
焼肉やもつ焼きで出てくる「ホルモン」は、実は牛・豚・鶏の内臓や副生物のことで、部位ごとにまったく違う食感と味を持っています。ミノやハチノスは胃、シマチョウは大腸、砂肝は鶏の胃――呼び名を聞いてもどの部位か分かりにくいのが、ホルモンの奥深いところです。本記事では、牛・豚・鶏の内臓肉・副生物を合計48種、動物別・部位別に一覧でまとめました。どの臓器にあたるか、食感や味の特徴、主な食べ方まで、表でまとめて確認できます。地域や店で呼び名が変わるものは別名も併記しています。
ホルモン(内臓肉)とは|「ホルモン」の語源は諸説あり
「ホルモン」とは、牛・豚・鶏の内臓肉や副生物(正肉=ロースやカルビなどの筋肉以外の部位)の総称です。もつ焼き・もつ鍋・焼肉の内臓系メニューがこれにあたります。
名前の由来には、大きく2つの説があり、どちらとも断定されていません。
- 医学用語のホルモン由来説(学術的には有力とされる):「ホルモン」はギリシャ語で「刺激する」を意味する生理学用語(体内で分泌される内分泌ホルモン)に由来します。1920年代に「ホルモン料理=滋養強壮によい料理」の意味で広まり、1930年代に大阪・心斎橋などで臓物料理を「ホルモン」と称して売り出したのが始まりとされます。
- 関西弁「放るもん(ほうるもん)」説(俗説とされる):かつて捨てていた臓物=「放るもん(捨てるもの)」が訛って「ホルモン」になったという説です。広く知られていますが、「ホルモン」という語は1920年代から使われており、この説は後から広まった民間語源(俗説)とされることが多いです。
このように語源は諸説あり、本記事では両説を紹介するにとどめます。なお、同じ「ホルモン」でも体内で分泌される生理物質としてのホルモンは別物です。そちらは人間の体のホルモンの種類一覧で解説しています。
牛のホルモン(内臓肉)一覧|24種の部位と特徴
牛は内臓の種類が最も豊富で、焼肉・もつ鍋の主役になる部位がそろっています。特に胃は4つあり、それぞれ別の名前で呼ばれます。
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| 呼び名(読み・別名) | 部位 | 食感・味の特徴 | 主な食べ方 |
|---|---|---|---|
| タン(たん) | 舌 | ほどよい弾力とコリッとした歯ごたえ、根元ほど柔らかく脂がのる | 焼き・タンシチュー |
| ハツ(はつ/ココロ) | 心臓 | 脂が少なくコリコリと締まった歯ざわりで臭みが少ない | 焼き・串 |
| レバー(ればー/キモ) | 肝臓 | なめらかで濃厚、ねっとりした舌触りと鉄分の旨み | 焼き(生食は禁止)・レバニラ |
| フワ(ふわ/バサ) | 肺 | スポンジ状で軽く、ふわっとした独特の食感 | 焼き・煮込み |
| ミノ(みの) | 第一胃 | 厚みがありコリコリと歯切れがよく、脂は少なく淡白 | 焼き・ミノサンド |
| ハチノス(はちのす/トリッパ) | 第二胃 | 蜂の巣状の見た目で弾力があり、下処理後はやわらかい | 焼き・トリッパ煮込み |
| センマイ(せんまい) | 第三胃 | 無数のヒダがありコリコリ・ザクザクした低脂肪の歯ごたえ | 焼き・センマイ刺し |
| ギアラ(ぎあら/アカセンマイ・あぼみ) | 第四胃 | 赤みを帯び胃の中で最も脂が多く、濃厚でジューシー | 焼き・煮込み |
| マメ(まめ) | 腎臓 | 房状でやや独特の風味、コリッとした歯ざわり | 焼き・煮込み |
| ハラミ(はらみ) | 横隔膜(肋骨側の薄い部分) | 赤身のような見た目で柔らかく、適度な脂と肉の旨み | 焼き |
| サガリ(さがり) | 横隔膜(背骨側の厚い部分) | ハラミより厚みがあり柔らかく濃い旨み | 焼き |
| シマチョウ(しまちょう/テッチャン・ダイチョウ) | 大腸 | 厚い腸壁に縞模様の脂がつき、噛むほど脂の甘みが出る | 焼き・もつ鍋・煮込み |
| マルチョウ(まるちょう/コプチャン・ヒモ) | 小腸 | 丸い筒状で薄い腸壁にたっぷりの甘い脂、プリッと濃厚 | 焼き・もつ鍋 |
| テッポウ(てっぽう) | 直腸 | 切り開くと鉄砲の形、脂が少なくさっぱりコリコリ | 焼き・煮込み |
| モウチョウ(もうちょう) | 盲腸 | 小腸と大腸の中間的な食感で脂と弾力がある | 焼き・煮込み |
| コブクロ(こぶくろ) | 子宮 | 脂が少なくコリコリ・歯切れのよい淡白な食感 | 焼き・湯引き |
| チチカブ(ちちかぶ/チチ) | 乳房 | 脂肪と乳腺でミルキーな風味、ムチッとした食感 | 焼き |
| シビレ(しびれ/リードヴォー) | 胸腺(上)・膵臓(下) | ふんわり柔らかく、火を通すととろける希少部位 | 焼き・ソテー |
| タチギモ(たちぎも) | 胆嚢 | 苦みを伴う独特の風味、小さな希少部位 | 焼き |
| ウルテ(うるて/フエガラミ・ノドブエ) | 気管(のどの軟骨) | 軟骨でゴリゴリ・コリコリと非常に硬い希少部位 | 焼き |
| ノドスジ(のどすじ/ネクタイ) | 食道 | 筋張って弾力があり、噛みごたえのある食感 | 焼き・煮込み |
| アキレス(あきれす/スジ) | アキレス腱 | 長時間煮込むとゼラチン質でプルプル・トロトロ | 煮込み・おでん |
| テール(てーる) | 尾 | 骨まわりにゼラチン質と旨みが多く、煮込むとホロホロ | テールスープ・煮込み |
| ハツモト(はつもと/コリコリ) | 心臓につながる大動脈 | 血管部分でコリコリと非常に硬い歯ごたえ | 焼き |
牛の「4つの胃」の違い(ミノ・ハチノス・センマイ・ギアラ)
牛は反芻動物で胃が4つあり、焼肉ではすべて別の部位として扱われます。食べ比べると違いがよく分かります。
- ミノ(第一胃):最大の胃。分厚くコリコリして淡白。
- ハチノス(第二胃):蜂の巣状のヒダ。煮込むとやわらかく、イタリア料理の「トリッパ」はこれ。
- センマイ(第三胃):薄いヒダが千枚重なった形。低脂肪でザクザクした食感。「センマイ刺し」で生でも食べられます。
- ギアラ(第四胃):唯一消化液を出す「本当の胃」。4つの中で最も脂が多く濃厚。
豚のホルモン(内臓肉)一覧|12種の部位と特徴
豚のホルモンは牛よりクセが少なく、もつ煮込みの定番です。
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| 呼び名(読み・別名) | 部位 | 食感・味の特徴 | 主な食べ方 |
|---|---|---|---|
| タン(たん) | 舌 | 牛タンより小ぶりで柔らかく、クセが少なくあっさり | 焼き・煮込み |
| ハツ(はつ/ココロ) | 心臓 | 締まった歯ごたえで臭みが少なくあっさり | 焼き・串 |
| レバー(ればー/キモ) | 肝臓 | 牛レバーより淡白でなめらか、鉄分の風味 | 焼き(生食は禁止)・ニラ炒め |
| ガツ(がつ) | 胃 | 脂が少なく白くコリコリと歯切れがよい、淡白 | 焼き・ポン酢和え・煮込み |
| シロ(しろ/ダイチョウ) | 大腸 | 厚みと弾力があり脂がのって噛むほど旨い | 焼き・もつ煮込み |
| ヒモ(ひも/ショウチョウ) | 小腸 | 細く薄い腸壁で脂は控えめ、さっぱりした食感 | 焼き・もつ煮込み |
| マメ(まめ) | 腎臓 | 独特の風味とコリコリした歯ごたえ | 焼き・炒め物 |
| コブクロ(こぶくろ) | 子宮 | 脂が少なくコリコリと歯切れのよい淡白な食感 | 焼き・ポン酢和え |
| フワ(ふわ/プップギ) | 肺 | スポンジ状で軽くふわっとした独特の食感 | 焼き・煮込み |
| ノド軟骨(のどなんこつ/フエ) | 気管・のどの軟骨 | コリコリした軟骨の歯ごたえ | 焼き・揚げ |
| カシラニク(かしらにく/ツラミ) | 頭部(こめかみ〜頬の筋肉) | よく動く筋肉でコリッとした歯ごたえと旨み | 焼き・串 |
| トンソク(とんそく/豚足) | 足(蹄周り) | 皮と腱のゼラチン質でプルプル・コラーゲン豊富 | 煮込み・焼き |
鶏のホルモン(内臓肉)一覧|12種の部位と特徴
鶏は焼き鳥文化の中で、小さな内臓や希少部位まで余さず使われます。
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| 呼び名(読み・別名) | 部位 | 食感・味の特徴 | 主な食べ方 |
|---|---|---|---|
| ハツ(はつ/ハート) | 心臓 | 小さくコリコリと歯ごたえがあり、血の濃い旨み | 焼き鳥・串 |
| レバー(ればー/キモ) | 肝臓 | なめらかでねっとり濃厚、鉄分・ビタミンが豊富 | 焼き鳥・甘辛煮 |
| 砂肝(すなぎも/ズリ・砂ずり) | 筋胃(砂嚢) | 食べ物をすりつぶす筋肉質の器官で、コリコリと硬い | 焼き鳥・唐揚げ |
| ハツモト(はつもと) | 心臓につながる大動脈 | 血管部分でコリコリと硬い歯ごたえ | 焼き鳥 |
| きんかん(きんかん/玉) | 卵巣内の未成熟卵(卵黄) | 黄身そのもので濃厚、プチッとした食感 | 焼き鳥・もつ煮 |
| ひも(ひも/たまひも) | 卵管(輸卵管) | こりっとした歯ごたえと卵の風味、1羽1本の希少部位 | 焼き鳥・煮物 |
| ちょうちん(ちょうちん) | きんかん+ひもを一串にした部位 | 黄身のとろみと卵管のコリコリを一度に味わえる | 焼き鳥 |
| 白子(しらこ) | 精巣(オスのみ) | クリーミーで濃厚、とろける舌触りの希少部位 | 焼き鳥・天ぷら |
| せせり(せせり/ネック・そろばん) | 首回りの肉 | よく動く部位で弾力があり脂と旨みが濃い | 焼き鳥・唐揚げ |
| ぼんじり(ぼんじり/テール・さんかく) | 尾の付け根 | 脂が多くジューシーで香ばしく、ぷりっとした食感 | 焼き鳥 |
| せぎも(せぎも/背肝) | 背骨沿いの腎臓 | 小さくレバーに似た濃厚さ、1羽わずかの希少部位 | 焼き鳥 |
| ヤゲン(やげん/ヤゲン軟骨) | 胸の先端の軟骨(胸骨) | コリコリした軟骨の歯ごたえ | 焼き鳥・唐揚げ |
ホルモンを食べるときの注意|生食は禁止されている
内臓肉はおいしい一方で、食中毒を防ぐために必ず加熱して食べることが大切です。特に以下は法律で生食の提供が禁止されています。
- 牛レバーの生食は禁止(2012年7月〜):腸管出血性大腸菌(O157など)による重篤な食中毒を避けられないため、食品衛生法に基づき牛の肝臓(レバー)を生食用として販売・提供することが禁止されています。
- 豚の肉・内臓(レバー等)の生食も禁止(2015年6月12日〜):E型肝炎ウイルスや寄生虫などによる食中毒(E型肝炎は重症化のおそれ)を防ぐため、豚の食肉・内臓を生食用として販売・提供することが禁止されています。
- 加熱の目安:中心部を75℃で1分以上しっかり加熱すると、主要な食中毒菌を死滅させられます。鶏の内臓もカンピロバクターのリスクがあるため、中心まで加熱して食べましょう。
まとめ
牛・豚・鶏のホルモン(内臓肉)を合計48種、部位別にまとめました。同じ「レバー」でも動物で風味が違い、牛の胃は4つに分かれ、鶏には焼き鳥ならではの希少部位があります。呼び名と部位の対応を知っておくと、焼肉やもつ焼きがぐっと楽しくなります。ただし内臓は鮮度と加熱が命。生食の規制を守り、しっかり火を通して味わいましょう。
腕試しクイズ(全5問)
ホルモン(内臓肉)の部位と呼び名の組み合わせを、クイズでおさらいしましょう。
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