次世代電池・蓄電技術の種類一覧|全固体電池・ナトリウムイオン電池など36種まとめ

EVの普及と再生可能エネルギーの拡大を背景に、従来のリチウムイオン電池を超える次世代電池・蓄電技術の開発競争が世界で加速しています。この記事では、全固体電池・ナトリウムイオン電池・リチウム硫黄電池・フロー電池・燃料電池など主要な次世代電池と大型蓄電技術を計36種まとめ、仕組み・特徴・開発状況を一覧で解説します。

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次世代電池の種類一覧

固体電解質系(全固体電池)

液体電解質を固体に置き換えた電池。電解液の液漏れや発火のリスクを大幅に低減でき、次世代電池の本命として世界中で開発が続いています。

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種類(読み) 仕組み・材料の概要 特徴・主な用途
全固体電池・硫化物系(ぜんこたいでんち・りゅうかぶつけい) 固体電解質に硫化物系材料(Li₂S-P₂S₅系・LGPSなど)を使用。イオン伝導率が液体電解質に匹敵する高さ 大型化が比較的容易でEV向け本命。水分と反応して硫化水素が発生するため安全管理が必要。トヨタが2027〜2028年EV搭載を目指す
全固体電池・酸化物系(ぜんこたいでんち・さんかぶつけい) 固体電解質にLLZO(ガーネット型)・LATP(NASICON型)などの無機酸化物を使用 化学的安定性が高く大気中での取り扱いが容易。イオン伝導率は硫化物系より低め。小型デバイス・ウェアラブル向け
全固体電池・高分子系(ぜんこたいでんち・こうぶんしけい) 固体電解質にポリエチレンオキシドなどの高分子材料を使用 柔軟性があり薄型・フレキシブル電池に適する。低温でのイオン伝導率が低下する課題がある
半固体電池(セミソリッド)(はんこたいでんち) 電解質の一部を固体化した全固体と液系の中間的な設計。スラリー状の電極材を使用 全固体より製造コストが低く量産先行が期待できる。2026年時点でEV向け量産試験段階

ナトリウム系電池

リチウムより地球上に豊富で安価なナトリウムを使用する電池。CATLなどの大手メーカーが量産体制を整えています。

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種類(読み) 仕組み・材料の概要 特徴・主な用途
ナトリウムイオン電池(Na-ion)(なとりうむいおんでんち) リチウムイオン電池と同様の仕組みでナトリウムイオンを使用。液体電解質 リチウムより資源が豊富で低コスト。エネルギー密度は約175 Wh/kg。低温特性が良く寒冷地向けEVで有利。CATLが2026年EV向け量産開始
ナトリウム硫黄電池・高温型(HT-NaS)(なとりうむいおうでんち・こうおんがた) 溶融ナトリウム(負極)と溶融硫黄(正極)をβアルミナセラミック電解質で分離。作動温度300〜350℃ 大容量・長寿命で大型定置型蓄電に実用化済み。高温動作のため断熱・安全管理が必要。日本ガイシが2002年に世界初商用化を実現したが、同社は2025年10月に製造・販売事業の終了を決定(2027年1月頃最終出荷予定・新規受注なし)
ナトリウム硫黄電池・常温型(RT-NaS)(なとりうむいおうでんち・じょうおんがた) ゲルポリマーや固体電解質を使用して常温動作を実現した改良型 高温型の課題だった高温動作・安全面の問題を大幅に緩和。エネルギー密度の向上も期待。2026年時点では研究開発段階
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リチウム金属・空気系電池

負極にリチウム金属を使用することで理論エネルギー密度を大幅に向上させた電池。空気中の酸素を正極として使うタイプも含みます。

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種類(読み) 仕組み・材料の概要 特徴・主な用途
リチウム硫黄電池(Li-S)(りちうむいおうでんち) 負極にリチウム金属、正極に硫黄を使用 理論エネルギー密度がリチウムイオン電池の2〜5倍。硫黄は安価・豊富な材料。充放電サイクル劣化(ポリサルファイドの溶出)が主な課題。電動航空機・次世代EV向けに研究中
リチウム空気電池(Li-Air)(りちうむくうきでんち) 負極にリチウム金属、正極に空気中の酸素を使用 理論エネルギー密度はリチウムイオン電池の10倍以上。正極活物質は空気中にあるため大幅な軽量化が可能。大気中の水分・CO₂との反応抑制が課題。基礎研究段階
リチウム金属電池(Li-Metal)(りちうむきんぞくでんち) 従来のグラファイト負極をリチウム金属に変更した電池 エネルギー密度が20〜30%向上。充放電時にリチウムのデンドライト(樹枝状結晶)が析出して内部短絡を起こす危険性が課題。固体電解質との組み合わせで解決を目指す

多価イオン系電池

マグネシウム・亜鉛・カリウムなど、リチウム以外の金属イオンを使った電池。リチウムの資源リスク分散と低コスト化が狙いです。

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種類(読み) 仕組み・材料の概要 特徴・主な用途
亜鉛イオン電池(Zn-ion)(あえんいおんでんち) 負極に亜鉛、正極にMnO₂などを使用する水系電解質電池 水系電解質で安全性が高く低コスト。資源制約が少ない。エネルギー密度は低め。定置型蓄電・小型電子機器向け
マグネシウムイオン電池(Mg-ion)(まぐねしうむいおんでんち) 負極にマグネシウム金属を使用。2価イオンで移動するため理論体積容量が高い リチウムより高い理論エネルギー密度・安全性。適切な電解質・正極材料の開発が困難。研究開発段階
カリウムイオン電池(K-ion)(かりうむいおんでんち) リチウム・ナトリウムと同族元素のカリウムを使用 地殻存在量が豊富で低コスト化に期待。イオン半径がリチウムの2倍以上で電極材料の膨張収縮が大きい。研究段階
アルミニウムイオン電池(Al-ion)(あるみにうむいおんでんち) 負極にアルミニウム(3価)を使用 理論体積エネルギー密度が極めて高い。適切な電解質・正極材料の選定が課題。研究段階
カルシウムイオン電池(Ca-ion)(かるしうむいおんでんち) カルシウムイオン(2価)を使用。資源が豊富で低コスト 地球上に極めて豊富な元素で低コスト期待。電析特性・電解質の技術課題が大きい。基礎研究段階

有機系電池

電極材料に有機分子を使用する電池。廃棄処理が容易で環境負荷の低減が期待されています。

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種類(読み) 仕組み・材料の概要 特徴・主な用途
有機二次電池(有機電極)(ゆうきにじでんち) 正負極の一方または両方に有機化合物(キノン・ニトロキシルラジカル等)を使用 レアメタル不使用で低コスト・低環境負荷。廃棄時の有害物質が少ない。エネルギー密度と耐久性の向上が課題。研究開発段階

フロー電池(大型定置蓄電用)

電解液をタンクに蓄えて循環させることで電力を取り出す電池。容量(タンクの大きさ)と出力(電極の面積)を独立して設計できるため、大型の電力貯蔵に最適です。

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種類(読み) 仕組み・材料の概要 特徴・主な用途
バナジウムレドックスフロー電池(VRF)(ばなじうむれどっくすふろーでんち) バナジウムイオンの酸化還元反応を利用。同一元素を使うため電解液の劣化が少ない 長寿命(10,000サイクル以上)で劣化が少ない。電解液を再利用可能。材料のバナジウムが高価。北海道電力など実用化済み
亜鉛臭素フロー電池(Zn-Br)(あえんしゅうそふろーでんち) 亜鉛と臭素の電気化学反応を利用 バナジウム系よりエネルギー密度が高め(最大70 Wh/L)。臭素の腐食性・毒性への対策が必要
有機レドックスフロー電池(ゆうきれどっくすふろーでんち) バナジウムの代わりに有機化合物を電解液の活物質として使用 材料コストを従来の約1/3に削減できる見込み。2027年以降の市場投入を目指して開発中
鉄レドックスフロー電池(てつれどっくすふろーでんち) 鉄イオンの酸化還元反応を利用 材料の鉄が豊富で安価。低コスト化に有利。エネルギー密度は低め。大型定置型向けに実証段階
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燃料電池・キャパシタ・その他の蓄電技術

燃料電池

水素などの燃料と酸素の化学反応から直接電気を取り出す装置。厳密には二次電池ではなく発電装置ですが、水素エネルギーシステムの要として注目されています。

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種類(読み) 仕組み・材料の概要 特徴・主な用途
固体高分子形燃料電池(PEFC/PEMFC)(こたいこうぶんしがたねんりょうでんち) 固体高分子膜(ナフィオン等)を電解質に使用。作動温度80〜100℃ 起動が速く小型化が容易。EV(MIRAI等)・家庭用燃料電池(エネファーム)で普及中。白金触媒のコスト低減が課題
固体酸化物形燃料電池(SOFC)(こたいさんかぶつがたねんりょうでんち) 固体酸化物セラミックを電解質に使用。作動温度600〜1,000℃ 高い発電効率(45〜65%)。水素以外の天然ガス・メタンも使用可。業務用・産業用で普及。起動時間が長い
リン酸形燃料電池(PAFC)(りんさんがたねんりょうでんち) 電解質にリン酸水溶液を使用。作動温度約200℃ 耐久性が高く実用化歴が長い。病院・ビルの分散電源として普及
溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)(ようゆうたんさんえんがたねんりょうでんち) 電解質に溶融炭酸塩を使用。作動温度約650℃ 高効率(45〜55%)でCO₂回収にも応用可能。大型産業施設向け
アルカリ形燃料電池(AFC)(あるかりがたねんりょうでんち) 電解質にアルカリ水溶液(KOH)を使用 白金触媒が不要で効率が高い。大気中のCO₂と反応して劣化するため純水素・酸素環境が必要。NASAのスペースシャトルで使用された

キャパシタ・ハイブリッド系

電気を静電場として蓄える装置。充放電が電池の10〜100倍速いが、エネルギー密度は電池より低い。回生ブレーキや瞬時電力補償に活躍します。

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種類(読み) 仕組み・材料の概要 特徴・主な用途
電気二重層キャパシタ(EDLC)(でんきにじゅうそうきゃぱした) 電極と電解質の界面に形成される電気二重層に電荷を蓄える。電気化学反応なし 充放電速度が電池の10〜100倍。長寿命(100万サイクル以上)。エネルギー密度が低い。回生ブレーキ・バックアップ電源
ハイブリッドキャパシタ(はいぶりっどきゃぱした) 一方の電極にキャパシタ、もう一方に電池型電極を組み合わせた設計 EDLCより高エネルギー密度・電池より高出力・長寿命。EVの補助電源として研究中
グラフェンスーパーキャパシタ(ぐらふぇんすーぱーきゃぱした) 比表面積が極めて大きいグラフェンを電極材料に使用 EDLCのエネルギー密度を大幅に向上させる可能性。製造コストの低減が実用化の鍵。研究開発段階

その他の新型電池

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種類(読み) 仕組み・材料の概要 特徴・主な用途
シリコン負極電池(しりこんふっきょくでんち) 従来のグラファイト負極にシリコンを混合または置換したリチウムイオン電池の改良型 シリコンの理論容量はグラファイトの約10倍。充放電時の体積膨張(約300%)による電極の割れが課題。一部EV向けで採用が拡大中
グラフェン電池(ぐらふぇんでんち) 電極材料に電気伝導性・熱伝導性に優れたグラフェンを使用 高出力・急速充電・長寿命が期待できる。グラフェンの大量製造コストが実用化の壁。研究開発段階
液体金属電池(えきたいきんぞくでんち) 高温で液状になった金属(マグネシウム等)を負極に使用。作動温度が高い 製造構造がシンプルで低コスト化に期待できる。大型定置型蓄電に適合。MIT(マサチューセッツ工科大学)が主要研究機関
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大型蓄電技術(電池以外)

電池とは異なる原理で電力を蓄える技術。大容量・長期間の蓄電や電力系統の安定化に適しています。再生可能エネルギーの変動を補う手段として重要性が増しています。

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種類(読み) 仕組みの概要 特徴・主な用途
揚水発電(ようすいはつでん) 余剰電力で水を高所に汲み上げ、需要時に水を落として水車で発電 実績が豊富で世界最大規模の蓄電手段。大規模な建設コスト・適地が必要。再エネの季節間調整に不可欠
圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)(あっしゅくくうきえねるぎーちょぞう) 余剰電力で空気を圧縮して地下空洞・廃坑などに蓄え、需要時に膨張させてタービンを回す 大容量・長期蓄電が可能。適した地下空間が必要。熱損失による効率低下が課題
フライホイール蓄電(ふらいほいーるちくでん) 電気でフライホイール(回転体)を高速回転させて運動エネルギーとして蓄え、発電時に減速させて取り出す 応答速度が極めて速い。長寿命。エネルギー密度が低く短時間の調整向け。電力系統の周波数制御・UPSに活用
超伝導磁気エネルギー貯蔵(SMES)(ちょうでんどうじきえねるぎーちょぞう) 超伝導コイルに流れる電流の磁場エネルギーとして電力を蓄える 損失がほぼゼロで応答が極めて速い。超伝導を維持するための冷却コストが高い。電力系統安定化に使用
熱蓄電・溶融塩蓄熱(ねつちくでん・ようゆうえんちくねつ) 余剰電力で溶融塩や水などの熱媒体を加熱して熱エネルギーとして蓄え、必要時に熱交換機や蒸気タービンで発電 大容量・長期蓄熱が可能。集光型太陽熱発電(CSP)と相性が良い。熱→電力への変換効率に課題

豆知識

全固体電池の特許数世界トップはトヨタ

トヨタは全固体電池の特許取得数で長らく世界トップクラスを維持しており、硫化物系全固体電池搭載EVを2027〜2028年に市場投入することを発表している。目標スペックは液系次世代EVより航続距離を約20%延ばした約1,200km・急速充電時間10分以下。全固体電池の実用化後は航続距離・充電速度の課題が一気に解消されると期待されている。

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CATLのナトリウムイオン電池はすでに量産中

世界最大の電池メーカーであるCATL(寧徳時代)は2026年にナトリウムイオン電池搭載EVを市場投入。エネルギー密度は約175 Wh/kgで走行距離500km超を実現するという。リチウムイオン電池よりコストが低く、低温環境でも性能低下が少ないため、寒冷地向けEVや低価格EV市場での普及が見込まれる。

NEDOが定義する「次世代電池」は9カテゴリ

日本では国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)・経済産業省(METI)が次世代蓄電池を①酸化物系全固体LiB、②硫化物系/高分子系全固体LiB、③ナトリウム二次電池、④レドックスフロー電池、⑤金属空気電池、⑥有機二次電池、⑦多価イオン電池、⑧Li-S電池、⑨新原理・新型電池の9カテゴリに分類して研究開発を推進している。本記事ではこの分類に燃料電池・キャパシタ・非電池蓄電技術を加えて36種を網羅した。

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まとめ

次世代電池・蓄電技術は全固体電池・ナトリウムイオン電池から液体金属電池・有機電池まで多岐にわたります。EV向けには全固体電池とナトリウムイオン電池が、大型定置蓄電にはフロー電池と揚水発電が今後の主力になると期待されています。技術開発は急速に進んでいるため、最新の開発状況は各機関の公式発表をご確認ください。物理の法則・定理一覧新素材の種類もあわせてご覧ください。

腕試しクイズ(全5問)

次世代電池・蓄電技術の知識を試してみましょう!

腕試しクイズ(全5問)|次世代電池・蓄電技術
全5問。「採点する」で正解数と解説が表示されます。
第1問 フロー電池の最大の特徴として正しいものはどれ?

第2問 ナトリウムイオン電池(Na-ion)について正しい説明はどれ?

第3問 全固体電池の系統のうち、車載EV向けの本命として最も開発が進んでいるのは?

第4問 NASAのスペースシャトルで使用されていた燃料電池の種類はどれ?

第5問 電気二重層キャパシタ(EDLC)の特徴として正しいものはどれ?

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参考・出典

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