英語期まで「one-and-twenty(ワン・アンド・トゥエンティ)」と逆順で言っていました。シェイクスピアの作品にも「four-and-twenty(二十四)」のような逆順の数表現が登場します。

韓国語──固有数詞と漢数詞の二系統

韓国語には2種類の数え方が並存しています。

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用途 体系 1〜5の例
個数・年齢・時(○時) 固有数詞 하나・둘・셋・넷・다섯
金額・電話番号・分(○分) 漢数詞 일・이・삼・사・오

日本語も「ひとつ・ふたつ」(和語数詞)と「いち・に」(漢語数詞)の二系統を持ちますが、日本語の固有数詞は10(とお)まで、韓国語は99まであるのが大きな違いです。

英語──eleven・twelveはなぜ特別な語?

英語で11は「eleven(イレブン)」、12は「twelve(トゥエルブ)」と言い、thirteen(13)・fourteen(14)…のように「−teen(+10)」の規則に乗りません。これは古英語の「ain-lif(1が残る=11)」「twa-lif(2が残る=12)」から来ており、「10を超えて1余る」「2余る」という発想に由来します。12進法(ダース)の名残という説もあり、1ダース=12という商習慣と関係しているとも言われます。

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歴史に残る特殊な進法

バビロニアの60進法──時間・角度に生きる遺産

紀元前3000年ごろのメソポタミアで栄えたバビロニア文明は、60進法を発展させた最古の文明のひとつです。60が選ばれた理由は諸説ありますが、2・3・4・5・6など多くの数で割り切れる「高度合成数」であり、天文学的計算に便利だったためとされています。

現在も時間(60秒・60分)、角度(360度=6×60度)にその名残が残り、全世界の人が毎日バビロニアの数学を使っていることになります。

マヤ文明の20進法──0を発明した文明の数字

中央アメリカのマヤ文明は、20進法を採用し、「0(ゼロ)の概念」を数字として体系化した最古の文明のひとつとして知られています(バビロニアも独立した文脈でゼロの概念をもっており、0の「発明」については諸説あります)。

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単位 マヤ語 数値
1 hun 1
20 kal 20
400 bak 20²
8,000 pic 20³
160,000 calab 20⁴

1〜4は点(●)の数、5は横棒(—)、19は横棒3本+点4つで表しました。マヤ暦の「長期暦」もこの20進法に基づいており、現代のコンピューターにつながる「位取り記数法」の原型の一つとして評価されています。

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まとめ

世界の数え方を比べると、10進法が「標準」に見えて、実は20進法の名残・逆順・二系統など多彩な仕組みが残っています。特にフランス語の「80=4×20」やデンマーク語の「50=2.5×20」は驚きの発想です。そして日本語の万進法と英語の千進法の違いは、グローバルなやりとりで実際にミスを生む実用的な問題でもあります。「数を数える」という単純な行為ひとつに、各文明・民族の歴史と知恵が凝縮されています。同じ「言語と概念の違い」を扱った記事として、世界の色名・色の一覧|24言語で見る色の境界線もあわせてどうぞ。

腕試しクイズ(全5問)

世界の数え方に関する知識を試してみましょう。

腕試しクイズ(全5問)|世界の数の数え方
全5問。「採点する」で正解数と解説が表示されます。
第1問 フランス語で「80(quatre-vingts)」はどんな計算で作られる?

第2問 デンマーク語の「halvtreds(50)」を直訳すると?

第3問 日本語・中国語が使う「万進法」は、何桁ごとに位が変わる仕組み?

第4問 時間(1時間=60分)や角度(1度=60分)に残る60進法を発展させた文明は?

第5問 ドイツ語の「21(einundzwanzig)」で、数字を言う順番の特徴は?

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