
「ワンワン」は犬専用、「どんぶらこ」は川で丸いものが流れるときだけ、「ズキズキ」は拍動する頭痛専用——日本語には、特定の物事や場面にしか使わない「専用のオノマトペ」が数多くあります。4,500語以上ともいわれる(諸説あり)日本語のオノマトペの中から、特定の対象と強く結びついた57語を6カテゴリに分けてまとめました。動物・天候・水・乗り物・痛み・食感を一気に確認できます。
専用のオノマトペとは
日本語のオノマトペは大きく5種類に分類されます。
- 擬音語:自然界の音を表す(ザーザー・ゴロゴロ)
- 擬態語:無生物の状態を表す(ふわふわ・ぴかぴか)
- 擬声語:人や動物の声を表す(ワンワン・ニャー)
- 擬容語:生き物の動きや様子を表す(せかせか・のろのろ)
- 擬情語:心理状態を表す(いらいら・どきどき)
なかでも「専用のオノマトペ」とは、特定の対象や場面と強く結びついていて、他の文脈ではほとんど使わない表現のことです。「コケコッコー」を猫の声に使う人はいませんし、「ぱかぱか」といえば馬の蹄以外の場面ではまず耳にしません。こうした専用性の高い表現を、カテゴリ別に一覧で見ていきましょう。
日本語オノマトペ全般については、日本語のオノマトペ30選|擬音語・擬態語の不思議な世界もあわせてご覧ください。
専用のオノマトペ一覧57選
動物の鳴き声・動き専用(18語)
動物の声を表すオノマトペは、それぞれの動物に対応した「専用の表現」が確立しています。別の動物の声に転用することは、日本語では基本的にありません。
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| オノマトペ | 専用の対象 | 用例 |
|---|---|---|
| ワンワン | 犬の鳴き声 | 犬がワンワンと吠える |
| ニャーニャー | 猫の鳴き声 | 猫がニャーニャーと甘える |
| ヒヒーン | 馬の鳴き声 | 馬がヒヒーンといなく |
| モーモー | 牛の鳴き声 | 牛がモーモーと鳴く |
| メーメー | 羊・ヤギの鳴き声 | 羊の群れがメーメーと鳴く |
| ブーブー | 豚の鳴き声 | 豚がブーブーと鼻を鳴らす |
| コケコッコー | 雄鶏の鳴き声 | コケコッコーと夜明けを告げる |
| カーカー | カラスの鳴き声 | カラスがカーカーと鳴く |
| ホーホー | フクロウの鳴き声 | 夜にフクロウがホーホーと鳴く |
| ケロケロ | カエルの鳴き声 | 田んぼでカエルがケロケロと鳴く |
| ホーホケキョ | ウグイスの鳴き声 | ホーホケキョと春を告げる |
| ミンミン | ミンミンゼミの鳴き声 | 夏にミンミンとセミが鳴く |
| ジージー | クマゼミ・ニイニイゼミの鳴き声 | ジージーとうるさく鳴くセミ |
| ツクツクボーシ | ツクツクボウシの鳴き声 | ツクツクボーシと秋の気配が漂う |
| リーンリーン | スズムシの鳴き声 | スズムシがリーンリーンと鳴く |
| コロコロ | コオロギの鳴き声 | コオロギがコロコロと鳴く |
| ぱかぱか | 馬の蹄が地面を打つ音 | 馬がぱかぱかと道を走る |
| ぶんぶん | ハチ・大きな虫の羽音 | ハチがぶんぶんと飛び回る |
雨・天候専用(8語)
雨の強さや降り方によって、使うオノマトペが変わります。日本語が細かな気象の変化を言葉で捉えてきた証です。
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| オノマトペ | 専用の場面 | 用例 |
|---|---|---|
| ザーザー | 強い雨の音 | ザーザーと雨が降りしきる |
| しとしと | 細い雨が静かに降る様子 | しとしとと梅雨の雨が続く |
| ぽつぽつ | 雨が降り始めの数滴 | ぽつぽつと雨が落ち始めた |
| パラパラ | 粒の疎らな雨が落ちる音 | パラパラと小雨が当たる |
| ゴロゴロ | 雷が遠くで鳴る音 | 遠くでゴロゴロと雷が鳴る |
| ピカッ | 稲妻が走る瞬間 | ピカッと稲妻が光った |
| ヒューヒュー | 強い風が細い隙間を抜ける音 | ヒューヒューと木枯らしが吹く |
| チラチラ | 雪が静かに舞い落ちる様子 | 窓の外にチラチラと雪が降る |
水・川・波専用(7語)
水の動きも、場面や規模によって使い分けが生まれています。「ぽちゃん」と「ザブン」では落ちる物の大きさが違い、「どんぶらこ」は川で浮いて流れる物にしか使わない特殊な表現です。
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| オノマトペ | 専用の場面 | 用例 |
|---|---|---|
| どんぶらこ | 川で大きく丸いものが浮いて流れる | どんぶらこと桃が流れてきた(桃太郎) |
| ぽちゃん | 小さいものが水面に落ちる音 | 石をぽちゃんと池に投げ込む |
| ちゃぽん | 水面に軽く物が触れる音 | ちゃぽんと波が船腹を叩く |
| ザブン | 大きな波・人が水に飛び込む音 | ザブンと海に飛び込む |
| さらさら | 清流が小石の上を流れる音 | さらさらと渓流が流れる |
| ちょろちょろ | 細い流れの水の音 | 蛇口からちょろちょろと水が出る |
| どぼん | 重いものが水に落ちる鈍い音 | どぼんと大きな石が川に落ちた |
乗り物・機械の音専用(8語)
蒸気機関車から路面電車まで、乗り物の音も専用のオノマトペが定着しています。「チンチン」は路面電車の発車ベル専用として、今も現役で使われます。
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| オノマトペ | 専用の対象 | 用例 |
|---|---|---|
| シュッシュッポッポ | 蒸気機関車が走る音 | シュッシュッポッポと蒸気機関車が走る |
| ポッポー | 汽笛の音(機関車・船) | ポッポーと汽笛を鳴らして出発する |
| ジリリリ | 古い目覚まし時計のベル | ジリリリと目覚ましが鳴り響く |
| カチカチ | 時計の秒針が刻む音 | カチカチと秒針が時を刻む |
| チンチン | 路面電車の発車ベル | チンチンと電車が発車を告げる |
| ブロロロ | エンジンがかかる低い音 | ブロロロとエンジンが目覚める |
| ガタゴト | 電車・馬車が走る振動音 | 線路をガタゴトと電車が揺れる |
| ブーン | 電気機器の安定稼働音 | ブーンと冷蔵庫が音を立てる |
体の感覚・痛みの種類別(8語)
日本語は痛みの表現が特に細かく、同じ「痛い」でも種類によってオノマトペが変わります。医療現場でも「どんな痛みですか?」と聞かれたとき、こうした言葉で答えると症状が伝わりやすくなります。
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| オノマトペ | 専用の痛み・感覚の種類 | 用例 |
|---|---|---|
| ズキズキ | 拍動に合わせた痛み(頭痛・歯痛) | 頭がズキズキと痛む |
| キリキリ | 鋭く刺すような内臓の痛み | 胃がキリキリ痛む |
| ズーン | 重く鈍い持続する痛みや疲労感 | 肩がズーンと重だるい |
| ジンジン | しびれるような持続する感覚 | 正座で足がジンジンする |
| チクチク | 細い針のような刺激 | 虫刺されがチクチクする |
| ピリピリ | 辛みや静電気のような刺激 | 口の中がピリピリする |
| ムズムズ | 皮膚に何かが這うようなかゆみ | 背中がムズムズしてかゆい |
| ずきん | 一瞬の激しい痛みの波 | 頭にずきんと痛みが走る |
食感・調理専用(8語)
料理の場面も、専用オノマトペが豊富です。麺をすする音・食材が焼ける音・食感の違いで使い分けます。
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| オノマトペ | 専用の食感・調理場面 | 用例 |
|---|---|---|
| ずるずる | 麺類をすする音・動作 | ラーメンをずるずるとすする |
| じゅーじゅー | 食材が油で焼ける音 | ステーキがじゅーじゅーと焼ける |
| ぐつぐつ | 鍋物が煮立つ様子 | 鍋がぐつぐつと煮えている |
| ぱりぱり | 薄く乾いたものを噛む音 | 海苔をぱりぱりと食べる |
| がりがり | 氷など硬いものを噛む音 | 氷をがりがりと噛む |
| ふわふわ | 空気を含んだ柔らかい食感 | ふわふわのシフォンケーキ |
| とろとろ | 粘度のある液体が緩く流れる食感 | とろとろのチーズが溶ける |
| ぷちぷち | 小さな粒が弾ける食感 | たらこのぷちぷちした食感 |
豆知識:なぜ日本語には専用オノマトペが多いのか
日本語のオノマトペは4,500語以上とされ(諸説あり)、英語の数百語程度と比べて圧倒的に多いといわれています(英語の語数も諸説あり)。その背景には、日本語特有の音の豊かさがあります。
日本語は清音に加え、濁音(が行・ざ行など)・半濁音(ぱ行)・長音・促音(っ)・撥音(ん)を自在に組み合わせることができます。「ザーザー」と「しとしと」の違い、「チクチク」と「ズキズキ」の違いは、文字どおり「音だけで感覚を区別する」日本語の仕組みの表れです。
また、日本語の文化では擬音的な表現を文章・会話に自然に組み込む習慣が古くから根付いており、小説・漫画・日常会話で使われ続けることで表現の幅がさらに広がってきました。
なお、同じ動物の鳴き声でも言語によってまったく異なる表現をすることがあります。詳しくは世界の擬音語の違い一覧|犬のワンワン・鶏のコケコッコーを8言語で比較をご覧ください。
まとめ
今回は、特定の物事や場面にしか使わない専用のオノマトペを57語、6つのカテゴリに分けて紹介しました。動物・天候・水・乗り物・体の感覚・食感と分野をまたいで眺めると、日本語がいかに細かな場面をオノマトペで捉えてきたかが伝わります。日常の「当たり前の言葉」の中に、こんなに豊かな専用表現が隠れていました。