大気光学現象42種一覧|虹・ハロ・グリーンフラッシュまで完全網羅

空を見上げると、そこには虹やハロだけでなく、実に42種類もの光の現象が存在します。大気光学現象(たいきこうがくげんしょう)とは、大気中の水滴・氷晶・分子が太陽光や月光を屈折・反射・回折・散乱させることで生まれる現象の総称です。彩雲・グリーンフラッシュ・ブロッケン現象のように「一生に一度見られるかどうか」というレアなものから、毎日の夕焼けまで、仕組みを知ると空の見え方が変わります。本記事では42種を7つの仕組み別に分類し、名前・読み方・発生条件をまとめました。

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大気光学現象とは

大気光学現象は、発生の仕組みによって以下の7グループに分けられます。

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仕組み 代表的な現象 件数
水滴による屈折・反射 虹・霧虹・月虹 7種
氷晶による屈折(ハロ系) ハロ・幻日・環天頂アーク・日柱 14種
回折 彩雲・光冠・グローリー・ブロッケン現象 5種
散乱 薄明光線・夕焼け・アルペングロー 4種
大気差・蜃気楼 蜃気楼・陽炎・ファタ・モルガナ 5種
夕暮れ・夜明けの特殊現象 グリーンフラッシュ・ビーナスベルト 4種
夜間・高高度 夜光雲・真珠母雲・オーロラ 3種

氷晶系のハロは専門家が記録しているだけで100種以上に及ぶほど多彩です。本記事では日本でも観測事例がある主要42種を厳選しました。

大気光学現象42種 一覧

水滴による屈折・反射(虹系・7種)

太陽光が空気中の水滴に入ると、波長によって屈折角が異なるため色が分かれます。虹はその代表ですが、水滴の大きさや光源によって多様な種類が生じます。

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現象名 読み・英語名 特徴・見られる条件
主虹 しゅこう/Primary rainbow 最も一般的な虹。内側が紫・外側が赤。太陽を背に雨の中で見られる
副虹 ふくこう/Secondary rainbow 主虹の外側に現れる薄い虹。色の並びが主虹と逆(外が紫・内が赤)
過剰虹 かじょうこう/Supernumerary rainbow 主虹の内側にさらに現れる緑・紫の縞模様。光の波の干渉で生じる
月虹 げっこう/Moonbow 月光で生じる虹。夜間の雨上がりに見られるが光が弱く白っぽく見える
霧虹 きりにじ/Fogbow・白虹 霧の微細な水滴で生じる白い虹。水滴が小さすぎて色が分かれない
露の虹 つゆのにじ/Dewbow 草の露が球レンズとなり生じる。見る角度によって色が変わる
反射虹 はんしゃにじ/Reflected rainbow 水面が反射した太陽光で生じる虹。水面と空に同時に現れる
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氷晶による屈折(ハロ系・14種)

上空の薄い雲(巻雲・巻層雲)に含まれる六角形の氷晶がプリズムのように光を屈折・反射することで生じます。ハロ系は現象の種類が最も多く、専門家が記録しているだけで100種以上に及びます。

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現象名 読み・英語名 特徴・見られる条件
22度ハロ にじゅうにどはろ/日暈(にちうん)・内暈 太陽を中心に22度の位置に現れる光の輪。最も頻繁に見られるハロ。「雨の前兆」として昔から知られる
月暈 つきのかさ/Lunar halo 月を中心に22度の位置に現れる輪。22度ハロの月版
46度ハロ よんじゅうろくどはろ/外暈 22度ハロの外側・2倍の角度に現れる大きな輪。出現頻度は低い
幻日 げんじつ/Sundog・Parhelion 太陽の左右22度の位置に現れる虹色の光点。板状の氷晶が水平に浮かぶときに発生。北欧・北海道でよく見られる
幻月 げんげつ/Moon dog・Parselene 幻日の月版。月の左右に現れる光点
幻日環 げんじつかん/Parhelic circle 太陽と同じ高度を水平に一周する白い光の帯
環天頂アーク かんてんちょうアーク/Circumzenithal arc 太陽の真上46度に現れる逆U字形の虹色の弧。「逆さ虹」とも呼ばれ、虹より鮮やかな発色が特徴
環水平アーク かんすいへいアーク/Circumhorizontal arc・火の虹 水平線と平行に現れる鮮やかな虹色の弧。「Fire Rainbow(火の虹)」とも。太陽高度が58度以上の夏の高度帯に発生
日柱 にっちゅう/Sun pillar・サンピラー 日の出・日没時に太陽の上下に伸びる光の柱。板状の氷晶が水平に整列して光を反射する
月柱 げっちゅう/Moon pillar 日柱の月版。月の上下に伸びる光の柱
光柱 こうちゅう/Light pillar・ライトピラー 街灯などの光が垂直に柱状に伸びて見える現象。ダイヤモンドダストや薄い氷晶雲があると発生
外接ハロ がいせつはろ/Circumscribed halo 22度ハロに外から接する卵形の弧。太陽高度によって形が変化する
ダイヤモンドダスト 細氷(さいひょう)/Diamond dust 気温−10℃以下の晴天時に空気中の水蒸気が直接結晶化しキラキラと輝く現象。北海道・高山帯で見られる
サブサン 地下幻日・下位太陽/Subsun 水平な氷晶が光を反射して、地平線より下に現れる虚像の太陽。飛行機や高山から俯瞰すると観測できる

回折による現象(5種)

光が小さな粒子(水滴・氷晶・ダスト)のまわりを回り込む「回折」によって生じます。粒子のサイズが均一に小さいほど鮮やかな色が現れます。

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現象名 読み・英語名 特徴・見られる条件
彩雲 さいうん/Iridescent cloud・虹彩雲 雲の縁が虹色に輝く現象。太陽の近くにある薄い雲で見られる。日本では古来「瑞兆(吉兆)」とされた
光冠 こうかん/Corona・光環 太陽や月の周囲を取り囲む虹色の輪。薄い雲の水滴が均一なほど鮮明に現れる
グローリー 栄光の環/Glory 影の周囲に同心円状に現れる虹色の輪。飛行機の窓から雲海に自分の影が映るとき見られる
ブロッケン現象 Brocken spectre・ブロッケンの幽霊 霧や雲に映った巨大な自分の影の周囲にグローリーが現れる現象。高山の登山者が初めて見ると驚くほど幻想的
ビショップの環 Bishop's ring 大規模噴火後に火山灰が大気中に漂うとき、太陽の周囲に現れる広い暗赤色の輪。1883年のクラカタウ噴火後に観測されたことで有名

散乱による現象(4種)

大気中の分子や粒子が光をさまざまな方向に拡散させる「散乱」によって生じます。

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現象名 読み・英語名 特徴・見られる条件
薄明光線 はくめいこうせん/Crepuscular rays・天使のはしご 雲の隙間から光が幾筋も放射状に伸びて見える現象。実際は平行な光線が遠近法で扇形に見える
反薄明光線 はんはくめいこうせん/Anticrepuscular rays 薄明光線が天球を横断し、太陽の反対側(反薄明点)で再び一点に集まって見える現象
夕焼け・朝焼け ゆうやけ・あさやけ/Sunset・Sunrise glow 太陽が低い位置にあるとき、波長の短い青が散乱されて失われ、赤・橙の光だけが目に届く(レイリー散乱)
アルペングロー 残照(ざんしょう)/Alpenglow 日没後も山頂が赤く輝き続ける現象。散乱で赤みを帯びた光が空から山肌に当たり続けることで生じる
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大気差・蜃気楼(5種)

大気の温度差によって空気の密度・屈折率が変わり、光の経路が曲がることで生じます。

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現象名 読み・英語名 特徴・見られる条件
下位蜃気楼 かいしんきろう/Inferior mirage 地面や海面付近が高温なとき、遠くの景色が下に逆さに映る。炎天下の砂漠・夏のアスファルトでよく見られる
上位蜃気楼 じょういしんきろう/Superior mirage 海面付近の空気が冷たく上層が温かいとき、遠くの景色が上に浮き上がって見える。富山湾の春の蜃気楼が有名
ファタ・モルガナ Fata Morgana・複雑蜃気楼 複数の気温逆転層が重なることで生じる複雑な上位蜃気楼。城や島が積み重なったような幻想的な像が現れる
逃げ水 にげみず/Heat haze mirage 下位蜃気楼の一種。炎天下の道路で遠方に水面があるように見えるが近づくと消える
陽炎 かげろう/Heat haze 地面の熱で下層の空気が揺れ、景色がゆらゆら歪んで見える現象。蜃気楼より局所的・小規模

夕暮れ・夜明けの特殊現象(4種)

太陽が地平線付近にある時間帯に特有の現象です。

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現象名 読み・英語名 特徴・見られる条件
グリーンフラッシュ 緑閃光(りょくせんこう)/Green flash 日没の瞬間、太陽の最後の一点が緑色に輝く現象。大気差で赤が先に沈み、青は散乱されて失われ、緑だけが一瞬残る。晴れた水平線が見える場所で数秒だけ現れる
ビーナスベルト ヴィーナスベルト・金星帯/Belt of Venus 日没直後・日の出直前に太陽と反対方向の地平線付近に現れるピンク色の帯。朝・夕の赤い光と夜の青い空が混ざって生じる
地球影 ちきゅうえい/Earth's shadow ビーナスベルトのすぐ下の藍色の帯。地球自身の影が大気に投影されたもの。雲のない地平線で見られる
ハイリゲンシャイン Heiligenschein(独:聖なる輝き) 露のついた草の上に自分の影を落とすと、影の頭部周囲が明るく輝いて見える現象。露の球が光を逆反射することで生じる

夜間・高高度の現象(3種)

通常の大気光学現象よりはるかに高い高度で発生する特殊な現象、またはオーロラのように発光機構が異なる現象です。

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現象名 読み・英語名 特徴・見られる条件
夜光雲 やこうぐも・銀光雲/Noctilucent cloud(NLC)・極中間圏雲 高度75〜85kmの中間圏最上部に現れる青白く光る雲。夏の高緯度地方(北緯50〜70度)で夜明け前後に見られる。近年低緯度でも目撃例が増加している
真珠母雲 しんじゅもぐも・ナクレ雲/Polar stratospheric cloud(PSC)・極成層圏雲 高度15〜25kmの成層圏に現れる真珠色・虹色に輝く雲。冬の極地方の超低温(−78℃以下)で発生。オゾン層を破壊する化学反応の温床となるため環境問題と深く関わる
オーロラ 極光(きょっこう)/Aurora(Aurora borealis・australis) 太陽風の荷電粒子が地球の磁力線に引き込まれ大気中の酸素・窒素を発光させる現象。緑は酸素(高度100km付近)、赤は酸素(200km以上)、青・紫は窒素が発光した色
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知っておきたい豆知識3選

ハロが見えたら天気が変わるサイン

22度ハロや幻日が見えたとき「天気が下り坂」と昔から言い伝えられてきました。これは気象学的にも根拠があります。

ハロが生じるのは上空に巻雲や巻層雲がある場合です。これらは低気圧や前線が接近するとき最初に現れる雲であるため、ハロが見えると数時間〜1日以内に雨になることが多いのです。「傘をかぶる太陽は雨になる」という表現も同じ観察から生まれました。

虹の色数は文化によって違う

日本では「虹は7色(赤・橙・黄・緑・青・藍・紫)」とされていますが、これはニュートンが音階の7音(ドレミファソラシ)に対応させるために「藍(インジゴ)」を追加したためで、虹の色は厳密に何色とは決まっていません。

アメリカでは一般的に「6色(赤・橙・黄・緑・青・紫)」、アフリカの一部では「2色」として認識する文化もあります。虹は連続したスペクトルであり、どこで色を区切るかは文化・言語・個人差による主観です。

グリーンフラッシュはなぜ珍しいのか

グリーンフラッシュは「見ると幸運が訪れる」という言い伝えがあるほどレアな現象ですが、発生自体は気象学的に説明できます。太陽光は大気を通ると波長によって屈折率が異なります。波長が短い青・緑は赤より多く屈折するため太陽よりわずかに「上に」見えますが、青は大気中の散乱でほぼ消えてしまい、緑だけが残ります。

観測できるのは、水平線が見渡せ大気が適度に安定している日の出・日没のほんの数秒だけです。この条件がそろうことが稀なため、非常にレアに感じられます。

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まとめ

大気光学現象は虹の7色だけでなく、水滴・氷晶・散乱・蜃気楼・夜間の発光まで42種類もの形で空に現れます。今日の夕暮れのビーナスベルト、朝の薄明光線、そして運が良ければグリーンフラッシュ――仕組みを知ると空を見上げる時間がもっと豊かになります。気象予報用語と合わせて読むと、天気の変化もより深く理解できます。

天気の言葉と合わせて読むなら → 気象予報用語一覧|夏日・猛暑日・酷暑日の違いと天気の言葉まとめ

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