
ホルモンとは、体内の特定の器官(内分泌腺など)でつくられ、血液にのって離れた器官に働きかける化学物質のことです。成長・代謝・血糖・睡眠・生殖など、体のあらゆる調節を担っています。本記事では、人間の体で働くホルモンを44種、分泌する器官ごとに一覧でまとめました。どの器官から出て、どんな働きをするのかを表で確認できます。あわせて「幸せホルモン」などの通称と正式名の関係、神経伝達物質との違いもわかります。
主なホルモンを出す器官の位置関係
ホルモンを分泌する主な器官(内分泌腺)は、頭から下腹部まで全身に分布しています。おおまかな位置関係をつかんでおくと、一覧が理解しやすくなります。
- 脳の中心部:視床下部と、その下にぶら下がる下垂体。ホルモン分泌全体の「司令塔」です。脳の奥には松果体もあります。
- 首:のど仏の下に甲状腺、その裏側に米粒大の副甲状腺。
- みぞおち〜おなか:胃の後ろに膵臓、左右の腎臓の上に副腎、腎臓そのもの。
- 下腹部:女性は卵巣、男性は精巣(性腺)。
さらに、内分泌腺ではない消化管・脂肪組織・心臓・腎臓からもホルモンが分泌されることが分かっています。以下、器官ごとに見ていきましょう。
脳から出るホルモン一覧(視床下部・下垂体・松果体)
脳の視床下部と下垂体は、他の内分泌腺に指令を送る「司令塔」です。視床下部のホルモンが下垂体を動かし、下垂体のホルモンが甲状腺・副腎・性腺などを動かす、という階層構造になっています。
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| ホルモン名(読み・別名) | 分泌する器官 | 主な働き |
|---|---|---|
| 成長ホルモン放出ホルモン(GHRH) | 視床下部 | 下垂体に作用し成長ホルモンの分泌を促す |
| ソマトスタチン(GHIH) | 視床下部 | 成長ホルモン・甲状腺刺激ホルモンの分泌を抑える(膵臓からも分泌) |
| 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH) | 視床下部 | 甲状腺刺激ホルモンとプロラクチンの分泌を促す |
| 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH) | 視床下部 | 副腎皮質刺激ホルモンの分泌を促す |
| ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH) | 視床下部 | 黄体形成ホルモン・卵胞刺激ホルモンの分泌を促す |
| ドパミン(PIF) | 視床下部 | プロラクチンの分泌を抑える(神経伝達物質としても働く) |
| 成長ホルモン(GH/ソマトトロピン) | 下垂体前葉 | 骨や筋肉の成長を促し、代謝を調節する |
| プロラクチン(PRL) | 下垂体前葉 | 乳腺を発達させ、乳汁の産生を促す |
| 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH) | 下垂体前葉 | 副腎皮質を刺激しコルチゾール等の分泌を促す |
| 甲状腺刺激ホルモン(TSH) | 下垂体前葉 | 甲状腺を刺激し甲状腺ホルモンの分泌を促す |
| 黄体形成ホルモン(LH) | 下垂体前葉 | 排卵を誘発し、男性ではテストステロン産生を促す |
| 卵胞刺激ホルモン(FSH) | 下垂体前葉 | 卵胞の発育を促し、男性では精子形成を促す |
| メラニン細胞刺激ホルモン(MSH) | 下垂体前葉 | メラニン色素の産生を促す(厳密には下垂体中葉由来) |
| バソプレシン(ADH/抗利尿ホルモン) | 下垂体後葉 | 腎臓で水の再吸収を高め尿量を減らす(視床下部で産生) |
| オキシトシン(OXT) | 下垂体後葉 | 分娩時の子宮収縮と授乳時の乳汁射出を促す(視床下部で産生) |
| メラトニン | 松果体 | 体内時計(概日リズム)を調節し、夜間に増えて睡眠を促す |
甲状腺・副甲状腺から出るホルモン一覧
首にある甲状腺は代謝を、その裏の副甲状腺はカルシウムの調節を担います。
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| ホルモン名(読み・別名) | 分泌する器官 | 主な働き |
|---|---|---|
| トリヨードサイロニン(T3) | 甲状腺 | 全身の基礎代謝を高める(T4から変換されて働く) |
| サイロキシン(T4) | 甲状腺 | 全身の基礎代謝を高める(甲状腺ホルモンの大部分) |
| カルシトニン(CT) | 甲状腺 | 血中カルシウムが高いとき骨からの放出を抑えて下げる |
| 副甲状腺ホルモン(PTH/パラソルモン) | 副甲状腺 | 血中カルシウムが低いとき骨・腎臓に働いて上げる |
副腎から出るホルモン一覧(皮質・髄質)
左右の腎臓の上にある副腎は、外側の皮質と内側の髄質で別のホルモンを出します。
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| ホルモン名(読み・別名) | 分泌する器官 | 主な働き |
|---|---|---|
| コルチゾール(糖質コルチコイド) | 副腎皮質 | 血糖値を上げ、ストレス抵抗や抗炎症作用を担う |
| アルドステロン(鉱質コルチコイド) | 副腎皮質 | ナトリウム再吸収とカリウム排泄で体液量と血圧を保つ |
| 副腎アンドロゲン(DHEA) | 副腎皮質 | 男性ホルモン・女性ホルモンの前駆体となる(加齢で減少) |
| アドレナリン(エピネフリン) | 副腎髄質 | 心拍・血糖・血圧を上げ体を興奮状態にする(神経伝達物質でもある) |
| ノルアドレナリン(ノルエピネフリン) | 副腎髄質 | 血管を収縮させ血圧を上げる(神経伝達物質でもある) |
膵臓から出るホルモン一覧(血糖の調節)
胃の後ろにある膵臓のランゲルハンス島は、血糖値を上下させるホルモンを出します。
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| ホルモン名(読み・別名) | 分泌する器官 | 主な働き |
|---|---|---|
| インスリン | 膵臓(β細胞) | 細胞の糖の取り込みを促し、血糖値を下げる唯一のホルモン |
| グルカゴン | 膵臓(α細胞) | 肝臓で糖をつくり血糖値を上げる(インスリンと拮抗) |
| ソマトスタチン | 膵臓(δ細胞) | インスリン・グルカゴンの分泌を抑えて調整する |
性腺(卵巣・精巣)から出るホルモン一覧
性腺は生殖と、男女それぞれの体つきに関わるホルモンを出します。
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| ホルモン名(読み・別名) | 分泌する器官 | 主な働き |
|---|---|---|
| エストロゲン(卵胞ホルモン) | 卵巣 | 女性らしい体をつくり、骨量や血管の健康を保つ |
| プロゲステロン(黄体ホルモン) | 卵巣 | 妊娠を維持し、体温を上げる |
| テストステロン(男性ホルモン) | 精巣 | 精子形成を促し、筋肉や骨の発達・男性的な体つきをつくる |
内分泌腺以外から出るホルモン一覧(消化管・脂肪・心臓・腎臓)
ホルモンは専門の内分泌腺だけでなく、消化管・脂肪組織・心臓・腎臓からも分泌されます。近年の研究で分かってきた、体の調節に欠かせないホルモンたちです。
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| ホルモン名(読み・別名) | 分泌する器官 | 主な働き |
|---|---|---|
| ガストリン | 消化管(胃) | 胃酸の分泌を促し消化を助ける |
| セクレチン | 消化管(十二指腸) | 膵液の分泌を促し胃酸を中和する |
| コレシストキニン(CCK) | 消化管(小腸) | 胆嚢を収縮させ胆汁を出し、膵液の分泌を促す |
| グレリン | 消化管(主に胃) | 食欲を高める「空腹ホルモン」 |
| GIP(胃抑制ペプチド) | 消化管(小腸) | 血糖が高いときインスリン分泌を促すインクレチン |
| GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1) | 消化管(小腸) | インスリン分泌促進・食欲抑制を示すインクレチン |
| レプチン | 脂肪組織 | 脳に働いて食欲を抑え、エネルギー消費を促す |
| アディポネクチン | 脂肪組織 | インスリンの効きを高め、動脈硬化を抑える |
| 心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP) | 心臓(心房) | 水・塩分の排泄と血管拡張で血圧を下げる |
| 脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP) | 心臓(心室) | 血圧や体液量を調整する(心不全の検査指標にも使われる) |
| レニン | 腎臓 | 血圧を上げる仕組みの起点となる(厳密には酵素) |
| エリスロポエチン(EPO) | 腎臓 | 赤血球の産生を促す |
| 活性型ビタミンD | 腎臓 | 腸でのカルシウム・リンの吸収を促し骨代謝を整える |
「幸せホルモン」など通称で呼ばれるもの
ホルモンや脳内物質には、働きのイメージから通称がつけられたものがあります。検索でよく見かける通称と、正式な位置づけを整理します。
- オキシトシン:「幸せホルモン」「愛情ホルモン」と呼ばれます。正式には下垂体後葉から分泌されるホルモンで、本記事の一覧にも含まれています。
- セロトニン:「幸せホルモン」として知られますが、体内では主に神経伝達物質として働く物質で、ホルモンとしての扱いが中心ではありません。そのため本一覧には含めていません。
- ドーパミン:「やる気・快感」の物質として有名です。本記事では視床下部でプロラクチンを抑える働きをホルモンとして挙げていますが、脳内では神経伝達物質として働きます。
このように「幸せホルモン」は俗称で、医学的にはホルモン(内分泌)と神経伝達物質(神経の情報伝達)は別の仕組みです。脳内で情報を伝える物質については神経伝達物質の種類一覧で解説しています。なお、焼肉で食べる「ホルモン(内臓肉)」は名前が同じでも別物で、ホルモン(内臓肉)の種類と部位一覧にまとめています。
読むときの注意(健康が気になる方へ)
本記事はホルモンの種類と一般的な働きをまとめた事典的な解説です。病気の診断・治療や、特定の食品・サプリメントの効果を示すものではありません。「このホルモンを増やすために〇〇を食べる」といった断定的な情報には注意し、体調や数値に気になる点がある場合は、自己判断せず医療機関や専門家に相談してください。
まとめ
人間の体で働くホルモンを44種、分泌する器官ごとにまとめました。脳の司令塔(視床下部・下垂体)から、甲状腺・副腎・膵臓・性腺、さらに消化管・脂肪・心臓・腎臓まで、全身の器官が連携して体を調節しています。一覧で「どこから出て・何をするか」をつかんでおくと、健康や体の仕組みのニュースもぐっと理解しやすくなります。
腕試しクイズ(全5問)
ホルモンと分泌する器官・働きの組み合わせを、クイズでおさらいしましょう。
関連記事:神経伝達物質の種類一覧/脳の部位の名前一覧/ホルモン(内臓肉)の種類と部位一覧