脳の部位の名前一覧|大脳・小脳・海馬・扁桃体の役割と場所まとめ

脳の部位の名前と働きを、表で一覧にしてまとめました。前頭葉・海馬・扁桃体など名前は聞いたことがあっても、場所や機能を正確に答えられる方は少ないものです。本記事では大脳・間脳・脳幹・小脳の全49部位を英語名と読み方つきのテーブルで網羅します。骨の名前一覧筋肉の名前一覧に続く人体解剖シリーズ第3弾です。

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脳の全体構造(4大区分)

脳は大きく4つの区分に分けられます。まずこの全体像を把握しておくと、各部位の場所が理解しやすくなります。

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区分 英語名 場所 おもな役割
大脳 cerebrum 脳の上部・大部分を占める 思考・感情・記憶・随意運動
間脳 diencephalon 大脳の奥・中心部 感覚中継・ホルモン制御・概日リズム
脳幹 brainstem 脳の下部・脊髄との連絡部 呼吸・心拍など生命維持
小脳 cerebellum 脳幹の後ろ側 運動の精密制御・バランス

成人の脳の重さは約1.4kg。神経細胞(ニューロン)は約860億個あるといわれており、そのうち約80%が小脳に集中しているとされています(体積は約10%だが神経細胞数は断トツ)。

脳の部位名前一覧

大脳皮質(各葉・機能野)

大脳の表面を覆う大脳皮質は、「葉(よう)」という区分と、特定の機能に対応する「機能野」に分けられます。

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部位名 読み 英語名 主な働き
前頭葉 ぜんとうよう frontal lobe 意思決定・感情制御・運動指令の起点
前頭前野 ぜんとうぜんや prefrontal cortex 思考・判断・計画・ワーキングメモリ
一次運動野 いちじうんどうや primary motor cortex 全身の随意運動を部位別に制御
運動前野 うんどうぜんや premotor cortex 動作の準備と順序の計画
ブローカ野 ブローカや Broca's area 言語の発話・文法処理(主に左半球)
頭頂葉 とうちょうよう parietal lobe 体性感覚の統合・空間認識
一次体性感覚野 いちじたいせいかんかくや primary somatosensory cortex 皮膚・筋肉・関節からの感覚を処理
側頭葉 そくとうよう temporal lobe 聴覚処理・言語理解・記憶形成
一次聴覚野 いちじちょうかくや primary auditory cortex 音の高さ・方向・パターンを処理
ウェルニッケ野 ウェルニッケや Wernicke's area 言語の理解・解読(主に左半球)
後頭葉 こうとうよう occipital lobe 視覚情報の一次処理
一次視覚野 いちじしかくや primary visual cortex (V1) 網膜からの視覚情報を最初に処理
島葉(島皮質) とうよう(とうひしつ) insular lobe / insula 内臓感覚・共感・痛みの認識
帯状回 たいじょうかい cingulate gyrus 感情調節・意思決定・痛みの感情成分
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大脳辺縁系

大脳辺縁系は記憶・感情・本能的行動に深く関わる部位群です。海馬や扁桃体はよく知られた存在です。

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部位名 読み 英語名 主な働き
海馬 かいば hippocampus 記憶の形成(短期→長期記憶)・空間ナビゲーション
扁桃体 へんとうたい amygdala 恐怖・怒りなど感情の評価と記憶への感情づけ
嗅球 きゅうきゅう olfactory bulb 嗅覚情報を最初に処理する部位
脳弓 のうきゅう fornix 海馬から乳頭体・視床へつながる神経線維束
乳頭体 にゅうとうたい mammillary bodies 記憶回路(パペッツ回路)の中継点

大脳基底核・白質

大脳基底核は運動制御や習慣形成に関わる部位群。白質は左右の大脳をつなぐ連絡線維です。

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部位名 読み 英語名 主な働き
線条体 せんじょうたい striatum 運動制御・報酬・習慣形成の統合部位
尾状核 びじょうかく caudate nucleus 随意運動の開始と認知機能への関与
被殻 ひかく putamen 運動学習と自動化された動作の制御
淡蒼球 たんそうきゅう globus pallidus 随意運動の抑制・調節
視床下核 ししょうかかく subthalamic nucleus 過剰な運動を抑えるブレーキ役
黒質 こくしつ substantia nigra ドーパミン産生の主要部位(パーキンソン病と関連)
脳梁 のうりょう corpus callosum 左右の大脳半球をつなぐ最大の連絡路
前交連 ぜんこうれん anterior commissure 両側の嗅覚野・側頭葉をつなぐ連絡線維

間脳

間脳は大脳の奥深くにあり、感覚の中継やホルモン分泌の制御に重要な役割を果たします。

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部位名 読み 英語名 主な働き
視床 ししょう thalamus 感覚情報を大脳皮質へ送る「中継駅」
視床下部 ししょうかぶ hypothalamus 体温・食欲・性行動・ホルモン分泌の制御
松果体 しょうかたい pineal gland メラトニン分泌・睡眠と覚醒リズムの調節
下垂体 かすいたい pituitary gland 成長・生殖・甲状腺などのホルモンを統括
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脳幹(中脳・橋・延髄)

脳幹は生命維持に直結した部位です。中脳・橋・延髄の3つから成り、内部にはいくつかの重要な核(核=特定の機能を担うニューロンの集まり)があります。

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部位名 読み 英語名 主な働き
中脳 ちゅうのう midbrain / mesencephalon 眼球運動・姿勢反射・睡眠覚醒の制御
上丘 じょうきゅう superior colliculus 視覚刺激への反射的な眼球・頭部運動
下丘 かきゅう inferior colliculus 聴覚情報の中継と音の方向定位
赤核 せっかく red nucleus 四肢の運動協調(小脳と密接に連携)
きょう pons 呼吸調節・顔面神経の起始・小脳への中継
網様体 もうようたい reticular formation 覚醒・注意・意識レベルの維持
青斑核 せいはんかく locus coeruleus ノルアドレナリン産生・注意とストレス反応
縫線核 ほうせんかく raphe nuclei セロトニン産生の主要部位・気分・睡眠を調節
延髄 えんずい medulla oblongata 呼吸・心拍・血圧など生命維持の中枢

小脳

体の後ろ下部に位置する小脳は、脳全体の神経細胞の約80%が集まるほど情報処理が密な部位です。

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部位名 読み 英語名 主な働き
小脳 しょうのう cerebellum 運動の精密制御・バランス・運動学習
小脳皮質 しょうのうひしつ cerebellar cortex 運動情報を処理するプルキンエ細胞が集まる
小脳虫部 しょうのうちゅうぶ vermis 体幹・眼球運動のバランスを制御
歯状核 しじょうかく dentate nucleus 小脳最大の深部核・随意運動の計画を大脳皮質へ出力

脳を守る支持構造

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部位名 読み 英語名 主な役割
脳室 のうしつ ventricles 脳脊髄液が循環する4つの空洞(側脳室×2・第三・第四)
脳脊髄液 のうせきずいえき cerebrospinal fluid (CSF) 脳を保護・栄養する無色透明な液体
血液脳関門 けつえきのうかんもん blood-brain barrier (BBB) 有害物質の侵入を選択的に防ぐバリア
グリア細胞 グリアさいぼう glial cells ニューロンを支持・保護する細胞群(アストロサイト・ミクログリアなど)
髄膜 ずいまく meninges 脳と脊髄を3層(硬膜・くも膜・軟膜)で包む保護膜
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豆知識:脳の部位名の語源・由来

海馬はタツノオトシゴの形が由来

「海馬(かいば)」の英語名 hippocampus は、ギリシャ語の hippos(馬)と kampos(海の怪物・のちにタツノオトシゴの意味にも転用)を組み合わせた言葉です。脳を切り出した断面で見ると、海馬はタツノオトシゴに似た細長い湾曲形をしており、この形から命名されました。アルツハイマー病では海馬が早期に萎縮することで知られています。

扁桃体はアーモンドの形が由来

「扁桃体(へんとうたい)」の英語名 amygdala は、ギリシャ語で「アーモンド」を意味します。日本語の「扁桃」もアーモンドのことで、この部位の形がアーモンドに似ていることが名前の由来です。扁桃体は恐怖体験の記憶を強化する働きを持ち、PTSDとも深く関わっています。

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橋は「橋渡し」の形が由来

「橋(きょう)」の英語名 pons は、ラテン語で「橋」を意味します。左右の小脳を連絡し、大脳と延髄を橋渡しする形状から命名されました。橋には顔面神経・外転神経などが起始しており、顔の動きや表情に関わっています。

黒質・赤核は色が名前の由来

「黒質(こくしつ)」の英語名 substantia nigra は「黒い物質」という意味のラテン語です。ドーパミンを産生するニューロンにメラニン色素が含まれているため、実際に断面が黒みを帯びて見えます。一方「赤核(せっかく)」は red nucleus といい、鉄を含む色素が豊富なため断面が赤みを帯びることが由来です。

脳梁には2億本以上の神経線維が通る

「脳梁(のうりょう)」の「梁」は建物の梁(はり)のことで、左右の大脳半球の上部にアーチ状に架かる構造を表しています。約2億本以上の神経線維が左脳と右脳の間を行き来しており、脳梁を切断した「分離脳(スプリットブレイン)」の研究から、左脳・右脳の機能分担が科学的に明らかになりました。

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まとめ

脳の部位は大脳・間脳・脳幹・小脳の4区分で整理できます。海馬が記憶を形成し、扁桃体が感情を評価し、延髄が呼吸を制御する——それぞれの49部位が緻密に連携して私たちの思考と行動を成り立たせています。脳を動かす神経伝達物質については神経伝達物質の種類一覧もあわせてご覧ください。

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