
「栄養素って結局いくつあるの?」と思ったことはありませんか?学校では「五大栄養素」と習いますが、食物繊維や水を加えると「七大栄養素」とも呼ばれます。この記事では、三大栄養素からビタミン13種・ミネラル13種・食物繊維・水まで、全32種の栄養素を分類別に完全網羅します。各分類の概要と主な食品・働きを一覧にまとめましたので、まず本記事で栄養素の全体像を把握してください。詳しい欠乏症・過剰症・食品別含有量はシリーズの派生記事で解説します。
栄養素の分類:五大・六大・七大の違い
教科書によって「五大栄養素」「六大栄養素」と表記が違うのは、食物繊維と水の位置づけが時代とともに変化してきたからです。
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| 分類名 | 含まれるもの |
|---|---|
| 五大栄養素 | 炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラル |
| 六大栄養素 | 五大栄養素+食物繊維 |
| 七大栄養素 | 六大栄養素+水 |
1980年代以降、食物繊維の腸内環境への効果が科学的に明らかになり、「第6の栄養素」として認識されるようになりました。この記事では七大栄養素の枠組みで、全32種を一覧にまとめています。
三大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質)
体のエネルギー源となる「エネルギー産生栄養素」です。1gあたりのカロリーがそれぞれ決まっており、食品のエネルギー量の計算に使われます。
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| 名称 | 1gあたりのエネルギー | 主な食品 | 主な働き |
|---|---|---|---|
| 炭水化物(糖質) | 4 kcal | ご飯・パン・麺・いも類 | 脳と筋肉の即効性エネルギー源 |
| タンパク質 | 4 kcal | 肉・魚・卵・大豆製品・乳製品 | 筋肉・臓器・酵素・ホルモンの材料 |
| 脂質 | 9 kcal | 植物油・バター・ナッツ・肉の脂身 | 細胞膜の構成・脂溶性ビタミンの吸収を助ける |
脂質は炭水化物・タンパク質の2倍以上のカロリーを持ちます。同じ重さでも脂質の多い食品はエネルギーが高くなる理由がここにあります。
ビタミン13種類一覧
ビタミンは体内でほとんど合成できない有機化合物で、食事から摂る必要があります。「脂に溶けるか・水に溶けるか」で脂溶性(4種)と水溶性(9種)の2タイプに分かれ、体内での蓄積性が異なります。
脂溶性ビタミン(4種)
油脂とともに吸収され、体内(主に肝臓や脂肪組織)に蓄積されます。
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| 名称 | 化学名 | 主な食品 | 主な働き |
|---|---|---|---|
| ビタミンA | レチノール | レバー・うなぎ・にんじん・ほうれん草 | 視力維持・皮膚と粘膜の保護・免疫機能 |
| ビタミンD | カルシフェロール | 鮭・さんま・干ししいたけ・卵黄 | カルシウムの腸からの吸収を促進・骨形成 |
| ビタミンE | トコフェロール | アーモンド・植物油・かぼちゃ・アボカド | 強力な抗酸化作用・細胞の酸化(老化)を抑制 |
| ビタミンK | フィロキノン・メナキノン | 納豆・ほうれん草・ブロッコリー・小松菜 | 血液凝固・骨へのカルシウム沈着の促進 |
水溶性ビタミン(9種)
水に溶けやすく、過剰に摂取しても尿として排泄されます。毎日食事から補給することが大切です。
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| 名称 | 化学名 | 主な食品 | 主な働き |
|---|---|---|---|
| ビタミンB1 | チアミン | 豚肉・大豆・玄米・うなぎ・ナッツ | 糖質をエネルギーに変える補酵素 |
| ビタミンB2 | リボフラビン | レバー・牛乳・乳製品・卵・納豆 | エネルギー産生・細胞の成長を支える補酵素 |
| ビタミンB3 | ナイアシン | まぐろ・鶏肉・落花生・きのこ類 | NAD/NADPとして体内の多数の酵素反応に関わる補酵素 |
| ビタミンB5 | パントテン酸 | 鶏レバー・納豆・アボカド・牛乳 | コエンザイムAの構成成分・エネルギー代謝の中心 |
| ビタミンB6 | ピリドキシン | まぐろ・鶏肉・バナナ・さつまいも | タンパク質代謝・神経伝達物質の合成を助ける |
| ビタミンB7 | ビオチン | レバー・大豆・卵・ナッツ・さば | 脂質・糖質・タンパク質の代謝を助ける補酵素 |
| ビタミンB9 | 葉酸(フォレート) | 枝豆・ほうれん草・レバー・アスパラガス | DNA合成・赤血球の形成・胎児の神経管発達 |
| ビタミンB12 | コバラミン | レバー・さんま・あさり・牛乳・チーズ | 神経機能の維持・赤血球の正常な形成 |
| ビタミンC | アスコルビン酸 | ピーマン・キウイ・いちご・ブロッコリー | 抗酸化作用・コラーゲン合成・鉄の吸収を促進 |
ミネラル13種類一覧
ミネラルは体に必要な無機質(元素)の総称です。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、摂取基準が定められているミネラルを13種類に分類しています。体内の量が多いものを「主要ミネラル」、微量しか必要ないものを「微量ミネラル」と呼びます。
主要ミネラル(5種)
体重の0.01%以上を占めるミネラルです。
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| 名称 | 元素記号 | 主な食品 | 主な働き |
|---|---|---|---|
| ナトリウム | Na | 食塩・みそ・しょうゆ・漬物 | 体液の浸透圧調整・神経や筋肉の働きを支える |
| カリウム | K | バナナ・いも類・大豆・ほうれん草・海藻 | 余分なナトリウムを排出・血圧を正常に保つ |
| カルシウム | Ca | 牛乳・乳製品・小魚・豆腐・小松菜 | 骨と歯の形成(体内カルシウムの99%が骨に存在) |
| マグネシウム | Mg | 大豆・玄米・ナッツ・海藻・バナナ | 骨形成・300以上の酵素反応に補因子として関与 |
| リン | P | 肉・魚・乳製品・穀物・加工食品 | 骨と歯の形成・細胞膜(リン脂質)の構成成分 |
微量ミネラル(8種)
体重の0.01%未満しか含まれませんが、微量でも欠かせない働きを担います。
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| 名称 | 元素記号 | 主な食品 | 主な働き |
|---|---|---|---|
| 鉄 | Fe | レバー・赤身肉・ほうれん草・あさり・ひじき | ヘモグロビンの構成成分・全身への酸素運搬 |
| 亜鉛 | Zn | 牡蠣・牛肉・ナッツ・チーズ・海藻 | 免疫機能・味覚・DNA合成・傷の修復 |
| 銅 | Cu | レバー・牡蠣・するめ・ナッツ・ごま | 鉄の利用を助ける・メラニン色素の生成 |
| マンガン | Mn | 玄米・大豆・ナッツ・緑茶・しょうが | 骨の形成・活性酸素を分解する酵素の成分 |
| ヨウ素 | I | 昆布・わかめ・魚介類・牛乳 | 甲状腺ホルモンの唯一の構成元素 |
| セレン | Se | まぐろ・いわし・小麦・ブラジルナッツ | 抗酸化酵素(グルタチオンペルオキシダーゼ)の成分 |
| クロム | Cr | 肉類・全粒穀物・ブロッコリー・チーズ | インスリンの働きを増強・血糖値の調節を助ける |
| モリブデン | Mo | 大豆・レバー・乳製品・穀物 | 尿酸代謝に関わる酵素(キサンチン酸化酵素)の補因子 |
食物繊維・水の分類
食物繊維と水は三大栄養素・ビタミン・ミネラルとは異なりますが、現代の栄養学では体の機能維持に欠かせないものとして重視されています。
食物繊維(2種)
消化酵素で消化されない食品成分の総称です。腸内細菌のエサとなり、腸内環境を整えます。
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| 種類 | 主な食品 | 主な働き |
|---|---|---|
| 水溶性食物繊維 | 海藻・りんご・大麦・オートミール・こんにゃく | 腸内善玉菌のエサ・血糖値の急上昇を緩やかにする・コレステロール排出 |
| 不溶性食物繊維 | 野菜・豆類・全粒穀物・きのこ・ごぼう | 便の量を増やして腸の動きを刺激・排便を促進 |
水
体重の約55〜65%を占める水(成人男性は約60%・女性は約55%)は、栄養素を血流で運搬する・体温を調節する・化学反応の溶媒になるなど、すべての生命活動に関わります。成人が1日に必要とする水分量は食事由来を含めて約2.0〜2.5Lとされています。
豆知識
脂溶性ビタミンは過剰摂取に注意
水溶性ビタミンは過剰に摂取しても尿と一緒に排泄されますが、ビタミンA・D・E・Kの4種は体内に蓄積します。特にビタミンAとビタミンDは、サプリメントで大量に摂取し続けると体調に影響することがあります。食事での過剰摂取はほぼ問題ありませんが、サプリ利用時は量に注意が必要です。
有機化合物と無機化合物の違い
栄養素は化学的に2つに分けられます。炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・食物繊維は「炭素を含む有機化合物」、ミネラルと水は「炭素を含まない無機化合物」です。ビタミンとミネラルをまとめて「微量栄養素」と呼ぶことがありますが、化学的性質は全く異なります。
一緒に摂ると効果が上がる「栄養素の相互作用」
栄養素はそれぞれ単独で働くのではなく、組み合わせで吸収率や効果が変わります。
- 鉄+ビタミンC:鉄はビタミンCと一緒に摂ると非ヘム鉄の吸収率が数倍に向上するとされています
- カルシウム+ビタミンD:ビタミンDがカルシウムの腸からの吸収を促進します。牛乳だけでなく日光浴もセットで
- ビタミンB1+ビタミンB2:B群はまとめて摂ると効率よく働きます。疲労回復に「B群をセットで摂る」理由がここにあります
- 亜鉛+ビタミンA:亜鉛は肝臓からのビタミンAの放出を助けます。どちらかだけでは体内で機能しにくくなります
ミネラルの種類は数え方で変わる
この記事では厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で摂取基準が定められている13種のミネラルを掲載しています。ただし国際的には「必須ミネラル」として16種を挙げる場合があります。違いはイオウ(S)・塩素(Cl)・コバルト(Co)の3つで、これらは食事から自然に十分な量が摂れるため日本のDRIには設定されていません。
栄養素の発見は19〜20世紀
三大栄養素の概念は19世紀に確立されましたが、ビタミンという概念が誕生したのは1912年(ポーランド系生化学者カジミェシュ・フンクが「Vitamine」と命名)。ミネラルの細かい分類や食物繊維の重要性が科学的に認められたのは20世紀に入ってからです。「七大栄養素」という概念はさらに新しく、21世紀の栄養学が生み出したものです。
まとめ
栄養素には、三大栄養素3種・ビタミン13種・ミネラル13種・食物繊維2種・水の計32種が含まれます。それぞれが独自の役割を持ち、どれが欠けても体の機能は低下します。本記事で全体像をつかんだら、人体の雑学まとめや世界の発酵食品一覧もあわせてお楽しみください。ビタミン・ミネラル・アミノ酸の個別詳細記事は順次公開予定です。