イコールアース図法とは|面積が正しい世界地図と国連決議

丸い地球を平らな紙に描くと、必ずどこかに「歪み」が生まれます。長く世界地図の定番だったメルカトル図法は、高緯度の陸地を実際より大きく見せてしまうのが弱点でした。そこで近年注目されているのが、面積を正しく保つ「イコールアース図法」です。2026年には国連総会がこの図法の利用を後押しする決議まで採択しました。この記事では、イコールアース図法とは何か、メルカトル図法との違い、そして国連決議の正確な中身までをまとめて解説します。

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イコールアース図法とは

イコールアース図法(Equal Earth projection)は、2018年に発表された比較的新しい世界地図の描き方(投影法)です。ボヤン・シャヴリッチ、トム・パターソン、ベルンハルト・イェニーの3名の地図製作者・研究者によって考案されました。

最大の特徴は、「正積(せいせき)」=地球上のどの地域でも面積の比率を正しく保つという点です。正積図法自体はモルワイデ図法など古くからありましたが、それらは大陸の形が縦や横に伸びて不自然に見えることがありました。イコールアース図法は、面積の正しさを保ちながら、大陸の形の崩れにくさ(見た目の自然さ)も両立させている点が評価されています。

全体としては、地球を横長の楕円に近い形で表す、バランスのよい世界地図です。

イコールアース図法で描いた面積が正しい世界地図

出典:Wikimedia Commons / Strebe(CC BY-SA 4.0)

メルカトル図法との違い

世界地図の定番だったメルカトル図法は、16世紀に航海用として考案された「正角図法」で、角度や方位を正確に保つのが強みです。船が羅針盤の方角を頼りに進むうえで、今も航海や航空では重要な役割を持っています。

一方で、メルカトル図法には高緯度ほど陸地が引き伸ばされ、実際より大きく見えるという構造的な弱点があります。よく知られる例が、北にあるグリーンランドです。メルカトル図法ではグリーンランドがアフリカ大陸と同じくらいの大きさに見えますが、実際のアフリカはグリーンランドの約14倍もの面積があります。

イコールアース図法はこの「面積の歪み」を解消し、アフリカや南半球の国々を実際の大きさで示せるため、面積を比較したい場面に向いています。ただし、どちらか一方が「正しい地図」というわけではなく、目的(方位を知りたいのか、面積を比べたいのか)に応じて使い分けるのが本来の考え方です。

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国連「地図を正す」決議(2026年9月)

イコールアース図法が大きく注目されたきっかけが、2026年の国連総会での決議です。事実関係を正確に整理します(2026年9月時点)。

2026年9月4日、国連総会は決議「Correct the map(地図を正す)」(文書番号 A/80/L.104)を採択しました。 投票結果は賛成164・反対1(アメリカ)・棄権6でした。

この決議の中身は、各国政府・学校・国際機関・IT企業などに対して、面積の比較が重要な場面で、正積図法、特にイコールアース図法を利用するよう呼びかける(奨励する)というものです。背景には、地図の歪みによってアフリカなどの地域が実際より小さく見えてきたことへの問題意識があります。

ここで注意したいのが、「採択されたのは決議」であって、イコールアース図法が「国連の公式地図として義務化・制定された」わけではないという点です。この決議には法的拘束力はなく、メルカトル図法の使用を禁止するものでも、航海・航空でのメルカトル図法の利用を否定するものでもありません。あくまで「面積が重要なときはこういう地図も使いましょう」という推奨(奨励)の位置づけです。

なぜ今「面積が正しい地図」が求められるのか

地図は、私たちが世界をどう捉えるかに影響を与えます。長年メルカトル図法に慣れ親しんだ結果、アフリカや南半球の国々の「実際の大きさ」が直感的に伝わりにくくなっているという指摘があります。

こうした背景から、教育やニュースなど「面積の比較」が意味を持つ場面では、正積図法を使う動きが広がってきました。イコールアース図法は、面積の正確さと見た目の自然さのバランスがよいことから、その代表的な選択肢として採用が進んでいます。国連決議は、こうした流れを後押しするものといえます。

とはいえ、平らな地図である以上、イコールアース図法にも形や角度の歪みは残ります。「万能の地図」は存在せず、用途に合わせて図法を選ぶという前提は変わりません。

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まとめ

イコールアース図法は、2018年に登場した「面積を正しく保つ」新しい世界地図で、メルカトル図法の面積の歪みを解消しつつ、見た目の自然さも両立させた図法です。2026年9月には国連総会が決議「Correct the map」を採択し、その利用を奨励しました。ただし、それはあくまで推奨であって、公式地図への義務化ではない点は正確に押さえておきたいところです。地図の図法は目的に応じて使い分けるもの——その視点で、身の回りの世界地図を見直してみると新しい発見があるかもしれません。

なお、メルカトル・モルワイデ・正距方位など主要な投影法をまとめて比較したい方は、地図の投影法一覧|メルカトル・正距方位・モルワイデ図法の違いと特徴もあわせてご覧ください。

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