日本刀の部位・名称61選|刀身から拵えまでを一覧で徹底解説

日本刀は美術品としても武器としても精巧に設計されており、刀身から拵え(こしらえ)まで、それぞれの部位に固有の名称と役割があります。本記事では、刀身・茎(なかご)・拵えの各部位を計61か所にわたり読み方・役割と合わせて一覧で解説します。博物館での鑑賞・武道の学習・時代小説の理解にお役立てください。

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刀身(上身)の部位20選

刀身の本体(上身)を構成する部位です。切れ味・強度・美観を担う要素が集中しています。

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部位名 読み方 役割・特徴
上身 かみ 刀身のうち茎(なかご)を除いた主体部分の総称
切先(きっさき)/鋒 きっさき 刀の先端。小切先・中切先・大切先に分類される
横手 よこて 切先と刀身本体の境界を示す横一文字の線
物打 ものうち 切先から約3寸(9cm)ほどの位置にある、最も有効に切れる部分
刃 は 焼入れにより鋭く仕上げた切れる側の縁
刃先 はさき 刃の最も鋭い先端の縁線
平地 ひらじ 鎬と刃の間の平らな面。地鉄の肌目が現れる
地鉄 じがね 折り返し鍛錬で作られた刀身表面の鉄
地肌 じはだ 地鉄に現れる鍛え肌の模様(板目・柾目・杢目など)
鎬 しのぎ 刀身側面の稜線(棟と刃の間の尾根状の突起)
鎬筋 しのぎすじ 鎬の稜線そのもの
鎬地 しのぎじ 鎬筋と棟の間の面
棟(むね)/峰 むね/みね 刃の反対側にある背。丸棟・角棟・庵棟などの種類がある
棟角 むねかど 棟の角部分
樋 ひ 刀身に彫った縦溝。軽量化と強度の維持が目的
反り そり 刀身のカーブ。元反り・中反り・先反りなどに分類
身幅 みはば 刃から棟までの幅(元幅・先幅の2点で測る)
重ね かさね 棟側の刀身の厚み
長さ/刃長 ながさ/はちょう 切先から区(まち)までの刃の長さ
三ツ頭 みつがしら 切先付近で鎬筋・小鎬筋・横手筋の三筋が交わる部分

区(まち)の部位

上身と茎の境界にある「区(まち)」は、3つの概念に細分されます。

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部位名 読み方 役割・特徴
区 まち 上身と茎の境界部分の総称
刃区 はまち 区のうち刃側にある切り込み
棟区 むねまち 区のうち棟側にある切り込み
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茎(なかご)の部位

茎は柄に収まる部分です。刀工の署名や工法の痕跡が残る、鑑定の要となる部位です。

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部位名 読み方 役割・特徴
茎 なかご 柄に収まる部分。形状が時代・流派の鑑定の手がかりになる
茎尻 なかごじり 茎の末端。栗尻・剣形・角形など形状が多様
目釘穴 めくぎあな 茎を柄に固定する目釘を通す穴
銘 めい 刀工が刻む作者名・年号など。真偽鑑定に最重要の要素
鑢目 やすりめ 茎に鑢(やすり)で付けた縞状の模様。刀工ごとに個性がある
鎺下 はばきした 刀身根元の鎺が覆う部分。鎺を外したときにのみ見える箇所

刀身断面の構造

日本刀は「皮鉄・心鉄・刃金」という異なる鋼を組み合わせた多層構造です。

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部位名 読み方 役割・特徴
皮鉄 かわがね 刀身外側を包む硬い鉄。強度と耐腐食性を担う
心鉄 しんがね 内側の柔らかい鉄。衝撃を吸収して折れを防ぐ
刃金 はがね 刃側に溶着した高炭素鋼。鋭い切れ味を生む
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拵え(こしらえ)の部位

拵えとは刀身以外の外装全体の総称です。柄・鍔・鎺・鞘から構成されます。

柄(つか)の部位

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部位名 読み方 役割・特徴
柄 つか 手で握る部分。木製の核に鮫皮を巻いて紐で固定
頭/柄頭 かしら/つかがしら 柄の末端にある金具。装飾性が高く流派の特色が出る
縁 ふち 柄の鍔側にはめるリング状の金具
目貫 めぬき 柄の両面を飾る装飾金具。目釘穴を隠す役目も持つ
目釘 めくぎ 茎を柄に固定する竹または金属製のピン
柄巻 つかまき 柄に巻く組紐や革。菱巻・諸捻巻などの巻き方がある
鮫皮 さめかわ エイの皮。柄に貼り付け、滑り止めと耐久性を確保

鍔・鎺の部位

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部位名 読み方 役割・特徴
鍔 つば 刀身と柄の間にある護手(ごて)。手を保護し装飾を兼ねる
切羽 せっぱ 鍔の両側を挟む薄い金属板。がたつきを防ぐ
大切羽 おおせっぱ 通常より大きい切羽。装飾的な仕上げのものもある
鎺 はばき 刀身の区部分に固定する金属筒。鞘への収まりを調整する

鞘(さや)の部位

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部位名 読み方 役割・特徴
鞘 さや 刀身を収める外装。朴(ほお)の木が素材に多用される
鯉口 こいぐち 鞘の口の部分。鯉の口に似た形状から命名
栗形 くりがた 下緒を通す穴のある突起。鞘の表面中ほどに位置する
鵐目 しとどめ 栗形の穴の縁を飾る小さな金属リング
鐺/小尻 こじり 鞘の末端にはめる金具
下緒 さげお 栗形に通す紐。刀の携行・固定に用いる
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その他の刀装具・付属品

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部位名 読み方 役割・特徴
白鞘 しらさや 素木の保管用鞘。装飾なしのシンプルな保管専用の鞘
小柄 こづか 鞘の表側に差す小刀の柄。小道具のひとつ
笄 こうがい 鞘の裏側に差す棒状の道具。元々は髪を整える笄

鑑定・鑑賞の用語

刀の美しさや品質を判断するための専門用語です。鑑賞の際に知っておくと刀の見方が深まります。

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用語 読み方 意味・特徴
刃文 はもん 焼入れで刃と地の境界に現れる模様。刀工の個性が如実に出る
帽子 ぼうし 切先部分の刃文の形状。鑑定で特に重視される箇所
沸 にえ 刃文に現れる粗い砂粒状の輝点(マルテンサイト結晶が粒状に散在)
匂 におい 刃文の細かい光の帯。霞がかったような柔らかい輝き
映り うつり 平地に現れる霞状の影。鍛錬技術の高さを示す
板目 いため 地肌に現れる木の年輪状の流れ模様。最も一般的な地肌
柾目 まさめ 地肌に現れる細かい直線状の平行模様
佩表 はきおもて 太刀を帯びた際に外側になる面。銘が刻まれることが多い
佩裏 はきうら 太刀を帯びた際に内側(身体側)になる面
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豆知識

①「佩表・佩裏」は太刀の持ち方から生まれた区別

日本刀には「太刀(たち)」と「打刀(うちがたな)」の2つの代表的な携行方式があります。太刀は刃を下に向けて腰から吊り下げ(「佩く」)、打刀は刃を上に向けて腰帯に差します。太刀では「帯びた際の外側・内側」という概念として「佩表(はきおもて)・佩裏(はきうら)」という区別が生まれました。一般に銘(刀工のサイン)は佩表側の茎に刻まれるため、刀を鑑賞する際に銘が見える向きで持つのが礼儀とされています。

②折れず曲がらずよく切れる理由は「三層構造」

日本刀が「折れず・曲がらず・よく切れる」と言われる秘密は、異なる性質を持つ鋼の組み合わせにあります。外側を包む皮鉄(かわがね)は高炭素鋼で硬く耐腐食性が高い。内側の心鉄(しんがね)は低炭素鋼で柔軟性があり衝撃を吸収する。刃側の刃金(はがね)は高炭素鋼で鋭い切れ味を生む。この三層を組み合わせることで、硬さと粘りを両立した構造が完成します。鉄だけで作られた刀では、硬くすれば折れやすく、柔らかくすれば切れ味が落ちるというジレンマをこの工法で解決しています。

③鑑定士が茎(なかご)に注目する理由

刀の真贋鑑定で最も重要とされるのが茎(なかご)です。茎には刀工の銘(めい)と鑢目(やすりめ)が残ります。本物の刀工は自分独自の鑢目のパターン(「勝手下がり」「筋違い」など)を持っており、刀ごとに一定の特徴が出ます。偽銘(にせめい)は刃の部分は本物でも茎だけ作り直された「改ざん」であることが多く、熟練の鑑定士は茎の錆の色・鑢目・銘の彫り方から真偽を判断します。刀の「素顔」は茎にあるとも言われるほど、この部位は刀のアイデンティティそのものです。

まとめ

日本刀の部位は刀身・茎・拵えにわたり、計61か所の名称があります。切先・鎬・刃文・茎・鍔・鎺・鯉口など、それぞれが機能美と武具としての合理性を備えた設計です。各部位の名前と役割を知ると、博物館や刀剣展での鑑賞がぐっと深まります。関連記事「日本刀の種類と名刀一覧」もあわせてご覧ください。

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腕試しクイズ

腕試しクイズ(全5問)|日本刀の部位
全5問。「採点する」で正解数と解説が表示されます。
第1問 柄に収まる部分で、刀工の銘(サイン)が刻まれる箇所を何と呼ぶ?

第2問 刀身と柄の間にあり、手を守る護手(ごて)の役割を持つ金具を何と呼ぶ?

第3問 鞘の口の部分を何と呼ぶ?(鯉の口に似た形から命名された)

第4問 焼入れによって刃と地の境界に現れる模様を何と呼ぶ?

第5問 刀の先端部分を何と呼ぶ?時代によって小・中・大に分類される

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