方角の古い呼び名一覧|艮・坤・乾・巽と十二支・二十四方位まとめ

「艮(うしとら)の方角へ移した」「乾(いぬい)の隅に鬼を封じた」——古典や風水でよく見かけるこうした表現は、すべて方角を指す言葉です。日本では古くから方位を十二支・十干・八卦で表す体系が発達し、現代の「北東・南西」に相当する古名が一文字の漢字に凝縮されています。本記事では東西南北の語源から八方位の古称、そして十二支・十干・八卦を組み合わせた二十四方位の全24方位一覧まで体系的にまとめました。

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東西南北の語源と古い呼び名

現代の「東西南北」は漢語由来ですが、和語(やまとことば)にも方角を表す呼び名がありました。太陽の動きを基準にした語源が根底にあります。

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方位 現代語 古語・別名 語源(諸説あり)
東 ひがし あずま・あがり 「日向かし(ひむかし)」が変化した語。日が向かう方向
西 にし いり・いりひ 「日入りにし方(ひいにし)」が縮まった語。日が沈む方向
南 みなみ ふぇー(琉球語) 「暖(みなみ)」説ほか諸説あり。陽が当たる暖かい方向
北 きた にし(琉球語) 「後(しりへ)」説ほか諸説あり。日の当たらない背後の方向
  • 東(あずま):「吾妻(あづま)」は「東国・東海道沿いの地方」を指す古語でもあり、東国の歌枕として万葉集にも登場する
  • いり日(いりひ):西に沈む夕日を「入り日(いりひ)」と呼ぶのはこの語源から来た表現
  • 沖縄(琉球語)では東を「あがり(上がる)」、西を「いり(入る)」、南を「ふぇー(前)」、北を「にし(後ろ)」と表現し、本土の語源とも通じる発想がある

八方位の古い呼び名(十二支・八卦)

方位を8分割するとき、基本の4方位(N/E/S/W)は十二支で、斜め4方位(NE/SE/SW/NW)は八卦(はっけ)の漢字一文字で表します。

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漢字 読み(やまとことば) 角度 現代方位 種別
子 ね 0° 北 十二支
艮 うしとら 45° 北東 八卦
卯 う 90° 東 十二支
巽 たつみ 135° 南東 八卦
午 うま 180° 南 十二支
坤 ひつじさる 225° 南西 八卦
酉 とり 270° 西 十二支
乾 いぬい 315° 北西 八卦

八卦の4方位はそれぞれ、その方向に位置する十二支2つを組み合わせた読み方をします。「艮(うしとら)」は丑(うし)と寅(とら)の間、「巽(たつみ)」は辰(たつ)と巳(み)の間、「坤(ひつじさる)」は未(ひつじ)と申(さる)の間、「乾(いぬい)」は戌(いぬ)と亥(い)の間です。

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二十四方位の完全一覧

十二支12個に八卦4個と十干8個を加えると、方位を15°ずつ24等分した二十四方位(にじゅうしほうい)になります。陰陽道や風水、江戸時代の方位術で広く使われた精密な方位体系です。

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漢字 読み 種別 角度
子 ね 十二支 0°(北)
癸 みずのと 十干 15°
丑 うし 十二支 30°
艮 うしとら 八卦 45°(北東)
寅 とら 十二支 60°
甲 きのえ 十干 75°
卯 う 十二支 90°(東)
乙 きのと 十干 105°
辰 たつ 十二支 120°
巽 たつみ 八卦 135°(南東)
巳 み 十二支 150°
丙 ひのえ 十干 165°
午 うま 十二支 180°(南)
丁 ひのと 十干 195°
未 ひつじ 十二支 210°
坤 ひつじさる 八卦 225°(南西)
申 さる 十二支 240°
庚 かのえ 十干 255°
酉 とり 十二支 270°(西)
辛 かのと 十干 285°
戌 いぬ 十二支 300°
乾 いぬい 八卦 315°(北西)
亥 い 十二支 330°
壬 みずのえ 十干 345°

十干が8つしか使われない理由:十干は甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の10個ですが、このうち戊(つちのえ)と己(つちのと)は五行で「土」「中央」に対応するため、方位には配置されません。そのため二十四方位には十干の残り8つが使われます。

干支・十干十二支の読み方と全60種の一覧は「干支・十干十二支一覧|読み方・意味・方位まとめ【全60種】」で確認できます。

方角にまつわる豆知識

鬼門と裏鬼門

鬼門(きもん)は北東(艮・丑寅の方向)のことで、陰陽道では「鬼が出入りする不吉な方角」とされてきました。正反対の南西(坤・未申の方向)は裏鬼門(うらきもん)と呼ばれ、鬼門と同様に忌まれる方角です。

この思想は建築・都市設計にも深く影響しました。平安京(京都)では北東の鬼門に比叡山延暦寺を配置して封じ、江戸城では北東の鬼門守護として東叡山寛永寺(現・上野)が建立されています。現代でも鬼門にトイレや玄関を配置しないよう意識する人は少なくありません。

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恵方と恵方巻き

恵方(えほう)は、その年の十干によって決まる「最も縁起の良い方角」です。節分に恵方を向きながら恵方巻きを食べる習慣として広く知られています。恵方は十干の合(じっかんのごう)に基づき甲・庚・壬・丙の4方位を循環します(諸説あり)。近年の例を挙げると、2024年(甲辰)は東北東(甲の方角)、2025年(乙巳)は西南西(庚の方角)、2026年(丙午)は南南東(丙の方角)、2027年(丁未)は北北西(壬の方角)です。

古典での使われ方

古典文学では方角と時刻が干支で一体的に表現されます。「子(ね)の刻」は深夜0時ごろを指し、方角としての「子(ね)」は北を意味します。「艮(うしとら)の方角」「乾(いぬい)の隅」のように、現代の「北東の方角」「北西の角」より端的に方位を示せるのが古い呼び名の特徴です。

十干十二支と五行・陰陽の対応については「十干十二支と陰陽五行の対応一覧」も参考にどうぞ。

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腕試しクイズ

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まとめ

方角の古い呼び名を東西南北の語源から二十四方位まで体系的に整理しました。8方位の古名では「艮(うしとら)=北東」「巽(たつみ)=南東」「坤(ひつじさる)=南西」「乾(いぬい)=北西」が基本です。これに十二支12個・十干8個を加えた24種が二十四方位を構成し、鬼門・裏鬼門・恵方など日本の生活文化にも深く根付いています。古典・歴史・風水を読む際の手引きとしてお役立てください。

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