彗星一覧|ハレー彗星から紫金山・アトラスまで有名な彗星と周期まとめ

宇宙を旅する彗星は、太陽に近づくたびに氷が蒸発してガスと塵の「コマ」と「尾」を形成します。ほとんどは符号だけで管理されますが、特に明るくなったもの・発見者の名前が付いたもの・探査機が訪れたものは天文の歴史に名を刻んでいます。本記事では、3.3年ごとに戻るエンケ彗星から2061年接近のハレー彗星、恒星間から飛来したボリソフ彗星まで、有名な彗星32種を一覧でまとめました(2026年11月時点)。

太陽系の天体全般については、天体の種類一覧|恒星・惑星・銀河・ブラックホールまで宇宙を完全網羅もご覧ください。

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彗星の種類と分類

彗星は軌道の形によって次の3種類に大別されます。

  • 短周期彗星(周期200年以内):主にカイパーベルト起源。軌道が周期的なため、次回接近時期を計算できます。
  • 長周期彗星・非周期彗星(周期200年超または一度きり):主にオールトの雲から来訪し、数百〜数万年周期のものも。放物線・双曲線軌道のものは二度と戻りません。
  • 恒星間天体:太陽系外の恒星系から飛来。2017年に初確認されました。

なお、「D/」が付く彗星は消滅・行方不明となったもの(例:シューメーカー・レヴィ第9彗星)です。

短周期彗星の一覧(周期200年以内)

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彗星名 記号 周期 主な特徴
ハレー彗星 1P/Halley 約75.3年 最も有名な周期彗星。次回接近2061年。オリオン座・みずがめ座η流星群の母天体
エンケ彗星 2P/Encke 約3.3年 番号付き周期彗星で最短周期級。おうし座流星群の母天体。次回2027年2月
ポン・ウィネッケ彗星 7P/Pons-Winnecke 約6.4年 1819年にポンが発見、1858年ウィネッケが独立再発見。てんびん座流星群に関連
タットル彗星 8P/Tuttle 約13.6年 12月のうみへび座流星群の母天体
テンペル第1彗星 9P/Tempel 1 約5.5年 2005年NASAのディープ・インパクト探査機が衝突体を表面に撃ち込み、噴き上がった内部物質の組成を観測した
ホームズ彗星 17P/Holmes 約6.9年 2007年10月に突如17等→2.5等へ大増光。コマが一時、土星を超える大きさに膨らんだ
ボレリー彗星 19P/Borrelly 約6.8年 2001年、NASAのディープ・スペース1号探査機が2,200kmまで接近
ジャコビニ・チンナー彗星 21P/Giacobini-Zinner 約6.6年 10月のりゅう座流星群の母天体。1985年に探査機ICEが彗星の尾を史上初通過
テンペル・タットル彗星 55P/Tempel-Tuttle 約33.2年 しし座流星群の母天体。1833・1966年の大流星雨はこの彗星の軌道に沿った塵が原因
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星 67P 約6.4年 2014年ESAのロゼッタ探査機が史上初めて彗星表面に着陸機フィラエを投下。次回接近2028年
本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァ彗星 45P 約5.3年 1948年に日本のアマチュア天文家・本田実が発見した短周期彗星
ヴィラネン彗星 46P/Wirtanen 約5.4年 2018年12月に0.077AUまで接近し、肉眼でも緑色の光球として観測された
ヴィルト第2彗星 81P/Wild 2 約6.4年 2004年NASAのスターダスト探査機がコマを通過し彗星粒子を採取・地球に持ち帰ることに成功
スイフト・タットル彗星 109P/Swift-Tuttle 約130年 8月のペルセウス座流星群の母天体。核の直径は約26kmとハレー彗星の2倍以上
池谷・張彗星 153P/Ikeya-Zhang 約365年 2002年に池谷薫・張大慶が独立発見。番号付き周期彗星では最長周期
ハートレー第2彗星 103P/Hartley 2 約6.5年 2010年NASA EPOXIミッション(ディープ・インパクトの延長任務)が700kmまで接近。核がダンベル形で、一端のみから活発なジェットが噴出する
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長周期・非周期彗星の一覧(歴史に残る大彗星)

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彗星名 記号 分類 主な特徴
池谷・関彗星 C/1965 S1 非周期 1965年の大彗星。太陽に約50万kmまで接近したサングレーザーで、近日点通過後に核が3分裂した
ベネット彗星 C/1969 Y1 長周期(約1,710年) 1970年春の大彗星。長大な塵の尾が肉眼でも鮮明に見え、X線放射が初めて検出された彗星でもある
コーホーテク彗星 C/1973 E1 長周期 「世紀の大彗星」と喧伝されたが実際の増光は期待を大幅に下回り、"大彗星はずれ"の代名詞に
ウエスト彗星 C/1975 V1 非周期 1976年の大彗星。近日点通過後に核が4分裂し、4本の尾を持つ壮観な姿を見せた
シューメーカー・レヴィ第9彗星 D/1993 F2 - 木星の潮汐力で21個以上の破片に分裂後、1994年7月に次々と木星大気へ衝突・消滅した
百武彗星 C/1996 B2 長周期(約11.3万年) 1996年3月に地球最接近(0.102AU)。尾の長さが100度超となり、X線彗星の研究を一変させた
ヘール・ボップ彗星 C/1995 O1 長周期(約2,520年) 1997年の大彗星。約18ヶ月間肉眼で観測可能。核の直径は約60kmと推定される巨大彗星
マクノート彗星 C/2006 P1 非周期 2007年1〜2月に南天で大彗星化。日中でも肉眼視でき、最大マイナス5.5等に達したとされる
ラブジョイ彗星 C/2011 W3 非周期 2011年12月にサングレーザーとして太陽に約14万kmまで接近したが生還し、2週間ほど肉眼で観測可能だった
パンスターズ彗星 C/2011 L4 非周期 2013年3月に北半球で肉眼視。ハワイのパンスターズ望遠鏡が発見した
ラブジョイ彗星 C/2014 Q2 長周期(約8,000年) 2015年1月に北半球で肉眼視可能。コマが印象的な緑色を呈し、コロナ禍前の最後の"肉眼彗星"として記憶される
ネオワイズ彗星 C/2020 F3 長周期(約6,800年) 2020年7月に北半球で肉眼視。コロナ禍で空を見上げる人が増えた時期に輝き、広く話題になった
マックホルツ彗星 C/2004 Q2 長周期 2004年8月に発見者マックホルツ自身が発見。2005年1月に最大3.5等まで増光し、プレアデス星団付近を通過する姿が日本でも広く観察された
紫金山・アトラス彗星 C/2023 A3 非周期 2024年10月の大彗星。最大マイナス4.9等との報告もあり、ネット上で多数の画像が共有された

恒星間天体(参考)

太陽系外から飛来した可能性のある天体です。国際天文学連合は「I/」の符号を新設して管理しています。

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名称 記号 発見年 主な特徴
オウムアムア 1I/ʻOumuamua 2017年 初めて確認された恒星間天体。葉巻形の形状と奇妙な加速に彗星的活動の痕跡(諸説あり)
ボリソフ彗星 2I/Borisov 2019年 恒星間彗星として初めて確認。太陽系の通常の彗星と同様の組成・コマを持つと判明した
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彗星にまつわる豆知識

彗星の命名と符号のルール

彗星の名前は発見者の名前(最大3人まで)が付きます。同一人物による複数発見は「第1・第2」と区別します。符号は国際天文学連合(IAU)が管理しており、頭文字の意味は次のとおりです。

  • P/(Periodic):周期200年以内の短周期彗星
  • C/(Comet):長周期または非周期彗星
  • D/(Defunct):消滅・行方不明となった彗星
  • I/(Interstellar):恒星間天体

「67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ」は「67番目に番号登録された周期彗星、発見者はチュリュモフとゲラシメンコ」という意味です。

日本人と彗星発見

日本は世界有数の「彗星発見大国」です。本田実(12個発見・45P・48Pほか)、池谷薫(池谷・関彗星ほか)、関勉(池谷・関彗星ほか)、百武裕司(C/1996 B2 百武彗星)など、多くのアマチュア天文家が肉眼や双眼鏡で次々と新彗星を発見しました。1960〜90年代は日本人による発見ラッシュで、天文界を席巻しました。

流星群と彗星の関係

流星群のほとんどは、彗星が太陽に近づいた際に撒き散らした塵が地球の大気に突入することで発生します。ペルセウス座流星群(8月)はスイフト・タットル彗星、しし座流星群(11月)はテンペル・タットル彗星、おうし座流星群(10〜11月)はエンケ彗星が、それぞれ母天体です。

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まとめ

75年ごとに戻るハレー彗星から一度きりの非周期彗星、恒星間から飛来したボリソフ彗星まで、全32種の彗星は多様な姿を持ちます。次回の注目彗星は、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の接近(2028年)とハレー彗星の接近(2061年)です。宇宙の天体全般については、天体の種類一覧|恒星・惑星・銀河・ブラックホールまで宇宙を完全網羅もあわせてどうぞ。

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