ビール・発泡酒・第三のビールの違い|酒税統一で消えるカテゴリとは

2026年10月1日、スーパーやコンビニの棚から「第三のビール(新ジャンル)」という区分が事実上消えます。2018年に始まった酒税改正の最終段階として、ビール・発泡酒・第三のビールの税率が350ml缶あたり一律54.25円に統一されるからです。

そもそもなぜ3つのカテゴリが生まれたのか。麦芽比率・副原料の違いから、税率格差が「節税商品」を生み出した歴史まで、2026年9月時点の最新情報とともに解説します。

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ビール・発泡酒・第三のビールの定義と違い

3カテゴリの比較一覧

日本の酒税法では、麦芽を主原料とするビール系飲料を3つに分類してきました。

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カテゴリ 主な定義 麦芽比率 代表商品(2026年9月時点)
ビール 麦芽・ホップ・水を主原料、副原料は規定内 50%以上 スーパードライ、ラガー、黒ラベル、一番搾り
発泡酒 麦芽比率50%未満、または規定外副原料を使用 50%未満 淡麗グリーンラベル、スタイルフリー
第三のビール(新ジャンル) 麦・麦芽を使わない「その他の醸造酒」、または発泡酒+スピリッツを混合 ほぼ0〜微量 金麦、本麒麟、クリアアサヒ、GOLD STAR

「第三のビール」という呼び名は法律上の正式名称ではなく、ビール・発泡酒に続く第3の選択肢としてマスメディアが使い始め、定着したものです。酒税法上は「その他の発泡性酒類(新ジャンル)」に分類されます。

2018年改正でビールの定義も広がった

2018年の酒税法改正は、ビールの定義を大きく広げました。それ以前のビールは副原料を「麦・米・とうもろこし・こうりゃん・馬鈴薯・でん粉・糖類・ホップ」などに限定していましたが、改正後は果実・ハーブ・スパイスなども使用可能になりました。

これにより、フルーツビールや牡蠣ビールなど個性的な副原料を使ったクラフトビールを「ビール」として販売できるようになり、クラフトビール市場の多様化に貢献しています。ビールのスタイル(ラガー・エール・IPAなど)の詳細はビールの種類一覧67選|ラガー・エール・IPAの違いと語源まとめもあわせてどうぞ。

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なぜ3つのカテゴリが誕生したのか

節税のために生まれた発泡酒(1994年)

1994年、サントリーが麦芽比率を下げた「ホップス」を発売したことで、発泡酒ブームが始まりました。

当時のビールには350ml缶あたり約77円という高い酒税がかかっていました(2018年改正前の長年の税率)。一方、麦芽比率を50%未満に抑えると「発泡酒」となり、税率は約46.99円に下がります。この差額約30円がそのまま値引きに反映され、「ビールより安くそれなりにうまい」発泡酒は、バブル崩壊後の節約志向の消費者に爆発的に受け入れられました。各社も追随して参入し、発泡酒市場は急拡大します。

さらなる節税で「第三のビール」が誕生(2003年)

2003年、政府は発泡酒にも増税を実施します。対応に迫られたメーカーは、さらに税率の低い飲み物を開発しました。

同年、サッポロビールが考案したのが「ドラフトワン」。麦・麦芽を一切使わずエンドウタンパクなどを原料にすることで「その他の醸造酒」に分類させ、税率を当時の約28円/350mlまで下げることに成功しました。

2004年の全国発売と同時に大ヒット。他社も追随し、発泡酒にスピリッツを混合した「リキュール(発泡性)」タイプも登場。キリン「のどごし生」、アサヒ「クリアアサヒ」などが次々と市場に投入されました。2010年には第三のビールの販売量が発泡酒を上回るまでに成長しています。

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3段階の酒税改正(2020〜2026年)

税率格差を是正する段階的な統一

2018年の酒税法改正で、ビール系飲料の税率を段階的に統一することが決まりました。「税率の格差が商品開発を歪め、消費者の嗜好ではなく節税目的で市場が動いている」という批判を受けての政策転換です。

改正は2020年から3段階で実施されています。

税率の推移(350ml缶換算)

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時期 ビール 発泡酒 第三のビール
2020年9月以前 77.0円 46.99円 28.0円
2020年10月〜 70.0円 46.99円 37.8円
2023年10月〜 63.35円 46.99円 46.99円
2026年10月〜(最終) 54.25円 54.25円 54.25円

2023年10月の第2段階改正で発泡酒と第三のビールの税率はすでに統一されており、2026年10月にビールを含む全カテゴリが54.25円に揃います。2020年改正前と比べると、ビールは約23円の減税、第三のビールは約26円の増税という大きな変化です。

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大手4社の対応:主力商品がビールに昇格

税率統一に合わせ、大手ビールメーカー各社は主力の第三のビールを「ビール」にリニューアルする動きを進めています。

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メーカー 商品名 2026年10月以降の扱い
サントリー 金麦 第三のビール→ビールにリニューアル
キリン 本麒麟 第三のビール→ビールにリニューアル
アサヒ クリアアサヒ 第三のビール→ビールにリニューアル
サッポロ GOLD STAR・麦とホップ 第三のビール→ビールにリニューアル

「税率の隙間を狙い、麦・麦芽を避けて作っていた商品が、税率統一によって堂々とビールに戻る」という皮肉な構図です。各社は麦芽風味を活かした味わいへの改良を予定しており、消費者にとっては「安いビール」として楽しめるようになる可能性があります。

消費者への影響と今後の見通し

値段はどう変わるか

2026年10月以降の税率変化を単純に反映すると、350ml缶あたり:

  • ビール:約9.1円の減税(63.35円→54.25円)で値下がりの可能性
  • 第三のビール:約7.26円の増税(46.99円→54.25円)で値上がりの可能性

ただし、実際の店頭価格への反映は各社の判断次第です。第三のビールがビールにリニューアルされることで多少の価格上昇はあっても、ビール値下がりの恩恵もあり、消費者への全体的な影響は限定的とみられています。

「第三のビール」という表示は消えるか

酒税法上の「その他の発泡性酒類(新ジャンル)」という分類自体はなくなりませんが、主力商品が次々とビールに移行することで、スーパーやコンビニの棚から「第三のビール」「新ジャンル」という表示は事実上なくなっていく見通しです。

ただし、一部の低価格商品は引き続き新ジャンルとして残る可能性もあります。最新の商品情報や価格は、各メーカーの公式サイトをご確認ください(2026年9月時点の情報)。

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まとめ

ビール・発泡酒・第三のビールの3カテゴリは、高い酒税を逃れようとするメーカーの工夫と、それに対応する税制改正のいたちごっこの中で生まれた、日本独自の分類でした。

1994年に発泡酒が、2003年に第三のビールが税率の隙間から誕生したように、日本のビール市場は常に税制の影を追い続けてきました。2026年10月1日の税率統一は、その「節税商品が市場を動かした時代」の終わりを象徴する出来事です。

金麦や本麒麟がビールとして生まれ変わる2026年10月以降、スーパーのビール売り場がどう変わるかも注目です。

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