家紋の種類一覧|分類別・武将別・10大家紋の意味と由来まとめ

「丸に剣片喰」「三つ葉葵」「五七桐」——日本の家紋は、それぞれの家の歴史と誇りを1つの紋章に凝縮した、世界でも類を見ないデザイン文化です。日本国内に存在する家紋は約3万種類以上にのぼるとされ、植物・動物・幾何学模様など実に多彩なモチーフが使われています。

この記事では、家紋を7つのカテゴリに分けた分類別テーブルで種類を一覧にまとめた上で、特に広く使われる「10大家紋」の由来、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康ら有名武将の家紋エピソード、そして皇室の菊花紋まで徹底解説します。

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家紋とは?歴史と起源

家紋とは、家や家族を表す紋章のことです。衣服・武具・旗・器物などに染め抜いたり刻んだりして使われ、家柄・身分・所属を示しました。日本の家紋文化は1,000年以上の歴史を持ちます。

家紋の始まり——平安時代

家紋のルーツは平安時代後期にさかのぼります。公家(貴族)が自分の牛車(ぎっしゃ)に装飾として模様を描いたのが始まりとされ、それが衣服にも使われるようになりました。

特に藤原氏が「藤」の花を紋に用いたことや、後鳥羽上皇が「菊」を愛用したことが記録に残っています。この時代の家紋は権力の象徴というより、装飾的な意味合いが強いものでした。

武家への広がり——鎌倉〜室町時代

鎌倉時代になると、武士が戦場での識別のために家紋を使い始めます。旗・陣幕・鎧の袖(袖紋)に家紋を付けることで、敵・味方を素早く見分けるのが目的でした。

室町時代には武家社会に家紋が完全に定着し、衣服に縫い付ける「裃(かみしも)の家紋」も普及。この時期に家紋の意匠が洗練され、現在残る多くの家紋の基本形が確立されました。

庶民にも広がった江戸時代

江戸時代に入ると、豊臣秀吉が商人に家紋を与えるなど、武家以外への家紋の普及が進みます。元禄期(1688〜1704年)には商人・職人・農民など庶民にも家紋が広がり、店の暖簾や道具に紋を入れる習慣が生まれました。

明治時代に入ると1870年の平民苗字許可令と相まって、庶民の間でも家紋を持つ文化が一般化します。江戸時代の職業や暮らしを知ると、家紋が日常生活にいかに根付いていたかがわかります(江戸時代の職業一覧はこちら)。

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家紋の分類と種類一覧

家紋のデザインは大きく7つのカテゴリに分類されます。それぞれの分類の主な家紋を以下の一覧テーブルにまとめました。

植物紋

植物紋は家紋の中で最も数が多く、全体の約40%を占めるとされます。日本人が自然の草木に親しみを感じてきた文化が背景にあります。

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家紋名 読み 特徴・意味
ふじ 藤原氏の象徴。つるが力強く絡まる様から繁栄を表す
きり 皇室・豊臣家の副紋。鳳凰が止まる霊木として中国でも尊ばれた
三つ葉葵 みつばあおい 徳川家の紋。賀茂神社の神紋に由来
きく 皇室の正紋。後鳥羽上皇が愛した花
うめ 菅原道真(天神様)の紋。学問の神の象徴として人気
梅鉢 うめばち 梅の花を上から見た図案。前田家(加賀藩)が使用
さくら 武士道の象徴。潔く散る花として武家に好まれた
たちばな 10大家紋の一つ。常緑で実をつけることから繁栄の象徴
かしわ 10大家紋の一つ。神事に欠かせない葉で神聖さを象徴
つた 10大家紋の一つ。絡みついて離れない粘り強さの象徴
茗荷 みょうが 10大家紋の一つ。神仏に捧げる植物として古くから使われた
沢瀉 おもだか 水辺の植物。「勝軍草(かちいくさぐさ)」とも呼ばれ武家に人気。毛利元就が使用
片喰 かたばみ 人気ランキング1位「丸に剣片喰」の元。生命力の強さの象徴
ささ 竹の小型版。節操・清廉さを象徴。上杉謙信の家紋に使用
たけ 真っ直ぐに伸びる姿から誠実さの象徴。冬でも緑を保つ生命力
まつ 長寿・不老の象徴。縁起の良い植物として広く使われた
牡丹 ぼたん 百花の王。華やかさと高貴さの象徴。近衛家などの公家に多い
桔梗 ききょう 明智光秀の家紋として有名。紫色の花が清廉な印象
はす 仏教の象徴。泥の中から清らかな花を咲かせる高潔さを表す
菖蒲 しょうぶ 端午の節句の植物。「尚武(しょうぶ)」に掛けて武家に人気
はぎ 秋の七草。秋の風情を愛でる文化から公家・貴族に多い
やなぎ 柔軟性・しなやかさの象徴。水辺の柔らかなイメージ
すぎ 神社の御神木。境内に杉が多い神社ゆかりの家に多い
かえで 紅葉の美しさを愛でる文化から生まれた。秋の象徴
撫子 なでしこ 可憐な花。「やまとなでしこ」という言葉で日本的な美の象徴
水仙 すいせん 冬に花を咲かせる清廉な花。雪の中でも咲く強さを表す
南天 なんてん 「難を転ずる」語呂合わせで縁起紋として人気
いね 米の実り・豊穣の象徴。農業に関わりの深い家に多い
葡萄 ぶどう 豊穣・繁栄の象徴。房の多さから子孫繁栄の意味も
もも 邪気を払う縁起の良い果物。古事記に登場する長寿の象徴
山吹 やまぶき 鮮やかな黄色い花。「七重八重花は咲けども山吹の…」の歌で有名
杜若 かきつばた 水辺に咲く紫の花。能の演目「杜若」でも知られる雅な紋
朝顔 あさがお 夏の風物詩。花が毎朝新しく咲く様から「日々新たに」の意味
尾花 おばな ススキのこと。秋の七草のひとつで秋の風情を表す
芙蓉 ふよう 蓮の古称とも。仏教との関連で寺社ゆかりの家に多い
わらび 山菜の代表。くるくるとした独特の形が家紋に適していた
紫陽花 あじさい 七変化する花。比較的珍しい家紋のひとつ
いばら 棘のある植物。外敵を寄せ付けない守護の意味を持つ
菜の花 なのはな 春の訪れを告げる花。黄色い明るさから縁起紋として使われた

動物紋

動物紋は植物紋に次いで多く、縁起の良い生き物や武勇を象徴する動物が選ばれました。

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家紋名 読み 特徴・意味
鷹の羽 たかのは 10大家紋の一つ。鷹は武士の象徴。羽を図案化した精悍なデザイン
つる 長寿・吉祥の象徴。「鶴は千年」のことわざ通り縁起が良い
かめ 「亀は万年」長寿の象徴。亀甲文様とセットで使われることも
ちょう 変容・復活の象徴。平家の紋に多く、「あだ花」とも呼ばれた
すずめ 身近な小鳥。生命力と親しみの象徴。上杉家「竹に二羽飛び雀」が有名
つばめ 春を告げる鳥。家に巣を作ることから「家内安全」の象徴
千鳥 ちどり 千の鳥が群れる様から繁栄の象徴。波とセットで使われることが多い
はと 平和の象徴。八幡神の使いとされ武家に人気
かり 列を乱さず飛ぶ雁は「規律・統率」の象徴。武家に好まれた
さぎ 白く清楚な姿が高貴さを表す。水辺の紋として水軍系の家に多い
鳳凰 ほうおう 中国神話の瑞鳥。桐の木に止まるとされ、桐紋とセットで使われた
りゅう 最高の権威の象徴。天皇家・将軍家ゆかりの家に多い
麒麟 きりん 仁を体現する瑞獣。徳のある治世にのみ現れる吉兆の象徴
鹿 しか 神の使い。奈良・春日大社とのつながりで藤原氏系の家に多い
いのしし 猪突猛進のイメージから武勇・勢い・勇敢さの象徴
うさぎ 月の使者。月に住む兎の伝説から月を愛でる文化と結びついた
うま 武家の象徴。馬は戦場で武士と生死をともにした相棒
蜻蛉 とんぼ 「勝ち虫」と呼ばれた縁起紋。前にしか飛ばないことから不退転の象徴
海老 えび 腰が曲がるほど長生きすることから長寿の縁起紋
こい 滝を登って龍になる伝説から立身出世の象徴
孔雀 くじゃく 羽の美しさから高貴さの象徴。仏教の孔雀明王とも関連
へび 古来より神聖な生き物とされた。脱皮することから再生・不老の象徴
からす 八咫烏は導きの神の使い。熊野系の家に多い
はち 集団で動く勤勉さと勇敢さの象徴。巣の六角形が亀甲紋にも通じる
かに 甲羅(鎧)を持つ生き物として武家に親しまれた。横歩きで守備的な意
翡翠 かわせみ 水辺を素早く飛ぶ美しい鳥。青く輝く羽が高貴さを表す
あゆ 川の清流にしか住まないことから清廉・高潔の象徴
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器物紋

道具・器具を図案化した器物紋は、その家の職業・信仰・趣向を反映しています。

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家紋名 読み 特徴・意味
木瓜 もっこう 10大家紋の一つ。鳥の巣を図案化。子孫繁栄の象徴。織田信長が使用
おうぎ 末広がりの形から縁起紋として人気。公家・貴族の優雅さの象徴
武家の象徴。真っ直ぐな矢は正直・誠実さを表す
ゆみ 武士道の象徴。弓術の名家に多い
くるま 平安貴族の牛車(ぎっしゃ)を図案化。公家系の家に多い
円環は完璧・永遠を表す。シンプルで美しいデザイン
かがみ 三種の神器の一つ。神道との関わりが深い神社ゆかりの家に多い
いかり 海上での安定・固定を意味する。海に関わる家や水軍に多い
かま 農業・収穫の象徴。農業系の豪族・武将に多い
六文銭 ろくもんせん 三途の川の渡し賃6枚。死を恐れぬ勇気の象徴。真田家が使用
瓢箪 ひょうたん 豊臣秀吉が出世のたびに増やした「千成瓢箪」の馬印で有名
ます 正確な量を測る升は誠実さ・公正さの象徴
こと 雅楽・音楽に関わる公家・神社系の家に多い
太鼓 たいこ 神事での太鼓打ちに関わる家の紋。合図・号令の象徴
提灯 ちょうちん 暗闇を照らす提灯は「道を照らす」知恵・先見性の象徴
数珠 じゅず 仏教との関わりの深い家・寺社系の家に多い
ふで 学問・文書に関わる家。公家・学者の家系に多い
十文字 じゅうもじ 島津家の「丸に十文字」が有名。護符・旅行安全の意味も
釘抜 くぎぬき 「苦難を引き抜く」語呂合わせで縁起紋として人気
輪違い わちがい 二つの輪が重なる吉祥の紋。縁結び・絆の象徴
軍配 ぐんばい 相撲の行司が持つ道具が起源。戦・決断の象徴
かんむり 公家が冠を図案化。摂関家や公家ゆかりの家に見られる
かね 梵鐘を図案化。寺社関係の家や僧兵系の武家に多い
算盤 そろばん 商業の道具。近世以降の豪商系の家に見られる
すずり 文人・文官ゆかりの家。公家・学者の家系に多い
つる 弓の弦を図案化。弓術に縁のある武家に見られる
おけ 桶師(おけし)など職人系の家の紋

幾何学・文様紋

抽象的な形を図案化した幾何学紋は、シンプルながら力強い印象があります。

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家紋名 読み 特徴・意味
ひし 武田家の「武田菱」が有名。正方形を45度回転させた形
花菱 はなびし 菱形の中に花を配した優雅なデザイン。公家系に多い
亀甲 きっこう 六角形(亀の甲羅)の文様。長寿・吉祥の象徴
七宝 しっぽう 円を組み合わせた文様。仏教の七宝(金・銀・瑠璃等)を象徴
引両 ひきりょう 水平線の紋。足利家の「二つ引両」が代表的
三つ巴 みつどもえ 渦が三つ集まった紋。八幡神社の紋として有名
青海波 せいがいは 波が重なる文様。縁起紋として平安時代から使われた
麻の葉 あさのは 大麻の葉の六角形文様。成長の速い麻から子どもの成長を願う紋
格子 こうし 縦横の線が交差するシンプルな文様。整然とした印象
立浪 たつなみ 波が立ち上がる様を図案化。力強さの象徴
かみなり 稲妻を図案化。強力な力の象徴。雷神信仰とも関連
蜀江 しょっこう 八角形と正方形を組み合わせた文様。中国伝来の吉祥文様
矢来 やらい 竹を斜めに組んだ柵の文様。防御・境界の象徴
さん 算木を図案化。計算・知恵の象徴
うず 渦巻く水の形。動きと勢いを象徴する
輪宝 りんぽう 仏教の法輪(転法輪)を図案化。仏法の広がりを表す

天文・地文紋

自然現象や地形を図案化した天文・地文紋は、古代の自然崇拝の名残を感じさせます。

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家紋名 読み 特徴・意味
ほし 北極星・宿曜信仰との関連。陰陽師・天文に関わる家に多い
つき 太陰暦を重視した古代から神聖な存在。月読命とも関連
日(太陽) にち 太陽の象徴。古代信仰と結びつく最高位の天体
くも 龍が住む場所として神聖視。雲の形を図案化
なみ 水の動きを象徴。海や川に関わる家・水軍に多い
やま 信仰の対象となった霊山。修験道・山岳信仰との関連
かわ 流れる水は生命の源。水に関わる家・漁業系の家に多い
かすみ 春の霞を図案化。優雅さ・余韻を表す公家的なモチーフ
稲妻 いなずま 稲を実らせると信じられた雷(稲妻)。農業との関連
たき 流れ落ちる力強さ。不動の意志・不退転を表す
ゆき 雪の結晶の形から清廉さの象徴。冬の風情を愛でる文化
きり 霧に包まれた幽玄な情景。神秘的な山岳信仰とも関連
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建造物紋

建築物・構造物を図案化した建造物紋は、家の起源や信仰を示す重要な紋です。

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家紋名 読み 特徴・意味
井桁 いげた 井戸の縁を上から見た形。水の恵み・家の源を表す。井伊家が使用
鳥居 とりい 神社の入口。神道との関わりの深い神社ゆかりの家に多い
はし 渡橋の形を図案化。人々をつなぐ架け橋の役割の象徴
格子窓 こうしまど 窓の格子。整然とした秩序・律儀さを表す
燈籠 とうろう 暗闇を照らす燈籠は智慧・導きの象徴。寺社ゆかりの家に多い
石垣 いしがき 城の石垣を図案化。堅固さ・守護の象徴
くら 財産・蓄財を象徴。商家系の家に見られる
もん 家の入口を図案化。家の防衛・格式を示す

文字紋・その他

文字を直接紋にしたものや、上記に分類しにくい特殊な紋です。

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家紋名 読み 特徴・意味
大一大万大吉 だいいちだいまんだいきち 石田三成が戦場で使った旗印(はたじるし)。「一人はみんなのために、みんなは一人のために尽くせば天下大吉」の意
千成瓢箪 せんなりびょうたん 豊臣秀吉の馬印。出世のたびに1個ずつ瓢箪を増やした
八咫烏 やたがらす 三本足のカラス。神武天皇を導いた神の使い。熊野系の家
村雲 むらくも 雲と月を組み合わせた複合紋。詩情豊かな雅なデザイン
算木 さんぎ 易占いで使う算木を図案化。陰陽師・易者系の家に多い
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日本人が最も使う「10大家紋」

江戸時代以降、特に広く使われるようになった10種の家紋を「10大家紋」と呼びます。現代でも多くの家庭でこれらのいずれかが使われています。

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家紋名 読み 主な使用家・特徴
ふじ 藤原氏の象徴。藤原家ゆかりの多くの家に普及
きり 皇室の副紋。豊臣秀吉が朝廷から賜り全国に広まる
鷹の羽 たかのは 鷹を崇拝した武家に普及。精悍なデザインで全国的に人気
木瓜 もっこう 織田信長が使用。子孫繁栄を祈る意味で広く普及
片喰 かたばみ 繁殖力が強い植物に由来。現代の人気ランキング1位
つた 絡みついて離れない粘り強さ。松平家・大名家に多い
茗荷 みょうが 神仏への供物として使われた植物。縁起紋として普及
沢瀉 おもだか 「勝軍草(かちいくさぐさ)」として武家に人気。毛利家などが使用
たちばな 常緑で縁起が良い。橘氏の末裔が多く広まった
かしわ 神事に使う神聖な葉。神社ゆかりの家を中心に普及

10大家紋それぞれの由来

藤(ふじ)
藤原鎌足が669年に死の直前、天智天皇から生涯の功績を称えられて「藤原」の姓を賜ったことに始まります。藤原氏の末裔は数百万人以上と言われ、その全てに家紋として「藤」が関わりうるため、日本で最も普及した家紋の一つとなりました。つるが絡まりながら育つ生命力と、下にさがる房状の花は「繁栄・謙虚さ」を表すとされます。

桐(きり)
桐は中国神話で鳳凰が止まる霊木とされ、古くから格の高い植物でした。皇室の副紋として使われ、豊臣秀吉は天皇から「五七桐」の使用を許可されました。秀吉はこれを家臣に下賜したため、全国に広まりました。日本のパスポートや500円硬貨にも「桐花紋」が使われています。

片喰(かたばみ)
クローバーに似た三枚葉の植物で、繁殖力が非常に高く、石畳の隙間にも生えてくることから「不屈・繁栄」の象徴とされました。「丸に剣片喰」は現代の調査で最も多くの人が持つ家紋として1位に挙げられています(諸説あり)。長宗我部氏などが使用しました。

鷹の羽(たかのは)
鷹を崇拝した武家文化に根付いた家紋です。鷹の羽を交差させた「違い鷹の羽」や丸の中に鷹の羽を配した「丸に鷹の羽」など、バリエーションが多いのも特徴。精悍なデザインで全国の武家に広まりました。

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有名武将・大名の家紋一覧

戦国〜江戸時代の有名武将・大名の家紋をまとめました。それぞれの家紋に込められたエピソードも合わせて解説します。

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武将・大名 家紋名 読み 意味・由来
織田信長 織田木瓜(五つ木瓜) おだもっこう 鳥の巣を図案化した子孫繁栄の紋。朝倉氏から贈られた説も
豊臣秀吉 五七桐(太閤桐) ごしちぎり 天皇から下賜された最高位の家紋。左右5枚・中央7枚の桐花
徳川家康 三つ葉葵 みつばあおい 賀茂神社の神紋が由来。江戸幕府の権威の象徴となった
武田信玄 武田菱 たけだびし 直線的な菱形。力強さと軍事的結束の象徴
上杉謙信 竹に二羽飛び雀(上杉笹) うえすぎざさ 竹の清廉さ+雀の敏捷性。義と潔白の精神を表す
伊達政宗 仙台笹 せんだいざさ 笹の葉が円形に配された伊達家独自の紋
真田幸村 六文銭 ろくもんせん 三途の川の渡し賃。死を覚悟した「捨て身の戦い」の象徴
明智光秀 桔梗 ききょう 紫の花の清廉さ。本能寺の変でも旗に掲げた
島津家 丸に十文字 まるにじゅうもじ 龍・呪符説など諸説あり。十字紋にキリスト教との混同防止で丸を追加とも
前田利家 加賀梅鉢 かがうめばち 菅原道真(天神)の神紋。前田家が道真の末裔と称したことに由来
石田三成 大一大万大吉(旗印) だいいちだいまんだいきち 旗印(はたじるし)。「一人はみんなのために、みんなは一人のために尽くせば天下大吉」の意。実際の家紋は九曜紋
毛利元就 沢瀉 おもだか 水辺の「勝ち草」。三矢の教えで知られる元就の武家精神を体現
井伊直政 井桁 いげた 祖先が井戸から生まれた伝承に由来。赤備えの井伊家の象徴

特に面白い家紋エピソード

石田三成の「大一大万大吉」——文字で作った旗印

「大一大万大吉」は石田三成が戦場で使った旗印(はたじるし)です(家紋ではなく、三成の実際の家紋は「九曜紋(くようもん)」とされています)。「一人はみんなのために、みんなは一人のために尽くせば、天下の万民は大吉(幸福)になる」という理念を文字で表した、三成らしい知的な発想です。関ヶ原の戦いでこの旗を掲げて臨んだことでも知られています。

真田幸村の「六文銭」——三途の川の渡し賃

真田家の六文銭は「三途の川の渡し賃(6文)」を意味します。戦場に赴く際、死装束として6文銭を戦装束に入れる風習があり、「常に死を覚悟して戦う」という不退転の意志を家紋に込めました。大坂の陣で徳川方と最後まで戦った幸村の姿は、この家紋が持つ意味と重なります。

豊臣秀吉の「千成瓢箪」——出世のたびに増える馬印

秀吉の定紋は「五七桐」ですが、戦場での馬印として有名なのが「千成瓢箪(せんなりびょうたん)」です。初陣では1個の瓢箪を竿の先につけただけでしたが、手柄を立てるたびに1個ずつ増やし、最終的に「千成」(無数)になったという伝説があります。成り上がりの秀吉らしい、上昇志向を体現した逸話です。

島津家の「丸に十文字」——キリスト教との誤解を防いだ丸

島津家の家紋は「十文字(+)」ですが、戦国時代にキリスト教が日本に伝来すると、十字架と混同される恐れが生じました。そこで十字紋を「丸に十文字」に改め、他の十字系の紋と区別したという説があります(諸説あり)。現代では島津製作所のロゴにもこの紋が受け継がれています。

皇室の家紋「菊の御紋」

日本で最も有名な家紋といえば、皇室の「菊の御紋(きくのごもん)」でしょう。

なぜ菊が皇室の紋になったのか

菊が皇室の紋になったのは鎌倉時代のことです。後鳥羽上皇(1180〜1239年)が菊の花を深く愛し、刀の鍔(つば)に菊の文様を刻んだり、衣服に菊模様を使ったりしたことが、皇室で菊紋が使われるようになったきっかけとされています。後鳥羽上皇は自ら刀を鍛えるほどの刀剣愛好家で、「菊一文字」という名刀も残しています。

その後、後醍醐天皇など南朝の天皇たちも菊紋を使い、室町時代以降に「菊=皇室」のイメージが定着しました。

正式な「十六葉八重表菊」とは

皇室の正式な家紋の名称は「十六葉八重表菊(じゅうろくようやえおもてぎく)」です。花弁(花びら)が16枚の菊の花を正面から見た図案で、内側の花びら16枚と外側の花びら16枚が重なる「八重」のデザインです。

一方、日本のパスポートには「十六一重表菊(じゅうろくひとえおもてぎく)」という、花びらが1重の簡略版が使われています。

皇室以外への使用禁止令

明治時代に入ると、1869年(明治2年)と1871年(明治4年)の太政官布告によって、皇族以外が菊紋を使用することが禁じられました。それ以前は公家・寺社などでも菊紋を使っていた例がありましたが、明治以降は「菊花紋章」として皇室専用の紋となっています。

家紋の豆知識

企業ロゴに生き続ける家紋

日本の大企業の中には、家紋をモチーフにしたロゴを使い続けているものがあります。

島津製作所:島津家の家紋「丸に十文字」をそのままロゴに採用。創業者の島津源蔵が島津藩ゆかりの出身だったことが背景にあります。

住友グループ:「井桁に橘(いげたにたちばな)」紋がルーツ。現在の菱形マークはこの家紋の系譜を受け継いでいます。

三菱グループ:創業者・岩崎弥太郎の家紋「三階菱(さんがいびし)」と土佐藩主・山内家の家紋「三ツ柏(みつかしわ)」を合わせて「三菱(みつびし)」になったという説が有名です(諸説あり)。

女紋・替紋・裏紋——家紋の多彩な使い方

家紋には「定紋(じょうもん)」と呼ばれる代表的な家紋のほかに、用途に応じて様々な紋が使われました。

女紋(おんなもん):女性が使う家紋。家によって「母系の紋を引き継ぐ」「嫁ぎ先の家紋を使う」など慣習が異なります。特に西日本では母方の紋を女性が代々引き継ぐ文化が残っています。

替紋(かえもん):定紋とは別に持つ第2の家紋。礼装以外の場面や日常使いに用いた紋。格式よりデザインの好みや機能性を優先したものが多いです。

裏紋(うらもん):衣服の裏地や内側に入れる紋。表からは見えないため、自分だけが知る「秘密の紋」的な扱いもありました。

自分の家紋を調べる方法

自分の家紋がわからない場合は以下の方法で調べられます。

墓石を確認する:最もポピュラーな方法。先祖の墓石に家紋が彫られていることが多いです。

実家の仏壇・位牌を確認する:位牌の台座や仏壇の欄間に家紋が入っていることがあります。

古い着物・羽織を確認する:礼服(紋付き羽織袴など)の背中や袖に家紋が入っています。

家系図を確認する:古い家系図には家紋が記されていることがあります。

まとめ

家紋は植物・動物・幾何学など7分類に分けられ、日本全体で約3万種以上が存在するとされます。10大家紋の中では「丸に剣片喰」が現代の人気ランキング1位(諸説あり)。有名武将の家紋にはそれぞれ深いエピソードがあり、石田三成の旗印「大一大万大吉」や真田幸村の「六文銭」は武将の生き様そのものを体現しています。ぜひ自分のルーツを知るきっかけとして、家の家紋を調べてみてください。

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