重言(二重表現)一覧|頭痛が痛い・馬から落馬など121選を分類まとめ

「頭痛が痛い」「馬から落馬する」——日本語を話す人なら誰でも一度は耳にしたことがある重言(二重表現)。ところが日常会話や文書の中でつい使ってしまう重言は思いのほか多く、「知らなかった!」と驚くものも少なくありません。本記事では定番の重言から気づきにくい漢語の重言、RAS症候群(略語の重言)、地名・食べ物の重言まで121選を6カテゴリに分けて網羅しました。誤用とされるものと慣用として定着したものの区別もあわせて確認できます。

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重言(二重表現)とは

重言とは、同じ意味を持つ言葉や語要素を重ねて使う表現のことです。日本語では「重言(じゅうごん)」または「二重表現」と呼ばれます。

たとえば「頭痛が痛い」は「頭痛」=「頭が痛いこと」なので、さらに「痛い」をつけると意味が二重になります。多くは文法的な誤りですが、なかには慣用として広まり現在では容認されているものも数多くあります。

定番の重言一覧

日常会話・文書でよく見かける重言40選です。知らずに使ってしまいがちなものを中心に集めました。

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重言表現 重複している意味
頭痛が痛い 頭痛=頭が痛いこと
馬から落馬する 落馬=馬から落ちること
被害を被る 被る=被害を受けること
返信を返す 返信=返事を送ること
挙式を挙げる 挙式=式を挙げること
車に乗車する 乗車=車に乗ること
捺印を押す 捺印=印を押すこと
元旦の朝 元旦=元日(1月1日)の朝
後で後悔する 後悔=後で悔やむこと
今の現状 現状=今の状態
今現在 現在=今この瞬間
過半数を超える 過半=半数を超えること
一番最初 最初=一番始め
一番最後 最後=一番終わり
一番ベスト ベスト=最高・最良
まず最初に まず=最初に(同義)
あらかじめ予定する あらかじめ=予め(同義)
内定が決まる 内定=すでに決まっていること
満天の星空 満天=空一面(の星)
後遺症が残る 後遺=残っていること
連日続く 連日=日々続くこと
初デビュー デビュー=初登場・初舞台
お体をご自愛ください ご自愛=体を大切にすること
留守を守る 留守=不在中に番をすること
製造メーカー メーカー=製造会社
発売開始 発売=販売を開始すること
約〇〇ほど 約=ほど(ともに「おおよそ」の意)
いまだ未解決 いまだ〜ず+未〜で否定の意が重複
まだ未定 まだ+未で「まだ〜ではない」が重複
炎天下の下 炎天下=真夏の日照りの下
むしろ逆に むしろ=逆に(同義)
違反を犯す 犯す=違反すること
日本に来日する 来日=日本に来ること
今後の将来 将来=今後のこと
旧来から 旧来=古くからのこと
各自それぞれ 各自=それぞれの人
事前に予め 事前=予め(同義)
いつも常に いつも=常に(同義)
同じ共通点 共通点=同じ点
各〜ごと(各人ごと、各国ごと) 各=それぞれの意
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カテゴリ別・重言の網羅一覧

定番以外にも、漢語・外来語・地名・食べ物の中に重言が隠れています。

漢語に潜む重言

漢字熟語の意味を知らないと気づきにくい重言です。使い慣れた言葉ほど見落としやすいものが揃っています。

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重言表現 重複している意味
享年〇歳 享年=生きた年数(〇歳は不要)
後継者に引き継ぐ 後継=引き継ぐ者
募金を集める 募金=お金を募集・集めること
楽観視する 観・視がともに「見る」の意
射程距離 射程=届く距離
そもそもの発端 発端=物事のそもそもの始まり
断然ダントツ ダントツ=「断然トップ」の略語
最後の締めくくり 締めくくり=最後に締めること
必ず必須 必須=必ずしなければならないこと
過去の前例 前例=過去にあった例
今の現代 現代=今の時代
年内中 内・中がともに「その期間の中」の意
協力し合う 協=力を合わせること
組み合わせのコラボ コラボレーション=組み合わせ・共同作業
かねてからの懸案 かねてから=以前から・ずっと前からの意が重複
辞意の意向 意が重複している
思わず知らず 思わず=知らず(同義)
重複して重なる 重複=重なること
削除して取り除く 削除=消して取り除くこと
首謀者と主犯 首謀者と主犯は同義語(同一人物を指す場合)

カタカナ語・外来語の重言(RAS症候群)

英語や外国語の略語に日本語訳を重ねて付けてしまう現象を「RAS症候群」と呼びます。RAS自体が Redundant Acronym Syndrome(症候群)の略なので、「RAS症候群」というワード自体も重言です。

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重言表現 重複の内訳
PIN番号 PIN=Personal Identification Number(番号を含む)
ATM機 ATM=Automated Teller Machine(機械を含む)
HIVウイルス HIV=Human Immunodeficiency Virus(ウイルスを含む)
ISBN番号 ISBN=International Standard Book Number(番号を含む)
JIS規格 JIS=Japanese Industrial Standards(規格を含む)
LCD液晶 LCD=Liquid Crystal Display(液晶ディスプレイを含む)
CPUプロセッサ CPU=Central Processing Unit(演算処理装置を含む)
SAサービスエリア SA=Service Area(サービスエリアそのもの)
PAパーキングエリア PA=Parking Area(パーキングエリアそのもの)
SNSサービス SNS=Social Networking Service(サービスを含む)
URLアドレス URL=Uniform Resource Locator(住所・場所を示す語)
EV車 EV=Electric Vehicle(車両を含む)
IT技術 IT=Information Technology(技術を含む)
NHK放送 NHK=日本放送協会(放送を含む)
VIPの人 VIP=Very Important Person(人を含む)
BB弾 BB=Ball Bearing(球状金属球)のサイズ呼称に由来(弾の意が重複)
NISA口座 NISA=Nippon Individual Savings Account(口座を含む)
DC直流 DC=Direct Current(直流を含む)
AC交流 AC=Alternating Current(交流を含む)
RAS症候群 RAS=Redundant Acronym Syndrome(症候群を含む)
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地名・国名に潜む重言(慣用定着型)

世界各地の地名には、現地語で「川」「砂漠」「山脈」などの意味が含まれているものが多くあります。日本語に翻訳して「〜川」「〜砂漠」と付けると重言になりますが、慣用として定着しているため使用は一般的に許容されています。

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重言表現 現地語の意味
サハラ砂漠 サハラ(Sahara)=アラビア語で砂漠・荒れ地
ゴビ砂漠 ゴビ(Gobi)=モンゴル語で砂漠・荒れ地
アタカマ砂漠 アタカマ(Atacama)=ケチュア語で砂漠地帯の意とされる
シエラネバダ山脈 シエラ(Sierra)=スペイン語で山脈
ナイル川 ナイル(Nile)=古代ギリシャ語・ラテン語で大河の意とされる
ガンジス川 ガンジス(Ganges)=サンスクリット語ガンガー(川)に由来
インダス川 インダス(Indus)=サンスクリット語で川・大河の意
ミシシッピ川 ミシシッピ(Mississippi)=オジブウェー語で「大きな川」
チグリス川 チグリス(Tigris)=アッカド語・ギリシャ語で川の意とされる
リオグランデ川 リオ(Río)=スペイン語で川
襟裳岬 エリモ(Eri-mo)=アイヌ語で岬
アマゾン川 アマゾン(Amazon)=語源には大河の意を含む諸説あり
コロラド川 コロラド(Colorado)=スペイン語で「赤茶色の川」(川の意を含む)
ニジェール川 ニジェール(Niger)=トゥアレグ語で川・流れの意とされる
リオデジャネイロ リオ(Rio)=ポルトガル語で川(地名全体は「1月の川」の意)

食べ物・文化の重言(慣用定着型)

外来語や外国文化が日本に入る際に日本語の補足語がついて重言になったものです。現在では慣用として完全に定着しており、日常使用は問題ありません。

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重言表現 原語の意味
チゲ鍋 チゲ(찌개)=韓国語で鍋料理
タジン鍋 タジン(Tajine)=モロッコで使う蒸し煮用の土製鍋
パエリア鍋 パエリア(Paella)=バレンシア語でフライパン・料理鍋
フラダンス フラ(Hula)=ハワイ語でダンス・踊り
ハングル文字 ハングル(한글)=ハン(韓)民族のグル(文字)の意
サルサソース サルサ(Salsa)=スペイン語でソース
マグカップ マグ(Mug)=英語で大型の取っ手付きカップ
クーポン券 クーポン(Coupon)=仏語で切り取り券・割引券
スキー板 スキー(Ski)=古ノルド語で「板」「割り木」に由来
エスプレッソコーヒー エスプレッソ(Espresso)=コーヒーの一種(コーヒーが重複)
ピタパン ピタ(Pita)=アラビア語・ギリシャ語でパンの一種
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グレーゾーン:誤用か慣用か議論が分かれる表現

以下の表現は文法的には重言ですが、慣用として広まり容認されつつあるもの、または言語学者や文化庁の間でも意見が分かれているものです。一概に「誤用」と断言できない表現として参考にしてください。

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重言表現 重複している意味 状況
違和感を感じる 感・感が重複するが自然な日本語と感じる人も多い 文化庁は容認傾向
犯罪を犯す 犯が重複するが日常的な表現として定着 広く使われる慣用表現
必要不可欠 必要=不可欠だが強調として使われる NHKスタイルブックは容認
びっくり仰天 びっくり=仰天(同義)だが慣用句として定着 慣用句として許容
むやみやたら むやみ≒やたら(類義)だが一語の慣用句として定着 慣用句として許容
好き好んで 好き=好むことで重複するが一語の表現として定着 慣用句として許容
排気ガス 排気=排出されたガスだが理系・業界用語として定着 学術・業界で許容
直接面談する 面談=直接会って話すこと 容認派も多い
永遠に不滅 永遠=不滅(消えないこと) 強調表現として許容傾向
外見の見た目 外見=見た目(外から見た様子) 話し言葉では容認傾向
互いに相互 相互=互いに影響し合うこと 容認派も存在
ダントツトップ ダントツ(断然トップ)にさらにトップをつける まれに使われる
後ほど後で 後ほど=後で(同義) 丁寧な言い回しとして許容傾向
再度また 再度=再び・また(同義) 強調として使われる
根本の原点 根本=物事の原点・始まり 強調表現として見られる

豆知識

重言はなぜ生まれるのか

重言が生まれる主な原因は3つです。

① 漢字の意味を忘れてしまう
「享年」「後継者」「射程」など、漢字熟語の本来の意味を意識せず使うことで、不要な語を付け足してしまいます。

② 外来語・略語の意味を知らない
「デビュー」が「初登場」の意味であることを知らずに「初デビュー」と言ってしまうのが代表例です。英語の略語(PIN・ATMなど)の意味を知らずに「番号」「機械」を重ねるRAS症候群も同じメカニズムで起きます。

③ 強調したい心理
「まず最初に」「一番ベスト」のように、強調したいあまりに意味の似た言葉を重ねてしまうケースです。この場合は誤用というよりレトリック的な効果を意図していることもあります。

「重言」と「慣用表現」の線引き

言語は変化し続けるものです。かつて重言だった表現が慣用として定着し、現在では誤用とみなされなくなるケースも少なくありません。「チゲ鍋」「フラダンス」「サハラ砂漠」などはその典型例です。文化庁の「国語に関する世論調査」でも、多くの重言が「使ってよい」と答える割合が増えており、言語の多数派が正しさを決める面もあります。

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まとめ

重言(二重表現)は日常の文章や会話の中に意外と多く潜んでいます。定番の「頭痛が痛い」から気づきにくい「享年〇歳」「NISA口座」、慣用として定着した「チゲ鍋」「サハラ砂漠」まで、121選を6カテゴリに分けて紹介しました。すべてが「誤り」とは言い切れず、慣用として許容されているものが多いのが日本語の奥深さです。言葉の意味を知るほど表現の精度が上がり、文章の説得力も増します。回文や語源など日本語の面白さに興味を持ったら、回文一覧135選四字熟語一覧227選もぜひチェックしてみてください。

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