
食品添加物という言葉はよく耳にするのに、「甘味料」「乳化剤」という表示の正体をきちんと把握している人は少ないのではないでしょうか。食品添加物には国が定めた22の用途区分があり、保存料や着色料など8種は用途名の表示が義務付けられ、乳化剤や調味料など14種は「一括名」で記載できます。本記事では全22区分の機能と代表的な物質名・使用食品を一覧にまとめました。食品表示を読み解くヒントにしてください。
食品添加物とは
食品添加物とは、食品の製造・加工・保存の目的で使用される物質のことです。日本では食品衛生法にもとづき、厚生労働大臣が安全性を確認したものだけを使用できます。
食品添加物の4つの法的区分
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| 区分 | 内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| 指定添加物 | 安全性が確認され大臣が指定したもの | 化学合成・天然どちらも含む |
| 既存添加物 | 長年の食経験があり例外的に認めたもの | 天然物が主体 |
| 天然香料 | 植物・動物由来で香り付けに使うもの | 約600品目超の基原物質 |
| 一般飲食物添加物 | 通常は食品だが添加物的に使うもの | 果汁・でんぷんなど |
最新の指定添加物リストや品目数は、厚生労働省の公式ウェブサイトで確認できます。
食品添加物の用途別一覧(22区分)
食品表示基準では、用途によって「用途名を必ず表示する8種」と「一括名で表示できる14種」が定められています。
用途名表示が義務づけられている8種
食品ラベルで「保存料(ソルビン酸K)」のように用途名と物質名の両方を表示することが法律で定められています。
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| 用途名 | 主な機能 | 代表的な物質 | 主な使用食品 |
|---|---|---|---|
| 保存料 | 細菌・カビの増殖を抑えて保存性を高める | ソルビン酸K、安息香酸Na | ハム・チーズ・清涼飲料水 |
| 甘味料 | 食品に甘みを与える | アスパルテーム、キシリトール | ノンシュガー食品・菓子類 |
| 着色料 | 食品を着色・色調を調整する | 赤色102号、クチナシ色素 | 菓子・清涼飲料水・漬物 |
| 増粘剤・安定剤・ゲル化剤・糊料 | 食品にとろみ・安定性・ゲル状食感を付与 | カラギナン、ペクチン | ゼリー・ドレッシング・アイス |
| 酸化防止剤 | 油脂の酸化・変色を防ぐ | ビタミンC(L-アスコルビン酸)、BHT | ハム・食用油・冷凍食品 |
| 発色剤 | 食肉製品の色を安定・鮮やかにする | 亜硝酸Na | ハム・ソーセージ・ベーコン |
| 漂白剤 | 食品の色素を除去・脱色する | 亜硫酸Na、二酸化硫黄 | かんぴょう・ドライフルーツ |
| 防かび剤(防ばい剤) | 輸入果実等の表面のカビを防ぐ | OPP、TBZ、イマザリル | 輸入レモン・オレンジ・バナナ |
一括名で表示できる14種
食品ラベルには「乳化剤」「香料」などの一括名だけを記載すればよい区分です。個々の物質名を全て書く必要はありません。
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| 一括名 | 主な機能 | 代表的な物質 | 主な使用食品 |
|---|---|---|---|
| 調味料(アミノ酸等) | うまみ・風味を高める | L-グルタミン酸Na(MSG)、5'-イノシン酸二Na | ほぼ全ての加工食品 |
| 乳化剤 | 油と水を混ぜ合わせる | レシチン、グリセリン脂肪酸エステル | マヨネーズ・アイス・パン・チョコ |
| 膨張剤 | 焼き菓子・パン生地を膨らませる | 炭酸水素Na(重曹)、焼ミョウバン | パン・ケーキ・クッキー |
| 香料 | 風味・香りを付与・増強する | バニリン、メントール | 菓子・飲料・アイスクリーム |
| 酸味料 | 酸っぱさを付与・pH調整を補助する | クエン酸、乳酸、リンゴ酸 | 清涼飲料水・ゼリー・酢飲料 |
| pH調整剤 | 食品のpHを適正に保ち保存性を高める | クエン酸Na、乳酸Na、酢酸Na | 食パン・惣菜・ハム |
| かんすい | 中華麺特有のコシ・色・風味を付与 | 炭酸K、炭酸Na、リン酸三K | 中華麺・ラーメン・焼きそば |
| イーストフード | パン酵母(イースト菌)の発酵を助ける | 塩化アンモニウム、炭酸Ca | 食パン・菓子パン |
| 豆腐用凝固剤 | 豆乳を凝固させて豆腐を作る | 塩化Mg(にがり)、硫酸Ca | 木綿豆腐・絹ごし豆腐 |
| ガムベース | チューインガムの噛む感触を作る基材 | 酢酸ビニル樹脂、エステルガム | チューインガム |
| 光沢剤 | 食品の表面に光沢を付けて保護する | シェラック、カルナウバロウ | チョコレート・グミ・一部果物 |
| 苦味料 | 食品に苦味を付与する | カフェイン、ナリンジン | ビール・缶コーヒー・トニックウォーター |
| 酵素 | 食品の成分を分解・変換し加工を助ける | アミラーゼ、プロテアーゼ | パン・みそ・チーズ・ビール |
| 軟化剤 | チューインガムの柔軟性を保つ | ラノリン | チューインガム |
主要カテゴリ別・代表的な食品添加物
保存料
細菌・カビ・酵母の増殖を抑え、食品の保存期間を延ばすために使われます。
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| 添加物名 | 主な使用食品 |
|---|---|
| ソルビン酸 | ハム・ソーセージ・かまぼこ |
| ソルビン酸K(ソルビン酸カリウム) | チーズ・ジャム・漬物・佃煮 |
| ソルビン酸Ca(ソルビン酸カルシウム) | 魚肉練り製品・ケチャップ |
| 安息香酸(安息香酸Na) | 清涼飲料水・酢・マーガリン |
| プロピオン酸Ca・Na | パン・洋菓子(カビ防止) |
| デヒドロ酢酸Na | チーズ・バター・マーガリン |
| しらこたん白抽出物 | 惣菜・豆腐・めん類 |
| ナイシン | チーズ・ソース類(細菌性芽胞対策) |
| パラオキシ安息香酸エステル類 | 食酢・清涼飲料水・果実ソース |
甘味料
砂糖に代わって甘みを付与します。カロリーゼロ・低カロリーの食品に多く使われます。
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| 添加物名 | 主な使用食品 |
|---|---|
| アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物) | ノンシュガー飲料・菓子・清涼飲料水 |
| アセスルファムカリウム | 清涼飲料水・菓子・デザート |
| スクラロース | ノンシュガー飲料・菓子・アイス |
| ステビア抽出物 | 飲料・菓子・漬物・醤油 |
| サッカリンNa(サッカリンナトリウム) | たくあん・福神漬け・漬物 |
| キシリトール | ノンシュガーガム・歯磨き粉・菓子 |
| ソルビトール(D-ソルビトール) | 生菓子・冷凍食品・佃煮 |
| エリスリトール | ノンカロリー飲料・菓子 |
| マルチトール | 低カロリー菓子・チョコレート |
| ラクチトール | 機能性食品・糖尿病患者向け食品 |
| グリチルリチン酸二カリウム | 醤油・味噌・漬物(甘草由来) |
| ネオテーム | 飲料・菓子・乳製品 |
着色料
食品の色を付けたり、加工中に失われた色を補ったりします。
タール色素(合成着色料)
化学合成されたタール系の着色料です。色が鮮やかで安定しています。
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| 添加物名 | 主な使用食品 |
|---|---|
| 赤色2号(アマランス) | 菓子・清涼飲料水・漬物 |
| 赤色3号(エリスロシン) | 桜漬け・梅干し・チェリー |
| 赤色40号(アリュラレッド) | 菓子・清涼飲料水・アイスクリーム |
| 赤色102号(ニューコクシン) | かまぼこ・菓子・漬物 |
| 赤色104号(フロキシン) | 桜漬け・たらこ・菓子 |
| 赤色106号(アシッドレッド) | 菓子・漬物 |
| 黄色4号(タートラジン) | たくあん・菓子・清涼飲料水 |
| 黄色5号(サンセットイエローFCF) | 菓子・清涼飲料水・漬物 |
| 青色1号(ブリリアントブルーFCF) | 菓子・清涼飲料水・アイスクリーム |
| 青色2号(インジゴカーミン) | 菓子・清涼飲料水 |
| 緑色3号(ファストグリーンFCF) | 菓子 |
天然着色料
植物・昆虫・鉱物など天然由来の着色料です。
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| 添加物名 | 主な使用食品 |
|---|---|
| カラメル色素(I〜IV類) | 醤油・コーラ・ビール・漬物・お菓子 |
| β-カロテン | マーガリン・バター・チーズ・飲料 |
| クチナシ色素(黄・赤・青) | 栗きんとん・たくあん・かまぼこ |
| コチニール色素(カルミン酸) | ハム・ソーセージ・菓子・清涼飲料水 |
| アナトー色素(ノルビキシン) | チーズ・マーガリン・スナック菓子 |
| ベニバナ色素(ベニバナ黄色素) | 和菓子・栗きんとん |
| ラック色素 | 菓子・ガム |
| 銅クロロフィル・銅クロロフィリンNa | 野菜ジュース・抹茶菓子(緑色保持) |
| スピルリナ色素 | 飲料・菓子(青緑色) |
| リコピン | 飲料・ソース(トマト由来の赤) |
増粘剤・安定剤・ゲル化剤・糊料
食品にとろみやなめらかさを与えたり、分離を防いだりします。
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| 添加物名 | 主な使用食品 |
|---|---|
| カラギナン | ゼリー・プリン・アイスクリーム・肉製品 |
| アルギン酸Na(アルギン酸ナトリウム) | ゼリー・アイスクリーム・ドレッシング |
| アルギン酸プロピレングリコール | アイスクリーム・ドレッシング |
| ペクチン | ジャム・フルーツゼリー・飲料 |
| キサンタンガム | ドレッシング・タレ・ソース・スープ |
| ジェランガム | 飲料・ゼリー・スプレッド |
| グアーガム | アイスクリーム・ドレッシング・麺類 |
| タラガム | アイスクリーム・乳製品・ドレッシング |
| ローカストビーンガム | アイスクリーム・デザート・ソース |
| タマリンドシードガム | 麺類・ドレッシング・スープ |
| プルラン | コーティング剤・フィルム状食品 |
| グルコマンナン(こんにゃくマンナン) | こんにゃく製品・ゼリー |
| カードラン | 肉製品・練り製品・豆腐代替品 |
| カルボキシメチルセルロースNa(CMC-Na) | アイスクリーム・菓子・清涼飲料水 |
| メチルセルロース | ドレッシング・揚げ物衣(油吸収抑制) |
酸化防止剤
油脂・食品成分の酸化を防いで品質劣化・変色を抑えます。
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| 添加物名 | 主な使用食品 |
|---|---|
| L-アスコルビン酸(ビタミンC) | 果汁飲料・ハム・ジュース類 |
| L-アスコルビン酸Na(ビタミンC-Na) | ハム・ソーセージ・清涼飲料水 |
| エリソルビン酸(イソアスコルビン酸) | 魚介製品・缶詰 |
| エリソルビン酸Na | ハム・ソーセージ・漬物 |
| dl-α-トコフェロール(ビタミンE) | 植物油・マーガリン・スナック菓子 |
| BHA(ブチルヒドロキシアニソール) | 食用油脂・バター・魚介乾製品 |
| BHT(ジブチルヒドロキシトルエン) | 食用油脂・バター・スナック菓子 |
| テルト-ブチルヒドロキノン(TBHQ) | 植物油・フライ用油・スナック菓子 |
| 没食子酸プロピル | 食用油脂 |
発色剤
食肉製品中のミオグロビン(筋肉の色素)と反応し、鮮やかな赤色を安定させます。ボツリヌス菌の増殖抑制効果もあります。
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| 添加物名 | 主な使用食品 |
|---|---|
| 亜硝酸Na(亜硝酸ナトリウム) | ハム・ソーセージ・ベーコン・コンビーフ・明太子・たらこ |
| 硝酸K(硝酸カリウム) | チーズ・塩漬け肉製品(一部) |
| 硝酸Na(硝酸ナトリウム) | チーズ(発酵を調整する目的での使用も) |
漂白剤
食品の不要な色素を分解・脱色して、製品の色調を整えます。
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| 添加物名 | 主な使用食品 |
|---|---|
| 亜硫酸Na(亜硫酸ナトリウム) | 乾燥果実・かんぴょう・ゼラチン |
| 次亜硫酸Na(次亜硫酸ナトリウム) | かんぴょう・甘納豆・漂白食品 |
| 二酸化硫黄 | ワイン・乾燥果実・ドライフルーツ |
| メタ重亜硫酸K(メタ重亜硫酸カリウム) | ワイン・果汁・乾燥果実 |
| メタ重亜硫酸Na | 甘納豆・えび(変色防止) |
| ピロ亜硫酸K | ワイン・果汁 |
| 過酸化水素 | かずのこ(使用後に分解・除去が必要) |
防かび剤(防ばい剤)
輸入果実は長距離輸送中にカビが発生しやすいため、果皮表面に防かび剤を使用します。洗浄や皮を除くことで摂取量を減らすことができます。
なお、農薬としての残留基準がある一方で食品添加物としても使用が認められているものもあります。詳しい規制については関連記事「禁止された化学物質19選|DDTからPFASまで規制の理由と歴史まとめ」も参考にしてください。
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| 添加物名 | 主に使用される輸入果実 |
|---|---|
| OPP(オルトフェニルフェノール) | グレープフルーツ・オレンジ・レモン |
| OPP-Na(OPPナトリウム) | グレープフルーツ・オレンジ・レモン |
| TBZ(チアベンダゾール) | バナナ・オレンジ・レモン・グレープフルーツ |
| イマザリル | バナナ・オレンジ・グレープフルーツ |
| フルジオキソニル | バナナ・オレンジ・グレープフルーツ |
| アゾキシストロビン | オレンジ・グレープフルーツ |
| ピリメタニル | オレンジ・グレープフルーツ |
| プロピコナゾール | バナナ |
食品添加物の豆知識
「天然添加物は安全・合成添加物は危険」は正しいか?
食品添加物を「天然=安全」「合成=危険」と分類する考え方は、必ずしも正確ではありません。
食品衛生法では、指定添加物として認可されるには天然・合成にかかわらず安全性の評価が必要です。たとえば天然由来のコチニール色素はカルミン酸を主成分とし、アレルギーを起こす人がいることが知られています。一方、合成のビタミンC(L-アスコルビン酸)は栄養強化目的で広く使われ、天然のものと化学的に同一の物質です。
「無添加」「天然」表示の注意点
2022年3月に消費者庁が「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を策定・公表し、2024年4月から本格適用されています。次のような表示は、消費者に誤解を与えるとして問題視されています。
- 「○○不使用」と書きながら、同機能の別添加物を使用している場合
- 添加物を使わなくても品質上問題のない食品に「無添加」と書く場合
- 「天然」「自然」と書いて安全性を強調する場合(安全性は天然・合成で区別されない)
食品の安全性に関する最新情報は、消費者庁・食品安全委員会の公式情報を参考にしてください。
食品表示での添加物の確認方法
食品パッケージの原材料名欄は「原材料名:○○、○○」の後に「/」で区切って添加物が記載されています(2020年4月以降の表示ルール)。
- 用途名が必要な8種:「保存料(ソルビン酸K)」のように用途名と物質名を両方表記
- 一括名の14種:「乳化剤」「香料」など一括名のみ(物質名は省略可)
- その他の添加物:「L-アスコルビン酸」などの物質名で表記
また、加工助剤(食品の完成前に除去されるもの)やキャリーオーバー(原材料に含まれた添加物で完成食品に機能しないもの)は表示が免除されています。
まとめ
食品添加物の用途区分は、食品表示基準により22種が定められています。「保存料・甘味料・着色料」など8種は用途名の表示が必須で、「乳化剤・調味料・膨張剤」など14種は一括名で記載できます。食品ラベルの添加物欄を見るとき、この区分を知っていると何のために使われているかが分かります。添加物の使用量や安全性に関する最新情報は、厚生労働省・消費者庁・食品安全委員会の公式情報をご確認ください。