
日本には実に多様なラーメンが存在します。「醤油」「豚骨」という分類だけでは語りきれない深さがあり、スープの系統・地域の伝統・発祥店から広まった「〇〇系」という3つの軸で分類すると、全国で50種類以上のラーメンが見えてきます。この記事では競合記事が触れてこなかった「3軸の交差」を含め、スープ系統8種・ご当地ラーメン32種・〇〇系9系統・麺の種類8種を網羅しています。「ラーメンの違いを整理したい」「食べ比べの参考にしたい」という方はぜひご覧ください。
なお、47都道府県のご当地B級グルメ一覧もあわせて読むと、各地の食文化がより広く把握できます。
スープ系統別ラーメン一覧
ラーメンの基盤はスープです。スープはまず「清湯(ちんたん)」と「白湯(ぱいたん)」に分かれます。清湯は素材を穏やかに煮出した澄んだスープ、白湯は豚骨や鶏を長時間強火で煮込み乳化させた不透明なスープです。これにタレ(醤油・塩・味噌など)を合わせることで各種の味が生まれます。
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| スープ系統 | 清湯 or 白湯 | 特徴 | 代表的なご当地 |
|---|---|---|---|
| 醤油 | 清湯が多い | 鶏ガラ・豚骨・魚介のだしに醤油タレ。日本最古のスープ系統で、あっさり〜濃厚まで幅が広い | 東京・喜多方・旭川・佐野 |
| 塩 | 清湯 | 鶏・豚・魚介のだしに塩タレ。素材の旨みが最もストレートに伝わる「素材力勝負」のスープ | 函館・酒田 |
| 味噌 | 清湯〜白湯 | 味噌タレを合わせたこってり系。野菜・バター・コーンとの相性がよく寒冷地で発達 | 札幌 |
| 豚骨 | 白湯 | 豚の骨を長時間強火で煮込んだ乳白色スープ。こってり濃厚で九州を中心に広まった | 博多・久留米・熊本 |
| 豚骨醤油 | 白湯+醤油タレ | 豚骨スープに醤油タレを合わせた複合系。「こってりなのに醤油の切れ味がある」独自の味わい | 横浜・京都・和歌山 |
| 鶏白湯(とりぱいたん) | 白湯 | 鶏を圧力・長時間煮込んだ乳白色スープ。まろやかでクリーミー。2010年代のトレンドを席巻 | 鶏白湯系専門店(全国) |
| 魚介系 | 清湯 | 煮干し・鰹節・昆布などを活かした旨みの深いスープ。淡麗からこってりまで | 東京・宮城・山形 |
| 担々麺 | 清湯〜白湯 | ゴマ・豆板醤・辣油が特徴の中国発祥のスープ。辛みと旨みの複合が持ち味 | 名古屋・東京 |
スープと味(タレ)は独立した軸です。「豚骨=白湯」「醤油=清湯」と思われがちですが、醤油白湯・塩白湯なども存在します。この組み合わせがラーメンの種類を増やす一因です。
ご当地ラーメン一覧
地元の食材・気候・食文化が反映された「ご当地ラーメン」を北海道から沖縄まで地域別にまとめました。
北海道
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| 名称 | スープ系統 | 特徴 |
|---|---|---|
| 札幌ラーメン | 味噌 | 濃厚な味噌スープに縮れ太麺。炒め野菜・バター・コーントッピングが定番。北海道開拓時代の豊富な農産物を活かした豪快な一杯 |
| 旭川ラーメン | 醤油豚骨(ダブルスープ) | 豚骨と魚介のダブルスープに醤油タレ。縮れ細麺で、表面を覆う脂が保温する工夫は厳寒の気候が生んだ知恵とされる |
| 函館ラーメン | 塩 | 豚骨と昆布・煮干しを合わせた澄んだ塩スープ。北海道三大ラーメンの一角で、あっさりとした上品な味わいが特徴 |
| 室蘭カレーラーメン | カレー醤油 | カレーを溶かし込んだ醤油スープ。独自のご当地麺として室蘭市に根付く(諸説あり) |
東北
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| 名称 | スープ系統 | 特徴 |
|---|---|---|
| 喜多方ラーメン | 醤油 | 福島県喜多方市発祥。淡麗な醤油スープに平打ちの太縮れ麺。朝ラーメン(朝6〜7時から営業)の文化が根付く。日本三大ラーメンのひとつ(諸説あり) |
| 白河ラーメン | 醤油 | 福島県白河市の手打ち縮れ麺。職人が手打ちする文化が今も続き、やや濃いめの醤油スープで麺が主役 |
| 米沢ラーメン | 醤油 | 山形県米沢市の縮れ細麺。あっさりした醤油スープで小麦の風味が際立つ。上杉藩の城下町に根付いたご当地麺 |
| 酒田ラーメン | 塩・醤油 | 山形県酒田市の澄んだあっさり系。「中華そば」と呼ぶ文化が根強く、海港都市の新鮮な魚介をだしに活かす |
| 仙台中華そば | 醤油 | 宮城県仙台市のあっさり醤油系。「ラーメン」でなく「中華そば」と呼ぶ店が多く、老舗の味を大切にするエリア |
関東
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| 名称 | スープ系統 | 特徴 |
|---|---|---|
| 東京ラーメン | 醤油(鶏ガラ) | 鶏ガラと昆布・醤油のあっさりスープに細ストレート麺。いわゆる「昔ながらの中華そば」スタイルの代表 |
| 佐野ラーメン | 醤油 | 栃木県佐野市の「竹打ち」手打ち平縮れ麺。竹を使って打つ独自の製法でモチモチとした食感が生まれる。日本三大ラーメンのひとつ(諸説あり) |
| 勝浦タンタンメン | 醤油辛口 | 千葉県勝浦市の醤油ベースの辛いスープ。ラー油と唐辛子を効かせた汁ありの辛いラーメンで、海女・漁師が冷えた体を温めるために食べていたとされる(中国式担々麺とは別物) |
北陸・信越
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| 名称 | スープ系統 | 特徴 |
|---|---|---|
| 富山ブラックラーメン | 醤油(超濃口) | 富山県の黒に近い超濃い口醤油スープ。戦後復興期に肉体労働者が白米と食べるための「おかず」として塩分が高く設定されたと言われる(諸説あり) |
| 金沢ラーメン | 豚骨醤油 | 石川県金沢市の白濁した豚骨醤油スープ。ストレートの太麺と白ネギが特徴的 |
| 長岡生姜醤油ラーメン | 醤油(生姜) | 新潟県長岡市の独自スタイル。醤油スープに生姜を効かせた香り豊かな一杯 |
| 燕三条背脂ラーメン | 醤油(背脂) | 新潟県燕三条地域の大量の背脂を泳かせたこってり醤油。太縮れ麺でボリューム満点。工場労働者向けに発展したとされる |
| 新潟あっさり醤油ラーメン | 醤油 | 新潟市周辺のあっさり醤油系。背脂系と対をなし、同じ新潟でも全く異なるスタイルが共存する面白さがある |
中部
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| 名称 | スープ系統 | 特徴 |
|---|---|---|
| 名古屋台湾ラーメン | 醤油辛口 | 愛知県名古屋市の豚ひき肉・ニラ・豆板醤を辛く炒めてのせる独自スタイル。本場台湾には存在しない「名古屋発祥」の料理で、台湾出身の料理人が考案(諸説あり) |
| 敦賀ラーメン | 醤油 | 福井県敦賀市のあっさり醤油スープ。細縮れ麺でシンプルな中華そばスタイル。港町の食文化を反映 |
近畿
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| 名称 | スープ系統 | 特徴 |
|---|---|---|
| 京都ラーメン | 醤油豚骨 | 濃い口醤油の豚骨スープ。見た目は濃厚でも後味がすっきりする独特の味わい。背脂・九条ネギをのせた店が多い |
| 和歌山ラーメン | 豚骨醤油 | 「中華そば」と呼ぶ文化が根強い。豚骨醤油の濃い系と醤油清湯のあっさり系の2系統が混在 |
中国・四国
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| 名称 | スープ系統 | 特徴 |
|---|---|---|
| 尾道ラーメン | 醤油 | 広島県尾道市の醤油スープに背脂が浮く一杯。平打ち細麺が特徴で、内海の小魚から取っただしが独特の風味を生む |
| 広島ラーメン | 豚骨醤油 | 広島市内に根付く豚骨醤油スープ。尾道とは異なるすっきりめの飲みやすい味わい |
| 鳥取牛骨ラーメン | 牛骨 | 鳥取県の独自スタイル。牛骨を使ったスープはほのかに甘みがあり、豚骨・鶏骨系とは一線を画する希少なスタイル |
| 徳島ラーメン | 豚骨醤油 | 徳島県の豚骨醤油スープに生卵をのせて食べるスタイルが名物。甘辛い豚肉がトッピングの定番 |
九州
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| 名称 | スープ系統 | 特徴 |
|---|---|---|
| 博多ラーメン | 豚骨 | 福岡市の細麺豚骨。麺が柔らかくなる前に食べきる「替え玉」文化が根付く。「硬め・普通・柔らかめ」で麺の茹で加減を選ぶのが定番 |
| 久留米ラーメン | 豚骨 | 福岡県久留米市。1937年頃に豚骨スープのラーメンを提供した発祥地のひとつとされる(諸説あり)。博多より濃厚でとろっとしたスープ |
| 熊本ラーメン | 豚骨+マー油 | 豚骨スープに「マー油(焦がしニンニク油)」を垂らす独自のスタイル。香ばしさと豚骨の旨みが融合した複雑な味わい |
| 長崎ちゃんぽん | 豚骨+鶏 | 豚骨と鶏のスープに大量の野菜・海鮮・肉を炒めて加える長崎独自の麺料理。明治期に中国人コックが考案したとされる(諸説あり) |
| 宮崎ラーメン | 豚骨醤油 | 宮崎県の豚骨醤油系。博多の細麺と九州の濃い豚骨をベースに、醤油の切れ味をプラスした地元色あるスタイル |
| 鹿児島ラーメン | 豚骨(薄口) | 博多より薄めでマイルドな豚骨スープ。鶏を合わせたスープや、さつまいも原料の芋麺を提供する店もある |
沖縄
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| 名称 | スープ系統 | 特徴 |
|---|---|---|
| 沖縄そば | 豚骨+カツオ | 豚骨とカツオ節スープに丸麺。三枚肉・ソーキ(スペアリブ)・紅ショウガが定番トッピング。JAS規格ではラーメンとは区別されるが、沖縄の麺文化として外せない一杯 |
〇〇系ラーメン一覧
発祥店・地域から味のスタイルが他店に受け継がれ「〇〇系」と呼ばれる系統が生まれました。ご当地ラーメンとは異なり、全国各地の店舗に分布しているのが特徴です。
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| 系統名 | 発祥・由来 | スープ系統 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 家系(いえけい) | 1974年頃・横浜の「吉村家」が源流 | 豚骨醤油 | 太ストレート麺・ほうれん草・チャーシュー・海苔3枚が定番。スープの濃さ・味の濃さ・油の量を「コール」でカスタムできる文化で有名 |
| 二郎系 | 1968年頃・東京三田の「ラーメン二郎」が源流 | 豚骨醤油 | 大量の野菜(もやし・キャベツ)と分厚いチャーシュー、ニンニクが特徴。注文時の「コール(ニンニク入れますか?)」でトッピングをカスタムする独自文化 |
| 油そば・まぜそば | 1950年代以降・東京発祥(諸説あり) | 汁なし(タレ+油) | スープを使わない汁なしラーメン。醤油ダレと油を麺に絡めて食べる。台湾まぜそばは名古屋「麺屋はなび」発祥の派生形で、ひき肉・卵・ニラが特徴 |
| つけ麺 | 1961年頃・東京東池袋「大勝軒」の山岸一雄氏が考案(諸説あり) | 濃厚魚介豚骨 | 冷または温の麺をつけ汁に付けて食べるスタイル。現在は魚介豚骨の濃厚系が主流で、麺はやや太く固めが多い |
| 天下一品系 | 1971年・京都「天下一品」が源流 | 鶏こってりスープ | 鶏ガラを長時間強火で煮込んだ「こってり」スープはほぼとろとろのペースト状。京都発祥で全国展開するチェーンが有名 |
| 鶏白湯系 | 2000年代以降 | 鶏白湯 | 鶏を圧力・長時間煮込んだ白湯スープ。まろやかでクリーミーな味わいが特徴。2010〜2020年代にかけてのトレンドを牽引 |
| 淡麗系 | 2000年代以降 | 清湯(鶏・魚介) | 素材の旨みを澄んだスープで表現するスタイル。「いかに透明なスープで深い味を出すか」を競う方向性。こってり全盛の時代への対抗軸として注目された |
| 背脂チャッチャ系 | 1980年代・東京発祥(諸説あり) | 醤油(背脂のせ) | 仕上げに背脂をかける(チャッチャと振りかける)手法。こってり見た目に反してスープ自体はあっさり醤油であることが多い |
| 激辛系 | 各地の専門店 | 辛口スープ各種 | 辛さを前面に出した系統。東京の「蒙古タンメン中本」など辛さの段階で客を引きつける独自ブランドがある |
麺の種類と特徴
スープとともにラーメンを決定づけるのが麺です。太さ・形状・製法によって食感やスープの絡みが大きく変わります。
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| 種類 | 特徴 | 合うスープ系統 |
|---|---|---|
| 細麺 | 直径1〜1.5mm程度。スープとよく絡み素材の味が前面に出る | 豚骨(博多)・魚介系 |
| 中細麺 | 最も汎用的。ストレートから縮れまで多様な展開 | 醤油・塩・多くのスープ全般 |
| 中太麺 | ストレートが多くモチモチとした食感 | 豚骨醤油・鶏白湯 |
| 太麺 | 直径2mm超。スープの味に負けない存在感とボリューム | 家系・二郎系 |
| 平打ち麺 | 断面が楕円形でつるつるとした独特の食感 | 喜多方・白河・尾道 |
| 縮れ麺 | 波状の形状でスープをたっぷり持ち上げる | 味噌(札幌)・醤油全般 |
| 全粒粉麺 | 小麦の外皮ごと挽いた粉を使用。ほのかに香ばしく栄養価も高い | 淡麗系・鶏白湯系 |
| 米粉麺 | 米粉を使ったグルテンフリー麺。もちもちとした食感で近年注目 | あっさり醤油・塩系 |
ラーメン豆知識
「コール」とは?
家系ラーメンや二郎系では、注文時に「麺の固さ・スープの濃さ・油の量」などを細かく指定できます。これを「コール」と呼びます。二郎系では「ニンニクは?」と聞かれ、「全部増し」「野菜マシマシニンニクアブラカラメ」などとコールを入れます。初めての方は「普通で」が無難ですが、慣れてくると細かいカスタムが楽しめます。
「替え玉」と「替えスープ」の違い
博多ラーメン文化の「替え玉」は、麺を食べ終えた後に麺だけを追加注文する文化です。スープが残った状態で麺を追加し、最後の一滴まで飲み干すのが楽しみ方のひとつです。「替えスープ」はスープを追加できるシステムで、麺が増えるわけではありません。
「日本三大ラーメン」には複数の説がある
「日本三大ラーメン」として有名なのは喜多方(福島)・佐野(栃木)・白河(福島)の組み合わせですが、札幌・博多・旭川とする説など複数の説があります。「三大」の基準(有名度・独自性・全国知名度)によって異なるため、これ自体がラーメン好きの語り草になっています。
まとめ
ラーメンはスープ系統・ご当地の伝統・〇〇系という3つの軸で分類すると、日本各地に根付く食文化の豊かさが見えてきます。同じ「豚骨ラーメン」でも博多・久留米・熊本では味わいがまったく異なります。都道府県別の郷土料理一覧と照らし合わせながら、各地の食文化を広く楽しんでみてください。ご当地ラーメンを制覇する旅、〇〇系の違いを食べ比べる楽しみ——それがラーメンの尽きない魅力です。