88星座の名前の由来・神話一覧|語源とギリシャ神話まとめ

夜空を見上げたとき、「なぜオリオン座は"オリオン"という名前なの?」と気になったことはありませんか?現在、国際天文学連合(IAU)が公認する星座は全部で88個。それぞれに、ギリシャ神話の英雄や怪物、大航海時代の船の部品、近世ヨーロッパの科学器具など、意外な由来があります。本記事では全88星座の名前の由来・語源を時代別に一覧でまとめ、有名な星座神話の名場面も詳しく解説します。

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星座の名前はどう決まった?歴史と3つの時代

現在の88星座の名前は、大きく3つの時代に由来しています。

①古代ギリシャ・ローマ時代(プトレマイオスの48星座)

今から約5,000年前のメソポタミアで、星座は暦や宗教の道具として生まれました。その後、古代ギリシャの天文学者プトレマイオスが著書『アルマゲスト』(2世紀ごろ)に48の星座をまとめています。オリオン座・おおぐま座・しし座など、現在もおなじみの星座の大部分はここに含まれ、ギリシャ神話の英雄・動物・神々の名前がつけられました。なお、巨大なアルゴ座だけは後に4分割されています。

②大航海時代に追加された星座(16〜17世紀)

大航海時代を迎え、ヨーロッパの航海者たちが南半球の星空を観測するようになると、新しい星座が次々と命名されました。1603年にドイツの天文学者バイエルがオオハシ・クジャク・カメレオンなど南天の12星座を発表。17世紀にはポーランドのヘヴェリウスがやまねこ座・りょうけん座など7星座を追加しました。

③ラカイユが命名した南天の星座(18世紀)

フランスの天文学者ラカイユは1751〜1752年、南アフリカ・喜望峰で約1万個の南天の星を観測し、ポンプ座・ぼうえんきょう座・テーブルさん座など14の新星座を命名しました。ギリシャ神話とは無関係で、科学器具や地名にちなんだ実用的な名前が多いのが特徴です。

88星座一覧|名前の由来・語源まとめ

IAU公認の全88星座を、起源別に3グループに分けて紹介します。

①古代ギリシャ・ローマ神話に由来する星座

プトレマイオスの48星座を核とする古代起源の星座群です(アルゴ座を4分割した4座を含む)。

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星座名 学名(ラテン語) 由来・神話
おひつじ座 Aries(アリエス) ヘルメスが送った黄金の羊。金羊毛伝説の起源
おうし座 Taurus(タウルス) ゼウスが牡牛に変身しエウロペを誘惑した姿
ふたご座 Gemini(ジェミニ) ゼウスの双子カストルとポルクス
かに座 Cancer(キャンサー) ヘラがヘラクレスを妨害するために送ったカニ
しし座 Leo(レオ) ヘラクレスが最初の功業で倒したネメアのライオン
おとめ座 Virgo(ヴァーゴ) 正義の女神アストライア、または豊穣神デメテル
てんびん座 Libra(リブラ) アストライアが持つ天秤。おとめ座と対をなす
さそり座 Scorpius(スコルピウス) アルテミスがオリオンを刺させた毒サソリ
いて座 Sagittarius(サジタリウス) 弓を引くケンタウロス。クロトスまたはケイロン
やぎ座 Capricornus(カプリコルヌス) 怪物ティフォンから逃げて山羊と魚が合体した牧神パン
みずがめ座 Aquarius(アクアリウス) ゼウスに連れ去られ神々の給仕になった美少年ガニュメデス
うお座 Pisces(ピスケス) アフロディテとエロスが怪物から逃れて変身した二匹の魚
アンドロメダ座 Andromeda(アンドロメダ) 海の怪物への生贄にされかけたエチオピアの王女
カシオペヤ座 Cassiopeia(カッシオペイア) 「自分は海のニンフより美しい」と豪語した王妃
ケフェウス座 Cepheus(ケフェウス) アンドロメダの父・エチオピア王
ペルセウス座 Perseus(ペルセウス) メデューサを倒しアンドロメダを救った英雄
ペガスス座 Pegasus(ペガスス) メデューサの血から生まれた翼ある天馬
ヘルクレス座 Hercules(ヘルクレス) 12の功業を成し遂げたローマ名の大英雄(ヘラクレス)
りゅう座 Draco(ドラコ) ヘスペリデスの黄金のリンゴを不眠で守り続けた竜ラドン
へびつかい座 Ophiuchus(オフィウクス) 蛇の知恵で死者を蘇らせた医術の神アスクレーピオス
へび座 Serpens(セルペンス) アスクレーピオスが握る蛇。天で頭部と尾部に二分
わし座 Aquila(アクィラ) ゼウスの使いの鷲。ガニュメデスをオリンポスへさらった
こと座 Lyra(リラ) 音楽家オルフェウスの竪琴。死後アポロンが天に置いた
はくちょう座 Cygnus(キグヌス) ゼウスが変身した白鳥。友人ファエトンを嘆いた若者キュクノスとも
いるか座 Delphinus(デルフィヌス) 音楽家アリオンが海に落ちた際に救ったイルカ
こうま座 Equuleus(エクウレウス) ヒッパルコスが記した小馬。詳しい神話は諸説あり
や座 Sagitta(サジタ) ヘラクレスまたはアポロンが放った矢
かんむり座 Corona Borealis(コロナ・ボレアリス) ディオニュソスがアリアドネに贈った冠
みなみのかんむり座 Corona Australis(コロナ・アウストラリス) いて座の足元の小さな冠飾り。古代から認識
うしかい座 Boötes(ボオテス) 農夫または牛飼い。カリスト(おおぐま座)を追う猟師とも
かみのけ座 Coma Berenices(コマ・ベレニケス) エジプト王妃ベレニケ2世が夫の戦勝祈願に捧げた髪
おおぐま座 Ursa Major(ウルサ・マイヨル) ゼウスが愛したニンフのカリスト。ヘラが熊に変えた
こぐま座 Ursa Minor(ウルサ・ミノル) カリストの息子アルカス。熊になった母を知らず狙った
うみへび座 Hydra(ヒュドラ) ヘラクレスが退治した9頭の水蛇。1頭切ると2頭生える
からす座 Corvus(コルウス) アポロンの使いの烏。嘘をついて黒くされ渇きに苦しむ
コップ座 Crater(クラテル) アポロンの金の盃。からす座・うみへび座と神話が連動
エリダヌス座 Eridanus(エリダヌス) ファエトンが太陽の馬車を暴走させ落ちた大河
うさぎ座 Lepus(レプス) オリオンの足元で狩られるウサギ
オリオン座 Orion(オリオン) ポセイドンの息子とも伝わる巨人の猟人
おおいぬ座 Canis Major(カニス・マイヨル) オリオンの忠実な猟犬。最明星シリウスを持つ
こいぬ座 Canis Minor(カニス・ミノル) オリオンのもう一匹の猟犬
ぎょしゃ座 Auriga(アウリガ) アテナイの王エリクトニオス。4頭立て馬車の発明者とされる
ケンタウルス座 Centaurus(ケンタウルス) 英雄アキレウスの師ケイロン。賢いケンタウロス
おおかみ座 Lupus(ルプス) ケンタウルスが槍で刺した獲物のオオカミ
さいだん座 Ara(アラ) 神々がティタン族と戦う前に誓いを立てた祭壇
みなみのうお座 Piscis Austrinus(ピスキス・アウストリヌス) みずがめ座が注ぐ水を飲む大魚。うお座の親ともいわれる
くじら座 Cetus(ケトゥス) ポセイドンが遣わした海の怪物。アンドロメダを狙った
さんかく座 Triangulum(トライアングルム) シチリア島の三角形の形。またはエジプト文字デルタ
りゅうこつ座 Carina(カリナ) アルゴ船の竜骨(船底の部材)
とも座 Puppis(プッピス) アルゴ船の艫(船尾)部分
ほ座 Vela(ウェラ) アルゴ船の帆

②大航海時代・近世に追加された星座(16〜17世紀)

南半球の観測、天文学者の個人的命名などで追加されたグループです。

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星座名 学名(ラテン語) 由来・命名者
ふうちょう座 Apus(アプス) 極楽鳥(アポダ=足のない鳥)。バイエル1603年
カメレオン座 Chamaeleon(カメレオン) 体色を変える爬虫類カメレオン。バイエル1603年
かじき座 Dorado(ドラドゥ) メカジキ・剣魚(スペイン語でdorado)。バイエル1603年
つる座 Grus(グルス) ツル(ラテン語)。バイエル1603年に命名
みずへび座 Hydrus(ヒドルス) 南天の小さな水蛇。うみへび座(Hydra)とは別物。バイエル1603年
インディアン座 Indus(インドゥス) 南アメリカの先住民(インディアン)。バイエル1603年
はえ座 Musca(ムスカ) ハエ(ラテン語)。バイエル1603年に「蜜蜂座」として命名
くじゃく座 Pavo(パーウォ) クジャク(ラテン語)。バイエル1603年
ほうおう座 Phoenix(フォエニクス) 灰から蘇る不死鳥フェニックス。バイエル1603年
みなみじゅうじ座 Crux(クルックス) 南十字星。ケンタウルス座の一部から独立。バイエル1603年に記録
みなみのさんかく座 Triangulum Australe(トライアングルム・アウストラーレ) 南の三角形。バイエル1603年。さんかく座より明るく見やすい
きょしちょう座 Tucana(トゥカナ) オオハシ鳥(ブラジル名:トゥカン)。バイエル1603年。大マゼラン雲を含む
とびうお座 Volans(ウォランス) トビウオ(ラテン語でpiscis volans:飛ぶ魚)。バイエル1603年
はと座 Columba(コルンバ) ノアの方舟に遣わされた鳩。プランシウスが命名(約1592年)
いっかくじゅう座 Monoceros(モノケロス) 一角獣ユニコーン(ギリシャ語で一つの角)。バルチウス1624年
きりん座 Camelopardalis(カメロパルダリス) キリン(ラクダとヒョウが合わさった動物の意)。バルチウス1612年
りょうけん座 Canes Venatici(カネス・ウェナティキ) 猟犬2頭。うしかい座が引くとされる。ヘヴェリウス1687年
こじし座 Leo Minor(レオ・ミノル) 小さなライオン。しし座の北側。ヘヴェリウス1687年
やまねこ座 Lynx(リンクス) ヤマネコ(薄暗い星を見るにはヤマネコ並みの目が要る)。ヘヴェリウス1687年
たて座 Scutum(スクトゥム) ポーランド王ヤン三世ソビエスキーの盾。ヘヴェリウス1684年
ろくぶんぎ座 Sextans(セクスタンス) 天体観測用の六分儀。ヘヴェリウス1687年
こぎつね座 Vulpecula(ウルペクラ) 小さなキツネ(ガチョウをくわえた姿で命名)。ヘヴェリウス1687年
とかげ座 Lacerta(ラケルタ) トカゲ。ヘヴェリウス1687年。カシオペヤとペガサスの間

③ラカイユが命名した南天の星座(18世紀)

科学者・計測機器・地名にちなんだ実用的な名前が並びます。ギリシャ神話とは無関係。

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星座名 学名(ラテン語) 由来(命名元の器具・場所)
ポンプ座 Antlia(アンティリア) 空気ポンプ(ボイル・マリオットの法則で使われた器具)
ちょうこくとう座 Caelum(カエルム) 彫刻刀(版画や彫刻の道具)
コンパス座 Circinus(キルキヌス) コンパス(製図用の円描き器具)
ろ座 Fornax(フォルナクス) 化学炉(錬金術・化学実験用の燃焼炉)
とけい座 Horologium(ホロロジウム) 振り子時計(ホイヘンスが発明した精密時計)
テーブルさん座 Mensa(メンサ) 南アフリカのテーブル山(大マゼラン雲が山頂を覆う)
けんびきょう座 Microscopium(ミクロスコピウム) 顕微鏡(レーウェンフックが改良した光学器具)
じょうぎ座 Norma(ノルマ) 直角定規(carpenter's square)。大工道具
はちぶんぎ座 Octans(オクタンス) 八分儀(航海用の天体測定器。現在は六分儀に取って代わられた)
えじき座 Pictor(ピクトル) 絵描きのイーゼル(画架)。もとは「Equuleus Pictoris(画家の馬)」
レチクル座 Reticulum(レティクルム) 望遠鏡の接眼レンズに使う格子状の測定器(レティクル)
らしんばん座 Pyxis(ピクシス) 航海用の羅針盤(コンパスボックス)。アルゴ座の位置に置かれた。ラカイユ1752年
ちょうこくしつ座 Sculptor(スクルプトル) 彫刻家のアトリエ・作業場
ぼうえんきょう座 Telescopium(テレスコピウム) 望遠鏡(ガリレオが改良した天体観測器具)

知っておきたい星座神話の名場面

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オリオン座とさそり座が同時に空に現れない理由

夜空で最も華やかな星座の一つ、オリオン座。しかし、さそり座が昇るころにはオリオン座は西の地平線に沈んでしまいます。これにはギリシャ神話の理由があります。

巨人の狩人オリオンは「世界中の獣を狩り尽くしてみせる」と豪語しました。これに激怒した大地の神ガイア(または狩の女神アルテミス)が毒サソリを放ち、オリオンは刺されて命を落とします。ゼウスは二人を共に星座にしましたが、「互いに顔を合わせないように」と天球の反対側に配置したのです。

オリオン座が冬の夜空に輝くとき、さそり座は地平線の下。さそり座が夏に昇ってくると、オリオン座は沈んでいく——神話上の「永遠の確執」が今も夜空で繰り返されています。

おおぐま座とこぐま座──母と子の悲しい物語

おおぐま座の由来は、ギリシャ神話で最も切ない話の一つです。

ゼウスはニンフのカリストに恋をしましたが、ゼウスの妻ヘラはこれを知り、怒りのあまりカリストを熊に変えてしまいます。やがて成長したカリストの息子アルカスが狩りをしていると、目の前に母熊が現れました。熊が自分の母とは知らないアルカスは槍を構えます——。

これを見たゼウスは、母子を引き離すまいと、アルカスも熊に変え、そのまま天へと引き上げました。これがおおぐま座(カリスト)とこぐま座(アルカス)の由来です。ヘラはさらに「二人が海で休むことも許さぬ」と呪いをかけたため、北天のこの二星座は一年中沈まずに夜空を回り続けるといわれています。

なお、こぐま座のα星(北極星・ポラリス)は真北を示すことで航海の指針となってきました。母熊の子が天の北極を守る、という構図は神話の切なさをいっそう深めます。

アンドロメダ座とペルセウス座──星になった救出劇

秋の夜空に浮かぶアンドロメダ座・ペルセウス座・カシオペヤ座・ケフェウス座は、すべて一つの神話でつながっています。

エチオピア王妃カシオペヤが「我が娘は海のニンフより美しい」と自慢したことで、怒った海の神ポセイドンは怪物ケートスを送り込みました。王ケフェウスはアポロンの神託に従い、娘アンドロメダを岩に鎖でつないで生贄として差し出すことに。

そこに通りかかったのが英雄ペルセウスです。彼はメデューサを斬首した帰り道で、石にした首を使って怪物を退治し、アンドロメダを救出。二人は結婚し、後に星座となりました。カシオペヤ座のW字型はカシオペヤが椅子に座る姿で、時に逆さまになるのは「傲慢な王妃への罰」だとも語られます。

こと座──オルフェウスの竪琴と冥界下り

こと座の一等星ベガ(織姫星)は夏の大三角の一つとして有名ですが、その由来は悲しい愛の物語です。

音楽家オルフェウスは竪琴の名手で、その音色は野獣も石も動かすほどでした。最愛の妻エウリュディケが毒蛇に噛まれて死ぬと、オルフェウスは冥界へ下り、竪琴の音で冥王ハデスを説き伏せ、妻を返してもらうことに成功します。条件は「地上に出るまで振り返ってはならない」こと。しかしオルフェウスはあと一歩という所で不安に駆られ、振り返ってしまいました。エウリュディケは再び冥界へ消えてしまいます。

嘆き悲しんだオルフェウスが死後、アポロンはその竪琴を天に置いたのがこと座です。ベガの輝きは、今も失われた愛を奏で続けているようにみえます。

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まとめ

全88星座の名前の由来・語源を一覧でまとめました。古代ギリシャ神話からは英雄・怪物・神々の物語が、大航海時代からは新大陸の動物や探検の道具が、ラカイユの18世紀からは顕微鏡・時計・望遠鏡など当時最先端の科学器具が、それぞれ星座名として刻まれています。夜空の星座を眺めるとき、その名前の裏に隠れた物語を思い浮かべると、きっとひと味違う夜空に出会えるはずです。

星座に登場するギリシャ神話の神々については、世界の神話の神々252選|9神話の神の名前・神格・別名まとめもあわせてご覧ください。

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