
干支(えと)は、十干(じっかん)と十二支(じゅうにし)を組み合わせた日本・中国の伝統的な暦体系です。「今年の干支は?」と聞かれると動物名は答えられても、五行との対応や「午前・午後」「鬼門」「甲子園」の語源まで知っている人は多くありません。この記事では十二支12種・十干10種・六十干支60種の読み方・意味・五行・方位・時刻をテーブルで完全網羅。干支がつくった意外な日本語の豆知識もあわせて紹介します。
十二支一覧|読み方・動物・五行の対応表
十二支は中国の古代暦法に起源を持ち、日本へは6〜7世紀ごろに伝来したとされています。陰陽五行説に基づき、各支に五行(木・火・土・金・水)と陰陽が割り当てられています。
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| 十二支 | 音読み・訓読み | 動物 | 五行・陰陽 |
|---|---|---|---|
| 子 | し・ね | ネズミ | 水・陽 |
| 丑 | ちゅう・うし | ウシ | 土・陰 |
| 寅 | いん・とら | トラ | 木・陽 |
| 卯 | ぼう・う | ウサギ | 木・陰 |
| 辰 | しん・たつ | 龍 | 土・陽 |
| 巳 | し・み | ヘビ | 火・陰 |
| 午 | ご・うま | ウマ | 火・陽 |
| 未 | び・ひつじ | ヒツジ | 土・陰 |
| 申 | しん・さる | サル | 金・陽 |
| 酉 | ゆう・とり | ニワトリ | 金・陰 |
| 戌 | じゅつ・いぬ | イヌ | 土・陽 |
| 亥 | がい・い | イノシシ | 水・陰 |
十二支の方位・時刻・旧暦月の対応表
十二支は方位・時刻・月にも対応します。十二支による時刻表示は奈良時代(8世紀)ごろに日本で体系化されたとされています。
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| 十二支 | 訓読み | 方位 | 対応時刻 |
|---|---|---|---|
| 子 | ね | 北 | 23:00〜01:00 |
| 丑 | うし | 北北東 | 01:00〜03:00 |
| 寅 | とら | 東北東 | 03:00〜05:00 |
| 卯 | う | 東 | 05:00〜07:00 |
| 辰 | たつ | 東南東 | 07:00〜09:00 |
| 巳 | み | 南南東 | 09:00〜11:00 |
| 午 | うま | 南 | 11:00〜13:00 |
| 未 | ひつじ | 南南西 | 13:00〜15:00 |
| 申 | さる | 西南西 | 15:00〜17:00 |
| 酉 | とり | 西 | 17:00〜19:00 |
| 戌 | いぬ | 西北西 | 19:00〜21:00 |
| 亥 | い | 北北西 | 21:00〜23:00 |
旧暦月への対応は子月(旧暦11月)を起点に、丑=12月・寅=1月・卯=2月と順に1ヶ月ずつ割り当てられています。
十干一覧|読み方・五行・陰陽の対応表
十干は五行(木・火・土・金・水)をそれぞれ陽(兄=え)と陰(弟=と)に分けた10種類です。「きのえ(木の兄)」「きのと(木の弟)」のように、各五行に兄弟のペアがあります。「えと(干支)」という読み方はこの「兄(え)と弟(と)」に由来するといわれています。
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| 十干 | 音読み・訓読み | 五行 | 陰陽 |
|---|---|---|---|
| 甲 | こう・きのえ | 木 | 陽 |
| 乙 | おつ・きのと | 木 | 陰 |
| 丙 | へい・ひのえ | 火 | 陽 |
| 丁 | てい・ひのと | 火 | 陰 |
| 戊 | ぼ・つちのえ | 土 | 陽 |
| 己 | き・つちのと | 土 | 陰 |
| 庚 | こう・かのえ | 金 | 陽 |
| 辛 | しん・かのと | 金 | 陰 |
| 壬 | じん・みずのえ | 水 | 陽 |
| 癸 | き・みずのと | 水 | 陰 |
六十干支一覧|全60種の読み方まとめ
十干(10種)と十二支(12種)を順番に組み合わせると、最小公倍数の60通りの干支が生まれます。これを「六十干支(ろくじっかんし)」と呼び、年・月・日・時刻の表示に使われてきました。第1番の甲子(きのえね)から始まり、第60番の癸亥(みずのとい)で一巡します。
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| 番号 | 干支 | 音読み | えと読み |
|---|---|---|---|
| 1 | 甲子 | こうし | きのえね |
| 2 | 乙丑 | おつちゅう | きのとうし |
| 3 | 丙寅 | へいいん | ひのえとら |
| 4 | 丁卯 | ていぼう | ひのとう |
| 5 | 戊辰 | ぼしん | つちのえたつ |
| 6 | 己巳 | きし | つちのとみ |
| 7 | 庚午 | こうご | かのえうま |
| 8 | 辛未 | しんび | かのとひつじ |
| 9 | 壬申 | じんしん | みずのえさる |
| 10 | 癸酉 | きゆう | みずのととり |
| 11 | 甲戌 | こうじゅつ | きのえいぬ |
| 12 | 乙亥 | おつがい | きのとい |
| 13 | 丙子 | へいし | ひのえね |
| 14 | 丁丑 | ていちゅう | ひのとうし |
| 15 | 戊寅 | ぼいん | つちのえとら |
| 16 | 己卯 | きぼう | つちのとう |
| 17 | 庚辰 | こうしん | かのえたつ |
| 18 | 辛巳 | しんし | かのとみ |
| 19 | 壬午 | じんご | みずのえうま |
| 20 | 癸未 | きび | みずのとひつじ |
| 21 | 甲申 | こうしん | きのえさる |
| 22 | 乙酉 | おつゆう | きのととり |
| 23 | 丙戌 | へいじゅつ | ひのえいぬ |
| 24 | 丁亥 | ていがい | ひのとい |
| 25 | 戊子 | ぼし | つちのえね |
| 26 | 己丑 | きちゅう | つちのとうし |
| 27 | 庚寅 | こういん | かのえとら |
| 28 | 辛卯 | しんぼう | かのとう |
| 29 | 壬辰 | じんしん | みずのえたつ |
| 30 | 癸巳 | きし | みずのとみ |
| 31 | 甲午 | こうご | きのえうま |
| 32 | 乙未 | おつび | きのとひつじ |
| 33 | 丙申 | へいしん | ひのえさる |
| 34 | 丁酉 | ていゆう | ひのととり |
| 35 | 戊戌 | ぼじゅつ | つちのえいぬ |
| 36 | 己亥 | きがい | つちのとい |
| 37 | 庚子 | こうし | かのえね |
| 38 | 辛丑 | しんちゅう | かのとうし |
| 39 | 壬寅 | じんいん | みずのえとら |
| 40 | 癸卯 | きぼう | みずのとう |
| 41 | 甲辰 | こうしん | きのえたつ |
| 42 | 乙巳 | おつし | きのとみ |
| 43 | 丙午 | へいご | ひのえうま |
| 44 | 丁未 | ていび | ひのとひつじ |
| 45 | 戊申 | ぼしん | つちのえさる |
| 46 | 己酉 | きゆう | つちのととり |
| 47 | 庚戌 | こうじゅつ | かのえいぬ |
| 48 | 辛亥 | しんがい | かのとい |
| 49 | 壬子 | じんし | みずのえね |
| 50 | 癸丑 | きちゅう | みずのとうし |
| 51 | 甲寅 | こういん | きのえとら |
| 52 | 乙卯 | おつぼう | きのとう |
| 53 | 丙辰 | へいしん | ひのえたつ |
| 54 | 丁巳 | ていし | ひのとみ |
| 55 | 戊午 | ぼご | つちのえうま |
| 56 | 己未 | きび | つちのとひつじ |
| 57 | 庚申 | こうしん | かのえさる |
| 58 | 辛酉 | しんゆう | かのととり |
| 59 | 壬戌 | じんじゅつ | みずのえいぬ |
| 60 | 癸亥 | きがい | みずのとい |
知って得する干支の豆知識
「えと」と「かんし」の違いとは
干支の読み方には「えと」と「かんし」の2通りがあります。「えと」は十干の陽(兄=え)と陰(弟=と)に由来するとされる和語読み。「かんし」は「天干(てんかん)地支(ちし)」の略で、中国式の正式な読み方です。日常では「えと」が一般的で、「今年の干支は〇〇年」のように使います。
「午前・午後」「正午」は干支から生まれた言葉
「午前(ごぜん)」「午後(ごご)」「正午(しょうご)」の「午」は、十二支の「午(うま)」に由来します。午の刻は11:00〜13:00で、その真ん中の12:00ちょうどが「正午」。「午前」は午の刻より前、「午後」はそれ以降を指します。「丑三つ時(うしみつどき)」は午前2時〜2時半ごろ(丑の刻を4等分した3番目の区間)を表す言葉で、お化けが出ると恐れられた時間帯です。
還暦(60歳)は干支が一巡するから
60歳のお祝い「還暦(かんれき)」は、六十干支が一巡して生まれた年の干支に戻ることを意味します。十干10種と十二支12種の最小公倍数がちょうど60のため、60年でサイクルがぴったり一周します。「暦が還る(戻る)」から還暦といい、赤いちゃんちゃんこは「生まれた年に還る=再び赤ちゃん」という意味が込められています。
「鬼門(北東)」は干支の方位が語源
風水で忌み嫌われる「鬼門(きもん)」は、十二支の方位で「丑寅(うしとら)の方向」、つまり北東にあたります。古来「鬼は丑寅の方角からやって来る」と信じられており、その名残が「鬼には牛の角とトラの皮のふんどし」というイメージです。裏鬼門(南西)は「未申(ひつじさる)の方角」。神社や城の配置にも今なお鬼門を避ける考え方が残っています。
十二支の漢字には「植物の成長」が隠れている
十二支の漢字は、もともと動物ではなく「草木の成長サイクル」を表す記号でした。後から語呂合わせで動物が当てられたものです。各漢字の本来の意味は次のとおりです。
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| 十二支 | 元の意味 |
|---|---|
| 子(し) | 孳(し)=新しい生命が芽吹き始める状態 |
| 丑(ちゅう) | 紐(ちゅう)=まだ地中で縛られ伸びられない状態 |
| 寅(いん) | 螾(いん)=春の気が動き出し草木が地上に出ようとする |
| 卯(ぼう) | 冒(ぼう)=草木が地面を覆い広がる |
| 辰(しん) | 振(しん)=草木の形がはっきりと整ってくる |
| 巳(し) | 已(し)=成長が最高潮に達し、ここで止まる |
| 午(ご) | 忤(ご)=陰が陽に逆らい始め、衰えの兆しが現れる |
| 未(び) | 昧(び)=草木が鬱蒼と茂り暗くなる |
| 申(しん) | 呻(しん)=果実が成熟し身が詰まってくる |
| 酉(ゆう) | 緧(ゆう)=成熟が完成し、実が締まった状態 |
| 戌(じゅつ) | 滅(めつ)=草木が枯れていく |
| 亥(がい) | 閡(がい)=次の春のために種の中に生命力が閉じ込められる |
甲子園の名前の語源は「甲子年」に建てられたから
兵庫県西宮市の阪神甲子園球場は、1924年(大正13年)に完成しました。1924年はちょうど六十干支の第1番「甲子(こうし)」の年にあたります。一巡の最初を意味する縁起の良い年名を球場名に採用したのが「甲子園」の由来です。高校野球の聖地の名前に、干支がひっそりと刻まれています。
丙午生まれの出生率が下がる迷信の理由
1966年(昭和41年)は「丙午(ひのえうま)」の年で、この年の出生率は前年に比べて大きく下がりました。江戸時代からの俗説「丙午生まれの女性は気性が激しく夫の命を縮める」という迷信を恐れた家庭が出産を避けたためです。丙(ひのえ・火の兄)と午(うま・火の陽)が重なる、五行上「最も強い火の干支」という観念が根底にあります。科学的根拠はなく現代では迷信として知られています。なお、この記事を執筆している2026年がまさに丙午の年にあたります。
歴史的事件と六十干支
有名な歴史的事件の名称にも干支が使われています。
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| 干支 | 年(西暦) | 歴史的事件 |
|---|---|---|
| 壬申(じんしん) | 672年 | 壬申の乱(天武天皇 vs 大友皇子) |
| 戊辰(ぼしん) | 1868年 | 戊辰戦争(幕末の内戦) |
| 甲午(こうご) | 1894年 | 甲午農民運動(東学農民革命・日清戦争の一因) |
| 辛亥(しんがい) | 1911年 | 辛亥革命(清朝打倒・中華民国成立) |
| 甲子(こうし) | 1924年 | 甲子園球場の完成 |
| 丙午(へいご) | 1966年 | 出生率が大幅に低下した年 |
まとめ
十二支12種・十干10種・六十干支60種の読み方・五行・方位・時刻を完全網羅しました。干支は単なる年の動物ではなく、方位(鬼門)・時刻(午前・午後・正午)・節目(還暦)・地名(甲子園)・歴史的事件の名称(壬申の乱・戊辰戦争・辛亥革命)など、現代の言葉や文化に深く根付いた体系です。元号・年号の一覧や二十四節気一覧もあわせてご覧いただくと、日本の暦体系をより深く理解できます。











